もう一振りの天羽々斬   作:とんこつラーメン

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今作品にて疾風が歌う楽曲は、基本的に『ゲッターロボが関わった作品の曲』に限定されています。

それは即ち、なにもゲッターロボシリーズのOPだけではなく、過去にゲッターが参戦したスパロボの曲、或いはアナザーセンチュリーズエピソード3の『あの名曲』とかも該当します。

なので、意外と彼女の持ち歌は豊富だったりします。






これが女子会?

 腹部の怪我も無事に完治し、ちゃんと退院できた疾風。

 最初は二課の皆に心配され、次の瞬間には『疾風ちゃん退院祝い』と称して、またもやパーティーを開いていた。

 

 そんな事があった数日後…。

 

「あ! 疾風ちゃーん! 翼さーん! こっちこっちー!」

「あんなに叫ばなくても聞こえてるッつーの」

「休日でも元気なのだな…立花は」

「まぁ…らしいと言えばらしいけど」

 

 前に言っていた通り、今日は響や翼たちと一緒に女子だけの退院祝いと言う名の遊びに出かけていた。

 全員が共通して知っている公園にて待ち合わせをしていたのだが、その途中で偶然にも疾風と翼が合流、そのまま二人一緒に待ち合わせ場所まで向かう事になった。

 その最中、翼がずっと顔を赤くしながら疾風の左手を握ろうと何度も挑戦していたのだが、何も出来ないまま到着してしまった。

 

「お待たせ」

「待たせてしまったか?」

「大丈夫です。私達もついさっき来たばかりですから」

 

 まるでデートの待ち合わせのようなセリフ。

 本人達にその気は無くても、他者にはまるで百合のように聞こえてしまうのは仕方がない事なのか。

 

「あ。翼さん…メガネかけてる」

「一応な。変に騒ぎになって台無しにされたくはないし」

「ほぇ~…アーティストも大変なんですねー…」

 

 因みに、今日の休日も慎次が頑張ってスケジュールを調整して捻出してくれたお蔭で取れたものだ。

 彼には本当に感謝しかない翼だった。

 

「ね…ねぇ…響。本当にあの『翼さん』…なんだよね? あの歌手の」

「そうだよ。翼さん、紹介しますね。私の親友の未来です」

 

 響に背中を押されるような形で一歩だけ前に出され、翼の真正面に立ってしまう未来。

 常日頃から顔を突き合わせているメンバーとは違い、未来にとっての翼は有名な歌手であり芸能人。

 一般人である彼女からしたら普通では絶対に会えないような相手。

 緊張してしまうのも無理はないことであった。

 

「えっと…初めまして。小日向未来…です」

「風鳴翼だ。こちらこそよろしく頼む」

 

 初対面の相手にも柔らかい反応。

 芸能人って凄いなーと思ってしまう未来だった。

 

 何気に忘れられがちではあるが翼も立派なリディアンの生徒であり、以前に一度だけ遠目から翼の事を見た事がある未来ではあったが、それはあくまで一方的な事だったので翼の方は全く気が付いてはいない。

 なので、翼にとってはこれが『初めまして』になるのだ。

 

「もしかして、疾風と翼さんって仲が良かったりする?」

「んー…そうなんじゃないか? 今まで余り『親友』ってのがいた経験が少ないから良く分からないけど。少なくとも、一緒にいて不快じゃないから『知り合い』以上の関係なのは確実だな」

「そ…そっか…私と疾風が親友…か」

 

 嬉しいような。それでいて少しだけ残念なような。

 何とも複雑な乙女心の翼だった。

 

「そ…そういえば! 疾風!」

「どうした?」

「響から聞いたよ! バイト先で大怪我したんだってっ!?」

「あぁー…」

 

 言っちゃったのか―…なんて思いつつも、こいつに隠し事なんて無理かーと考え、同時に『良い具合に誤魔化したな』とほんの少しだけ感心した。

 

「ちょっとな。私だって完全無欠ってわけじゃない。怪我だってすれば病気だってする。今回が偶々そうだったってだけさ」

「もー…気を付けてよね? ただでさえ疾風はこう…儚げなイメージが強いんだから」

「儚げって…初めて言われた」

 

 まるで我が事のように疾風を心配する未来を見て、翼と響は心の中で全く同じことを思った。

 

((…お母さん?))

