これから彼女はどうしていくのか?
因みに、疾風のギアのモデルは真ゲッター2と翼のギアを融合させたような感じになっています。
勿論、技はゲッター基準で。歌もゲッター。
最後は気合でなんとかします。
特異災害対策機動部二課。
それは、日本政府が認定特災害ノイズに対応する為に生み出した組織であり、表の顔である一課と、裏の顔である秘密組織の二課で構成されている。
本部は『私立リディアン音楽院』の地下に存在している。
その本部の司令室は現在、これまでにない緊張状態に包まれていた。
というのも、最近になって頻発しつつあるノイズの出現に加え、今回は更に厄介なことが起きているからだ。
「まさか…ガングニールの反応が出るとはな…!」
二課の司令である風鳴弦十郎は、この不透明な状況に苛立ちを隠しきれない。
本来ならば失われた存在である筈の力が、いきなり出現したのだから無理も無い。
「翼はどうなっている?」
「現在、ガングニールの反応が出た場所で戦闘中です」
「そうか……」
どんな事になっているかは不明だが、まずは相手の正体を知らない事には何も出来ない。
そう思っている所に、正面モニターに映像が映し出される。
「見慣れないギア…あれが例の反応が出た少女か」
「そのようです。あ…翼さんが駆けつけました」
モニターの向こうでは、青いギアを纏った翼が少女に向かって何かを言ってから戦闘を開始した。
「一先ずはコレで安心…か。問題はここからだな」
ホッと肩を撫で下ろしたところに、弦十郎の背後にスーツを着た男が現れる。
「司令。お待たせしました」
「慎次か」
名前を呼ばれた男は、どこからか書類の束を取り出して自信が調査した内容を報告した。
「例のガングニールを纏った少女の身元が判明しました」
「早いな」
「それが仕事ですから」
書類を捲り、その内容を淡々と読んでいく。
そこには少女の事が事細かに記されていた。
「彼女の名前は『立花響』。私立リディアン音楽館の一回生で、二年前のコンサート事件にも関わっています」
「あの事件の被害者か……」
自分達の不甲斐無さをダイレクトに味合う機会となった事件。
そして、大切な仲間を失った事件でもあった。
弦十郎にとっては更に別の意味を持つ事件でもあるが。
「あの事件の傷跡は…全く消えてはいない…ということか…」
二課の人間の殆どが、あの事件の事を詳細に覚えている。
忘れたくても忘れられないというのが本当だが。
「遅れてごめんなさい。状況はどうなってるの?」
「了子くん」
形だけの謝罪をしつつ入ってきたのは、白衣を着て眼鏡を掛けた女性。
彼女の名は『櫻井了子』。この二課専属の研究者で、実質的な頭脳とも言うべき存在でもある。
「見ての通りだ」
「…色は違うけど、形状だけを見れば私達もよく知る『ガングニール』そのものね」
「あぁ…だが…」
「分かってるわ。問題なのは、それを纏っているのが全くの素人の女子だって事。どうしてこんな事に……」
「さぁな…こちらが聞きたいぐらいだ」
「でしょうね。あの子の体を調べれば少しは分かるかしら?」
遠まわしに言っているが、要は『響を此処まで連れてこい』と言っているのだ。
弦十郎としても、どんな事情があれシンフォギアを纏った以上はこのまま静観している訳にはいかない。
まずは色々と話をしなくてはいけない。
「こ…これはっ!? 司令!!」
「どうしたっ!」
「翼さん達がいる場所とは離れた場所から別のアウフヴァッヘン波形が検知されました!」
「なんだとっ!?」
「私も解析を手伝うわ」
「ありがとうございます!」
了子が空いている席に座って機器を操作して素早く解析を進めていく。
普段は飄々としていながらも、その内は冷静沈着な彼女の顔にも僅かな焦燥が見て取れた。
「場所は…かなり遠いわね。市立図書館がある所から少し行った場所だわ」
「図書館…!」
それを聞いて、弦十郎は猛烈に嫌な予感がした。
実は、昨夜の食事の時に今日の予定を疾風から聞かされていたからだ。
「疾風くん……無事でいてくれ…!」
あの事件で生き残った被害者達の中で、肉体的被害を最も受けているのが彼女だった。
そんな彼女を現場で見つけ、病院へと連れて行ったのが弦十郎だった。
どんな形であれ、あの事件に関わった人間として彼は疾風に償いをしなければいけないと思っている。
先日、少しずつではあるが彼女が自分に心を開きつつあるのを知った弦十郎だからこそ、疾風の事を必要以上に心配するのは当然とも言えた。
「結果…出たわ! これは…!」
了子はゆっくりと振り返りながら、静かに解析結果を呟いた。
