もう一振りの天羽々斬   作:とんこつラーメン

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スマホを新調しました。

最新のスマホって凄いですね。

今までずっとカクカクだったのに、ヌルヌル動くようになりました。

まるで別のゲームみたいでした。







歌とドリル

「FG式回天特機装束…シンフォギアシステム…ね」

 

 了子からシンフォギアの説明を一通り聞いた疾風は、まるで新しいおもちゃを与えられた子供のような笑顔を浮かべた。

 因みに、これで二度目となる説明にも拘らず響は相変わらず頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。

 

「理解出来たかしら?」

「一通りはな。欠片の中に残留している聖遺物の力が適合者の歌によって活性化してエネルギーに還元された後に鎧の姿に再構成される…ね」

「何かおかしいかしら?」

「別に? ただ……」

「ただ?」

「歌っつっても所詮は音…即ち『空気の振動』…物理現象だ。正確には歌というよりは特定の振動波が一種のパスコード…起動キーになっているんじゃないのか?」

「…どうして、そう思ったのかしら?」

「だって、歌で起動するオーパーツだなんてメルヘンチックすぎるだろ。私はニチハチの変身ヒロインじゃないんだッつーの」

 

 了子と真正面から専門的な事を話している。

 それだけでも、二課隊員達を驚愕させるには十分だった。

 

「しかも、ギアを装着する事で身体能力が向上するだけじゃなくて、音波振動衝撃…つまり音のバリアーみたいなもんでノイズの浸食を防護する事が出来る上に、ノイズ共の存在率を調律して私達側の物理法則下に強制固着させ、こっちの攻撃を有効化させる…位相差障壁の無効化…ね。ノイズに銃弾などが通用しないのは前々からおかしいとは思っちゃいたが、まさか自らの存在確率を自在に操作できる能力があるとは思わなかった。それなら軍隊連中があれ程までに無力なのも頷けるってもんだ。そもそも、最初から相手に命中さえしてないんだ。勝負をするしない以前の問題じゃないか」

「それだけじゃないわ。ギアには装者の肉体を保護する防御性能も非常に高くて、多種多様な衝撃の緩和に加えて、理論上は宇宙空間での活動や大気圏の突破や再突入も出来るの」

「それを試したことは?」

「あるわけないでしょ? それこそ、ノイズが宇宙にでも出現しない限りは検証すら出来ない機能なの」

「…シンフォギアの製作者はアンタだろうが」

「だから…よ。言ったでしょ? 『理論上』だって」

「まぁ…宇宙になんてそうそう行けるわけないしな……」

 

 辛うじて二課の者達は話に付いていけているが、響は完全に頭から知恵熱を出してKOしていて、実際にギアを纏って戦っている翼もまた目が点になってしまっている。

 まだ出会って間もない少女が、あっという間に自分以上にシンフォギアに詳しくなってしまったのだから当然だ。

 

「あの『歌』はなんなんだ? 今思い出したんだが、なんか無意識のうちに口ずさんでたんだよな……」

「それは、装者の戦意などに共鳴・共振をして旋律を発生させて、それに合わせて歌う事によって能力を向上させる機構になっているからよ」

「戦闘中に歌ってパワーアップとか…増々ニチハチの変身ヒロインじゃないか。起動の際の聖詠は空気の振動説で納得は出来るが……」

「こっちでも観測してたけど、疾風ちゃんの歌…中々に良かったわよ?」

「忘れてくれ……」

 

 自分が華やかに歌うようなキャラじゃない事は、疾風自身が誰よりもよく知っている。

 これから先、ノイズと戦う度に歌わなければいけないと思うと頭が痛くなった。

 今の所、疾風にとってシンフォギアとは理不尽に立ち向かう力であると同時に、黒歴史製造機にもなっていた。

 

「因みに、ギアの装着後には胸元に集音マイクがあったりするの」

「……それも、ギアの能力向上に必要な機構…なのか?」

「勿論! 基本的にシンフォギア装者は歌いながら戦うのが前提となっていて、ダメージなんかで一時的に歌が中断でもされると能力が減衰してしまうの」

「良くも悪くも歌次第…ってか」

 

 もう溜息しか出ない。

 そんな事をしながら戦っている翼の事を、ほんの少しだけ凄いと思った。

 

