双子系Vtuber、はじめました。   作:えびんす

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タイトル回収です。ここからいよいよV生活が始まります。
ここからどう展開されていくでしょう。
僕にも分かりません。


#06~双子系Vtuber、はじめました。~

 待機画面から配信画面に切り替える。

 

 俺と遥香のもうひとつの姿、「御簾納兄妹」が画面に映し出され、それぞれの動きに合わせてあっちを向いたり、こっちを向いたり。なんだかぎこちない。

 

 動作確認の時にも見ていた筈だが、いざ本番となるとよりぎこちなくなったような気がする。緊張しているからだろうか。

 

 

:きちゃ!

:始まった

:え、二人?

:4枠だから4人かと思ったら5人なのか

:5人揃って四天王!

:二人で一枠は珍しいな

 

 

 コメント欄が早速盛り上がりを見せる。まあ最初から二人でっていうのは珍しいよな。

 

 おっと、マイクをオンにしないと。最初は音量を少し小さめにして、視聴者のコメントを見ながら調整すると良いって珠緒さんが言ってた。珠緒さんに頼ってばっかだけどこればかりは仕方ない。

 

 

「よし遥香、俺が調整するからお前声出せ」

 

「あたし?」

 

「視聴者サービスだよ、楽しませてやれ」

 

「自分ばっかり。まあ良いけどさ」

 

 渋々といった感じだが、マイクに顔を近づける遥香。簡単に合図を出したと同時に、マイクのスイッチを入れる。

 

 

『あー、あー……聞こえてるかな? マイクの音量調整するから、大きかったり小さかったりしたらコメントお願いしまーす』

 

 

:はーい

:ちょっと小さいかも

:声良いね、かわいい

:男の方なにやってんの?

 

 

『今隣の男が音量調整してくれてるよー。…………どうだろ、良さそうかな?』

 

 

:k

:k

:良いと思う

:今ぐらいじゃない?

 

 

 …………どうやらこれぐらいで丁度良さそうだ。次回からはこの位置で登録しておこう。

 

 遥香にOKサインを出し、続いて挨拶へと移る。

 

 

『ん、良いみたいだね? よし、じゃあ改めて初めましてー! ライブラフ三期生、トリを務めます! 妹の方、御簾納里奈って言いまーす! それとー?』

 

『初めまして。同じくライブラフ三期生としてデビューいたします、兄の方、御簾納優斗と申します』

 

『はい、というわけでね! まあ名前で察してる人も多いと思いますが、あたし達は恐らく業界初? の、双子のVtuberでーす!』

 

『二人で一枠のライバーって珍しいんじゃないか?』

 

 

:双子!?

:兄妹で同時デビューとか見たことねえ

:ライブラフまたやってんねえ!

:兄妹揃って顔も声も良いとか最高やん

:既に面白い

:あのメンバーの大トリとか一体どんな逸材なんや……

:そうだどうせやべーやつなんだろ騙されないぞ

 

 

 うーむ、みんな同期の印象に引きずられてるな。珠緒さん何を思ってあの人達と同期にしようと思ったんだ。いじめ? いじめなの? 絶対違うだろうけど。

 

 

『いやあ……あれらには敵わないよ』

 

『揃いも揃って濃すぎて俺らのハードル上がりまくってたもんな……勝てる気がしねぇよ』

 

『あたしたちなんてフツーだよフツー……ていうかむしろコミュ障気味だし』

 

『こんななりしてるけど陰キャ寄りなんだよ……相対的にマトモ枠だな、うん』

 

 

:初配信で同期をアレ呼ばわりする兄妹

:言われても仕方ないと思うんですけど(凡推理)

:本当のコミュ障はそんな流暢に喋れない ソースは俺

:ええ~本当にござるかぁ~?

 

小鳥遊セレナ:オイオイ心外だなぁ

 

鮎川聖:わたくしそんな人間ではありませんよ?

 

ギルバルト五世:こう見えて良識はあると思うんだがなぁ~

 

:草

:同期もよう見とる

:味方いなくて草生える

 

 

『言っとくけどマジだかんね!? あたしもう配信直前なんか吐きそうなほど緊張してたし!』

 

『はーいぼくそんな妹を矢面に立たせて自爆させようとしてましたー』

 

『兄貴は兄貴でこんなだしよぉ! 実質あたしが孤軍奮闘してんだわ!』

 

『マジかよその兄貴って奴サイテーだな』

 

『お前じゃい!!!』

 

 

:妹早くもぶちギレで草

:何で兄貴そんなに他人事なんだよwww

:自白できてえらい

:そういうことしないのが一番えらいと思います

:喧嘩しないで

 

 

 うん、掴みは上々かな。遥香に合図を出す。

 

 

『……えー、このままだとずっと雑談してて進まないので、次行きます。次はですね、あたし達のプロフィールを紹介したいと思います』

 

『俺達ってどんな人? っていう感じの事が書いてるんで、それを読み上げます』

 

『画面にも出すからねー、というわけではい、ドン!』

 

 