「天羽々斬……二ヵ所目から出ているのは天羽々斬の反応よ!」
「なんだとぉっ!? だが、翼は……」
急いでモニターを確認すると、そこには未だにノイズ相手に剣技を放っている翼の姿が。
あの場所から彼女は一歩も移動をしていない。
「反応がある場所をモニターに出すわ!」
そうして映し出された映像には……誰もが見た事のないギアを纏った疾風がノイズ相手に一人で戦っている姿があった。
「疾風くん!」
予想はしていた。もしかしてと考えたりもした。
それでも、どうかそれだけは有り得ないでくれという思いもあった。
だが…現実は余りにも非情だった。
「待って。その疾風って…もしかして、あの時の…?」
「そうだ…。あの事件の時…飛んできた翼のアームドギアの刃と破片によって右腕と左手の薬指と小指を失った少女だ…!」
またもや、あの事件の当事者。
偶然とは思えない出来事に、司令室にいる者達は全員言葉を失った。
「確か、胸の部分にも破片が突き刺さったって言ってたわね…?」
「あぁ…心臓の近くまで潜り込んでいるらしく、摘出は不可能だと判断されてな。幸い、余程の事が無い限りは命に別状はないから大丈夫らしいが……」
だからと言って、そのまま放置していていい理由にはならない。
普通の破片ならばいざ知らず、刺さっているのは聖遺物の欠片なのだから。
「…慎次」
「はい。翼さん達の所に行けばいいんですね?」
「頼む…」
「了解です」
返事をするが早いが、慎次は一瞬でいなくなった。
「この子…凄いですよ。あれだけいたノイズが瞬く間に消えていく…」
オペレーターの一人である藤尭朔也が目を見開きながらモニターを見る。
同じような状況である響とは違い、明らかに戦い慣れている様子だ。
「普通…とは言い難いからな…疾風くんは」
「どういう事?」
「身体能力は超高校生級。身軽さだけならば慎次とほぼ互角か、それ以上の可能性もある」
「嘘でしょ…?」
全く訓練をしていない少女が、訓練に訓練を重ねている歴戦の猛者と互角。
もう一人のオペレーターである友里あおいは信じられないと言った顔で弦十郎の顔を見た。
「更に…以前、試しに疾風くんにIQテストをやらせてみた事があるんだが……」
「結果は?」
「IQ300。正真正銘の天才児だ」
「300って…それホント? とてもじゃないけど信じられないわよ?」
「俺も最初は目を疑った。だが、何度やっても結果は同じだった」
「世間に隠れた天才…ってことね」
「本人に自覚は無いようだがな……」
そうして話している間にも、モニターの向こうの疾風は次々とノイズを蹴散らしていく。
全員の視線は、本来ならば存在しない筈の場所に装着されている巨大なドリルに向けられていた。
「もしや…あのドリルが疾風君のアームドギアなのか…?」
「そうみたいね。初めてギアを発動させたにも拘らず、もうアームドギアが出現しているなんて…前代未聞だわ。翼ちゃんや奏ちゃんでも相当に苦労してたのに…」
それは、疾風が『天才』だからなのか。それとも、また別の要因が起因しているのか。
了子は表情に出さないまま、頭の中で必死に考察をしていた。
(まさか、イレギュラーが二連続で発生するとはね…。けど、あっちの子は本当に謎が多いわ…。特に、技を放つ際に見える緑色のエネルギー…あれは一体…?)
やがて、疾風の周りにいたノイズは全ていなくなり、残されたのは未だに興奮状態の彼女だけ。
初めてのギアを使った戦いに、少なからず疲弊はしているようだった。
「終わった…みたいね。あの子はどうするの?」
「俺が行く。他の奴が行くよりは話を聞いてくれるだろう」
「…そう。じゃ、あの疾風って子は弦十郎くんに任せましょうか」
「あぁ…では、行ってくる!」
腹を決めた弦十郎は、全速力で司令室を後にし、疾風の元まで急いだ。
「まるで、娘が心配で迎えに行くお父さんみたいね」
本人がいないのをいいことに、好き放題言う了子であった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「はぁ…はぁ…はぁ……どうだ…人間サマの底力を思い知ったか…この野郎…!」
膝を付き、肩で息をする疾風。
今時の少年少女達よりは遥かに喧嘩慣れしているとはいえ、ドリルなんて前代未聞の武器を使って暴れた事なんて一度もあるわけがなく、かなり体力を消耗していた。
「しっかし……本当にこれはなんなんだ…? ノイズに触れても大丈夫どころか、普通に戦えるだなんて……」
どう考えても常識的ではない現象。
まさか、自分に秘められた特殊な能力が命の危機に際して覚醒した?
