刃に忍ばせる心の色   作:初代小人

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長らくお待たせして本当に申し訳ない……
めちゃくちゃ難産で困ってました。ここからまたなるだけ前くらいのペースであげたいと思ってるのでよろしくお願いします。


感傷・参

「今はアイツの言うことに従ってろ。悪いようにはしねぇ。間違っても余計なことは言うなよ。」

俺を集会所から離れた裏路地に引きずり込んだベータは一方的にそう言うと、その場をすぐに立ち去った。

 

俺もすぐ後に路地から表通りに出るが既にベータの姿はなかった。

 

 

─────────────────────

 

 

数日後、再び招集がかかって集会所のさらに奥にある部屋に入ると既に二人の姿があった。

 

「お久しぶりでゴザイマス。緊張、されていマスカ?」

実のところ招集の手紙が届けられた時から食欲が減退していた俺は何度目かの見透かされたような不気味さに身を震わせた。

 

 

そんなやり取りに不機嫌そうに舌打ちをしてベータが口を開く。

「それより今日の仕事の説明をしろよ。」

「今日はお二方の連携強化を図るべくモンスター討伐をお願いしたいと思っております。」

恐れていた時が今日ではないと分かり、内心で胸をなでおろす。

 

「しかし、通常のモンスターでは束になってもアナタ方にとっては問題にもならないでしょう。そこで」

そこまで言った男はいつも通りの外套を翻して何やら印刷された紙を俺とベータに一枚ずつ渡した。

 

そこには見たこともないモンスターのイラストと、依頼文と思しき文章が記されていた。

「今回アナタ方に依頼したいのは、霞龍オオナズチの討伐です。」

「いきなり古龍か、結構なことだな。」

吐き捨てるよう言ったベータの言葉にハッとする。

 

 

古龍種、それは通常のモンスターたちが織りなす生態系を超越した存在であり、人智を超えた能力を振りかざす生物であると、昔父がつけてくれた座学演習で教わっていた。

その時の記憶をなぞってオオナズチの情報を整理する。

 

 

「霞龍オオナズチは口から生成した霧と保護色に紛れて攻撃してくる古龍、パワーは他の古龍に劣るがその特性と他のモンスターのそれよりも強力な毒は命の危険があり、強いというよりは厄介なタイプ……であってたか?」

 

それを聞いた外套の男が息を呑む。

 

「まあいい、要するにその陰湿蜥蜴のタマを取ってくりゃいいんだろ?ほら行くぞ」

そう言ってベータはまたも俺の首根っこをつかんで引きずっていく。

 

 

今度はそのまま荷車に載せられる。

 

「何しやがる!」

ついに我慢ならなくなった俺はベータに怒鳴ったがベータはどこ吹く風といった様子でアプトノスの上から「どうした坊主?」と軽くこちらを見やって問うてきた。

 

 

 

「毎度毎度俺の事を荷物みたいに扱うんじゃねぇ!」

怒気を込めた俺の言葉にベータはしかし、笑みを深めた。

 

 

「なあ、お前人を殺したことはあるか?」

「何言ってんだ俺は」

「他人の腹ァカッ捌いて臓物引きずり出したことはあるか?手にまとわり付いた血が冷えて固まっていく感触を知ってるか?

この仕事(ギルドナイト)は、そういう仕事だ。それも出来ねぇやつはお荷物以外の何物でもない。ちったぁ身の程を弁えろ」

 

な?と静かに窘めるように語るベータの微笑の中でギラついている双眸に遮られて紡げない。

俺が何も言わないと見るとベータは再び手網を握り直し、正面を向いた。

 

 

俺だってやれる、その虚勢すら許されない相方への畏怖や、何者なのかという疑問やらが混ぜこぜになって俺は訳が分からなくなって、硬い荷車の床に横になってふて寝をした。

 




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