お粗末な出来だとは思いますが、それでもよろしければ…どうぞ。
二課の本部から走りだし、急いで現場に急行した疾風と翼。
ノイズの出現場所がすぐ近くという事もあり、あっという間に辿り着くことが出来た。
そこには、多種多様の大量のノイズがひしめき合っていた。
「おやおや…これはまた…初陣から団体様のお相手とはね……」
「怖いのか?」
「まさか。私にはこれぐらいの方が丁度いいってもんだ」
左手を腰に当てながらニヒルな笑みを浮かべる。
まだシンフォギアでの戦闘経験が一回しかないとは思えない程に余裕があった。
「どうやら…民間人の避難は完了してるようだな」
「あぁ…これで周りを気にせず安心して戦える。人命を守る為と分かってはいるが、それでもたった二人ではどうしても限界があるからな……」
「そうだな。後顧の憂いが無いのはいい事だ。それじゃあ……」
翼は首から下げているシンフォギアの赤いペンダントを握りしめ、疾風は左手を静かに胸の辺りに添えた。
「やるとするか。頼りにしてるぜ…先輩よ」
「任せてくれ。ノイズ共に見せてやろう…二振りの天羽々斬のデュエットをな!」
Imyuteus amenohabakiri tron
Penetrate amenohabakiri tron
二人が聖詠を唱えると、その体が光に包まれながら装甲に包まれる。
翼は青いギアを、疾風は白のギアを身に纏っていく。
「それが…疾風のギアなのか…」
「まぁな。まだ二回目だが…不思議と慣れてきたな」
同じ『天羽々斬』なのに、その姿形は全く違っている。
翼の方は運動性重視の簡素な青い装甲にインナーを纏っている形になっているが、疾風の方は真っ白な装甲に真っ白なインナーを纏い、失われた右腕が合った部分には黄金に光り輝く巨大なドリルの形をしたアームドギアが存在感を放っている。
背中には二基の巨大なブースターもあり、その気になれば空すらも飛べそうだ。
「私のギアの話は後でいいさ。今は……」
「こいつらを片付けることが先決…だな」
そう言うと、翼は刀剣状のアームドギアを装備して構え、疾風は腰を低くしてからドリルのある右腕を肩ぐらいまで上げてから後ろ手に構えた。
「私は左の奴等をやる」
「では、私は右の奴等をやろう」
「お互いに援護向きの武器を持ってないからな。いざという時以外を除いて、基本的にはスタンドプレーで戦うぞ」
「承知!」
「いい返事だ。ならば……いくぞ!!」
背中のブースターに火が入り、翼も両足に力を込める。
その火が最高潮に達し、疾風が目にも止まらぬ速さで飛んでいくと同時に、翼もまた駆け出した。
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」
青い刃が幾重にも線を描きながらノイズを切り裂き、超高速で回転するドリルが次々と貫いていく。
二人とも動きに全く迷いが無く、あっという間にノイズ達が灰となっていく。
(なんて鋭くて力強い動き…! あれでまだギアを纏って二回目だなんて信じられない! これが疾風の実力なのか!)
(へぇ~…思ったよりもやるじゃないか。精神的には不安定ではあったが、その実力の方は信用しても良さそうだな)
ほんの一瞬だけ相手の方を見て、別々の評価を下す。
それからまた前だけを見て、ノイズに対して自分達のアームドギアを振るう。
そんな彼女達は、いつの間にか戦いながら歌を口ずさんでいた。
しかも、疾風の方に合わせる形で。
その曲の名は……。
♪DRAGON
「これで蹴散らす! くらえ!!」
その場で逆立ちをし、両足を広げたかと思ったら、脚の先端からブレードが出現し、全身を回転させながら切り裂いていく!
逆 羅 刹
「大胆な事をしやがる。それならば!」
義手全体が震え火花が散る程にドリルが超高速で回転し、周囲の空気が渦を巻いて竜巻を生み出す!
「ドリルには…こういう使い方もある!!」
ドリルから発生した竜巻が吹き荒れ、道路を抉りながら大量のノイズを巻き込んで破壊していく!
その様は正しく嵐そのもの!
「吹き飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
全身を使って大きく振り被ってから人工的な嵐を投げ飛ばすと、風は消え、それに巻き込まれた全てが落下していく。
勿論、ノイズは灰となって降り注ぎ、その余波でも多くのノイズが倒されていた。
「やるな疾風! む?」
「おっと?」
二人が少しだけ目配せをした隙に、ノイズの群れが彼女達を取り囲み、今にも襲い掛かろうとしていた。
だが、この程度では彼女達の精神的動揺は誘えない。
「まさか、囲んだ程度で私達をどうにか出来るとでも思ってんのかね?」
「だとしたら、我等も随分と舐められたものだな」
「どうする?」
「フッ…決まっている!」
さっきまで標準サイズだった翼の刀状のアームドギアが突如として巨大化し、それに合わせて疾風のドリルが虹色の眩い光を放ち形を無くしていく。
「「受けろっ!!」」
蒼 ノ 一 閃
二人はその場で大きく体を振り回し、周囲の敵を一気に一掃していく!