 

 まだ本格的に知り合って日は浅いにも関わらず、もう既に疾風の事を押している。

 今まではずっと自分の方がリードする側だったので、逆にこうしてリードされるのには弱いのかもしれない。

 

「分かったよ。今度からは気を付ける」

「お願いね。響は勿論だけど、疾風の事も心配なんだから」

「ん…りょーかい」

 

 これまでの人生の中で二課の人間以外の相手に心配されたことなんて皆無に等しいので、どんな反応をしていいのか分らない。

 申し訳ないとは思っているのだが、その表現の仕方を知らない。

 

「それじゃ、皆で『ふわらー』に行こう! もうお腹ペコペコだよ~」

「もう昼近いしな。歩いていればいい時間になるだろ」

「その間に腹も空くかもしれんしな」

「だね。じゃあ、私と響で案内するね」

 

 こうして、女子四人の時間が始まったのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「おばちゃーん!」

「あいよー…って、響ちゃんと未来ちゃんかい? それと…」

 

 響や無垢の行きつけのお好み焼き屋である『ふらわー』に到着すると、すぐに響が扉を開いて、まるで実家のように店主である女性を呼んだ。

 この様子から察するに、かなりの回数訪れているようだ。

 

「私のバイト先の先輩と、そのバイト先で出来た新しい友達だよ!」

「「初めまして」」

「これはこれは、どうもご丁寧に」

 

 幼き頃から防人として厳しく教育されてきた翼は勿論のこと、疾風もまたちゃんと礼節を弁えていた。

 意外と祖父の血を色濃く受け継いでいるのかもしれない。

 

「けど、こんな日に来るなんて珍しいね。どうしたんだい?」

「実は……」

 

 響では上手く説明できないと判断したのか、未来が代わりに説明することに。

 それを聞いて、おばちゃんは笑顔で応えてくれた。

 

「成る程ねぇ…退院祝いに皆でここへお好み焼きを食べに…ね。嬉しい事を言ってくれるじゃない」

「私が単純に入院中に粉物が恋しくなっただけなんだけどな」

「それでもいいじゃないのさ。ベッドの上にいても何かを食べたいって思えるのは、元気がある証拠さね」

 

 疾風の事を見つめながら明るく笑うおばちゃん。

 彼女にも疾風の右腕がない事は見えている筈だが、その事には全く触れようとしないどころか、全く気にも留めない様子。

 他の健常者達と全く変わらない感じで接してくれるおばちゃんを見て、疾風は『私も行きつけにしようかな』と密かに思った。

 

「今日は空いてるからね。好きな席に座りな」

「「「「はーい」」」」

 

 好きな席…と言ったが、案の定4人は仲良く並んで座った。

 右端に響が座り、その隣に未来、次に疾風が座り、一番左に翼が座った。

 つまり、響と翼に未来と疾風が挟まれるような形となった訳だ。

 

「で、何にする?」

「「「「豚玉ください。え?」」」」

 

 まさかの四人全員が同じ注文。

 これにはおばちゃんも思わず一瞬だけ呆けた後に大笑いした。

 

「あはははははははは! アンタ達…本当に仲が良いんだねぇ! よーし! 腕によりをかけて作ってやるからね! 少しだけ待ってな!」

 

 おばちゃんが準備をしている仲、四人はお互いに顔を見合わせながら微笑を浮かべていた。

 

「まさか、全員が同じ物を注文するとはな…。店主の負担が軽く済みそうではあるが…」

「やっぱ、ふらわーに来たら最初は豚玉一択ですから!」

「私は響が豚玉を頼むと思ったからなんだけど…二人はどうして?」

「お好み焼きと言ったら王道の豚玉だろ」

「他に思いつかなかったから…かな」

 

 それでも四人が同じ物を注文するのは中々の確率だろう。

 この短時間でもう既に四人の中は想像以上に深まっていたのかもしれない。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「豚玉四人前おまち!」

「「「「おぉ~」」」」

 

 少女達の目の前に並べられたのは、出来たてほやほやの豚玉のお好み焼き。

 ソースの黒とマヨネーズの白のコントラストが食欲をそそり、その上で踊っている鰹節がまたたまらない。

 因みに、ちゃんと疾風の所にだけちゃんと割り出しではなくフォークが置いてあった。

 

「冷めないうちにたんと食べな!」

「「「「いただきます」」」」

 

