天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア   作:いぷしろん

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敵連合vs異能解放軍編
The number of regions formed by connecting each of 8 distinct points on a circle=99話


泥花市事件。12月初旬に起こった最悪の事件。表向きには20名ものヴィラングループによる計画的犯行で街を襲撃。市民がヒーローの判断のもと"個性"を使用した結果、神野事件を超える被害を出したとされる。

しかしその事件の始まりは、事件よりおよそ約一ヶ月半前、ヒーロービルボードチャートが発表される以前に芽吹いていた。

 

スターク「よっ、死柄木♪会うのは八斎會以来だな」

 

死柄木「シンイリか…俺は会いたくなかったけどな」

 

死柄木は悪態を吐いた。やはりいつものように突如としてあの赤い姿で現れたからだろう。

シンイリ、もといブラッドスタークはヴィラン連合初期メンバーの1人だが、最近は死柄木の元にいないことも少なくない。とは言え何故かそれについては黙認されている。と言うか縛ろうと思っても"崩壊"が効かないのでどうしようもないのである。

 

死柄木「まあいい。今から異形排斥主義集団(CRC)を襲いに行く。戦力になってくれ。」

 

スターク「あいよ。仰せのままに」

 

そうして出向いたのはとある森の洋館。ここはドクロの仮面を被った異形差別主義者の集団が根城にしている場所だった。

 

死柄木「それじゃあ早速…」

 

スターク「いや待て。ここは俺一人にやらせてくれ。最近どうも身体が鈍って仕方なくてな。それに乱闘すれば金品に価値がなくなる。」

 

コンプレス「確かに…一理あるけど、そこそこの人数いるんじゃない?」

 

スターク「ヤバそうなら合図を送る。とにかくここは一人で行かせてくれ」

 

そう言うとスタークは手を振りながら正面の扉を蹴飛ばした。

 

「貴様…何者だ…!」

 

スターク「やぁやぁ初めまして。俺はヴィラン連合の…ブラッドスタークだ。」

 

「ヴィラン連合…!!!」

 

スターク「そして…今日がお前たちの命日だ」

 

そう言うと彼は両腕からスティングヴァイパーを伸ばして最前にいた2名に刺して崩壊毒を注入した。みるみるうちに顔色が悪くなり、すぐに意識を失い死亡した。

 

「かっ、かかれぇぇぇ!!!」

 

それを見た団員たちは恐怖に怯えながらもスタークに襲いかかる。しかし向かってくる者たちをトランスチームガンで容易に射殺。近づけたものはスチームブレードで斬殺したり殴殺したりする。敢えて蹴りを使ってみたり、毒を撒き散らして麻痺させてからじっくり毒殺するなど、彼らの殺害方法は多岐に渡った。

 

スターク「ふぅ〜スッキリしたァ。おーい、終わったぞ!」

 

スタークが屋敷に入って5分後、彼は再び外に出てきてそう叫んだ。彼らは驚いていたが、中を見ると血塗れの凄惨な現場がスタークの仕事を物語っていた。

 

コンプレス「んー思ったより金目のものがないなぁ。」

 

トガ「あっ、これカァイイ!」

 

そして雑貨を漁り、小さなプレハブ小屋のような拠点へと持ち帰る。

それが世間を騒がせたヴィラン連合の日常だった。黒霧が捕まり、ドクターとの連絡が取れない今、脳無を使うことすらままならない。資金もなく、大した行動もできない。そんな中、不満を持つ者が生まれるのは必然だった。

 

スピナー「なぁ…俺たちは一体どこに向かってるんだ…?俺はステインの最後を見て初めて俺は…世の中が窮屈だと知ったんだ!いてもたってもられなかった!その結果俺はここにいる!世界を変えるほどのどでけぇ風穴ぶち開けられると思ってた!答えろ死柄木!俺たちは一体どこに向かっているんだ!?」

 

スピナーは死柄木の胸ぐらを掴んで激昂した。目的の不在。皆の不安を煽るには十分だった。

 

死柄木「だからじ…」

 

答えを言う前に突然地響きが鳴った。皆は慌てて外に出ると、そこには…

 

「やっと見つけた…お前がオール・フォー・ワンを継ぐ者か…!」

 

スターク「うおぉ…こりゃデカいなァ…」

 

