万丈「なぁ、緑谷の"個性"って確か"超パワー"じゃなかったか?アレはどう見ても"超パワー"じゃねえっつーか…」
緑谷「あっ、アレはその…今までの僕の"個性"の解釈が違ってたっていうか…」
戦兎「プライベートなことずかずかと踏み込むんじゃないよ!…ま、暴走はなんとかところで試合は続行。俺は爆豪と戦うことになったがそんな彼を抑えて圧勝したのだった。…ところで万丈、お前緑谷が暴走してた時に何してたんだ?」
万丈「何って…そりゃ活躍してたに決まってんだろ!俺の活躍は…どうなる第89話!!」
戦兎「どさくさに紛れて俺のセリフ取るんじゃないよ!」
万丈「うおっ、なんだあの黒いの!?」
轟「なんだ…あれ…緑谷か…?」
時は遡り、緑谷の暴走直後。対戦していた轟と万丈も戦闘の手を止め、黒鞭を暴走させて制御不能になっていた緑谷を見つけた。
万丈「アレもしかして…緑谷の"超パワー"か…?」
轟「流石に違うだろ。…俺みたいに"個性"二つ持ちだったってことじゃないのか」
万丈「ッて呑気に話してる場合じゃねえ!なんか飛んでくるぞ!イダッ!!!」
話していると緑谷の黒鞭が万丈を思いっきり殴打する。そのパワーはクローズチャージである万丈を吹き飛ばすほど威力だ。
万丈「いってぇ!これ"超パワー"だろ!イテェんだけど!!!」
轟「流石緑谷だな。片手間でサポートに回れるとは…」
万丈「アイツあんなこともできるようになったのかよ…!」
緑谷の暴走を見てもまだバカの万丈と天然の轟コンビはそれが暴走であることに気がついていなかった。彼らが緑谷達の元に駆け付けなかったのはそれが原因である。
万丈「こうなりゃ一番厄介なのは緑谷だな。捕まえに行くしかねえ…!」
轟「それで大人しく捕まえに行かせると思うか?」
万丈が緑谷に向かって走り出そうとした瞬間、氷で万丈を凍らせる。しかし万丈はクローズドラゴンに蒼炎を吐かせて氷を瞬時に溶かした。
万丈「だな。まずは決着つけてからだ!」
【Attack Mode!】
そう言うと万丈はツインブレイカーをビームモードからアタックモードに変形。轟の出す迫り来る氷を砕きながら轟に近づいていく。
轟「氷じゃダメなら炎だ」
轟は万丈のツインブレイカーによる一付きをサポートアイテムのSYTフリッジナックルRで受け止め、至近距離の炎をくらわせた。
万丈「これっぽっちじゃ効かねえなぁ!」
しかし万丈は轟の炎をものともせずに腹パン。轟はえずきながらも受け身をとって後ろに下がる。
万丈「ってアッチ!顔アッチ!」
轟「痩せ我慢してるだけか…効きは悪いが効果はあるみてえだな!」
万丈「うるせぇ!」
そう言うと万丈は轟の胸ぐらを掴んで手繰り寄せる。そして思いっきり頭突きをした。
頭に強い衝撃が走る。視界がぐわんと捩れる。そんな中で幼き日に
万丈「あちっ!ちょっ、熱いんですけど!!!」
轟「退け。溶けちまうぞ」
炎の操作はまだ氷ほど緻密にはできない。だが万丈相手ならどれだけ高温でもきっと耐えるだろう。というかそうしなければ勝てない。
轟「赫灼熱拳…!!!」
万丈「なんつう火力だ…!だったらこっちも…!」
【Scrap Break!!!】
対抗して万丈もスクラッシュドライバーのレバーを倒す。すると右拳に蒼炎とヴァリアブルゼリーのエネルギーが一気に凝縮される。
万丈「オラァァァァァ!!!」
轟「ハァァァァァ!!!」
2人の拳がほぼ同時に衝突。その衝撃と熱波は周囲を震撼させ、監視カメラはその熱に当てられて故障。爆風で一帯が吹き飛んだ。
2人の力はほぼ互角。互いに衝突した力で2人とも一気に吹き飛んでしまった。
万丈「はぁ…はぁ…中々やるじゃねえか…!」
なんとか変身解除ギリギリのところで耐え凌いだ万丈。しかし万丈以上に防御が薄い轟はおそらく衝撃に耐えきれずに気絶でもしたのだろう。万丈はゆっくりと轟の方に歩いていく。しかし…
万丈「…マジか…!」
