ゲラート・グリンデルバルド成り代わり主がDC世界でスーサイドスクワッドに入る話   作:抹茶アイス大好き

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ラットキャッチャー2かわいい(挨拶)
ホグワーツレガシーやりたい。でもPCのスペックゴミすぎてできない……



ホラー映画

 

雨が本格的に降り始めたので、杖を上に向けて傘を差す。

 

視線の先には、よく分からない動きを続けるフラッグ。

立って、屈んで、意味もなく歩き回って、頭を掻き毟る。

悩み苦しんでいるのだろう、可哀そうな人がよく陥っている現象によく似ている。

 

そんな様子を見ていると他人事のように──実際他人事だが──見ていると、フラッグがこちらに向かってくる。

 

「俺は……どうすればいいんだ」

 

おっと、人生相談か。いいよ、そういうのは慣れてる。

 

さて、では今世での人生相談の戦歴を振り返ってみましょう。

 

『苦しいんです。彼女との記憶が頭から離れなくて──』

 

忘却せよ(オブリビエント)

 

『私は本当にこのままでいいんでしょうか。あんな外道にだって愛する家族が──』

 

忘却せよ(オブリビエント)

 

『くっころ──』

 

服従せよ(インペリオ)

 

わりと呪文頼りですね……

しかし、ここでは呪文は最終手段。まずは話術で頑張ります!

 

一旦、息を大きく吐きゆっくりと口を開く。

 

「敵を倒してウォラーを救出するんじゃないのか?まだ任務は終わっていないんだろう」

 

ごめん。私は進路相談とか向いてないや。

めっちゃ冷たいこと言ってる自覚はある、

 

「俺一人じゃ無理だ。エンチャントレスどころかもう一体とも戦いになるかも分からない」

 

「特殊部隊Xはどうした。彼らは凶悪犯だろう」

 

「でも彼らは人間だ。任務に参加するか選ぶ権利がある」

 

思わず目を見開く。

ちょっと意地悪なことを言ってみたが、まさかここまで絆されているとは思ってなかった。

 

ハーレイ・クイン。殺人・傷害・強盗罪その他諸々数えるのも疲れるほど。

デッドショット。殺人罪が数十件。

キャプテン・ブーメラン。強盗罪98件に加え強盗致死傷罪が54件。ぬいぐるみフェチ……は罪じゃないな。今は多様性の時代。それもいいと思うよ。

エル・ディアブロ。自首したとはいえ放火罪と殺人罪。さらにはギャングのボスとしての余罪あり。

 

そんな字面だけ見れば即死刑の人でなしも、実際に見てみれば印象が変わったという話だろう。

何しろ、このフラッグという男は善人だ。

特殊部隊Xメンバーの罪状を新聞で見れば『死刑になって当然だ』『こいつらは自分と違ってイカレてるんだ』と思う一般人に、軍人としての価値観を隠し味にちょっとかけました程度の感性でしかない。

 

だから最初は容赦なく特殊部隊Xの爆弾のスイッチを押せた。

だから今はもう押せない。

 

彼らが仲間として戦ってくれる人であることを知ってしまったから。

 

これは、割とよく聞く心理現象だ。

ヤンキーが子犬を拾っているのを見て、本当は優しい人なんだと認識を変えてしまうあれだ。

 

そんな心理テクニックの成り損ないに見事フラッグは堕ちてしまったわけだ。

 

「あんたは、あんたの力なら?」

 

「俺はお前たちとは別に目的がある。そのうえで、あの魔女を排除するのに協力してやる。それでお前はどうなんだ」

 

おら!お前の覚悟を見せてみろぉ!!

 

「お前はなぜ魔女を倒そうとしている。それは軍人として任務を達成するためか?恋人を助けるためか?それとも魔女を倒して世界を救うためか?」

 

はい皆さん。ここ、大事なところです。

 

フラッグは俯いたまま顔を上げない。

 

「随分といいように魔女を使ったようだな」

 

答えないフラッグを無視して、先ほどから自己主張強めになった光の方向に目を向ける。

見た当初は何じゃあれ状態だったが、本格的に動き出した今なら分かる。

あれは兵器だ。魔力を糧にして動く破壊兵器。目算だが少なくとも射程は北米大陸全域。威力は絶大。

多分、ホグワーツ決戦の護りの呪文も一発でお陀仏だろう。

 

