竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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番外編:モンスターと個性訓練・1

 その日の放課後。呼人がいつもどおり放課後の個性の訓練に向かっていると、廊下で声をかけられた。

 

「おーい百竜」

「取蔭か」

「そそ。今から訓練する感じ?」

 

 コスチュームを持った呼人にそう尋ねる取蔭に呼人は頷く。

 

「ああ。演習場を借りてる」

「そ、っか。夜とか時間空いてる日とかある?」

「別に時間を空けようと思えばいつでも良いが……。モンスターについて見たいのか?」

 

 先日A組B組対抗戦において呼人の個性が暴露されその晩に精神世界に招き入れて簡単な説明をした後から、A組B組問わず色々な生徒がモンスター達に関して知りたい、あるいは呼人の強さの秘訣や何か新しい発想がほしいなどと言った理由で呼人に声をかけてくるようになっていた。

 

「そうなんだけど……正直に言うとさ、夏休みの圧縮訓練のときあんた凄い器用に私の攻撃避けたじゃん?」

「ああ、そうだったな」

「あんたの個性見せてもらったときにさ、『あーこれで慣れてたんだな』って思ったんだよね。だからそういうモンスターがいるならなんかヒントとか、戦ってみたいなと思って」

 

 そう言われて、呼人は彼女と模擬戦をした時の事を思い出す。確か身体をバラバラにして飛ばす彼女に対して、呼人はロープを使って一定距離以内への接近を許さなかった。確かにそのとき、モンスター達との経験が生きていたのは確かだ。

 

「それなら今日の夜でも。6時までは絶対訓練するからそれ以降ならいつでも良い。言ってくれたら俺がそっちに行く」

「え、いや悪いよ。てかこっちに来ると絶対物間絡むし」

「俺は別にどっちでも良いんだが」

「ていうかさ、あのあんたの心の中? みたいなところでも戦う練習はできるんでしょ? 演習場いるの?」

「あれはあくまで使えるものが使えるだけだから、力の使い方の制御とかは現実でやらないとできるようにならないんだよ」

「そういうことね。全部できるわけじゃないんだ」

「あくまでめちゃくちゃリアルなイメージトレーニングってだけだから。逆に言えば戦闘経験とかはほとんどあそこでやってる」

 

 その後取蔭と連絡先を交換し、『時間は後で連絡するよ』と取蔭と話して呼人は訓練に赴いた。

 

 

******

 

 

 取り敢えず6時に一旦個性を制御する訓練を終えて携帯の連絡を確認すると、取蔭からメッセージが届いていた。

 

『他にも見たいって言ってるやついるんだけど良い? 良いならやっぱりB組の寮に来てほしいんだけど』

 

 おそらく取蔭が女子か誰かとの雑談の中でその話をし、それに丁度いいと他のクラスメイトが乗っかったのだろう。B組から来る人間がいると言っても拳藤と鉄哲、それに拳藤に引きずられた物間がやってきて呼人の個性をコピーしたときにどうすれば良いか相談していったぐらいで、他のメンバーは交流があまり無かったのもあって話していないのだ。

 

 そのメッセージに『良いぞ。何時?』とだけ返信しておいて呼人は訓練を終えて寮への道を歩いた。

 

 

******

 

 

 そして夜8時。取蔭に言われた時間にB組の寮を訪れると、A組と同様に夜は共有スペースが賑わう様子で多くの生徒が集まっていた。取蔭に招かれるままに共有スペースのソファに座ると、10人近くの生徒が集まってくる。

 

「これ全員?」

「時間分けても良いんだけど、あの感じでモンスター? さん達に対応してもらえば同時にいけるんじゃないかと思って。駄目だった?」

「いや……それで良いなら大丈夫だが……。じゃあこの前みたいに円になってくれるか」

 

 呼人の指示通りに先日と同じように全員が手を繋ぐ。ちなみに今日は、円には参加していない泡瀬が手のひらをつなぎ合わせてくれた。

 

 全員が手に集中し、やがて呼人の精神世界に潜り込む。

 

「やっぱり変な感じがするノコ」

「ん」

「おー! レイクがアリマース!」

「湖畔……」

「これ思ったんだけどさ、キャンプし放題じゃね!?」

 

 円場の発言に皆はっとした顔を向ける。確かに精神世界に現実と遜色ない物を作れるのでやろうと思えばできることはできるのだが。

 

「ここで何食べても腹は埋まらないから餓死するぞ」

「なら短時間のピクニックならできるよね!」

「それならできる」

 

 吹出もぜひぜひやってみたいとのことだ。

 

「さて、取り敢えず取蔭は個性に似た能力を持つモンスター、だな。他に個性に似た能力のモンスター呼んで欲しいやつはいるか」

 

 呼人がそう問いかけると、取蔭の他に小森と鱗、宍戸、小大などが手を上げる。

 

(取蔭はハルド、小森は……ハザクを呼ぶか。鱗はレギオスで。小大はどうする?)