そこにいたのは全身ボロボロになりながらゆっくりとこちらに向かってくる轟だった。氷で衝撃を緩和しつつ、勢いを相殺することでなんとか耐え切っていた。
万丈「でももう戦えねえだろ。大人しく降参した方が身のためだぜ」
轟「かもしれねえな。動くのも精一杯だ。でも…戦わなきゃ勝てねぇ!」
そう言うと轟は己の氷結と灼熱、両方を同時に発現させる。
轟「今はまだ両方の力を同時に操ることなんてできねえ。せいぜい同時に発現させるぐらいだ。でもこのサポートアイテムがあれば…俺は同時に二つを操れるようになる…!」
そう言うと轟のサポートアイテムが白く紅く光り輝く。
轟「能力解放…!」
轟の左手のサポートアイテム、SYTフリッジナックルLには、左半身で使われた炎による熱などを蓄積。能力を解放することで、その拳は流動する紅のマグマ層を持つ。
轟の右手ののサポートアイテム、SYTフリッジナックルRには、右半身で使われた氷による霜などを蓄積。能力を解放することで、その拳は凍てつく白銀の剛氷層を持つ。
そして何より、先ほどまでの全エネルギーを蓄積、解放することができるため、ノーリスクで一度だけ先ほどの技に匹敵する威力を放つことができる。
万丈「マジかよ…まだそんな力が残ってんのか…!いいぜ!なら本気でぶつかってやる!どうなっても知らねえからな!!!」
【Bottle Burn!!!】
万丈はそう言うとドラゴンフルボトルをシャカシャカと振り、クローズマグマナックルにセット。右拳を引くように構えて轟に狙いを定める。
【Volcanic Knuckle!!!ACha!!!】
その音声と共に轟の両方のナックルと万丈のクローズマグマナックルが激しくぶつかり合い、先の熱量とは比べ物にならない熱波が会場を包み込んだ。その熱は会場外で見ていた生徒達にも伝わるほど熱く、万丈たちのいる中心部の温度は数百℃に及んだ。
急激に熱せられた空気中の水はその体積を急激に膨張させて水蒸気爆発を起こす。その湯気の中に立っていたのは…
万丈「シャオラァァァ!!!俺の勝ちだ!!!」
万丈だった。全てを飲み込み、溶かし尽くしたその力はまだ発揮し切れたものではないと言うのだから末恐ろしい。
万丈「つっても…もう動けねぇ…。ってかアチッ!地面クソアツいんだけど!!!」
万丈は変身解除にまで追い込まれ、ゆっくりとしか歩けない。しかし歩かねばこの灼熱地獄からは抜け出せない。ひとまず気絶しボロボロの轟の腕を掴んで引きずりながら運ぶ。
戦兎「おーい!万丈!すげえ爆発だったけど大丈夫か!」
万丈「これが大丈夫に見えるかよ!」
そんな時に気絶した爆豪を背負った戦兎がやってきた。どうやら戦兎も戦いを制したらしい。
万丈「ところで心操はどうしたんだよ。」
戦兎「緑谷と戦ってる」
万丈「緑谷と!?なんで加勢しなかったんだよ!」
戦兎「俺も加わろうと思ったんだけどな…もう時間がギリギリだからできなかった。もし俺が加わって爆豪を収監し損ねたら負けるかもしれないと思ってな。」
戦って収監し切れずに引き分けよりも、心操が勝つことを信じてワンチャンの勝利に賭けた。もし心操が負けても1-1に持っていけるからである。
戦兎「そう言うわけでさっさと行くぞ!」
戦兎はそう言うと轟も担いでぴょんぴょんと跳ねながらプリズンまで向かっていった。そして…
ブラド『そこまで!タイムリミットだ!!!』
試合開始から20分が経過し、最後の試合が終わった。
ブラド『第六セット!2-1でB組の勝利だ!!!』
あの後、心操と緑谷は再び戦うことになった。とはいえ心操はトランスチームガンを使わず、己の力だけで勝負したいと、洗脳と捕縛布のみで戦闘を挑んだ。しかし再びOFAの制御を取り戻した緑谷により敗北。麗日が投獄し、緑谷は戦兎の後を追うも時間切れとなった。
ミッドナイト「これにて6セット全て終了!第一セットA、第二セットB、第三セットA、第四セットA、第五セットA、第六セットB!よって今回の対抗戦はA組の勝利!!!」
