もう一振りの天羽々斬   作:とんこつラーメン

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今回は、やっと『彼女』のご登場。

原作ならばいざ知らず、疾風がいる今回はどうなる…?








ロスト・イレギュラー

 二課本部、正確にはリディアン音楽院付近に現れたノイズを迎撃する為に出撃した三人の装者達。

 すぐにシンフォギアを展開し、戦闘を開始する。

 

「まずは私が先陣を切る。翼と響は後に続いてくれ」

「承知した。そのドリルで奴らに風穴を開けてやれ!」

「お願いね! 疾風ちゃん!」

 

 二人に向かってサムズアップの代わりに左手のクローアームを上げて、カチカチと開閉する。

 それを合図にして、響は拳を握りしめてファイティングポーズを取り、翼は自慢の剣を展開する。

 疾風はその巨大なドリルを高速回転させ、装甲の隙間から緑色の光…ゲッター線を放出させ、それを全身に纏った。

 

「成る程な…この光こそがゲッターの力って訳か…! なら、最大限に利用させて貰う! 私のドリルで片っ端からぶった切ってやるぜ!!」

 

 背中のブースターが唸りを上げ、激しい炎と共に疾風を超音速の世界へと誘う!

 一瞬で姿を消し、ノイズの群れへと向かって突き進む!!

 

「これでもくらいな!!」

 

 

              螺 旋 暴 風 撃(ドリル・ハリケーン)

 

 

「流石は疾風…! 立花! 我々も続くぞ!!」

「はい! 続いていきます!!」

 

 疾風の壮絶な先制攻撃によって完全なイニシアチブを取ることに成功し、その流れを断ち切らない為に翼と響も急いで戦陣へと加わった。

 

「でぇぇぇい!!」

 

 迷いの無い剣筋により、次々とノイズ達が灰と化していく。

 少し前までの暴力的な剣ではない。

 その動きはまさに流麗の如く。

 

「もう怖がったりはしない! 私も…疾風ちゃんや翼さんと一緒に戦うんだ!!」

 

 動きの乱れたノイズから優先的に狙い、その鋼鉄の拳が炸裂する。

 胴体を貫き、そのまま踏み抜く!

 

「まず一つ! 次っ!」

 

 いつの間にか背後にいたノイズに向けて、間髪入れずの回し蹴り!

 頭部が破壊され、その勢いのまま全身を回転させ、周囲のノイズも破壊していく!

 

「フッ…あの動き、まるで本当に叔父様を見ているようだな。私も負けてはいられんか。ならば!」

 

 響の奮闘する姿に触発されたのか、翼は大きくジャンプをした後に脚部からブレードを展開し、バーニアの勢いに乗って縦回転をしながら突貫する!

 

 

               無 想 三 刃

 

 

 直線状にいるノイズが全て倒され、翼の進んだ道にだけ灰が並んでいた。

 チラッと視線だけを背後に向け、二人の頑張りっぷりに疾風は思わず笑みを浮かべる。

 

「もう…心配はいらないみたいだな。これで私も遠慮なく暴れられる」

 

 少しよそ見をした隙に、ノイズの触手が疾風に迫る!

 幾ら彼女でも、一拍遅れては回避は不可能!

 このままでは直撃する…かと思われたが、彼女はそれを易々と裏切った。

 

「残像だ」

 

 触手を伸ばしたノイズは、刹那の煌めきの間に背後へと回った疾風によって破壊された。

 だが、それだけで彼女のターンは終わらない。

 

「余りチマチマとしていても意味無いからな。文字通り、さっさと終わらせて貰う!」

 

 再び疾風の姿が消えたかと思ったら、またもや別のノイズの背後に周り破壊する。

 幾多の残像が生み出され、まるで疾風が分身したかのようになった!

 

「えぇ~っ!? 疾風ちゃんが何人もいるぅ~っ!?」

「いや違う! 疾風の動きが早すぎて、私達の目では何重にも分身しているように見えているんだ!」

 

 当然、ノイズがその動きに追いつける筈もなく、旋風が吹き荒れる度に複数のノイズが蹴散らされていく。もう誰にも止められない!!