蒼いエネルギーの刃が、神秘的にすら見える聖なる光が、瞬く間に周囲にいたノイズを無に帰す!
彼女達が元いた位置へと戻ってきた時にはもう、殆どのノイズが消滅していた。
「これで大体は倒したが……」
「まだ少し残ってるわね」
「もうひと踏ん張りだ。やるぞ!」
「えぇ!」
気合を振り絞って足を踏み出そうとした…その時だった。
二人の視界の端に見覚えのある人影がこっちに向かって走ってきているのが見えた。
「つ…翼さん! 疾風ちゃん! 私も一緒に戦うよ!」
「立花…!」
「あのバカ…何で来やがったっ!?」
てっきり本部にて待機しているとばかり思っていた相手が、いつの間にか黄色いギアを展開して現場までやって来ていた。
これには流石の疾風も驚き、一瞬だけ動きが止まってしまった。
しかも、そんなタイミングで二人に対して通信が入る。
『疾風くん! 翼! 緊急事態だ! もしかしたら、響くんがそちらへと向かったかもしれん!!』
「かもしれん…じゃなくて、もう目の前にいるよ……」
『なんだとぉっ!?』
「う……」
通信越しの弦十郎の驚いた声に、耳がキーンとなってしかめっ面になってしまう。
いつも言っているのだが、どうしても直してくれない。
「しかも、翼がご立腹だ。私もだけどな」
『すまん…!』
「そっちにも非があるが、一番悪いのは間違いなく響のバカだ。後で説教確定だな。その前に私からも説教させて貰うが」
『来てしまった以上は仕方がない…彼女の事を頼めるか?』
「言われなくても、するしかないだろ。ったく…バイト代は弾んで貰うからな」
『承知した…』
苦しげな声と共に通信は切れ、顔を振って気を引き締め直す。
絶対に約90%ぐらいは倒したが、まだノイズは残っているのだ。
こういった状況こそ人間は最も油断をし易い。
「はぁ…聞いた通りだ。翼、私はアイツの方に行く。ここは任せてもいいか?」
「え…えぇ……」
「……頼んだぞ」
明らかにさっきとは様子が違うが、今はそんな事を言っている暇はない。
自慢のスピードですぐに響の元まで行き、彼女を睨み付けて『怒ってます』アピールをした。
「バカかお前は! まだ碌に訓練もしてない奴が戦場に出てこようとするな!」
「そ…それは疾風ちゃんも一緒なんじゃ……」
「お前と一緒にするな! 響さ…今までの人生の中で殴り合いの喧嘩すらしたことないだろ?」
「うん…だって、そんな事をしたって何もいい事無いし……話し合えるなら、それが一番だよ」
「はぁ……お前もお前で重傷だな。どうして、私の周りはこうも問題児ばかりなんだ……これじゃ、シンフォギア装者じゃなくて保母じゃねぇか……」
ギアを展開している今は、右腕はドリルで左手はクローアームになっているので出来ないが、平手だったならば頭を抱えていたところだ。
なんとなく、弦十郎の苦労が理解出来たような気がした。
「…もういい。幾ら足手纏いとはいえ、ここまで来た以上は戻すわけにはいかないからな」
「じゃあ…!」
「響。お前は自己防衛にだけ専念しろ。大半は私と翼で片付けたが、まだ完全に倒し切った訳じゃない」
「うん! 分かった!」
「それと…後で私と弦十郎さんの説教を覚悟しておけ。私達とは違って、お前は無断でここに来てるんだからな」
「う…うん……ごめんなさい。私…少しでも二人の助けになりたくて、それで……」
「邪魔になってちゃ世話無いわな」
ヤレヤレと言った感じで首を振りつつ、響に背を向けてまだポツポツと残っているノイズに目をやる。
「お前の意気込みは認めるが、それだけで全てが解決するなら苦労はしないんだよ。覚えとけ。想いだけでも、力だけでも駄目なんだ。その両方が伴ってないと何も成せないし、何も守れない」
「想いだけでも…力だけでも……」
「今のお前は、想いも足りないし、力なんて全く無い。中途半端ですらない。まずは知れ。色んな事をな」
人型と思われるノイズが数体、のそのそと二人の元まで歩いてくる。
ギアを纏っている今ならば奴らの攻撃でもビクともしないが、それでもこれまでに刻まれてきた恐怖心はそう簡単には拭えない。