 

「小大、どういう能力が良いとかあるか? 小大と全く同じような能力のモンスターはいないんだが」

「ん、いないならなんでも良い、けど、遠距離攻撃ができる相手と模擬戦がしたい」

「わかった」

 

 そこで取り敢えず小大にはレウスを呼んでおくことにする。一方的に殴られることになるが、まあ、遠距離攻撃持ちで適当なやつを他に思いつかないのだ。レギオスのほうが一撃が軽くて良いのだが、残念ながらレギオスは鱗とまったく系統が同じである。

 

 呼人がモンスター達を呼ぶと、まず最初に現れたのはレギオスだった。両手を翼に変身させた状態で空から現れると、地面をひっかくようにして着地する。

 

「鱗、こいつがレギオス。結構近いと思うから手合わせでもなんでも好きに使ってくれ」

「あ、ああ」

「後で全員顔合わせしたら行くから」

 

 特に紹介をすることなく放り出した呼人に鱗は驚きの目を向けるが、取り敢えず全員分呼んでおかないと始まらない。続いてやってきたハルドに取蔭、レウスに小大を引き合わせる。

 

「ハルド、お前と似た個性だから相手頼む。レウス、遠距離攻撃相手の練習をしたいそうだから適度に」

 

 そして最後に歩いて現れたのは、フードを深くまで被った男。屍套龍ヴァルハザクの人格、ハザクである。彼はモンスター出会った頃の死体をかぶるという生態故か、人間の状態でも長いフードとマントを纏って身体を完全に隠していた。

 

「小森、グロテスクなのは大丈夫か?」

「ゾンビなら平気ノコ」

「じゃあ大丈夫だと思うが。ちょっと会話の形態が違うやつだから後で俺が通訳に来るから待っててくれるか?」

「会話の形態? って何ノコ? 普通に話さないノコ?」

「ハザク、話しかけてみて」

 

 呼人に言われたハザクが、その想念、イメージを小森に送りつける。いきなりそれを送りつけられた小森は、どんな内容だったかは呼人にはわからないが頭を抑えた。

 

「こいつはこういう話し方しか知らないんだ。結構しんどいだろ? だから待っててくれ」

「わ、わかったノコ」

 

 人間の伝達手段は、音で文字を伝える、というものしかない。そもそも、映像に音、匂い、触覚などを同時に送りつける古龍達の対話方法にいきなりはついていけないのだ。

 

「後の4人は、取り敢えずなんでも良い感じか?」

「取り敢えずかっこいいので!」

「何でも! もっと細かく見てみたい!」

「闇の獣であれば何者でも」

「クールなカイジューもっと見たいデース!」

「私も同じですな」

 

 誰でも良い、とのことなので暇を持て余しているモンスター達に取り敢えず適当に声をかけておく。そうすればちゃんと対応してくれるやつも現れるだろう。

 

 取り敢えず全員相手をしてくれるモンスターを呼んだので、呼人はまず話すことが出来ずにぼうっと見ていたハルドと取蔭の方へと行く。ハルドは長い銀髪に片目が隠れている怜悧な美貌をした男性で、服装は裾の長い民族衣装のような、少々重たそうな服を来ている。

 

「取蔭、こいつはハルド。ハルド、取り敢えずお前からのイメージだと混乱するから、できるだけシンプルにするか俺が通訳する」

『――――――』

「え、今返事したの?」

「モンスターの一部の特に強い奴らは、そもそも俺達みたいに言葉で話すっていう概念が無いんだ。人間に姿になってもな。直接イメージを送りつけるっていう感じだから、人間が受けると混乱する」

「イメージ、を送る?」

 

 怪訝そうにする取蔭に、呼人は一度ハルドにイメージを送ってもらう。すると取蔭は先程の小森同様に頭を抑えた。

 

「うわっ……しんど……」

 

 思わずと言った感じに呟く取蔭を支えながら、呼人は続きの説明をする。

 

「まあそういうことだから。俺が通訳する。ハルドの方には取蔭の声を届いてるから普通に話しかけてくれて大丈夫だ」

 

 呼人がそう伝えると、頭を振りながら体勢を戻した取蔭は、早速ハルドに能力を見せてくれるように頼んだ。

 