 

「これは武器じゃない! 私の編み出した奥義ってヤツだ!! その名も…」

 

 

             真・超 音 速 乱 舞(マッハスペシャル)

 

 

「0.01秒の世界…よーく味わったかい?」

 

 疾風の動きが止まり、直立不動の状態で立ち止まった時、もう既に大半のノイズは塵となっていた。

 縦横無尽に動いているように見えて、その実、彼女はノイズしか攻撃していない。

 事実、周囲の建物や街路樹には全く傷はついていなかった。

 

「まだまだ…疾風には遠く及ばないようだな」

「師匠と互角に渡り合うほどですもんね…」

 

 同年代であり、翼に至っては装者として先輩であるにも拘らず、疾風の桁違いの実力に感嘆し、嫉妬の心すら生まれない。

 しかも、疾風はその事を決して自慢したりしないのだから凄い。

 心身共に並の人間を完全に超越していると理解せざる負えなかった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 三人の戦闘をモニターで確認しつつ、オペレーターである藤尭朔也と友里あおいは驚きの声を上げた。

 

「相変わらず、疾風ちゃんの強さは群を抜いてますね…」

「あれで、響ちゃんとほぼ同時期に装者になってるんだから、驚きよね……」

 

 装者としての経験値だけならば翼の方が圧倒的に上。

 であるにも拘らず、疾風の方が強い理由は単純明快。

 素の身体能力が違い過ぎるのだ。

 その事を誰よりも理解している弦十郎は、二人の言葉に対して付け加えた。

 

「それでいて、疾風くんはその強さを誇示しようとしたりしない。どこまでもストイックで、どこまでも上だけを見ている。だからこそ疾風くんは強いのかもしれん」

 

 腕を組みながらモニターに映る疾風を見て自慢げに語る弦十郎に、隣りにいた了子がニヤニヤしながら笑い掛けた。

 

「弦十郎くんって、疾風ちゃんのことになると途端に饒舌になるわよね~」

「そ…そうか?」

「そうよ。戻ってきたら、あの子の事を思い切り褒めてあげなさいな。あくまで私見ではあるけど…あの子は他人から褒められる事に慣れてない節があるわ。これまでにも何回か私もあの子の聡明さを褒めた事があるんだけど、その度に反応に困っている様子だったし」

「褒められる事に慣れてない…か。そうかもしれんな」

 

 疾風のこれまでの人生を思えば、そうなるのも無理は無かった。

 社会の裏で生き続け、他の年頃の子供達とは全く違う道を歩き続けていたのだから。

 

「ただでさえ、疾風ちゃんにはリーダーを押し付けてるんだから。誰かがあの子のメンタルケアをしてあげないとね?」

「そ…それもそうだな」

 

 誰とは言ってないが、弦十郎には了子が何を言いたいのか、なんとなく理解していた。

 疾風の事はこれまで通り、自分が面倒を見てやらなくてはいけないと。

 彼女は己によって二課に導かれたも同然だ。

 ならば、司令としてでなく、一人の大人としてその責任を取らなくてはいけない。

 

「え? こ…これはっ!? 司令!!」

「どうしたっ!?」

 

 藤尭の切羽詰まったかのような叫び声に、真っ先に弦十郎が反応した。

 その顔は青ざめていて、一発でただ事ではないと分かる。

 

「現場にて高出力のアウフヴァッヘン波形が検知されました!!」

「なんだとッ!? すぐに波形の特定を急げ!!」

「了解です!」

「私も手伝うわ! データをこっちに頂戴!」

「分かりました! お願いします!」

 

 了子が急いで開いている席に座り、一緒に解析を始める。

 専門家である了子の協力により、すぐさま波形の正体が明らかになった。

 

「解析結果……出ました! って…嘘だろッ!?」

 

 モニターに映し出された解析結果を見て、司令室にいた全員が絶句した。

 それは、通常なら決して有り得ない事だったから。

 

「ネフシュタンの鎧…だと…!?」

 

 思わず冷や汗を流す弦十郎。

 まさか、二年前のツケが今頃になって支払われる羽目になるだなんて、誰一人として想像もしていなかったから。

 

「現場にいる疾風くん達に急いで知らせろ! 俺も今から現場に急行する! 不幸中の幸いと言うか…兎に角、これは間違いなく千載一遇のチャンスだ! 絶対にネフシュタンを確保する!!」

「「了解です!!」」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 それは、司令室が急に騒がしくなり始めるよりも少し前。