「「「よっしゃああああ!!!」」」
皆が治療を終えある程度動けるようになった後、試合の結果発表が行われた。
物間「ズルだ!戦兎くんのサポートアイテムとか言うの使って…」
拳藤「見苦しいからやめなさいっ!」
そう言うと物間は拳藤に大拳でチョップされ、いつものように咎められた。
相澤「えーとりあえず緑谷。なんなんだお前」
そして始まる第六試合の講評。触れられたのはあの黒鞭のことだった。
緑谷「僕にも…まだハッキリわからないです。今まで信じていたものが突然牙を剥いたみたいで僕自身すごく怖かった。でも麗日さんと戦兎くん、それに心操くんが止めてくれたおかげでそうじゃないってすぐに気づくことができました。」
緑谷はそう言って3人に深々と頭を下げた。
万丈「えっアレ暴走だったのかよ」
戦兎「気づいてなかったのか。ホントにバカだな」
万丈「バカっていうなよバカって!」
相澤「少し黙れ馬鹿ども。それで講評に戻るが…正直両者共に及第点以上だったと思う。特に心操は初陣にしてはよくやった」
心操「でも俺は…指示されて動いただけで…たまたまそうなったって言うか…自分の気持ちを優先して自分の力で緑谷と戦って勝ちたかった。でも最終的には緑谷に負けたし、戦兎の言う通り大人しくトランスチームガンを使っていれば…」
そう言い始めた心操の捕縛布を相澤はギュッと締めた。謎行動に一同が混乱していたが…すぐさま相澤は手を離して話を続けた。
相澤「誰もお前にそこまで求めていない。1人でなんとかできるならそれこそオールマイト級だ。想いばかり先行しても救えない。力がなければな。その点で言えば心操、お前は充分及第点と言えるだろう」
戦兎「第一試合じゃ心操の"洗脳"に助けられたしな」
ブラド「これから改めて審査に入るが…おそらく、いや十中八九!心操は2年からヒーロー科に入ってくる!お前ら中途に張り合われてんじゃないぞ!」
ブラドがそう宣言した瞬間、一斉にみんなが声を上げて興奮した。新たな仲間が増えた喜びを皆で分かち合いながら、A組B組対抗訓練は幕を閉じた…。
「やぁ、ブラッドスタークくん。久しいね。元気にしてたかい?」
スターク「デストロ…そういうのは良いから本題に入ってくれ。」
デトラネット社に招かれたブラッドスタークは、辟易しながらソファに座り、リ・デストロにそう言った。
デストロ「いやぁすまない。君とは長い付き合いになりそうだから世間話でもと思ったんだが…いらなかったね。早速本題に入ろう。…難波重工と共同研究している例のブツ、あれが遂に完成間近だ」
スターク「…!最高だな。それで…完成するのはいつなんだ?」
デストロ「最終調整が必要だが…三日もあれば十分と言ったところだろう。それでだ。君にお願いがある。」
スターク「良いだろう。どうせ異能解放軍絡みなんだろう?」
以前、スタークは『異能解放軍の本を売り流行らせろ』という命令を受けていた。こちらも頼み事をしている以上は引き受けるしかなかったが、度々命令をされており、辟易していたのはそのせいである。
デストロ「三日後、ヴィラン連合に戦いを仕掛ける。君にヴィラン連合の内部情報をスパイさせていたのもそのためだ。そこで我々に協力してもらいたい。」
スターク「なんだそのことか。そもそも俺はヴィラン連合に嫌気がさして裏切ったんだ。もし争いが起こればヴィラン連合を切るのは当たり前だよなぁ。それに、三日後なら例のブツも届くだろう。俺が試すのにちょうど良い。」
デストロ「ふむ、ならば交渉成立だ。例のブツは難波重工の者に届けさせるとしようか」
スターク「ああ。よろしく頼む。それじゃ、Ciao〜♪」
そう言うとスタークは扉を開けて社長室を出た。
スターク「ついに…手に入るぞ…!フーッハッハッハッハッハ!!!!」
興奮を抑え切れず、声高々に笑うスターク。その不吉な笑いがこの泥花市を地獄に叩き落とすことになることを、まだデストロは知らなかった。