「じゃあさ、ハルドさん、の能力見せてくれない?」

 

 私はこんなんだけど、と個性を使った取蔭が空中に跳び上がる。すると、それを見上げてニヤリと笑ったハルドの額の銀髪を押しのけて赤い核のようなものが露出し、続いてその纏っていた重たそうな服がズリュリと形を変えて浮かび上がる。

 

 そしてハルドの頭上あたりまで上昇すると、一気に四散して飛翔した。

 

「まじ!?」

 

 完全に自分のものと同じに思える能力に取蔭が驚愕の声を上げる。それを傍で退屈そうに見ていた小森も口元を手で覆って驚愕の表情をしていた。

 

 ハルドのもととなっているモンスター、司銀龍ハルドメルグは、流体金属を自由に操る古龍。この流体金属の成分は分析してもらったことがあるが、水銀とその他色々、本来なら常温で流体にならないであろう金属すら混ざっているらしくその正体は不明だそうだ。そしてハルドは、ただぶつけるだけだったモンスターの頃から進歩して自由にそれを操れるようになった。

 

 しばらくその攻撃を避けて反撃しようとしていた取蔭だが、やがて完全には自由になっていない末端のパーツから撃ち落とされ、最後には本体まで捕縛されてしまう。

 

「ハルド、そこまで」

 

 ハルドが拘束を解くと、圧倒された取蔭が地面に降りてきた。

 

「そりゃ……こんなのと戦ってたら私とやっても退屈か」

「まあまだ取蔭は発展途上だからな。こいつはもう何千年分の記憶を蓄積してるから経験も練度も違うだろ」

「そりゃ、そうだけどさ……」

『――――――』

 

 取蔭ががっくしとうなだれると、ハルドが呼人にイメージを送ってくる。

 

「ハルドからいくつかアドバイスだそうだ」

「うん……よし、聞くよ。何?」

 

 気を取り直した取蔭に呼人はハルドのアドバイスを伝えていく。

 

「まず、一部しかしっかりとした思考が通ってないのはもったいないから、全部隅々まで思考を通せ、と言ってる」

「うん、それは課題。でもまだ慣れきってないんだよね」

「それと、パーツをせっかくわけられるのだから組み直して使ってみてはどうか、だってさ」

「どゆこと?」

 

 取蔭が首をかしげると、再び流体金属の小さな塊をいくつも浮かべたハルドは、それを一箇所に固めると手のような形にして呼人の身体を持ち上げる。

 

「うおっ、と。つまりばらせるんだから積み木かブロックみたいに好きな形に組み直して使えば良いんじゃないか、ってことらしい。後それぞれが勝手に浮くんだからつながって無くても大丈夫だろ、って」

 

 呼人がハルドの思っていることをそう伝えると、取蔭は少し考える様子を見せる。そして身体を分離して浮かび上がると、それぞれを組み合わせてうまい形を作ったり、または本来つながらないパーツをつなげようと色々試していた。

 

「……うん。それちょっと試してみる。ありがとハルドさん」

「どういたしまして、だって。後最後もう一個」

「何?」

「模擬戦を見てたら目と耳でだけ索敵してたみたいだけど、音なら身体の他のパーツでも察知できるんじゃないの、って。出来たら救助で活かせるって言ってる」

「音、って耳以外でどうやって……」

 

 取蔭の疑問の言葉に、呼人は自分が知っているモンスター達の情報を話す。

 

『―――――――』

「例えば、発生させた音の反射を毛に受けて、そのちょっとした振動で獲物の位置を察知するモンスターもいるんだ。だから取蔭もそんな感じで、例えば索敵する時はもっと細かく分裂して小さい音でパーツが振動しやすくするとか、後はどの振動はどんな言葉かとか練習したら良いんじゃないか、だってさ」

「うひー……できるかも知れないけど大変そ」

 

 取蔭はそう言っているが、やってみようというつもりはあるのだろうと、その不敵に上がった口角から呼人は悟った。もともと先日の対抗戦でも、爆豪の出力に対して索敵以外出来ずに敗れた彼女だ。何かしらできることはしたいといったところだろう。

 

「後俺からの発想言ってもいいか?」

「うん、どんどん言っちゃって」

「なら遠慮なく。取蔭の手ってさ、ばらしてとばしても1つだよな」

「そうだね。増えないから」

「じゃあさ、例えば手首から先をばらして飛ばして、そのあとそこから十センチぐらいをばらしたところに義手つけたらどうなるんだ? で、それをどんどん増やしてく感じで」

 

