物間「僕たちは鎌切と宍田を囮に僕と骨抜が万丈を捕まえる作戦だったけど…やっぱり万丈の馬鹿さ加減には呆れるね。バレないよう透明になってたのにずっと喋ってるとは」
戦兎「呆れたな。そんな事で捕まるとは…流石筋肉バカ」
万丈「今回ばっかりは俺が悪すぎて何も言えねえ…」
戦兎「一方で俺と心操はB組の宍田と鎌切と交戦中。バカの万丈が捕まったせいで人数差は2倍になったが…俺たちはこれから逆転できるのか!?どうなる第九十一話!」
万丈が骨抜、物間と対峙し地面に沈められた頃。戦兎と心操は宍田、鎌切と戦闘していたのだが…
戦兎「宍田…厄介だな…!」
宍田「いくら桐生氏でもこの体格差には勝てない!」
宍田の"個性"、"ビースト"は体格や筋力が2倍に大きくなる。そのため彼の現在の身長は348センチ。そんな彼の両手でガッチリと戦兎をホールドしていた。
対する戦兎はなれないトランスチームシステムで上手く戦えない模様。完全にミスだ。とはいえ宍田の相手を心操にさせるわけにもいかない。
宍田「抵抗しても無駄ですぞ!」
戦兎「こうなったらヒーローらしくはないが…!」
戦兎は手の甲にある
宍田「ぐっ…!一体何を…!」
戦兎「麻痺毒だ。ヒーローっぽくないから使いたくなかったけどこうするしかなかったからな。」
宍田は手の力が抜け、戦兎を解放してしまう。その隙に戦兎はビルドドライバーを腰にあてがい、ボトルを振った。
戦兎「獣には獣だ!」
【Kuma!Terevi!Best Match!!!Are you ready!?】
戦兎「変身!」
【ハチミツハイビジョン!!!クマテレビ!!!イェーイ!!!】
中身が桐生戦兎であるとバレたからにはもうブラッドスタークの変装も意味もなさない。そう判断し、戦兎は仮面ライダービルド、クマテレビフォームへと変身した。
宍田「毒なんて何のこれしき…!」
しかし宍田も立ち上がる。大きくなった体格の前には簡易的な麻痺毒など気合いで乗り越えられるほどのものに過ぎなかった。
戦兎「じゃあさっさと終わらせないとな!」
【Ready Go!!!Vortex Finish!!!イェーイ!!!】
戦兎は必殺技を発動。警戒標識型のゲートが出現し戦兎がそれを通り抜けると、一気に宍田と同じくらいの体格まで巨大化。その後
緑谷「クマテレビ…!以前も見たことあったけど必殺技は初めてだ…!まさか巨大化もできるなんて…!」
麗日「いつものや…またやっとる…」
その様子を見ていた緑谷は早速ノートにガリガリとビルドの情報を書き込む。もはやいつもの光景すぎてA組は見慣れていた…。
一方で鎌切と心操の戦いは…
鎌切「この俺に勝とうなんざ百年早い!」
鎌切がリードしていた。両前腕から生えている刃。それは以前戦兎が林間合宿で戦った時にはドリルクラッシャーで刃こぼれしてしまう程度の硬さだった。だからこそ戦兎は心操でもナイトローグの力とスチームブレードならば何とか戦えると信じたのだ。しかし彼の"個性"伸ばし訓練の結果は戦兎の想像を超えていた。刃は硬くしなやかに、そしてなお切れ味が鋭くなっている。その結果、ナイトローグであればダメージが通るようになり、刃こぼれもしなくなった。
鎌切「これで終わりだッ!」
右から切り裂く斬撃を心操は必死になってスチームブレードで受け止めるもあまりの強さに押し切られた結果、バランスを崩し転倒してしまう。
心操「クソッ…!」
心操は地に伏せられ、心操の上に鎌切がまたがり、首元に鎌切の刃を当てられている。トランスチームガンも転けた際に地面に落としてしまい、変身も解かれていた。力では勝てない。
いくらトランスチームシステムがあるからとはいえ、戦闘経験も乏しかった心操が負けるというのは妥当な結果ではある。
鎌切「このままお前を牢獄にぶちこむ!」
心操「そんなことをしてもいいのか!俺の"個性"を物間に"コピー"させるんじゃないのか!」
心操は必死に言葉を紡ぐも全てガン無視。完全に心操を抑え切っており、あとは心操を収監すれさえすればコミュニケーションも円滑に進む。次第に油断が生じてくる。
戦兎「心操!」
戦兎は咄嗟にトランスチームガンで鎌切を撃つ。しかし鎌切に当たらず、鎌切は戦兎の方に目線をやった。そこには倒れている宍田。宍田は負けたのだと理解した。
鎌切「テメェ…!!!」
鎌切は目を見開いて戦兎の方を見た。その瞬間、小さなか細い声で宍田の声が聞こえてくる。