いやいや…自分は一体どこの中二病患者だ。
そんなのは卒業どころか、最初から入学すらしていない。
「とにかく……疲れた……」
爆笑する膝を押さえながら立ち上がるも、上手く立つ事が出来ず、そのまま後ろに倒れそうになってしまう。
このまま倒れるのもいいか…そう思っていると、誰かが彼女の体を後ろから支えた。
「大丈夫か?」
「弦十郎さん…? んでこんな所に……」
もっともな疑問が頭をよぎるが、それ以上に疲労の方が酷かったのか、疾風が装着していたアーマー…ギアが強制解除された。
ということは、彼女の右腕も元の失われた状態に戻ったわけで。
「ありゃ…元に戻っちまった…」
「それだけ疲れていたという事なんだろう」
「はは…情けねぇな……」
「いや、君は本当によく頑張った」
「んだよ…その口ぶり…見てたのか?」
「それは……」
まだここでは話せない。
今まではずっと隠してきたが、遂に自分達の事を話す時が来た。
いずれは必ず説明をしなくてはいけないと覚悟をしていたが、まさか、こんな形になるとは予想もしていなかった。
「まぁいいさ……なんとなく、アンタが普通の人間じゃないのは見抜いてたしな……」
「そうなのか?」
「少なくとも…表側の人間じゃねぇとは思ってたさ……立ち振る舞いやあらゆる動きに隙が無かった。どれだけ体を鍛えても、隙ってのは絶対に生じるもんだ。なのに、弦十郎さんにはそれが極端に無かった。それだけで十分過ぎるぐらいに判断材料になる」
「…君には敵わないな」
支えていた疾風の体を抱きかかえ、そのまま背負う体勢になる。
その手付きはとても優しく、彼女の事を気遣っている証拠だった。
「非常に申し訳ないのだが…今から君をある場所へと連れて行かなくてはいけないんだ」
「そっか…別にいいよ。さっきのアレに付いて話してくれるんだろ?」
「なんでそう思った?」
「弦十郎さんさ…私の格好を見ても全く驚いてなかったじゃん。普通、何にも知らない人間があんなのを見たら絶対に何らかのリアクションはするだろ。けど、アンタの場合は完全な無反応だった。ってことは、アレに関して最初から知っていたって事になる。違うか?」
「…疾風くんに隠し事は出来ないな」
腹芸では絶対に敵わないと観念したのか、弦十郎は大きく息を吐く。
「そういや…あそこに私の鞄があるんだ。行く前に取ってくれると助かる」
「あれだな。勉強道具が入ってるのか?」
「うん…昨日も話したけど、今日は図書館で勉強してたし……」
今時の子供にしては本当に珍しい勉強好きな少女。
いや…勉強をしたくても出来ない環境だったからこそ、勉強好きになったのかもしれない。
「なんか…眠たくなった。ちょっと寝る…」
「あぁ…着いたら起こしてやる。それまでゆっくりと眠っているといい」
「うん……ありがと……」
それだけを言うと、疾風は静かに目を閉じて寝息を立て始めた。
「俺は…俺達は…これから君達に過酷な選択を迫る事になる…。許してくれなんて言うつもりはない…好きなだけ恨んでくれていい……」
眠っている疾風の事を考えて、出来るだけ揺れないように歩き出す。
それが功を奏したのか、彼女は全く起きる気配が無い。
「君だけには…穏やかな人生を送って欲しかったが…どうして、こうなってしまうんだろうな……」
それは誰に対して言った言葉なのか。
呟きは静寂の戻った街中に虚しく消えていった。
次回、響や翼と初めての出会い?
翼に対してどんな反応をするのやら。
主人公の疾風とのカップリングは誰が良い?
-
響
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翼
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クリス
-
未来
-
マリア
-
切歌
-
調
-
まさかの弦十郎
-
まさかまさかの慎次