 呼人の質問に、取蔭は目をパチクリさせる。そんな事を聞いたのは初めてだ、と言った具合に。

 義手というのは、腕の断面につけるものだ。呼人が言っているのは、腕の断面を増やせる取蔭なら手の数無限大、というほどにはならないだろうが、手の数10本ぐらいはできるのでは? というアイデアだ。

 

「え、待ってそれめっちゃ面白そうじゃん! 今度サポート科行ってみる!」

「行ってらっしゃい」

 

 取蔭がその後ハルドに細かいことについて尋ねてハルドがうまく流体金属で文字を書いたりして対応し始めたので、呼人はもうひとりの古龍の相手をしている小森のところへ行った。

 

「やっと来たノコ」

「悪いな待たせて」

「うそノコ。来てくれてありがとノコ」

 

 フードで完全に顔を隠したハザクに先程ハルドに伝えたのと同じ事を伝え、呼人は小森にどうしてほしいのか尋ねる。

 

「まず、どういう能力か知りたいノコ」

「そうだな。それは俺から説明するか。まずハザクの1つの能力として、めちゃくちゃ小さな肉食性の微生物を自由に操る。ハザク、出してみて」

 

 呼人がそう言うと、ハザクのフードの隙間から薄茶色の靄のようなものが溢れ出した。

 

「これがその微生物。この群れをハザクは操って、触れた相手から生命エネルギー、まあわかりやすく言うと元気を吸い取って自分のものにする」

「微生物……どれぐらい飛ばせるのこ?」

「どれぐらい……。詳しく測ったことはないけど、数十キロは余裕じゃないかな。もともとモンスターのいた世界じゃあ森1つを死の世界に変えたりしてたわけだし」

「……やばすぎるノコ」

「後は例えば戦う時にはその微生物をホースから出した水を相手にぶつける感じで物理的にぶつけてふっとばしたりとかもしてる。それと、微生物の他にも特殊な菌類とも共生してて、そっちも何かを生やすって言うよりはそのまま生命エネルギーを吸って繁殖するって感じで周りをとにかく死の世界にしてしまうって感じだな」

「人間ならどれぐらい堪えれるノコ?」

 

 小森の問いかけに、呼人はハザクに尋ねる。

 

『――――――』

「本気でハザクが微生物とか胞子をぶつけたら即死。ただ立ってるハザクの半径100メートル以内にいるだけで5分、10メートル以内だと1分。1キロとかだと1日ぐらいかかるらしい」

「……危ないノコ」

「まあ現実じゃあそうは使わん。それに生命エネルギーを感知する微生物を操るってことは、逆に災害救助とかだと微生物を飛ばして反応を探って場所を当てることとかもできるってことだ。今なら、吸わないようにって命令も出せるしな」

「……そういう使い方もあるノコ」

『――――――』

 

 そこでハザクがイメージを伝えてきたので、呼人は先程同様にそれを小森に伝える。

 

「ハザクからのアドバイスだが、目に見えるきのこよりも、触れているうちに体力が奪われていく菌を使ったほうが良いんじゃないかって。後対抗戦の最後のはなかなか良かったって言ってる」

「見られてたノコ。でも可愛くないからあんまり使いたくないノコ」

 

 きのこが可愛いというのも呼人はあまりよく分からないが、彼女にもこだわりはあるのだろう。それは呼人も否定しない。

 

「まあじゃあ、なるべく使わないで倒す方法と、後は爆豪、轟あたりの超破壊を相手にしたときに何ができるかって考えるしか無いんじゃないか?」

「かわいく勝つ手段考えるノコ」

 

 その後、胞子を飛ばす時の方法などについてハザクが上手くイメージの情報量を制限して伝え始めたので、呼人はその場を後にする。その後は鱗、小大のところを見に行ったが、それぞれ竜達は普通に意思疎通ができるのでレギオスとレウスがそれぞれ更に別の相手を呼んだりして良い感じにやりあっているように見えたので呼人も口を出さず、最後に見学組のところに行った。

 

 見学組は湖のほとりでミツネの張った泡の上を滑って遊んだり、その他ティガ、ナルガ、ディノ、ジンオウガらかっこいいモンスターたちと主に遊んでいた。中には群長クラスの固体に変身したジャギィの背中に乗って走ってもらったりしている者もいる。

 

 吹出あたりは個性的に一度ティガに吠えてもらえば良いんじゃないかとも思うが、彼の場合は破壊力は有り余っているようだったのでまだ別の要素が必要なのだろう。むしろいかに破壊を減らして強力な相手を打ち倒すかという、爆豪に似たような悩みを持っていそうだ。




79話の取蔭との会話に出てきた出来事です。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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