あり得そうであり得ないそんな滅茶苦茶なお話をかきつらねていきたいショートショート

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 2XXX年
 少子高齢化に歯止めをかける一手として、「独身者撲滅政策」が施行される。

 施行当初は反抗していた独身者も次第に数を減らしていく。そして、たった一人の孤独な戦いとなった


最後の独身者 上

 国会議事堂の頂きに座り込み、周囲を飛びまわる自衛隊ヘリから繰り出される{世話焼きオバチャン}達の催涙弾攻撃に悩まされながら、おれはここを先途と最後の自慰を行いまくる。

 

 

 さっき同士のひとりであったMさんが、はるか地上へころがり落ち、そして待ち構えていた{世話焼きおばちゃん}達の{お見合い結婚}の餌食となってしまったため、ついにおれが日本で最後の独身者となってしまった。

 

 

 地上からのサーチライトで夜空を背景に照らし出されたおれの姿は、蠅の如きヘリからのテレビ・カメラで全国に中継されているはずだ。

 {残弾}は恐らくあと1発。これを発射しないうちは死んでも死にきれない。

 

 

 オカズも何もないこの場所で想像力だけを頼りに芋虫のように前後運動すること数十分、激しい運動を続けたため、頭がぼんやりとし、目もくらみ、そして全身も疲労困憊に達していた。地上への転落も既に時間の問題であろう。

 

 

 

 {独身者撲滅政策}が始まったのはほんの五、六年前だ。

 {GDPの回復}と{少子高齢化対策}これらを改革の2本柱に定めた当時の首相による鶴の一声で独身者への弾圧的政策が始まった。

 

 

 そして現在。たかだか5,6年という短期間のうちに、まさかおれが日本で最後の独身者になるとは夢にも思わなかった。そうなるべき条件が整っていたのかもしれない。

 

 

 作家(大人の絵本限定)という職業柄、家で執事することが多かったため世の中の変化を直接見聞したり、肌身に感じたりする機会に乏しかった。それに、新聞やテレビは{最近の若者の◯◯離れ}の流行に漏れず、ずいぶん前からとんとご無沙汰である。

 

 

 

 その招かれざる客は、ある日突然やって来た。

 一番の稼ぎ時である夏のコミケを前日に控えた早朝。インターフォンが鳴り、ドアが荒々しく叩かれる。

 (このくそ忙しい時期に・・・)そう思いつつ玄関を開けるとそこには、誰もが想像する一般的な{オバチャン}が立っていた。(さっさと帰って貰おう)そう思い、玄関先での対応を決意すると、そのオバチャンがおもむろにくれた名刺には大きくこう印刷されていた。

 

 

==============

=            =

=   少子化対策庁   =

=   お見合い課    =

= 調査員 ◯◯ ◯◯  =

= 職員番号 ××××× =

=            =

==============

 

 

「ごめんくださいね」

 

 名刺に目を落としてる隙に、おれの許可も得ずドカドカと無遠慮に座敷に上がり込むオバチャン。そして無礼にも部屋を隅々まで物色しているではないか!!

 

 

「なにやってるんですか!」

 

「なにって趣味嗜好、生活スタイルの調査よ。お見合い相手を決める重要なバロメーターでしょ?」

 

 

 (きっと頭のおかしい犯罪者にちがいない・・・)

 俺はすぐさま携帯を取り出し110番に連絡した

 

 

「はい。110番緊急電話です」

 

「助けてください!不審なオバチャンが急に入ってきて部屋を物色し始めたんです。不法侵入ですよ不法侵入!!」

 

「落ち着いてください。なにがありましたか?」

 

 

 

 俺は110番オペレーターに今さっき起こった出来事を、そして現在進行形で起こっている出来事を詳細に説明した。勿論オバチャンの物色は何事もなく継続されている。

 

 

「渡された名刺に職員番号は御座いませんか?」

 

「職員番号?・・・これですかね?××××××」

 

「少々お待ちください」

 

 

 受付オペレーターの落ちついた返答のあと、恐らくパソコンに何か入力しているのだろう。「カチャカチャ」というキーボードとマウスの規則的な音が暫く続いている。暫くの沈黙後、先ほどのオペレーターが衝撃の解答を俺に伝えたのだ。

 

 

「はい照合が完了しました。そのかたは、正式な国家公務員です。」

 

「公務員?あの無礼なオバチャンが??」

 

 

 頭のなかで{?}しか浮かばない俺に、オペレーターさんが詳しい説明を始めた。要約すると以下のようなことらしい

 

 

=============================================================

・国会で新たに「少子高齢化」対策専門の省庁が新設された

 

 