「更に言えば、シンフォギアの戦闘能力を左右するのは、装者の身体能力や運動神経などではなく、精神力だってデータがあるの」

「なんじゃそりゃ。古代の遺物を最新技術の塊で実用化したと思ったら、結局は根性論だぁ? ふざけてんのか?」

「ふざけてなんかないわよ。実際にそんなデータが出てるんだから。そんなに信じられないなら、後でデータを見せてあげましょうか?」

「いいのか? まだ私はここに来て一時間も経ってないような人間なんだぞ?」

「別にいいわよ。どうせ、他の皆に話したってだ~れも理解してくれないし」

「だろうな」

 

 そもそも、専門家と専門分野について話せというのが無理がある。

 相手からしたら、了子の話はそれこそ未知の言語にも等しいだろう。

 

「最後に、アームドギアの事に付いて説明をしておかなくちゃね」

「アームド…つまりは武器の事か?」

「ピンポーン。アームドギアっていうのは、シンフォギアの可変・可動式主武装の事を言うの。聖遺物内に蓄積されたエネルギーが武装の形状に固定される事で発生して、元の聖遺物の形態と装者の心象によって異なる武器へと変化するの。剣に関する聖遺物ならば刀剣類、槍に関する聖遺物ならばランスとかにね」

「それって、すぐに使えるのか?」

「まさか。アームドギアのイメージをちゃんと固定させるにはそれ相応の資質と才能、あとは長期に渡る経験が必須なの」

「私は最初から、それっぽいのが使えてたけど? というか、あの義手とドリルを兼ねてるのが私のアームドギアなのか?」

 

 あの時、神経接続なんて全くしていないにも拘らず、疾風はあのドリルの付いた義手を簡単に動かせた。

 動かすだけならまだしも、あのドリルは完全に自分の意志で高速回転していた。

 普通ならば有り得ない事だが、それが聖遺物の仕業となれば話が変わってくる。

 なにしろ、相手は何から何までが未知数の存在。

 何が起きても決して不思議ではないのだ。

 

「そうなのよね~…。同じような境遇の響ちゃんは全くアームドギアなんて発現出来てなかったのに、どういう訳か疾風ちゃんは最初から当たり前のように使いこなしてたのよね~…。しかもドリルって……」

「ドリルがそんなにおかしいのか?」

「おかしいわよ! 確かに、装者が心の奥底に強大な意思を秘めていたりする場合はアームドギアにもその影響が現れて武装が変化する場合もあるかもしれないとはされているけど……」

「けど?」

「それでも、そこまで大きな変化はない筈なの。例えば、弓の聖遺物から銃器が発生したりね。その場合はどちらも『遠距離武器』って共通点がある」

「確かにな」

「…疾風ちゃんの事だから、もう分かっているとは思うけど…アナタの胸の中に深々と埋まっているのは翼ちゃんの持つギアである『天羽々斬』の破片なの」

「……で?」

「本来ならば、疾風ちゃんのアームドギアも刀剣類とまでは行かなくても、それに近い何かになるのが普通なの! それなのにドリルって何ッ!? 剣とドリルって何一つ共通点が無いじゃないの! ドリルって重機よっ!? 穴を掘る道具よっ!?」

 

 了子の言っている事は実に正論で最もだった。

 だが、そこに待ったをかける者達が現れた。

 

「いや…了子くん。それは違うぞ」

「げ…弦十郎くん?」

 

 この場にいる全ての男性陣が腕組みをして堂々と言い放つ!

 

「ドリルとは即ち…漢の浪漫だ!!」

「知らないわよっ!!」

 

 弦十郎の言葉に全男性陣が大きく頷く。あの慎次でさえも。

 

「カッコいいじゃないかドリル。俺は良いと思うぞ、疾風くん」

「そ…そっか。まぁ…別にアレで戦えない訳じゃないしな……」

 

 寧ろ、驚くぐらいにしっくりと馴染んでいた感じさえある。

 まるで、何度も使っていたかのように(・・・・・・・・・・・・・)

 

「お…叔父さま達は一体何を話してるんだ…?」

「さぁ…?」

 

 年頃の少女である翼と響には全く理解出来ない領域の話だった。

 彼女達がこれを分かるようになるのはいつになるだろうか。

 

「でも…疾風ちゃんって凄いんだね…。私なんて、最初から何を言ってるのか全く分からなかったし……」

「いや…それが普通だと思うぞ? 私の場合は、色々と勉強していたから話に付いていけてただけだし…」

「勉強?」

「あぁ。警報が鳴ってノイズが出て来る直前まで図書館で勉強してたし」

「図書館で勉強…あれって都市伝説じゃなかったんだ……」

「お前は何を言ってるの?」

 