 遥香の掛け声に合わせて、あらかじめ用意したプロフィール画像を表示させる。

 

 

『名前はさっきも言った通り、兄の方が御簾納優斗、妹の方が御簾納里奈って言います。中央魔道学院高等部に通う17歳の高校生です』

 

『学院の入学者が少なくなってきたから、生徒数を増やすための宣伝をすることになって、それに選ばれたのが俺達です。Vtuberはその手段の一つってことだな』

 

『……まあそれは建前で、本当は学院の外に友達を作りたいんだよね』

 

『ほら、生徒が少ないって言ったじゃん? アレ皆が想像してる以上に少なくてさ……一クラス10人も居ないんだよね』

 

『マジで学院存続出来るかどうかの瀬戸際なんだけど、それ以上に友達少なくて……』

 

 

:限界集落の分校かな?

:もう(その学院に未来)ないじゃん

:切実すぎて笑えない

:生徒に背負わせるには重すぎじゃね?

:学院の命運を背負う生徒がコミュ障とか人選ミスでしょ

:ダメみたいですね……

 

 

『そんなわけで、皆と友達になりたいって思ってデビューしたんだ』

 

『友達になってくれる人はチャンネル登録よろしくね!』

 

 

 ちら、と登録者数を見てみる。早くも三桁か。開始十分でこれは良いペースなんじゃないか?

 

 

『んで次はタグを決めていこうと思うんだけど、何が良いかな』

 

 

:リスナーはクラスメイトでいいんじゃね?

:いいな

:友達だとちょっとくくりがでかいしな

 

 

『クラスメイトいいね、それにしよっか』

 

『配信、ファンアートとかのタグも決めなきゃな』

 

 

:放送部とか新聞部みたいに広報活動とか?

:美術的な感じでモデルデッサンとか

:活動記録

:隠し撮り御簾納

:響きが厭らしいからダメだろ

:未成年だからえっちなのはいけないと思います

:暖簾の向こう

 

 

『にゃははははっ!! 暖簾の向こうって!』

 

『確かに男子にとっちゃ夢のエリアだよな、暖簾の向こう』

 

『おっけーおっけー、暖簾の向こうで採用ね! 優斗はともかくあたしは検索で弾くよー』

 

『俺はともかくってなんだよ』

 

 

:兄貴はともかくってw

:兄は見ると思われてて草

:男ならそんなもんだよな

:だが待ってほしい男がわざわざ自分と妹で抜くだろうか

:ま、まあ妹ではワンチャン

:後々気まずくならないかそれ

 

 

 まあ確かになぁ。兄妹モノとか一杯あるしな。

 

 

『自分でも妹でもオカズにはならないな俺……』

 

『妹の前で公言するのもどうかと思いますが』

 

『だって正直さ、男の自分で抜くか女になった自分で抜くか、って言われてるようなもんだし……』

 

『……あー、まあ、うん、そうか』

 

 

:それで納得しちゃうんだ……

:ここらは兄妹というか双子独特の感覚かもしれん

:でも自分が女になったとしたらそれはもう……

 

 

『なんか変な話になってきたな? よしこの話やめようハイやめやめ!』

 

『とりあえず配信タグは「#活動記録」、ファンアートは「#御簾納のモデルデッサン」、えちちな方は「#暖簾の向こう」で。あんまり変なもの描いちゃダメだよー?』

 

 

 際どい話になりそうなので少し強引だが話を切り上げ、タグ決めを終了させる。

 

 本来ならば配信中の予定はここまでなのだが、終了予定時間までまだ時間が残っているため、急遽リスナーのコメント欄から質問を拾って回答して時間を潰すことになった。

 

 

 

:リアルに双子なの?

 

『リアル双子だよー。リアル優斗が兄なのも一緒』

 

『ちなみにライバーになったきっかけは妹に誘われたからです』

 

 

:普段一緒に過ごすことある?

 

『今も実家に同居してるぞ。よく映画とか一緒に見る』

 

『家事炊事は曜日ことに分担してるよー』

 

『まあ料理は俺が専属なんですけどね』

 

『出来ない訳じゃないけど優斗の方が上手いんだよなぁ』

 

 

:発言がシンクロとかする?

 

『『あんまりない』』

 

『あっ』

 

『被った』

 

:草

:草

:双子要素出していけー?

 

 

:妹さん、お兄さんと結婚させてください

 

『は? あたしから兄を奪う気か?』

 

『キレるなよ』

 

:草

:ブラコンかな?

:じゃあ妹さんをください!

 

『は? 命が要らんのかお前』

 

『そっちもキレてんじゃん』

 

:シスコンやんけ!

:どっちもどっちやな

:てぇてぇ

 

 

:好きなライバーは?

 

 

『神輿羅世良先輩かなあ』

 

『ライバーになろうって思ったの、世良先輩見てからだよね』

 

 

:姐さん慕う後輩ができて良かったなあ

:まさかの姐さん

:尊敬の対義語の姐さんに後輩が……

 

神輿羅世良:お前ら覚えとけよ

 

:ヒェッ

:やっべ姐さんきとるやん

:後輩にカチコミっすか?

 

 

『あっ、世良先輩来てる!?』

 

『初めまして先輩! 御簾納兄妹です!』

 

 

神輿羅世良:後輩たちよろしくなー! あと若衆後で集合

 

:ヒェッ

:いのちばかりは

:ゆるして

:いやじゃしにとうない

:もう詰める指ないっす

:ドラ○もんニキかあいそ

 

 

 

:ぶっちゃけ何歳まで一緒に風呂入ってた?

 

『え、小三ぐらいじゃなかったっけ?』

 

『嘘つくなお前、小六まで一緒に入ろうとしてぐずってたじゃねーか』

 

『ッスゥゥゥーー…………』

 

 

:迫真の吸い込み

:小六で男女一緒にお風呂はちょっと……

:妹のブラコン度合い重症じゃね?

:仲が良くてよろしい

:仲良いどころではない気が

 

 

『兄貴だって初恋の子にフラれたとき「びぇぇぇ里奈ァァァア」って泣きついてきたじゃん』

 

『それ幼稚園の頃の話だろ……』

 

『ちなみにだけどその初恋の子さ、今アフリカでお医者さんやってるらしいよ』

 

『マジで? 初耳なんだけど』

 

『マジ。ほらホームページのここ』

 

『……うっわマジじゃん。あの子すげぇ立派になったなあ』

 

『ホントだよねー……それに比べてあたしら……』

 

『Vtuberとか何やってんだろうな…………』

 

 

:変なとこでダメージ入ってて草

:まあ命を預かる仕事と比べたらな

:Vも今はちゃんとした仕事ですよ!

:学校救うとか英雄やん?

:フォローされてるの草

:切り替えていけ

 

 

 

 その後も二、三質問を返したところで、予定していた終了時刻を迎えた。

 

 

『じゃあこの辺で、あたしたちの配信を終わろうと思うよ』

 

 

:おつ

:楽しかったよ

:いかないで

 

『今日は三期生お披露目配信に参加してくれてありがとう! 三期生のこれからを是非とも見守っていてください!』

 

『そしてチャンネル登録もよろしくお願いします。改めて皆さん、今日はお疲れさまでした。そして次回の配信でお会いできることを楽しみにしています』

 

『それじゃあ皆、ばいばーい!』

 

『宿題して歯ぁ磨いてお風呂入ってあったかくして寝るんだぞー』

 

『ド○フかな?』

 

『また来週~~!』

 

『ドリフやんけ!!』

 

『ハハハハハッ、皆またなー』

 

 

:おつ!

:おつ

:またなー

:チャンネル登録したわ

:また明日な!

 

 

 

 配信を切る。そのまま遥香と目を合わせ、

 

 

 

「「ッ、はああぁぁぁぁぁぁ~~~~…………」」

 

 

 盛大にため息をついた。

 

「あ~~緊張した……もう無理」

 

「これからもこれ続けてかなきゃなのか…………」

 

「そうだね……ホント疲れた」

 

 俺も遥香も疲労困憊といったところ。確かに顔を直接合わせて会話している訳ではないから、そういったコミュ障の面は幸いにして出てこなかったのだが。

 

 それと配信を無事に終えることは話が別だ。今日はお互いうっかり本名で呼びそうになったことが何回かあるし、そうでなくても配信に関しては不馴れというかずぶの素人だ。はやく慣れていかないといつかやらかすぞこれ。

 

 ライバーってこういうところに常に気を遣わなきゃいけないし、それでいて無言でいるのは放送事故。途切れさせず、口を滑らせず。これを両立させるのが思った以上に難しいのは分かった。

 

「次からの反省にしないとな」

 

「うん、あたし何回遥斗って言いかけたか……」

 

「俺も所々進行に詰まったとこがあるしな。次はそこも改善していくぞ」

 

「ういー」

 

 

 ともあれ、ひとまず無事に終わって良かった。今日はこれで終了……と思ったのもつかの間。

 

 

「……あれ? Wishcordに通知?」

 

「あん?」

 

「…………あ、これ珠緒さんからだ」

 

 

 ちなみにWishcordとは、PCやスマホなどでリアルタイムにチャットやゲーム配信が出来るアプリケーションである。今のところ三期生合同のコミュと、ライブラフ全体のコミュ、そして珠緒さんとの個別コミュの三つに入っているが、通知はどうやら三期生のコミュからのようだ。

 

「珠緒さんなんて?」

 

「……初配信の反省会するから、ボイチャ繋げて入ってきてって」

 

「…………嘘だろ?」

 

「こんな嘘ついてどーすんのさ……」

 

 

 一難去ってまた一難。今度は同期とボイチャ越しの会話をこなさなければならないらしい。

 

 母さん、親父。コミュ障治すのって、大変なんだね。俺知らなかったよ。

 

 

 泣きたい。

 

 

 




えらい難産だった……。
そして四苦八苦してるうちにしおりが三桁になってて嬉しかった(小並感
これからもよろしくお願いします。
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