僕たちはばあちゃんの家の縁側に座って、扇風機にあたりながら、かなたに見える海と空をぼんやりと見ていた。
縁側は海に面していて、なにも建物や山などの遮るものがないから、天頂から、水平線近くまで見渡せて、天頂付近のとても濃い色の真っ青な空から、水平線近くの白に近い青色までの美しいグラデーションの青空が一望でき、ところどころにむくむくとした真っ白な入道雲が浮かんでいる。
相変わらず、蝉はやかましいくらいにミンミンと鳴いている。
氷入りの冷たい麦茶がたっぷり入っていて、汗をかいているやかんと、これまた氷入りの冷たい麦茶が注がれているグラスが二つ乗ったおぼんが、僕と君の間に置かれている。
別になんの変哲もない普通の麦茶だよ。
きっと暑い中歩いてきたから喉がかわいてらっしゃったから、おいしく感じられるのだろう。
とばあちゃんは言ったけれど、その麦茶は野かわいてからとはとても思えないほどに素晴らしくおいしくて、僕も君もたて続けに数杯おかわりして、ようやく人心地ついた。
「「ねえ」」
お互いがお互いを呼ぶ声が重なった。
「あ、お先にどうぞ」
「いやいや、君からどうぞ」
またしても声が重なる。
フッ、アハハハッ
どちらからともなく二人とも揃って笑いだし、ひとしきり笑いあい、一息つくと、
「向こうにさ、海が見えるけど、遠いのかな?」
と君は聞いた。
「そうだな。
そんなに遠くも無いよ。歩いて10分も無いんじゃないかな?
遠浅の細かい砂の砂浜で綺麗な海だよ。」
と言うと、君はキラキラした目で僕を見た。
「行きた…い?」
「うん!」
太陽は思ったよりも西に傾いているけれど、沈むまでにはまだまだ時間がある。
「じゃあ、待ってて。
海に行くなら、ばあちゃんに伝えとくから。」
そう言って、僕は君の前を離れ、ばあちゃんに海に遊びに行ってくる旨を話した。
それから、縁側に戻ってみると、君の姿は消えていた。
あれぇ?どこ行っちゃったんだろ?
あっ、荷物を客間に起きっぱなしにしてあるから、客間かな?
そう思って、僕は、
「鮎川いる?」
と、声をかけると、客間への障子を開けた。
「キャッ」
かわいらしい悲鳴が聞こえ、上半身裸で、胸を手で覆い隠した君が僕に背を向けて立っていた。
長い黒髪の下の肌は真っ白で柔らかそうで、素晴らしいコントラストを描いていた。
「ちょっとぉ、いつまで見てるのよ、早く閉めてよ。」
君の怒った声に、僕はふっと我に返った。
どうやら、君の後ろ姿に見惚れていたらしい。
「ご、ごめん」
そう言って、障子を閉めた。
しばらくして、障子が開き、その隙間から白く細い手がす~っと伸びてきて、僕の鼻先で止まると、勢いよく、僕の鼻にしっぺをくらわせた。
痛ッ!
思わず、鼻を抑え、目を閉じ、座り込んだ僕がゆっくりと目を開けると、そこには、厳しい表情の君が、手を腰につけて仁王立ちして、言った。
「もう、
エッチ!」