 疾風にとっては普通の事だが、勉強が苦手な響にとっては図書館なんて最も縁が無い施設だった。

 少なくとも、小学生の時に書いていた読書感想文の指定本を借りに行く時ぐらいしか行った記憶はない。

 

(この類稀なる頭脳に、すぐに顕現してみせたアームドギア…。神疾風…こいつは間違いなく立花響以上のイレギュラーだ。可能であれば早々に消しておきたいところだが……あの戦闘力を見るに、今の状態では返り討ちに遭うのが関の山。ならば……)

 

 了子が真剣な顔をしながら響と話す疾風の事を見つめる。

 決して興味本位で見ているのではなく、まるで『敵』でも見ているような視線だった。

 

「そういや、もう一つ聞きたい事があるんだった」

「なにかしら?」

「実は…ノイズ共に襲われてシンフォギアを纏う直前に変な記憶を見たんだ」

「変な記憶?」

「あぁ。なんて言えばいいのかな……自分じゃない自分の記憶とでも言えばいいのか。顔なんて全く知らない。声も聞いたことが無い相手なのにも拘らず、なんでかソイツのことを物凄くよく知っているように感じたんだ」

「自分じゃない自分の記憶…?」

「ずっと誰かに話しかけているような口調でな。私に向かって話しているんじゃないのは間違いないんだが……」

 

 確かに了子はシンフォギアシステムの開発者であり、同時に『櫻井理論』の提唱者でもある。

 そんな彼女も、疾風が述べたような現象を聞くのは初めてだった。

 

「しかも、年齢もバラバラなんだ。学生時代のもあれば、スーツを着てそれ相応に歳を取った姿もあった。あれは恐らく…17歳ぐらいから28歳ぐらい…一番上は48歳ぐらいか? まるで、一人の人生を見ているような気分だった」

「あの直前にそんな事があったのか……了子くんは何か分かるか?」

「いえ…完全に初耳だわ。今までにもそんな現象は確認されてないし……」

 

 疾風が嘘をついているようには思えない。

 彼女がこの場で嘘を付くメリットはないし、無用の嘘をついて混乱をさせるような悪趣味な人間でないのは、この短い時間で良く分かった。

 となると、増々分からなくなる。

 

「…ねぇ…疾風ちゃん。この後って時間あるかしら?」

「たっぷりあるけど? 基本的に昼間は暇人だしな。時間が時間だから腹は減ったが」

「ご飯なら私が後で奢ってあげるわ。それよりも、疾風ちゃんの体を調べさせてくれない? 響ちゃんの方はもう調べたんだけど、アナタの方も調べておきたくて」

「構わないよ。私も、今の自分の身体がどうなっているのか気になっていたからな」

 

 本当は病院などに行くのが一番だと分ってはいるが、保険証なんて持ってない疾風が行けば多額の金が掛かるし、それ以前に疾風は病院に空気や薬の匂いが苦手だった。

 なので、タダで検査してくれる上に昼食まで奢って貰えるだなんて疾風にとっては渡りに船だった。

 向こうは自分の身体のデータが欲しくて、自分もまた今の状態を知りたい。

 その例として昼飯を奢るのだから、少なくとも疾風的にはここに貸し借りは存在していなかった。

 互いが互いを利用しているようなものだから。

 

「疾風くんの体の検査か。確かに一度はしておかなくてはいけないだろうな。だが、その前に疾風くんと響くんに頼まないといけない事がある。正直…余り良い答えは期待できないが……」

 

 弦十郎が非常に気まずそうに話に入ってくる。

 ここでようやく本題かと思い、少しだけ肩の力を抜いた。

 何故なら、弦十郎が言おうとしている事がなんとなく予想出来たから。

 

「疾風くん…それから響くん……どうか、我々に協力をしてくれないだろうか?」

 

 やっぱりな。

 そう言う意味を込めて、疾風は盛大な溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 




まだまだ話は終わらないんじゃよ。

いつも通り、本当はもっと短く纏めるつもりが、いつの間にかここまで長くなってしまう『キャラが勝手に動く現象』に巻き込まれました。

今回は殆どが疾風と了子の会話でしたね。

今度こそは別の意味での本題に触れたいですね。



主人公の疾風とのカップリングは誰が良い?

  • クリス
  • 未来
  • マリア
  • 切歌
  • 調
  • まさかの弦十郎
  • まさかまさかの慎次
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