地下格闘場で戦いを終えて立ち去ろうとした男へとボディーガードに囲まれていた観客の1人が護衛を依頼してくる。
達人級であるボディーガードを雇っていても命の危険を感じて追い詰められていた観客に強い死相が見えたので、このまま放っておいたら観客が間違いなく死ぬと判断して護衛の依頼を引き受けた男。
護衛対象の観客とボディーガード達と共に地下格闘場を出てから絶え間なく襲いくる闇の達人達を男が片付けていく。
この程度だったらボディーガード達だけでも問題はなかった筈だが、死相が出ていた理由に闇の九拳が関わっていることは間違いないと考えた男に近付いてきた闇の無手組の頂点。
闇の九拳の1人である人越拳神本郷晶が姿を現す。
死相の原因がきたかと思った男は武人以外には手を出さない本郷晶がボディーガード達は殺害するだろうが護衛対象を殺すことはないと判断した。
しかし本郷晶に着いてきている複数人の闇の人間が確実に護衛対象に手を出すことは間違いないと考えてボディーガード達に、人越拳神本郷晶は私が相手をするからそれ以外の全てを警戒するように伝える男。
ボディーガード達に護衛対象を護らせておいて本郷晶の前に立ち塞がった男は自然体で構えをとらない。
妖拳怪皇坂田金時かとだけ言った本郷晶が威圧殲滅の天地上下の構えをとり、静の気を凝縮して攻めに入っていく。
断空手刀斬りと本郷晶が横に振るった手刀が空を斬って男へ接近する。
容易くそれを避けた男は本郷晶の空手を観察する。
今度は熊手連破と熊手という貫手の形で連続して攻撃をする本郷晶は本気で男を殺す気で技を放つ。
続けて滅掌雷轟貫手と凄まじい貫手を幾度も繰り出す技を見せた本郷晶だが、冷静に間近で技を見る男には一撃も当たっていない。
本郷晶の空手は闇に伝わる流派の1つであり、真地念源流という名前である。
真地念源流の強烈な技を披露していく本郷晶を至近距離で見続けていく男に1度も触れすらしない本郷晶の拳。
実力に明確な差があるとしても退かない本郷晶が繰り出し続ける技の数々を見ていった男は、今まで戦ってきたどの空手家よりも人越拳神という異名を持つ本郷晶が優れていることが理解できたようだ。
単純な正拳突き1つを見ただけで本郷晶が他の空手家とは違うことがよくわかった男。
流石は闇の九拳の1人かと思った男に迫りくる本郷晶の拳。
顔面を狙った軌道であったそれを簡単に掴んで止めた男が本郷晶を投げる。
単純な身体能力だけで行われた技ではない男のそれは本郷晶を地面に深々とめり込ませた。
ただの達人なら終わりである威力がある凄まじい投げを喰らった本郷晶だが、闇の九拳である人越拳神本郷晶は立ち上がって男へ再び挑む。
人越拳、ねじり貫手を繰り出した本郷晶がまだまだ元気であることを確認した男は、闇の九拳がどの程度まで耐えられるかと手加減の度合いを調節して本郷晶に拳を打ち込んでいく。
武への執念で立ち上がり続ける本郷晶が男へと繰り出した人越拳、陰陽極破貫手は相手の退路を封じて両手で貫手を放つ技であるが、全身全霊を1つの貫手に集中する技であり、両の手のどちらか1つの貫手は虚ということになる。
男はどちらが虚であるかは見抜いていたが、あえてまやかしである虚ではない全パワーが集中された実の貫手を片手で受け止めた。
貫手を放った腕の肘を膝で蹴り、人越拳脚波ねじり貫手を披露した本郷晶。
しかしそれすらも力付くで強引に片手だけで止めた男は、いい技だと本郷晶を褒めたが、確実に相手を殺してしまうから私には使えない技だがねと残念そうに言う。
本郷晶に絶妙に手加減された拳を打ち込んで気絶させた男が振り返ると戦いを見守っていたボディーガード達が勝利を喜ぶ。
人越拳神本郷晶が敗れたことで闇の九拳が敗北した相手に勝てるわけがないと判断した闇の人間達が一斉に退いていき、しばらくは安全が確保された護衛対象が男に礼を言って報酬は期待しておいてくれと笑顔を見せた。
闇の九拳を倒すことができた男の実力が高いことをボディーガード達も確かに感じ取り、男を味方にできて良かったと思ったらしい。