ギガントマキア。ドクターとAFOが遺した最高戦力。圧倒的なパワーを誇る巨人だ。

 

マキア「さァ後継…その価値がお前に在るのか示してくれ…」

 

死柄木「…は?」

 

その言葉と共に突然マキアはヴィラン連合に襲い掛かり始めた。

腕を強く地面に叩きつけるだけで地は裂け、全てが崩壊する。尋常ならざる耐久性故に"個性"複数所持が可能となった怪人はヴィラン連合に対して圧倒的な力を見せつける。

 

死柄木「おいシンイリ!お前もさっさと戦え!ぼーっとすんな!」

 

スターク「嫌だね。俺なら勝てるがそれじゃあ意味がない。」

 

死柄木「あぁ?そりゃどう言う…」

 

『シンイリくんの言う通りじゃよ』

 

死柄木「ドクター…!?」

 

死柄木が反応した瞬間、マキアの持つラジオからドクターの声が響いた。中に通信機でも入っているのだろう。

 

ドクター『ギガントマキアに認められるためには死柄木自身が勝たねばならん。もっとも、手助け程度なら良いがな。』

 

死柄木「勘違いするな。要らんぞこんなもん」

 

ドクター『要らん!?この期に及んでまだ望めば手に入ると!?少しは目を覚ませ』

 

死柄木「ごふっ…!?」

 

そう言い渡された直後、口からヘドロが溢れ出してきた。メンバー全員がヘドロに巻き込まれる。神野でAFOが使った"転送"が発動し、気がつけばドクターの研究室へと送られていた。

 

荼毘「これは…脳無…?これまでのとは少し違う…」

 

ドクター「ほほう分かるか!最上位(ハイエンド)じゃよ!凄いじゃろう!?」

 

死柄木たちより奥の暗がりにいるドクターが興奮気味に話しかける。しかしコンプレスが顔を見ようと一歩前に出ると『来るな!』と声を荒げてはさらに奥に隠れた。どうやら正体も何も知られたくないらしい。

 

ドクター「初めまして、AFOの側近、氏子達磨じゃ。わしの命や技術、ここにある脳無たちは全て偉大なるAFOに捧げた物。それを死柄木という何も成していない若者にどうして譲れると言うんじゃ…?」

 

死柄木「…俺にはドクターに拾われる以前の記憶がない。断片的な記憶しかないのに…俺の心に鉛の塊が沈んでて…無尽蔵の怒りがそっから湧いてくる。何をしたってこれは消えない。きっと全部嫌いなんだ。ならいっそのこと壊して仕舞えばいい。全部だ…。だから手を貸せドクター。地獄から天国まで全て見せてやるよ」

 

スターク「…いいねぇ…」

 

純粋な破壊主義者。その破滅的願望を持つ死柄木をスタークはうっとりとした目で見つめた。

 

ドクター「はっはっはっは!いいだろう!力を貸そう!にしても思っていたよりぶっ飛んでたなぁ」

 

死柄木「ふっかけやがったな…」

 

ドクター「元より協力する予定だったつもりだったんじゃが…成長が見たかったんじゃよ。研究(ちから)も整えておる。しかしお主たちは弱い。研究(ちから)を渡すには最低限の格を身につけよ。つまり…」

 

死柄木「ギガントマキアを屈服させろ…そう言いたいんだな」

 

ドクター「そういうことじゃ」

 

死柄木「まったく、長いチュートリアルだったぜ」

 

死柄木はニヤリと笑った。目の奥には少年のような欲望が渦巻いている。

 

荼毘「待て、俺はやらねえぞリーダー。良い仲間ができそうなんだ。そっちに時間を使いたい」

 

スターク「俺も、手を貸すわけにはいかない。前々から色々立て込んでいてな。安心しろ。定期的には顔を出す。」

 

死柄木「テメェには元より期待しちゃいねえよ」

 

スターク「手厳しいねェ」

 

スタークはやれやれと言った様子で首を振った。

 

ドクター「ならば二人にはハイエンドのテストに協力してほしいのう!!ネビュラガスの配合にはシンイリくんの力は必要不可欠じゃしな!」

 

死柄木「そんじゃ早速戻してくれ。俄然やる気が湧いてきた。」

 

