万丈「にしてもよ、やっとハザードトリガーの暴走克服かよ。ずっと長えんだよ」
戦兎「仕方ないだろ?前々からミルコには目をつけてたけど会えなかったんだから。それにミルコからインターンの誘いも職場体験の誘いも来なかったんだからウサギの成分を採取する機会がなかったしな」
幻徳「毎回毎回暴走を止めるこっちの身にもなって欲しいものだ」
万丈「ちゃんと俺たちにも感謝しろよ!」
戦兎「そういう万丈こそ、クローズチャージ使った当初は暴走しまくってたでしょうが!それに幻さんもパンドラボックスの影響でおかしくなってたし…」
万丈「あ、あー…そんなこともあったっけな〜…?」
戦兎「とぼけるんじゃないよ!だいたいお前がバカだからいつも俺が尻拭いしなきゃいけないんだろ?」
万丈「バカって言うなよバカって!そんなこと言うんだったらあん時だって…」
相澤「おい問題児ども喧嘩するな。早くあらすじ終わらせろ除籍するぞ」
戦兎「相澤先生!すみませんでした!と言うわけでどうなる第89話!」
F_n:Fibonacci sequence,1/(Σ_{n=1}^∞F_n10^{-n-1})=89話
ハイエンド襲撃事件から三日。無事に怪我は完治し、戦兎は雄英高校に帰ってくることができた。しかしハイエンド襲撃事件はメディアで大々的に報じられ、戦兎の存在は神野事件時以上に世間に知れ渡ることとなった。
相澤「全く、お前は毎度毎度騒ぎを起こすな問題児め。おかげで幻徳の仕事が増えて俺にまで影響が出てるんだぞ」
戦兎「すみません…」
あの事件以降、担任の幻徳は戦兎の詳細を聞き出したいというメディア対応に追われているという。たった今さっき九州から帰ってきたばかりだと言うのに、教室へ向かいながら相澤先生から説教されて耳が痛い。にしても文句を言うのなら急に襲ってきた脳無へ言って欲しいところだ。
相澤「それにみんなお前を心配していたことくらい、頭のいいお前ならわかるだろ。」
相澤がガラガラとドアを開けた。その瞬間だった。
切島「戦兎おかえり!!!すっげー戦いだったな!」
蛙吹「またあの黒いビルド…すごく心配したのよ!」
瀬呂「また新形態か!?強くなりすぎだろ!」
芦戸「倒しちゃったのはすごいけど暴走しないか心配だったからね!」
峰田「オイラハラハラしながら見ちまったよ!」
飯田「本ッッッ当に心配したんだからな!!!」
A組のみんなが一斉に戦兎の近くに駆け寄ってきては我先にと言葉をかけてきた。ビルドの暴走。そのリスクはA組なら誰もが知っている。その兆しがテレビに映っただけでもみなは心配せざるを得なかったのだ。
常闇「我が師、ホークスは健在か…?」
戦兎「ああ。ちょっと羽がなくなったって言ってたけど空も飛べる範疇らしいし、俺以外は特に大怪我はなしだ。それに怪我もすぐ治ったしな」
治療にはリカバリーガールが来てくれたので3日程度ですぐに回復。旧世界じゃ考えられないがこの世界では当たり前なのかもしれない。
轟「戦兎…大変だったな。」
八百万「ハザードフォームを使ってしまった時は私かなり心配で…」
戦兎「悪い悪い。でも使うしかなかったんだ。」
ハザードを使うのは今回で3回目。八斎會の時はテレビ局が入らなかったのでその暴走を知る者はインターンに居合わせた者に限る。そのためハザードを使ったことが公になったのは2回目となる。だからこそ八斎會の時よりもみんなに詰め寄られているのだ。
緑谷「でもあの赤いビルド!ハザードフォームから新しい強化アーマーを身に付けてたよね…?モチーフはうさぎかな!?脚も伸びてたし脚力もアップしてそうだし…」
麗日「デクくん…またオタクでとる…」
瀬呂「ルフィみてぇだったよな」
戦兎「アレか。アレは…」