 響たちは箸を使って、疾風はフォークを使って器用にお好み焼きを切ってから、一口パクリ。

 

「「「「美味しい~♡」」」」

 

 常連である響と未来は当然のように、初めて食べる疾風と翼は驚いたように美味しさに打ち震えていた。

 

「お好み焼きとか凄く久し振りに食ったけど、こんなに美味かったっけ? お世辞とか抜きにしてマジで凄く美味いんだけど」

「あぁ…私も余りお好み焼きとかは食さないのだが、これは間違いなく絶品だな。素直に感動したぞ」

「ですよね! やっぱりふらわーのお好み焼きは最高ですよね!」

「もう…気持ちは分かるけど、響ってば興奮し過ぎ」

 

 それからはもう、夢中になってお好み焼きを食べていく女子四人。

 口にソースが付く事もお構いなしに食べ進めていく少女達を見て、おばちゃんも嬉しそうに微笑んでいた。

  

 そして、あっという間に四人は出されたお好み焼きを平らげてしまった。

 

「「「「ごちそうさまでした!」」」」

「お粗末様でした」

 

 余程美味しかったのか、四人は皿の上にあったお好み焼きを綺麗に食べ、非常に満足そうにお腹をさすっている。

 

「ふぅ…ここまで夢中で食事をしたのは初めてだ。冗談抜きで大満足だよ」

「そうだな。これからの食事のレパートリーを変えたくなった。こういうのも偶には悪くないな」

「喜んで貰えたようでなによりだよ。これからも遠慮なく来ておくれ!」

「「はい!」」

 

 こうして、満足の内に女子四人の『退院祝い』は終了したのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 ふらわーを出て腹ごなしに暫く歩いていると、ふと響が街頭の時計を見ながら、こんな事を呟いた。

 

「まだまだ時間があるねー…。もう解散…ってするには早いよねー」

「そうかもだが、だからと言ってどこに行くんだよ?」

「うーん…」

 

 まだ四人で一緒に遊びたい。

 このメンバーで一緒に出掛ける機会なんて、本当に滅多にないから。

 チャンスは出来るだけ最大限に生かしたい。

 そう思いながら何か無いかとキョロキョロと辺りを見回していると、響の視線にある店が映り込んだ。

 

「あ…そうだ!」

「今度はどうした?」

「皆で『あそこ』に行かないッ!?」

「「「あそこ?」」」

 

 嬉しそうに響が指さす場所にはカラオケ店があった。

 別に年頃の女子達が遊びに行く場所としては全く不自然ではないが…。

 

「おいおい…よりによってかよ。こっちには普段から歌ってるプロがいるんだぞ? こんな時ぐらいは歌から離れさせてやってもいいんじゃないか?」

「私なら平気よ疾風。それに、カラオケなら好きな曲を歌ってもいいわけだし」

「それはそうだけど…」

 

 翼が歌う事を好きなのは疾風だって知っている。

 けど、戦闘中に仕事にと年がら年中に渡って歌に囲まれた生活をしている翼を労いたいと思っているのも事実だった。

 

「それに…」

「それに? なんだよ?」

「疾風の歌も聞いてみたい」

「わ…私の歌を?」

 

 シンフォギアを纏って戦っている時は仕方なく歌ってはいるが、プライベートで歌う事なんて微塵も無い。

 今までずっと『歌』なんてものとは縁が無い人生を送ってきたせいもあるが、それ以上に興味すら抱いたことが無い。

 実際、歌を歌うなんて事をしたのだってシンフォギアを纏うようになってからが初めてだったぐらいだ。

 

「私も疾風ちゃんの歌を聞いてみたい! 行こうよ~!」

「はぁ? おい未来、お前からも何か言ってやって…」

「うーん…私も疾風の歌…興味あるかな?」

「私に味方はいないのか……」

 

 こうして、多数決によりカラオケに行くことが決定。

 今まで行ったことすらない場所なので、どんな内装なのか何気にドキドキしていた疾風でしたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、女子会後半。

カラオケでキャッキャウフフな展開…に?

そして、『本家』から『ハーフ』な『彼』が登場するかも…?



主人公の疾風とのカップリングは誰が良い?

  • クリス
  • 未来
  • マリア
  • 切歌
  • 調
  • まさかの弦十郎
  • まさかまさかの慎次
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