ドクター「了解じゃ。さぁジョンちゃん、彼らをギガントマキアの元へ」

 

小型の脳無を抱えて脳についているツマミを回す。すると脳無が黒いヘドロを吐き出して"転送"を使用した。死柄木たちを元の場所に戻し、ギガントマキアとの戦闘が再度始まる。

以降一ヶ月半、彼らはギガントマキアとの戦闘を強いられ、未だに従えられずにいた。

 

スターク「よっ、ついに決戦の日か…」

 

そんな中、スタークは異能解放軍中枢、デトラネット社に出向いていた。

 

デストロ「そうとも。今からヴィラン連合に宣戦布告をする。君の情報提供は実に役に立ったよ」

 

スターク「の割には例のブツがまだ届いてないみたいじゃないか?取引を履き違えるなよ」

 

デストロ「文句を言うなら難波重工に言ってくれ。最終調整は彼らに頼んでいるんだ。なに、もうすぐ彼らがここに届けてくれるはずさ。疑うなら、監視カメラでもGPSでもなんでも使うがいい。」

 

スターク「いや、俺はそんなことはしない。信用しているからな。スタークの名を教えたのもそう言うとこだ。せいぜい楽しみに待ってるとするよ。」

 

そう言うとスタークは手を振ってその場から消えた。にこやかな顔でデストロは彼を見送った後、再度口を開く。

 

デストロ「さぁ、始めようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スピナー「ザ・地方だな。大きくもなく小さくもなく…」

 

ヴィラン連合は異能解放軍の宣戦布告を受けた。場所は愛知県泥花市。山間部に囲まれ、外部からの侵入は一カ所しかできない。そこを封鎖して仕舞えば簡単に隠蔽ができる。まさにヴィラン同士の争いにぴったりな場所だ。

異能解放軍は約11万の兵を持つ。対して、ヴィラン連合はたったの7人。それに加えて11万を穿つ最終兵器、ギガントマキア。奴をぶつけるまで戦闘を強いられるのは酷だが、逆にギガントマキアがきてしまえば11万は有象無象となる。

 

死柄木「ところでシンイリはどうした。ドクター、転送は?」

 

ドクター『それが奴は転送を拒みおったわ。アイツは粒子になれるからのう…そういう芸当もできるんじゃろう。ま、連絡はついておるからいずれそちらの方に向かうじゃろう。』

 

死柄木「ったく、肝心な時に使えねえなアイツは。」

 

そういうと死柄木は通信をブチっと切った。

 

トガ「弔くん!誰か来てます!」

 

その一言で皆が戦闘体制に入る。かなりの速さでこちらに突っ込んできているが…

 

「ストップ!私は案内役を仰せつかった者!指導者と話したければ私についてきたまえ!」

 

現れたのはプロヒーロー、スライディン・ゴー。有名ではないにしろヒーローであることには間違いない。彼に案内されるがままに泥花市の市街地へと出向く。しかし周囲には人が一人も見当たらない。いるのはよくわからないヒーローくらいだ。

 

死柄木「なるほど…この街全部…」

 

「その通り!ここは人口の9割が解放戦士の"解放区"!ようこそおいでくださいました」

 

そういって現れたのは心求党党首、花畑孔腔と集瑛社専務、気月置歳。おそらく彼らも解放軍だ。

 

花畑「本日は記念すべき日。さァ始めてまいります。異能解放軍"再臨祭"!!!」

 

その掛け声と共に市街地に隠れていた市民が一斉に襲いかかる。11万の兵はハッタリでもなければ嘘でもなかった。

 

花畑「ブローカーなら最高指導者と共にあそこでお待ちです」

 

指さされたのはタワーの頂上。一番目立ちやすくてちょうど良い。

 

死柄木「とりあえずタワーへ」

 

トガ「そういうことなら…ぎゃっ!?」

 

死柄木の指示に応えようとしたトガは地面の爆発に巻き込まれる。なんとか受け身を取るも皆と離れ離れになってしまった。

 

「連続失血死事件、その犯人、渡我被身子ちゃんね。『女子高生は何故狂気に至ったか』インタビュー、受けてくださる?」

 

そこに現れたのは気月置歳、ヴィラン名キュリオス。彼女らの血を巡る戦いが始まろうとしていた…

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