マジでどうやって動かしてんだ、あれ。

あれを動かすだけの魔力があるという事実だけで、かなり強いことは確定。

 

「恋人を……ジューンを助けたい」

 

喉から絞り出すように言葉を紡ぐフラッグ。

 

「任務がどうとか国のためじゃない。魔女とジェーンは今や同じ存在だ。だから、こんなことやめさる。やめさせなくちゃいけない。これ以上彼女を苦しませないために」

 

愛を取ったな。ダンブルドアが喜びそう。

でも──

 

「俺一人が手を貸したところであれに勝てる保証はないぞ」

 

そう、正直あんまし勝てる自信がない。

 

あーごめんなさい。グリンデルバルドのくせに情けないって石投げないで。

おいコラ、フラッグ。嘘やんみたいな顔するな。

 

これにはきちんとした事情があってですね……実は自分、だいぶ年なんですよ。

もう100歳目前で足腰はつらいし、魔力量も減ってるんです。

ほら、若いときはアグレッシブに動いて戦ってたダンブルドアも晩年ではほぼ固定砲台だったでしょ?

 

そんな感じで、さっきまでもわりと無理してました。

というか、魔女ともう一体のデカブツを同時に相手にして勝てるわけないだろ!

 

「そんな……じゃあどうすれば」

 

うわっ、絶望顔。美少女ならまだしもおっさんのはおいしくねぇ。

 

「彼らしかいないだろう」

 

そう、彼らだよ。フラッグも「あっ察し」みたいな顔してるけど。

 

「あいつらが力を貸してくれるわけがない。俺はあいつらを騙していたんだ。事実彼らはここにいない。それに俺はデッドショットの娘から毎日のように送られていた手紙を──」

 

「黙れ」

 

ごちゃごちゃ言うフラッグの胸倉をつかむ。

 

「そうやって自分の過ちから逃げる気か?」

 

ジッと目を合わせる。

ついでに開心術で心中を読み取り、言葉を続ける。

 

「彼らを理解しようとせずぞんざいに扱った自分を恥じているのなら、その恥と向き合え。恋人を助けるのに彼らが必要だ。恋人を止めるんだろう」

 

人間は間違える。それがどうした。間違えない人間なんていない。

生きて恥をかけ。間違えるのも恥をかくのも人間の特権だ。

 

これめっちゃ好きな言葉だし励みになるんだよね。

皆もつらいときにどうぞ。

 

よしっ、目に気合が入ったな。

はい、人生相談終了。

んじゃ部隊Xの面々に会いに行きますか。

 

雨が鬱陶しいほど降るなか、二人で特殊部隊Xのいる酒場に入る。

するとそこでは──

 

 

 

 

「「「「かんぱ~い」」」」

 

 

 

 

グラスを掲げて乾杯する皆さんが。

 

うわっ、めっちゃ盛り上がってる。まるで飲み会みたい。

そんな中に乱入すれば、針の筵のように視線が刺さるのも当然ですよね。

 

立ち尽くすフラッグを置いて奥の方に座る。

今の主役はフラッグ。あくまで自分は添え物。

 

「ご注文は?」

 

遠くからハーレイちゃんが声をかけてくる。

でも正直、手間がかかるやつは申し訳ないから普通のでいいよ。

 

「ウィスキーを一杯。ロックで」

 

「えぇーやっぱめんどい。自分で入れれば?」

 

 

……それは酷くない?

 

 

溜息をついて杖を振るい自分で酒を入れる。

ひとりでにグラスや瓶が動き、球状の氷が空中で出来上がるとカランッと音と共にグラスに転がり落ちる。

 

うーん、ホラー映画。

 

そしてウィスキーが入ったそれが、これまたひとりでに空中を動きながら手の中にゴールイン。

一口飲んで視線を前へと向ける。

 

そこではデッドショットにフラッグが何かを手渡していた。

 

 

 

 

 

 

side 特殊部隊X

 

怒りに身を任せ酒場に入ったデッドショットは、自分に続き店に入ってきた面々と酒を飲んでいた。

 

「俺は思ってたんだ。いや、期待してたのかもな。こんな俺でもヒーローになれるんじゃないかって」

 

そう言い切ると、コップの中身を一息に飲み干す。

 