 ノイズの数がかなり減ってきて、あと少しという所で急に疾風が立ち止った。

 

「疾風? 急にどうしたんだ?」

「いや…ちょっとな」

 

 茂みの方を険しい顔で見つめ、視線を向けたままの状態で翼に質問を投げかける。

 意味不明な言動に、流石の翼も小首を傾げた。

 

「なぁ…翼。ちょっといいか?」

「どうした?」

「お前ってさ…もしかして過激なファンからストーカーされてたりする?」

「いや? そんな事は今までに一度も無いが? もし仮にあったとしても、そんな輩は私がどうこうする前に緒川さんによって拘束されている」

「…それもそっか。あの人ならアホなストーカーなんて一発だしな」

 

 前に一度、疾風は慎次とも組み手をしたことがあった。

 その時に初めて、彼が現代に生きる忍の一族に属している事を知り、その凄まじい強さに舌を巻いた。

 それでも普通に互角に戦っていたのだが。

 

「なら、やっぱりコイツは……」

 

 一見すると何も無い茂みを睨み付け、そこに向けてドリルの先端を突き付けた。

 傍から見ていると『何をしているんだ』と思われるが、彼女は真剣だった。

 

「おい…さっきからコソコソと私達の事を見てるストーカー野郎。いい加減に姿を現したらどうだ?」

「「えっ!?」」

 

 自分達が誰かに見られていた? ノイズとの戦闘に夢中になり、二人とも全く分らなかった。

 一番激しく戦っていた疾風だけが、その事に気が付いていたと思うと、彼女の洞察力は一体どうなっているんだと思ってしまう。

 

「…あ~あ。遂にバレちまったか」

 

 茂みの中から声が聞こえる。年若い少女の声だ。

 翼と響はそれに反応したが、疾風は全く表情を崩さない。

 

「遂に? 違うね。私はここに来た瞬間から分かってたよ。お前が待ち伏せていて、私達の事を観察していたのを」

「なんだと? じゃあ、どうしてすぐにそれを言わなかった?」

「別に。後回しにしても大丈夫だと思ったから」

「テメェ…! このアタシを舐めてやがんのか?」

「舐めてるんじゃない。純然たる事実を言っているだけだ」

「それを舐めてるって言うんだよっ!!」

 

 突如として、茂みの奥から複数の鋭利な棘が付いた鞭のような物が飛び出し、疾風に向かって襲い掛かってくる!

 だが、どれだけ素早かったとしても、真正面から仕掛けられた攻撃ならば見てからでも余裕で避けられる。

 

「舐めてるのはどっちだ」

 

 そこに実体が無いかのように鞭は疾風の体をすり抜けたが、実際には余りに動きが早すぎて、そんな風に見えているだけだった。

 マッハの動きで攻撃を回避した後に、再び元の場所まで戻ってくる。

 疾風がしたのはそれだけだったが、回避された方に対するインパクトは絶大だった。

 

「アタシの攻撃が…すり抜けやがったっ!?」

「お前がトロいだけだ。それよりも、とっとと出てこい。それとも、私達に怖気付いたか?」

「うるせぇっ!! そこまで言うんならよ…リクエストに応えてやるよ!」

 

 疾風の挑発に乗り、茂みの中から現れたのは……。

 

「そ…それは…! まさか…!?」

 

 白銀の鎧を纏った一人の少女だった。

 その姿を見て、翼は大きく目を見開き動揺を隠せないでいた。

 

「ネフシュタンの…鎧…!」

「なに?」

 

 話だけは聞いていた存在が、その日のうちに姿を現すとは。

 意外な展開に疾風も眉間を動かすが、そんな彼女達を無視してネフシュタンを纏った少女は怒りを露わにする。

 

「さっきの言葉…後悔させてやる! このドリル女が!!」

 

 失われた筈のネフシュタンの鎧の出現。

 これにより、彼女達の運命は更に加速していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

      

            




次回、フルボッコ。誰とは言わない。

最近ふと思ったのですが、なんかキャラ的な意味で疾風は将来的に聖遺物を使わないシンフォギアとか開発しそうな気がするのは私だけでしょうか?




主人公の疾風とのカップリングは誰が良い?

  • クリス
  • 未来
  • マリア
  • 切歌
  • 調
  • まさかの弦十郎
  • まさかまさかの慎次
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