刃に忍ばせる心の色   作:初代小人

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また間隔が空いてしまいました……申し訳ない……
定期的に更新できるようになりたい人生だった……


感傷・拾

屋内だというのに嵐の中かと思うほどの暴風が吹き荒れた。

俺に向かって放たれた弾丸はすべて乱気流に巻き込まれ、当初の目的を果たせずに壁に虚ろな弾痕を残すのみであった。

 

 

そうして本来有り得ない現象とともに抜き放たれた刃は本来の白銀の上に、碧い光を薄く纏っていた。

 

 

風が収まり、ベータを囲む男たちの方へ切っ先を向ける。

それと同時に怯んでいたリーダー格の男も立ち直る。

「やれぇ!」

号令をかけたと同時に男が音もなく胸から血を噴き出して崩れ落ちる。

 

 

「僕、正面戦闘は苦手なんだけど。」

硝煙を吐き出す拳銃を構えてガンマがそう言った。

「じゃあ一生そこにいな!」

ぼろぼろのベータを見て頭にきている俺はそう言って男たちの中に飛び込んだ。

 

 

匕首(ドス)を構えた男を半身で躱してわき腹に蹴りを入れて吹き飛ばす。

次に腰に下げた太刀の鞘の先端を、背後に回っていた男のちょうど股間に叩きこむ。

うずくまった男がかろうじて構えた拳銃を太刀の峰で払い、返す刀でさらに奥の男の首に峰打ちを叩きこむ。

 

 

その間にガンマが何発かの銃弾を放って淡々と男たちを葬っていき、すぐに部屋には硝煙が充満した。

部屋にいる男を全滅させて、ドアを蹴破るようにやってきた増援を何度も平らげて、厭に鋭敏になった感覚が建物の中に自分たち以外に誰もいなくなったことを伝えてきたところでようやくか、と太刀を鞘に納める。

 

 

急いで駆け寄ってベータの拘束を解いたその時だった。

チリリ、と焦げるような殺気を感じて後ろに飛びのく。

 

 

「何のつもりだ?」

首を曲げて俺と同じく不意の攻撃を躱したベータが襲撃者──────ガンマに問いかける。

 

 

 

「簡単な話だよ。僕とアルファでは任務が違ったってだけ。最近随分精力的に訓練してたらしいね?もしかして二人で共謀してクーデターとか、計画してたりしない?」

 

「何を言ってんだ、ガンマ」

「ああ、いいんだ別に。2人で当たった『鬼龍會』討伐作戦だったが、思いのほか多かった敵勢力の前に1人がはかない犠牲になってしまった。しかも偶然その場に居合わせたために巻き込まれたギルドナイトテストケースNo.2までも命を落とした。でも仕方ないんだ、この国全体を救うための小さな犠牲なんだから。そう、仕方ないことだった。ああ、悲しいことだ。」

「てめぇ、いや国自体がはなからそういうハラだったってわけか……」

歯嚙みしながら呟いたベータの言葉、しかしガンマはそれも否定する。

 

 

「いやぁ、むしろ想定外だったよ。お前ら二人がこうして生き残るなんてな……俺は戦闘終了後にどっちか一人を始末して終わりのつもりだったんだが。よく頑張ったよホントに。おかげで手間が増えちまった……だからさ、おとなしく死んでくれよ。」

 

そう言ってガンマは引き金を引いた。

立ち昇った硝煙を払うようにベータがいつの間にか持っていた匕首で銃弾を弾いた。

「おいおいマジかよ……普通そんなチッセェ刀で銃弾弾くかよ~ありえねえよなぁ……」

どこかコミカルな動きで肩をすくめながらボヤいてみせたガンマにベータが問う。

 

 

「なあガンマ……いや違うな。てめえは誰だ?」

「誰って、私はガンマだよ?知ってるでしょ?」

「そうじゃねえ、てめえはさっき正面戦闘は苦手とかほざいてやがったのに今は俺たち二人相手に一人で勝つつもりだろ?それに私だの俺だの僕だの口調が変わりすぎて気味がわりぃったらありゃしねえ、一体その体の中に何人いやがるんだ?」

 

 

その問いかけに対してガンマの様子が明らかに変わった。

「気づいちゃったんだ……ならなおさら死んでもらわないと、ね?」

そう言ってガンマは信じられない速度で引き金を引く。

 

タタタァン!

ほとんど一つに聞こえる銃声とともに三つの銃声が吐き出される。

幸い未だ鋭敏な感覚で瞬時に反応し、碧い刃でもって鉛玉を切り裂く。

ベータは脇に転がっているリーダー格の男の死体を盾にして防いでいる。

 

 

再度多数の銃弾が放たれる。

「死んでよ」

今度はすべて俺狙い。

全て弾き防ぐが、刃渡りの長い太刀では限界がある。

 

 

「おいベータ!何してんだ!早く加勢しろ!」

「悪い、待たせたな。」

そう言いつつも太刀を体の前に構えて目を閉じたままのベータに、「諦めたか!なら死ね!」とガンマが今までよりさらに多い銃弾を放つ。

同時にベータが「一刀、鏡花……」と独りごちた。

 

そうして開眼すると同時にありえない速度で太刀を振り抜き、全ての弾丸を弾き落とす。

そして構え直した刀身には、俺のそれと対照的な紅い光が宿っていた。

 

 

 

 

 

 

 




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