漏れ出た本音。それは実に人間らしい見栄だった。

娘にすごい父親と思われたい。

ただの凄腕の殺し屋としてではなく、軍の特殊部隊が壊滅するような超危険な任務を達成し五体満足で生還した男だと。

それも、その超危険な任務は世界最大の大国の要人を()()というもの。

 

そう、救うのだ。間違いなく胸を張って自慢できる、自分のこれまでの人生とはあまりに釣り合っていない善行。

 

これなら娘は俺を見直すだろう

 

少し幼稚な、男らしい不純な動機を含んだこの任務。

 

こんな自分に訪れた初めてチャンス。ツキが回ってきたと、そう思っていた。

しかし、現実は違った。任務は今までやってきたどんな任務よりも質が悪く、中身も薄汚い殺しだった。

何せバケモノと思って殺していたやつらは、敵によって姿を変えられた一般市民だ。さらには救出した奴も自らこんな状況をつくったも同然で、自業自得としか言いようがない外道だった。

これをどう誇れというのだ。

 

激しい失望。

だが、それは勝手に期待していたがゆえの落差だった。

 

だからこそだろう。

同じく酒を飲んでいたディアブロが口を開く。

 

「期待か……過去は変えられないぞ」

 

「お説教か?」

 

「経験者からのアドバイスだ。自分の犯した罪は消えない。一生、苛まれるだけだ。そんな人生なら死んだ方がマシだ」

 

「だから、お前は死にたがってたのか?その罪に苛まれることから逃げるために?」

 

「……あぁ、そうだ」

 

ディアブロは酒を呷ると自分の半生を語りだす。

 

ごくありふれた家庭に生まれた身にしては異端すぎる力。

その力を思うがままに使いギャングのボスとなり、そして恋に落ち愛する人と結婚した。

二人の愛の結晶のような、子供も二人。幸せの絶頂だった。しかし、頂に至ればあとは下る他ない。

思い浮かべるのは、あの日の夜。

 

『この金は何!?』

 

『違うんだ、待ってくれ。おい、聞いてくれ!』

 

自分の話を聞いてくれない彼女への気持ちが、焦りから次第に怒りへと変わる。

怒り。ディアブロをギャングのボスたらしめた力。それが、制御不能のまま愛する者たちへと向けられた。

 

そしてすべてが終わって我に返ったとき、ディアブロは何もかも失っていた。

帰って来る家を、大切な子供たちを、そして愛する妻を。

 

いや、失ったのではない。自分で完膚なきまでに壊したのだ。

ギャングで、今までやってきたことと同じように。

 

そうして残ったのは後悔だけだった。

 

ディアブロの目には、気づけば涙がたまっていた。

 

「俺はあいつらと普通に暮らしていれば、それで幸せなはずだったんだ。なのにそれを、ぶち壊しちまった」

 

徐々に嗚咽へと変わるディアブロの声。

 

「悔やんでも悔やみきれねぇ」

 

「なら背負いなさいよ」

 

ハーレイが、睨む。

そこに快楽犯罪者の姿はない。ただ、子供を、妻を殺したうえにその罪から逃げたがる臆病者(クソ野郎)を嫌悪する女だった。

 

「泣いて何か期待してたわけ?私たちが、優しく慰めるとでも?」

 

ディアブロを見下すハーレイは続ける。

 

「いい?私たちはそもそも悪党なのよ。普通の暮らしを求めたって無駄無駄。私たちは絶対に手に入れられない、そういう星の下で生きてるのよ」

 

「やめろよ!」

 

ブーメランがテーブルを叩き声を上げる。

酒場の空気がひりつく中、ブーメランは言葉を続ける。

 

「どうして傷口に塩を塗るようなことをするんだよ」

 

「あんたはどうなのよ、ブーマン」

 

「何?」

 

「あんたはどんな生活を夢見てんの?」

 

「俺は好き勝手に金や宝石を手に入れる生活だな」

 

「ほら、やっぱり普通じゃない」

 

「んじゃ逆に聞くが、てめえはどんな生活が夢なんだ?」

 

その質問に、ハーレイの脳裏によぎったのはついさっき死んでしまった恋人だった。

彼と素敵な結婚式をして、二人で子供をつくって暮らす。

 