・新設された省庁の目的は強制的なお見合い結婚による「生涯独身率」及び「出生率」の回復である

 

 

・構成員は全て5、60歳台のいわゆる「世話焼きおばちゃん」世代

 

 

・調査員の{オバチャン}が独身世帯の自宅を訪問し、趣味嗜好及び生活スタイルその他諸々のお見合い相手を決める為の調査をする。(拒否権はなく、警察のように令状も不要)

 

 

・そしてその職員達には{独身者}限定で警察以上の権限を行使が許されるようになっている。(ことと場合によっては、危険思想{国家転覆罪}により現行犯逮捕される可能性もある)

 

=====================================

 

 

(なんという国になってしまったのだ・・・)俺はオペレーターの説明を聞きながら目眩を覚えた。結婚を望んでいない者同士を強制的に結婚させる。時代錯誤も甚だしい。これでは昭和、大正の時代に逆戻りではないか・・・

 

 

「正式な職員である以上、我々にできることはなにもありません。耐えるしかありません。」

 

 

 そう告げられ、一方的に電話を切られてしまった。

 

 

「まぁ身辺調査はこんなとこかしらね。ちょっと、あんた!ほら、ぼさっと突っ立ってないでこっちに来てちょうだい。いくつか質問事項があるのよ。」

 

 

 身辺調査を終えたであろう{おばちゃん}が遠慮なしに胡座をかいて座っている。手には何やら分厚い紙の束、恐らくあれが質問事項用紙なのだろう。

 

「ご職業は?」

 

「作家です。二次、百合専門の」

 

「虹?ユリ?絵本作家ということかしら」

 

「(訂正する義理もないし絵本っちゃあ絵本だろう)そうです」 

 

「すごいわねー。因みに結婚願望はあるのかしら?」

 

「ありません」

 

「どうして?独身は怪我とか病気の時、一人だと心細いと思わないの?」

 

「それって、もし結婚してても夫婦仲が悪くて別居してたら変わりませんよね?」

 

 

 明らかに「ムッ」と顔をしかめる{おばちゃん}

 先ほどのオペレーターからは、忠告を受けたが知った事ではない。こちらは大事な時期の大事な時間。それも創作意欲が最も高まる早朝を邪魔されたのだ。喧嘩腰になるなという方が無理がある。

 

 

「じゃあ子供は?子供の成長を見守るのは可愛いわよ」

 

 

「子供?そりゃ赤ちゃんの頃は可愛いかもしれないですけど、年齢が上がるにつれ『洗濯物を一緒にしないで!!』とか『最後にお風呂に入って!!』とか毛嫌いされるでしょ?馬鹿らしい事、このうえない。」

 

 

 

「あなたねぇ・・・生涯独身は心細いわよ~」

 

「ならペットを飼えばいい」

 

 

 {オバチャン}の質問にどこまでも反抗的に噛みついた。眉間にシワが寄っている。顔には少し青筋も浮き出ている相当に怒っているのだろう。いい気味だ

 

 

「まったく!!そんな態度じゃ結婚なんて夢もまた夢よ」

 

「だから、結婚なぞしたくないのです。それに、もう心に決めた嫁はいますよ」

 

「あらっ!!嘘おっしゃい。」

 

「嘘じゃありません。シャナ、ヴィクトリカ、水銀燈。みな私の嫁です。」

 

「???外国のお嫁さんなのかしら?」

 

 {オバチャン}は聞きなれぬ名前に目を白黒させている。丁度いいので作成途中の{絵本}を見せる。明日のコミケ用の大きなお友達用の絵本を・・・

 

 

「な、なんのこれわ!!こんなものが世間に濫立しているから結婚率が下がっていくのよ。全く・・・ああっ嘆かわしい」

 

 手に取った絵本を乱暴に床に投げつけると、ゴミでも見るような目付きでそれを睨み付け、忌々しげにそう呟く 

 

 

「嘆かわしい?それじゃあ、あんたは今日まで一度もこういう情報を見聞きしてこなかったんですかね?勿論2次元、3次元問わずです」

 

「それは・・・」

 

「違うでしょう?オバチャン達のそれが今は3次元から2次元に変わっただけ。な何が嘆かわしいというのです!!」

 

 {オバチャン}の発言に完膚なきまでにカウンターを決めてやった!!その達成感に酔いしれていると不意に手の甲に冷たい金属の感触が伝わってきた。

 

 

「あなたを危険思想の持ち主として『国家転覆罪』を適用し◯月◯日 ◯時◯◯分現行犯逮捕します。」

 

こうして俺は逮捕され、刑務所に送還された




 とあるショートショートお気に入り作者のパロディ作品です。
 

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