「私のことは気にせず心操氏を牢屋に…!」
鎌切「んなことできるわけが…ッ!?」
人は慢心に弱い。勝った気になった瞬間、心操への警戒が薄れて声を漏らしてしまった。
心操「"個性"を解除しそのまま俺を解放しろ」
そして鎌切は心操の上からどいて心操が無事に解放された。
戦兎「よくやったな心操。」
心操「そんなことは…。それより万丈は?」
戦兎「ああ。ちょっと待ってろ。」
戦兎は左肩の
戦兎「あのバカ…」
そこには物間によってちょうど投獄された万丈が映り出されていた。
万丈『悪い戦兎…捕まっちまった…』
戦兎「ったく、何やってんだよ…」
心操「これで2対2…。一人でも捕まれば決着がつくな。」
A組は一人でも捕まれば3人捕獲で勝利。B組は一人捕まえればあとは逃げ続けることで人数差で勝利となる。
このルールは捕まえる人数を少なくする代わりに最初から人数差で不利が生じるのだ。
戦兎「ああ。現に骨抜と遅れて物間がこちらに向かってる。心操を捕まえようとしてるんだろうな。」
戦兎はテレビのチャンネルを変えて骨抜と物間の方を映し出した。物間も骨抜も地面をバタフライで泳ぎながらこちらにきているようだ。
戦兎「2人の相手は俺がやる。心操は2人を牢獄に入れてくれ。」
心操「分かった。」
心操は捕縛布で鎌切の体をぐるぐる巻きにして洗脳を解除。そして改めて宍田に洗脳をかける。
鎌切「うわっ!おい!なんだこれ!放せ!」
洗脳が解かれて気がついた鎌切だったが、特殊金属を編み込んだ捕縛布が巻き付いた鎌切は身動きが取れない。これでは自慢の刃も生やせない。
心操「宍田、"個性"を使って鎌切を両手で捕縛しながら俺についてこい」
宍田はそういうと言われた通りに手でガッチリと鎌切を握る。モゴモゴと対抗しようとしているが捕縛布の上で宍田が抑えているためもう何もできなかった。
戦兎「さてと…。それじゃあこっちも返り討ちにする準備をしなきゃな…」
あと少しでこちらに到着するであろう骨抜。その撃墜のためにシャカシャカと2本のフルボトルを振る。
【Kujira!Jet!Best Match!!!Are you ready!?】
戦兎「ビルドアップ!」
【天翔けるビッグウェーブ!!!クジラジェット!!!イェーイ!!!】
事前に考えておいた対骨抜用のベストマッチ。それが戦兎の変身した空と海を制する仮面ライダービルド、クジラジェットフォームであった。右肩のBLDホエールショルダーによって超音波を発生させる。骨抜は地面を柔化させて地中に隠れながら泳いでくる。しかしこの超音波によって敵の位置は丸見えだ。
戦兎「ここか!」
戦兎はエイセスウィングでホバリングしながら左腕のウェイポンベイアームからミサイルを発射。骨抜の潜む地面をピンポイントで爆発させる。
骨抜「バレたか…!」
戦兎「ビルドを舐めるんじゃないよ!」
骨抜とのタイマン勝負。骨抜にとっては最悪のシチュエーションだった。位置がバレてしまった今、彼と戦闘すれば100%負ける。肉弾戦では歯が立たないことくらい最初からわかっていたはず。だったら…
骨抜「時間を稼いで全てを物間に賭ける…!」
戦兎はホバリングしていて触れられない。当初の作戦も頓挫。だったらこちらが戦兎の囮になれば良い。骨抜はもう一度地面に潜り、物間とは逆の方向へと逃げ続ける。
戦兎「んなことしても無駄だって。勝利の法則は決まってんだよ」
ガンモードのドリルクラッシャーとトランスチームガンの二丁持ちで空中から狙撃し続ける戦兎。的確に狙い続けるも当たる直前で一部を元の地面に戻すことでダメージを中和させる。
戦兎「威力が足りないか…!だったら…!」
【Kaizoku!Are you ready!?】
戦兎「ビルドアップ!」
トライアルフォームの音声が流れ、戦兎は仮面ライダービルド、海賊ジェットフォームへと変身。
骨抜「ガハッ!いってぇ!」
背中側の地面を元に戻していたものの、アンカーがそれをグリグリと貫通。そのルートに沿って鉄球が撃ち込まれたため、骨抜は背中にモロに攻撃を食らった。
戦兎「見えた!」
骨抜が攻撃に当たったその隙を戦兎は見逃さなかった。すぐさま戦兎はカイゾクハッシャーを召喚。弓矢を引くように黄緑色のビルドアロー号を引っ張る。
【各駅電車〜!急行電車〜!快速電車〜!カイゾク電車!!!発射!!!】