それは、今までハーレイが過ごしてきた犯罪の日々ではない、()()の生活だった。

 

「プリンちゃんと一緒に生きたい」

 

ポツリとハーレイの口から零れ落ちたそれは、いつものハーレイからは想像できないほど静かで弱弱しかった。

その様子に怒鳴り合いも辞さない態度だったブーメランの勢いが削がれる。

 

「ごめん、さっきは言い過ぎたかも……でも私も間違ったこと言ってないかなーって」

 

ハーレイの謝罪……のようなものに対し、ディアブロはグラスを軽く上げ答える。

 

「気にすんな、お前の言ってたことは正しい」

 

二人の和解で再び和やかな空気が酒場に広がる。

そしてブーメランもハーレイが傷心中なのを思い出し、気を取り直すべくグラスを掲げる。

 

「んじゃ、もう一回気を取り直して」

 

そう言いグラスを掲げるブーメランに残りの面々も続いてグラスを掲げる。

 

そして──

 

 

「「「かんぱ~い」」」

 

 

とにこやかに、酒を呷った瞬間だった。

ドアのきしむ音が雨音を店内に入れる。そして、雨音と共にグリンデルバルドとフラッグが入ってくる。

 

席に着いたグリンデルバルドとハーレイが何やら話しているのを横目に、デッドショットは隣に来たフラッグを見る。

 

「呼んでねぇぞ?」

 

デッドショットのストレートな悪口に、フラッグは黙ったまま腕に付けたタブレットを外すとテーブルの角に叩きつけた。

真っ二つに折れたタブレットが、火花を散らす。

 

「これで自由だ」

 

そう言いフラッグは、犬の手綱を離すように彼らの手綱だったものを放り投げる。

そして、懐から手紙の束をデッドショットに手渡す。

 

「デッドショット、お前の娘からの手紙だ」

 

10を超えるであろう数の手紙の束に、デッドショットは目を見開くと掠れた声を絞り出す。

 

「お前ら、ずっと隠してたのか。俺の大事な娘からの手紙を」

 

「あぁ、毎日来てた」

 

「…このクソ野郎どもが」

 

デッドショットはフラッグの手から手紙の束を毟り取ると、一番古い手紙の封を千切り読み始める。

静かに、ただひたすら愛娘からの手紙を読み進める。

 

そして、読み終え顔を上げるとフラッグに問いかける。

 

「なぁ、あの魔女ってやつは何する気だ」

 

「さぁ、分からない。だが、いいように使った俺たちに復讐する気だろう」

 

「だろうな、俺だってそうする」

 

そう言うと一度手紙を見、告げる。

 

「俺が魔女のところまで連れてってやる」

 

フラッグにデッドショットは詰め寄り、続ける。

 

「いいか、お前らのために戦うんじゃない。娘のだめだ。娘にお前の父親は世界を救ったんだと、胸を張って自慢させてやれる」

 

今度は身勝手な期待ではない。

あの魔女とやらは、世界を滅ぼす気だ。

 

ならば戦おう。

世界を救うために。娘に誇れる自分になるために。

 

「……ありがとう」

 

「話はまとまったようだな」

 

ひっそりと今まで不気味なまでに沈黙を保っていた男が立ち上がり近づく。

 

「あんたもいくのか、グリンデルバルド」

 

「今更ぽっと出の魔女に俺が手に入れられなかった世界を好き勝手されるのは癪に障る。魔女を邪魔するまでは協力しよう」

 

「……背中は頼むぜ」

 

それに続き、入れ墨を体中に彫った男も立ち上がる。

 

「俺も手伝う」

 

「いいのか、ディアブロ。お前は──」

 

「俺はもう逃げない。自分の罪を背負う。この力を初めて誰かのために使うチャンスなんだ。お前らのために使わせてくれ」

 

揺るぎない目で、デッドショットを見るディアブロ。

そんなディアブロの肩をデッドショットは軽く叩き言う。

 

「初めてじゃねぇだろ」

 

「何?」

 

怪訝そうに聞き返すディアブロにデッドショットはにやりと笑い言う。

 

「もう、一回あのビルで俺たちを助けたろ」

 

 

 

 

 




今年は、卒研と院試で忙しくなるんでマジでこれが最後の更新になるかも。
でも、ここまで書いてエタる気はないからそこだけは安心してください。

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