そう言いかけたところで急に筋肉が緊張するような気配を感じた。後ろには"抹消"を発動し、いかにも『静粛に』と言わんばかりの圧力をかけてくる相澤先生。このやりとりをずっと見守っていただけまだありがたいが…流石に我慢の限界だったのかもしれない。みんなはすぐに会話をやめて着席した。
相澤「さて、今日のヒーロー基礎学だが、A組とB組で合同戦闘訓練を行うことになった。何をするかは運動場γで説明するからさっさと着替えてさっさと集まれ。いいな!」
「「「ハイッ!!!」」」
若干キレ気味な相澤を恐れつつも急いで着替えてアップをし、集まったのは運動場γである。
飯田「入学時と比べるとだいぶ皆のコスチュームも様変わりしてきたな!」
八百万「戦兎さんはずっと変わりませんわね」
戦兎「俺の場合はベルトとボトルさえあれば良いからな。それにこのコートには大量にボトルが収納できるし」
戦兎のポケットは異様に容量がデカい。内部構造は謎だがボトルを60本持ち歩けるほどの容量とその重量を軽減する機能が搭載されているらしい。
物間「おいおい!まあずいぶんと弛んだ空気じゃないか!さァA組!今日こそシロクロつけようか!?」
B組も運動場γに集結し、早々に物間がいつものようにうるさくなっていた。
万丈「戦兎!お前またハザード使ったのか!」
戦兎「仕方ないだろ!?勝てそうもなかったんだから…。でも今度はもう暴走しないからな。」
万丈「あれか!あの…フラフララビットタンク!」
戦兎「フルフルラビットタンクボトル!それくらい覚えなさいよ」
万丈「横文字ばっかで覚えらんねえんだよ」
ブラド「ハイハイ。雑談はそこまでにしてくれ。授業が進まん。」
自由奔放なみんなを一喝し、なんとか雑談を止ませる。
相澤「今日は
「「「心操ー!!!」」」
やってきたのは心操人使。長袖の体操服を着用し、首元には相澤先生の捕縛布とマスクを着けている。
万丈「C組ってことは美空と同じクラスのやつか!」
心操「ああ。石動とは仲良くやってるよ。ここ最近はグリスが定期的に教室に来てウザいと愚痴ばっかり吐くけどな」
戦兎「まだそんなことやってんのかアイツは…」
万丈「てかまたグリス呼びなんだな」
心操「本名で呼ぶと仲良くなった気がして嫌だからヒーローネームで呼んでるって言ってたな」
戦兎「実際キモいからな仕方ない。」
相澤「お前ら気を抜くとすぐに雑談しやがって…」
戦兎「す、すみません…」
n回目の注意。しかし相澤に睨まれた時の背中のゾワゾワは未だに慣れない。
相澤「それじゃ、一言挨拶を。時間ないから短めで」
心操「…俺は立派なヒーローになって"個性"を人のために使いたい。何十歩も出遅れてる俺にとって、みんなが越えるべき壁です。馴れ合うつもりはありませんが、よろしくお願いします。」
心操の言葉に皆がパチパチと拍手をする。ここにいる仲間は同士であり、同時に壁であると言うことを再認識させられる言葉だった。
ブラド「それじゃあ戦闘訓練の概要を説明する!今回はA組B組の対抗戦!双方4人組をつくり一チームずつ戦ってもらう!チーム分けはクジ引きな」
宍田「心操を加えると43名…。3名余りますな」
ブラド「そこらへんは後で説明する。まずは状況設定の説明だ!今回は『ヴィラングループを包囲し確保に動くヒーロー』!互いが互いをヴィランであると考えろ。勝利条件は相手を3人捕まえること。試合時間は20分だ。」
相澤「確保の定義は双方陣営に『激カワ据置プリズン』を設置。これに統合した時点で確保となる。」
万丈「つまりいっぱい捕まえた方の勝ちってことか!」
ブラド「そういうこと。で、チーム分けだが…まず桐生戦兎!万丈龍我!心操人使!お前らはそこで1チームだ!」
戦兎「…は???」
