やっと物語が動き始めて筆も乗ってきたのでせめてこの零章は書ききってしまいたい所存。
今回もよろしくお願いします
「三日後に『鬼龍會』の幹部会合があるという調べがついておりますので、アルファ様にはそこを叩いていただきたいのです。」
まるでピクニックの予定でも話すように気軽に言われたその計画と支給された拳銃をおっかなびっくり受け取った若い男---------------------アルファがガンマを伴って部屋を出たと同時にワタシはニヤリと口角を上げた。
『ギルドナイト計画』
それは僻地に存在するシュノイ皇国における極秘の計画である。
小さな皇国である我が国の軍事力は列強と呼ばれる国々に比べて低すぎる。
その上モンスターの襲来などもあるこの世界では治安維持のために避ける人手は驚くほどに低い。
加えて我が国は外部との交流を殆ど完全にと言っていいほどに絶っていることもあって、他国が加盟しているハンターズギルドにも属していないこともあって、治安が悪い。
そこで考案されたのが、「毒を以て毒を制す」ギルドナイト計画であった。
まず、交渉役のワタシが、問題視されている且つ話が分かる犯罪者等に声をかけ、ギルドナイトにスカウトする。
そうして必要に応じて実力をつけさせてから別の犯罪者を壊滅させる。
ギルドナイトに任命された者もいつかは斃れるだろうが、そこは国土の一割がスラム街になるほどの我が国、替えはいくらでも利く。
こうして犯罪者を減らしていけば治安維持にもなるというのがこの計画の全貌であった。
「にしても、『鬼龍會』総長ですか……初任務が随分と重くなったものです……色んな意味で。」
そう独り言ちて私はここからの計画を思ってため息を一つ零した。
「はぁ……」
時を同じくしてアルファは自室でため息をついていた。
(この前守るために太刀を振るって決めたのにな……)
手の中で弄る拳銃は実際以上に重く感じ、命を奪う威力のようなものを感じる。
任務用にと支給された制服は赤い。返り血を浴びることを前提にしたようなカラーリングにさらに気が滅入る。
そこにコンコン、とノックの音が響いた。ドアを開けると先程別れたはずのガンマの姿があった。
「失礼。」彼はそう言いながら有無も言わさない様子で部屋にするりと入り込む。その身のこなしは特殊部隊に所属していたというのも納得であった。
「お、おいなんだよここは俺の家だぞ。」
「ああ、知っている。君が人を殺すことに未だ忌避感を持っていることも。」
「いきなり君呼ばわりかよ」
「戦場では実力が物を言う。君は僕より力は強いだろうけど君は僕に勝てない。だから君と呼ぶ。」
小生意気なことを言いながら双眸を妖しく煌めかせるガンマに思わず身震いをする。
「今、ビビった?」
「ビビってねぇよ。」
「ビビったでしょ、震えたし。」
「ビビってねぇ!」
そんな応酬を繰り返す。
故郷の村を出てから同年代の相手と話したことがなかったからか、思いのほか会話は弾む。
「それで、何が怖いの?」
「別に……」
「手、ずっと震えてる。それに顔も青い。ちょうど殺される直前の人みたい。」
縁起の悪い喩えをするガンマに思わず噴き出す。
「なんだよ人に向かって死にそうみてぇなこと言うんじゃねぇよ!」
「死にそうみたいじゃなくて死にそうなんだよ。」
「は?」
「そうやって仕方なく人を殺しに行く人、いっぱい見てきた。殆どの人は、帰ってこなかった。」
「それって……」
結果は聞かなくてもわかる。
「戦場は狩場とは違う。決意は先にしてから行かないと、殺せない。ねえアルファ、君は何のために人を殺すの?」
「それは……」
「特殊部隊の訓練では、こう教わる。『100を救うために10を殺せ。10を守るために1を殺せ』って。僕はだから人を殺す。目の前の人が将来傷つけたり、殺すかもしれない人を守るためにどれだけ命乞いされても殺す。それが正しいって知ってるから。正しいならしてもいい事だから。」
アルファもそう思わない?────そんな問いかけに俺は思わず首を縦に振ってしまった。
読了ありがとうございます。
感想、高評価及びお気に入り登録して頂けると作者のモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか何卒よろしくお願いします。
ツイキャス雑談や投稿通知等をTwitterで行っております。普段は雑多垢ですがフォローして頂けるといち早く本作等の情報をキャッチできるかと思いますのでこちらもよろしくお願いします
↓Twitterアカウントへのリンク
https://twitter.com/kobito_void?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor