双子系Vtuber、はじめました。 作:えびんす
ちょっと書きたいこといっぱいあって詰め込みすぎになっちゃうので前後編に分けます……。
配信前。待機所には早くも数十人程が訪れて、各々がコメントをしながら配信を待っている。
:正座待機
:雑談楽しみ
:わくわく
:お前ら落ち着け
:これが落ち着いていられるか!
:キレるなよw
「うわあ、すごいコメント数」
「ありがてえと同時に怖いよな」
「あたし達を待ってくれてる人がこんなにいるって、なんか不思議だよね」
「それだけ俺らのやらかしを期待してるんじゃ」
「ネガティブ思考やめーやあたしまで巻き込むな」
「だってさあ三期生で一番キャラ薄くてコミュ障な俺らがこんな期待されてるとかおかしくね? 絶対なんかあるってこれ、炎上ネタ期待されてるって」
「そういうのやめてよマジでぇ!」
「いっそのこと炎上系Vとかになった方が結果的にキャラが立って視聴者もコメントも増えて万々歳なのでは」
「それ確実に何か大事なもの失ってるよ!? おい正気に戻れ兄貴ィ!!」
今日は珍しく俺の方がナーバスになっていた。
いや、何があったって訳でもないんだけど、なんていうかこう、あるやん? 今日は気分が優れないとか、なんか調子悪いなってとき。あれがやたら強く出てくる時期ってさ、あるやん?
多分原因は今日の配信のことだと思う。だってさ、雑談配信って言ってもさ、なに話せばいいの? ってなるじゃん。
他愛もない話を延々と続ければ配信として成り立つのか? なんの面白味もないありふれた話を画面越しに喋って視聴者は楽しいのか? そもそもなにを以て雑談と定義するん? 雑談ってなに?
……以下無限ループのネガティブ思考スパイラルに陥った俺とそれを元に戻そうとする遥香。我が家では割りと珍しい光景であった。
「遥斗、いい加減戻ってきてよ!」
「やーじゃやじゃやじゃ! 四方八方敵だらけの戦場なぞ嫌じゃ! 死にとうない!」
「コメント見ただけで人が死ぬかァ!」
「死ぬもん! コメントだって死ぬもん!」
「そんなに言うんだったら死んでみろ!」
「ゴフッ」
「兄者ァァアアアアアアア!!!!」
「…………落ち着いた?」
「うん」
ひとしきり騒いで落ち着いた。莫迦みたいと思うでしょ? でもこれが俺らなりの落ち着き方なの。
近所迷惑? それはそうね、お隣さんごめんなさい。まあ防音しっかりしてるマンションだから気にしたことないんですが。
「よし、じゃー配信するよ」
「おっしゃやるぞ」
「んでは、ポチっとな」
やりますか……二回目の配信。
『みんなー、こんばんわー! 御簾納兄妹の雑談配信にようこそー! 妹の方、御簾納里奈です!』
『歓迎しよう、盛大にな! あ、お茶とお茶請けは各自セルフサービスです。兄の方、御簾納優斗です』
:きちゃ!
:こんばー!
:セルフサービスは草
:お酒はお茶に入りますか?
:入るわけねぇだろ酒だぞ
:つまみはお茶請けになるだろ!
『はいはいお酒とつまみでもオッケーだから。変なとこで争わないようにね』
『ククク争え……もっと争え』
『そこ煽らない!』
『些細なことで争うなど人は愚かなものです……特にお前』
『おっとこっちに流れ弾が飛んできたなぁふざけやがって喧嘩か!? やってやろうじゃねえかこの野郎ォ!!』
『ね? 愚かでしょ?』
『アッコラー!? スッゾテメッコラー!!』
:草
:流れるような扇動で草
:ヤクザやんけ!
:血の気多いなこの兄妹
:リスナーそっちのけで喧嘩は草
:兄妹喧嘩やめてもろて
:ライブラフは殴り合いしてナンボなとこあるから
:なんで身内というか肉親。で殴り合う必要があるんですか(正論)
:よしこれを肴に酒飲もう
:江戸っ子がいますね……
うん、掴みはオッケー。毎回こういう感じで小ネタを挟めばいいかもしれない。
『はい、血の気の多い愚妹はほっといてですね』
『オイィ!?』
『今回はタイトルにもありました通り、皆さんとのんびり雑談していこうと思います。ましまろに寄せられた質問とかにも答えたりするぞ』
『ふっつーに進行しやがったコイツ……はい、そういうことなので皆のんびりまったりしていこうね』
ちなみにだが「ましまろ」とは匿名でメッセージを送れるサービスだ。悪意のある物はAIが自動で弾いてくれるので便利。
『とりあえずねー、三期生の初配信どうだった?』
:いやー(濃すぎて)きついっす
:やっぱり頭ライブラフなんですねぇ
:いいキャラしてました(最大限言葉を選んだ表現)
:よく教師になれたなって
:僕は聖様の奴隷になりました
:魔王様は声質と口調のギャップが面白すぎた
『だよなあ、みんな癖がありすぎてビビったわ。俺らこんな奴らと同期なの? って』
『運営のイジメを疑ったよね。あたしらが何をしたんだって』
『普通に挨拶しようとしてた俺らが完全に霞んだよな』
『実際今のところ同期の中でも登録者数一番少ないからね』
:いや逆にさっぱりしてて助かった
:正直濃すぎて胸焼けしてた
:豚骨ラーメンの後のルイボス茶みたいな存在
:一○堂かよ
:相対常識人は草だった
:三期生を料理で例えたら御簾納兄妹は浅漬け
『だはははっ! 浅漬けってw』
『ちょっと酢に漬けただけのもんを料理って言っていいか微妙じゃない?』
『いやいや立派な料理よ? 俺浅漬け好きよ?』
『いやあたしも嫌いじゃないけどあたしら浅漬けでいいの? せめて糠漬けにならない?』
『いや漬け物から脱しろよwww』
:大して変わらんやんけ!
:漬け物の呪縛からは逃れられぬ……
:友達作りに来たら漬け物扱いされる奴がいるらしい
:パワーワード過ぎる……
:ただし漬け物、テメーはだめだ
『んでまああの初配信の後ね、三期生でwishcordに集まって反省会というか打ち上げしたんだよ』
『あたし達以外はもう顔合わせしてたんだけど、あたし達はコミュ障云々の関係で会ってなかったの』
『だから声も顔も知らなくて、通話繋ぐまで心臓バクバクだった』
『このまま死ぬんじゃないかなって思ったよね』
:重症だわ
:拗らせてんねぇ!
:まあ気持ちは分かる
『でもいざ繋いでみたらねえ…………いやまさかね』
『あの人たちがまさかね…………』
『あんまり言うと営業妨害になっちゃうんで言えないんだけど、すごいいい人達だったの』
『セレナは特にビビった。全然違う! って』
『まあリアルでアレだったらガチでヤバい人だから当たり前なんだけどさ、それはそれで何故そんなキャラにしたんだよって感じでさ?』
『いやほんと謎だった。何がどうしたらああなるんだ……』
『素の声聞いたけど本気で誰だか分かんなかったし、名前聞いても全然一致しなかったよね』
『聖もギルバルトもそんな感じで頭バグった』
『思わず叫んだよね、嘘だろって』
『まさか中の人があんな……あんな』
:草
:そんなキャラ違うんか
:まあリアルでもアレだったらヤバいのは同意
:すげえ気になる
:うわあ素の声聞きてえ
:気になりすぎて夜しか寝れなくなりそう
:ちゃんと寝れてえらい
『あ、ギルバルトはちゃんと渋い声のおじさまだったから皆安心していいぞ』
『うん、おじさんっていうかおじさま』
:やっぱり?
:よかった安心した
:素であんな感じじゃないなら普通にイケおじでは?
:解釈一致
:それ言って大丈夫?
『なんかセレナと聖に引っ張られてあんな感じにしたけどもう後悔してるらしいよ。早々にキャラ変えるかもって言ってた』
『まあ遅かれ早かれ変えると思うし大丈夫。本人にも許可取ってあるから』
:草
:草
:ワロタ
:魔王様かわいい
:楽しみにしとこ
うんうん、やっぱ配信裏のネタって気になるよな。丹生さんに許可取っておいてよかった。
その後もコメントに書かれた質問に何度か答えつつ、配信は続く。
なんかいつの間にかしおりが200を突破してました……。
これだけの人に次を楽しみにして貰えてると思うとなんだかドキドキしてきた。もしかして……不整脈?