疾風の場合は、響とは違ってすぐに順応してみせたが。
「人が話をしている時に…邪魔をするな!!」
ドリルの部分が腕部から分離し、そのままジェット噴射でノイズを貫いていく。
そのまま何体かのノイズを始末してから、ドリルはそのまま戻ってきてドッキングした。
「そ…そう言えば、疾風ちゃんのそれって…ドリル? なんで?」
「知るか。というか、これがドリル以外に何に見えるんだよ…っと!」
響の背後からノイズの触手が伸びてきて彼女の事を拘束しようとしたが、すぐにそれに反応した疾風がドリルで触手を切り刻んだ。
「今だ響! そいつを殴れ!!」
「こ…こんのぉぉぉっ!!」
疾風に叫ばれて、反射的に見よう見まねで殴り掛かる。
ギアに覆われた拳はノイズに直撃し、フッ飛ばされたノイズは地面に倒れて灰となった。
「や…やった! やったよ疾風ちゃん!」
「たった一体倒したぐらいではしゃぐな。お前は、ここを動くなよ。翼!!」
さっきからずっと孤軍奮闘していた翼の元まで戻り、その隣に並んだ。
疾風の顔を見て、少しだけ仏頂面が収まってくれた。
「待たせて済まなかった」
「あいつは…いいのか?」
「一応はな。あの場を動かないように釘は刺してきたし、後で説教する事も言っておいた」
「そう……」
軽く説明をするが、それでもまだ翼の表情は優れない。
これは、後で抱き枕になるぐらいは覚悟しておいた方が良さそうかな。
そんな事を考えて、心の中でげんなりする疾風だった。
「あんまり時間も掛けられない。広範囲攻撃で一気に決めるぞ」
「承知した! 任せてくれ!」
翼が右腕を上に掲げると、その空間から大量の剣が出現して先端をノイズに向ける。
一方の疾風も、ドリルの付け根から緑色の謎の光を発し、さっきと同じ要領でドリルを高速回転させて竜巻を生み出す。
ただ、今回は風の色が緑色に染まり、同時に緑色の電撃も迸らせている。
「これで……」
「トドメだ!!」
千 ノ 落 涙
無数に降り注ぐ剣の雨と、巨大な緑の稲妻を宿す竜巻が、残ったノイズを一体残らず蹴散らしていく。
知性の欠片も無いような緩慢な動きでは二人の攻撃は避けきれるはずも無く、辺り一面に剣が乱立し、巨大な何かによって抉られたかのような跡が残ると、後にはもうノイズは一体も存在していなかった。
「これで終わりか……」
「お仕事完了…ってか。別の意味でしんどかったな……」
ホッと一息を着いている二人の息の合った攻撃に、それを遠くから見ていた響は感嘆の声を上げていた。
「凄い……翼さんもそうだけど…疾風ちゃんも凄かった……」
疾風と自分は似たような状況でギアを覚醒させたと聞いてはいたが、こうして実際に戦っている姿を見せられて自分とは大違いであると嫌でも実感させられた。
全ての面で疾風は最初から完成させられていた。
自分と同い年である筈の少女の一体どこに、あんな強大な力が宿っているのだろうか。
「なら、とっとと帰るとするか。事後処理は専門家達に任せて……」
「いや…少し待ってくれ疾風」
「翼…?」
ギアを解除することなく、翼は響の所へと歩いていく。
それを見て、疾風は猛烈に嫌な予感がした。
「立花…どうしてここに来た?」
「私もシンフォギア装者だから…二人の役に立ちたかったんです!」
「我々の役に立ちたい……?」
「はい! 確かに、今の私はすっごく弱くて完全な足手纏いかもしれませんけど…でも! それでも一生懸命に頑張りますから! だから、私も一緒に……」
戦いたいです。
そう言おうとした瞬間、その言葉は彼女の喉元に突き付けられた刃にて強制的に遮られてしまった。
「そう…だな。では、戦おうじゃないか。この私と」
「…………え?」
嫌な予感……見事に的中。
なんだ、この戦闘シーンは……。
全く満足できてないです…。
それはそれとして、疾風の苦労人属性が一気に加速していきますね。
ゲッター2なだけに。
主人公の疾風とのカップリングは誰が良い?
-
響
-
翼
-
クリス
-
未来
-
マリア
-
切歌
-
調
-
まさかの弦十郎
-
まさかまさかの慎次