聞き間違えではなければチーム決めはクジだったはず。しかも強制的に3人組となってしまっている。
相澤「じゃ、残りの40人は各組内でクジを引いてもらって…」
戦兎「いや待て待て待て待て!おかしいでしょうが!なんで俺たちだけ固定なんですか!」
相澤「A組もB組も21人だからな。どうしてもA組B組混合グループを作らざるを得ない。そこで実力などを加味して、お前ら3人はセットで扱うことになった。」
ブラド「つまりグループは11組できるわけだが、これだと対戦がうまくいかないため、そこの3人はA組、B組チームと各1回ずつ戦ってもらうことにする。まあ試合表を見た方が早いだろ。」
そう言われると若干納得はできるし仕方ない組み合わせだ。受け入れざるを得ない。
ブラド「決まったな!それじゃあ組み合わせはこうだ!」
第一試合
A組:桐生、万丈、心操
vs
B組:物間、宍田、鎌切、骨抜
第ニ試合
A組:蛙吹、切島、障子、青山
vs
B組:鱗、角取、回原、凡戸
第三試合
A組:口田、芦戸、上鳴、飯田
vs
B組:小大、拳藤、塩崎、黒色
第四試合
A組:尾白、八百万、砂藤、瀬呂
vs
B組:鉄哲、取蔭、柳、小森
第五試合
A組:耳朗、常闇、葉隠、峰田
vs
B組:泡瀬、円場、吹出、庄田
第六試合
A組:緑谷、爆豪、轟、麗日
vs
B組: 桐生、万丈、心操
上鳴「…マジか…!緑谷と爆豪と轟が同じチームで戦兎たちと戦うって…!」
戦兎を除けばA組の中でもトップ3と名高い3人がNo.1の戦兎と戦うことになってしまった。そしてそれはB組も同じで、万丈を除けばトップの骨抜、物間が万丈と戦うことになっている。他の面々も衝撃はあるが、やはり一番注目すべきは第六試合だろう。
轟「戦兎と万丈…2人とも俺の天敵だな」
緑谷「それに戦兎くんはまた新しい力を手に入れたみたいだし…」
爆豪「関係ねェ。俺が狙うのは4-0の完封勝ち。それだけだ」
緑谷「ちょっ、かっちゃん!」
爆豪はそう言うとズカズカと歩いて戦兎の目の前に立った。
爆豪「おい戦兎。体育祭んときは本気出さなかっただろ。次こそはハザードでもなんでも使ってこい!!その上で俺が完膚なきまでに叩きのめす!!!分かったな!!」
戦兎「…あぁ、もちろん。俺も手を抜かない。それが礼儀だからな。」
轟「次こそは俺も負けねえ。戦兎にも…万丈にもな」
万丈「俺もパワーアップしてっからな!誰にも負ける気がしねえ!」
それぞれ体育祭での因縁がある2人。今回がリベンジマッチとなるが、果たして勝てるのか…。
芦戸「あっ!ミッドナイト先生とローグ先生!あとオールマイトも来た!」
ここで遅れてミッドナイト、オールマイト、幻徳が登場。幻徳はようやく午前の取材を終えて帰ってきたようだ。
ミッドナイト「これ、どっちが勝つと思う?幻徳くん?」
幻徳「A組の方が困難を幾度と乗り越えた分A組の方が強いでしょうね」
オールマイト「でもB組はその分カリキュラムをきちんとこなしている分、データ上の飛躍率はB組の方が高い…。」
幻徳「そうですね。ピンチを力に変えるA組か、地道に力を蓄えるB組か…。単純には考えられないということで…香山先輩、ここは一つ、ホテルで一晩語り明かしませんか?」
ミッドナイト「そういうところ、学生時代から変わってないわね。遠慮しとくわ」
相澤「というか生徒の前でそんなやりとりするんじゃない」
『少しは生徒の手本になれ』と言わんばかりに相澤は叱る。相澤はほんの少し懐かしさを感じたが今はそんなことはどうでも良い。教員としてきちんと指導しなければ。
そうこうしている間に双方作戦会議が終わり、準備ができたようだ。
ブラド「よし、それじゃあ…第一試合…START!!!」
試合の幕開けを告げるゴングが今、マイクに乗って運動場全体に響き渡った。