黒く長い髪をポニーテールに結い上げ、大きめのダボッとしたオレンジ色のTシャツを豊かな二つの膨らみが誇らしげに突き上げ、そこだけ弾けそうに生地が張っている。
豊かなバストとは真逆の引き締まったウエストで、デニム生地のショートパンツをはいていて、そのショートパンツからは白く細く長い足がすぅと伸びている。
それはもう造形の神が丹精こめて作り出した美の化身であり、夏の女神か夏の天使とでもいうべき美しさだった。
「綺麗だ。
まるで夏の女神か天使みたいだ。」
思わず僕がそう、もらすと、君ははにかんだような、困惑したような表情を浮かべて、
「な、なに言ってるの、ほら、さっさと行くよ。」
と言って、僕の手を取り、引き起こすと、さっさか歩き始めた。
その手は、あたたかく、すべすべしていて心地よく、夏場だというのに、いつまでも握っていたいと思わせるようだった。
変わらず、土と石だけの舗装されていない砂利道をあらかじめ用意しておいたビーチサンダルに履き替えて歩いた。
海までは何も遮るものは無いから、歩く度に、砂浜が、海が僕たちを歓迎しているかのように近づいてくる。
一歩一歩、僕は君の背中を見ながら、あゆみ進むうちに、気がついたら、砂利道は砂浜に姿を変え、彼方へと続く海にたどり着いていた。
海の香あふれる潮風が吹いてくると、夏の女神は僕の事など忘れてしまったかのように、手を離して、海へ向かって走り出した。
引潮なのだろうか、地のはてまで続くような、白く美しい遠浅の砂浜には、誰も足を踏み入れていないのだろう、波状の砂紋がどこも欠ける事なくずっと続いている。
透明度の高い透き通った海の波打ち際は、白砂が透けて見えて、白く見えるけれど、波が太陽の光を反射してキラキラと光輝いて見え、そして、沖へ行くほどに青みが増して濃くなって、コバルトブルーの美しい海となっている。
「うわぁ、すごい、綺麗」
いつの間にか、君は足を止め、美しい海岸の様子に見いっていた。
「よしっ!」
君はそう言うと、肩口に手をやって、シャツを少し前側に引っ張り、今度は両手を交差させて、シャツの裾に手をかけ、ぐいっとお腹のあたりまで捲し上げた。
「わっ!」
突然の事に、茫然としたまま僕は君を凝視し続けた。
というよりも、もはや君から目を離せなくなっていた。
というのが正解かもしれない。
余分な贅肉の欠片もないすべらかなお腹には、かわいらしい小さなオヘソが見えるけれど、豊かな胸の膨らみの下でシャツはまるまっていて、そこから上は見えない。
「フフッ」
君は僕をちらりと見て、いたずらっぽく笑った。
直後
まるで、ブルンッとでも音がしたかのような勢いで、真っ赤な布に包まれた豊かな二つの膨らみが現れた。
そして、するっと、シャツから頭と右腕を抜いてしまい、左手にまとわりついてるだけのシャツもあっさりと引き剥がされてしまった。
「あっ、水着」
思わず漏れた僕のその言葉に、君は
「なによ、当たり前でしょ、海に行くんだから。
それとも、裸、期待してたの?」
といたずらっぽく笑って言った。
答えられない僕を尻目に、君はシャツをかるくたたんで、ぽいっと砂地に落とし、続いて、ショートパンツに手をかけた。
ホックとジッパーを外し、するするとショートパンツを脱いでいく。
すると、胸の水着と同色の真っ赤な水着が現れた。
そして、右足、左足の順にショートパンツから足を抜くと、ショートパンツを二つ折にして、シャツの上に放った。
今、僕の目の前には、真っ赤なビキニだけをまとった美しい夏の女神が立っていた。