エネルギー体となった黄緑色のビルドアロー号が地面を抉りながら骨抜に直撃。触れないため柔化もできない。
骨抜「"詰み"か…」
全てを悟り、骨抜はそのまま地面の中で気絶した。
戦兎「さて、それじゃあ投獄…なんて上手くはいかないか。」
その時、ちょうど万丈を投獄し、こちらへ戻ってきた物間が骨抜の前に出現。骨抜を庇う事で連れていかれないようにしているのかもしれない。
物間「骨抜もやられたのかやっぱりビルドは強いよ。君に隠されている力はどれくらいあるんだろうね?」
試合開始から17分。あと残り3分だ。ならば骨抜を牢獄に捉えさせられなければせめて引き分けに持ち込める。"洗脳"を持っているというブラフでいい。今は一分一秒が欲しい。
しかし戦兎もそんなことはわかっている。"洗脳"を"コピー"されている可能性を疑いそのまま無視しながらボトルを振る。
【Rose!Helicopter! Best Match!!!Are you ready!?】
戦兎「ビルドアップ!」
【情熱の扇風機!!!ローズコプター!!!イェーイ!!!】
そして戦兎は仮面ライダービルド、ローズコプターフォームへと変身。背中のバトローターブレードを高速回転させながら空中浮遊を保つ。
物間「また新しいフォームかい?嫌だなぁ!」
現在物間が使用可能な"個性"は常に一緒にいた骨抜の"柔化"のみ。他の"個性"は最後に触れた時から5分経過して使えなくなっている。そしてそのことも戦兎は計算済み。"ビースト"も"刃鋭"も持たない物間はほぼ確実にナイトローグになった心操に勝てない。ならば…
戦兎「じゃあな!」
戦兎が取ったのは逃げの一手。右腕のイバラッシュアームから伸びる黒い鞭で骨抜だけを絡め取り、そのまま飛行して牢獄の方に逃げてしまった。
物間「あっ!おい!待てよ!!!卑怯者!この僕と戦わないのか!!!」
一か八かにかけた時間浪費作戦も失敗に終わり、息を切らしながら戦兎のことを追いかける。しかし当然間に合うはずもなく、戦兎が骨抜を投獄し試合は終了した。
ブラド『そこまで!第一セット、2-1でA組の勝利!』
ブラドのアナウンスで檻組も勝敗がついたことを察し、観戦組のところに戻ってくる。それぞれの組で担任たちと反省会の時間だ。
幻徳「お前ら、反省点はあるか?」
戦兎「万丈の馬鹿さを軽く見過ぎてた。まさかあそこまでバカだったとは…」
万丈「バカバカいうなよ!…まぁ今回は何も言えねえけどよ…」
相澤「その通り、油断と気の緩みがなければ完封できた試合だったぞ。」
万丈「すみません…」
万丈は普段叱られない相澤に叱られてしょんぼりした。
相澤「桐生も、変に搦手を使わず万丈の安直さを信じて使った方が万丈を活かせたかもしれない。3人で行動すべきだったな。」
万丈が洗脳されることを恐れて万丈を隠すという方向に持っていったのだが、その方が制御できてまだ良かったのかもしれないと少し後悔した。
相澤「心操はどうだ。」
心操「…正直教わったことの1割もできてなくて…すごく悔しいです。このトランスチームガンを貸してもらってもヒーロー科の人たちには敵わない現状。捕縛布だってまともに戦闘に活かせなかった。」
相澤「初めての実践で上手くいけば苦労はない。今回の反省を次の試合で活かせ。」
心操「はい…!」
という感じでこちらの反省は終了。それぞれみんなのところに戻る。
緑谷「心操くんも戦兎くんもナイスファイト!お疲れ!にしても凄かったなぁ!ここぞというところでのボイチェンで鎌切くんに"洗脳"してたのもかっこよかったし、何よりビルドのフォームもたくさん見れたのも良かった!クジラジェットもクマテレビもあんな使い方があったなんて…!必殺技の時の巨大化もすごいけど位置情報をビデオ中継できるのもすごいしカイゾクジェットもトライアルフォームだけど両方の良さがいい塩梅で引き出されてて…確かにあのアンカーはローズじゃ攻撃力が低いから他とは代用も聞かないし…」
心操「…いつもこんななのか」
戦兎「まぁ…気にすんな」
持ってきていた仮面ライダービルド専用ノートに追加情報をぎっしりと書き込む緑谷。A組のみんなは見慣れていたが、心操はそれを見てギョッとしていた。
ブラド『それじゃあ第二セット!出場者は位置につけ!』
第二セットはA組から蛙吹、切島、障子、青山。B組から鱗、角取、回原、凡戸が出場する。さて、彼らはどのように闘うのだろうか…。