護衛対象を連れてボディーガード達と共に移動した男は護衛対象の国外への脱出を手伝って、護衛対象を国外へと逃がすことに成功したことで護衛の依頼を達成する。
成功報酬として現金一括で支払われた報酬は男も満足する額だったようだ。
人越拳神本郷晶の空手を見て学んだ男は更に実力を上げていて、また少し武術家として成長していた。
昔知り合っていた美術館の館長から達人に盗まれて奪われた美術品の数々を取り返してほしいと頼まれた男は、以前の護衛依頼で懐は暖かったが引き受けることにしたようである。
盗まれて奪われた美術品の数々に興味があった男が向かった先で再び人越拳神本郷晶と出会うことになり、きみが用があるのはこの先にいる達人かなと本郷晶に男は言う。
私は奪われた美術品の回収にきたんだが、どうやらこの先にいる達人は闇からも美術品を盗んでいるようだねと言って男は本郷晶と並走していく。
全力で走っても男を振り切れないことに気付いた本郷晶は並走されることを諦めたらしい。
盗人達人の隠れ家に到着した2人は真正面から突入していき、盗品の美術品が飾られた部屋に辿り着いた。
そこで美術品を観賞していた盗人達人を発見して本郷晶よりも速く動いた男によって一撃で盗人達人が倒され、武人として既に気絶した相手を殺すことはない本郷晶は闇の人間を呼び出して闇から奪われた美術品を回収させたようだ。
男も美術館から奪われた美術品を見つけて回収していき、盗まれた全ての美術品を取り戻す。
美術館の館長から依頼された仕事は、取り戻したこれらを美術館に戻せば完了だと判断した男は足早に立ち去っていく。
男が立ち去る姿を静かに見ていた本郷晶は以前男と戦った時に、坂田金時という男が全く本気を出していないことを敏感に感じ取っていた。
また男と戦いになったとして、明らかな実力差を理解していても本郷晶が退くことはないだろう。
武人として、空手家として、退かない本郷晶は殺人拳であるが筋の通った男である。
本郷晶が武人ではなく敵意のない者に手を出すことは絶対にない。
武人の誇りを持っている人越拳神本郷晶は敗北を良しとしたままでいられる男ではなく、以前の戦いで男に敗北してから更に激しい修行を積み重ねているようだ。
本郷晶の弟子である勢多と芳養美が思わず止めに入ろうとするほどに激しい修行であり、常人がやれば死んでしまうので常人には到底真似できない修行を日々行っている本郷晶。
そんな修行を行いながらも弟子をしっかりと育てている本郷晶は師匠としても優秀であるらしく、戦闘スタイルの全く違う弟子を見事に育て上げていた。
手技主体の勢多は握力を、蹴り主体の芳養美は脚力を中心に鍛えられていて個人の特性を引き出している本郷晶は、それぞれの弟子の才能を確実に伸ばしていく育て方をする。
本郷晶の弟子である勢多と芳養美は、それでもYOMIというわけではないらしい。
あくまでも弟子というだけでYOMIに所属させるつもりも本郷晶にはないようだ。
正式なYOMIをとっていない人越拳神本郷晶に、その武術が伝わらないことが勿体ないと思った拳聖緒方一神斎が良ければ弟子をお分けしますがと本郷晶と出会う度によく言っている光景が闇ではありふれた光景であった。
そしてそんな緒方一神斎に何も言わず無視をして去っていく本郷晶の姿もよく見られている。
弟子を軽々しく物のように渡そうとしてくる緒方一神斎が本郷晶は気に入らないようであり、用事がある時以外は緒方一神斎と会話しようともしない本郷晶。
もともと寡黙ではあるが決して喋らないわけではない本郷晶に避けられていることに緒方一神斎は気付いていない。
だからこれからも緒方一神斎は本郷晶に話しかけていくだろう。
月が照らす夜に男が梁山泊の前を通りすぎようとした時、白浜兼一の悲鳴が聞こえた後に梁山泊からとても嬉しそうな顔で出てきた辻新之助と遭遇する。
おっ、金時の兄ちゃんじゃねぇか、久しぶりだな、そうだ聞いてくれよ、ラグナレク第一拳豪も倒してYOMIも倒してた兼一に俺が勝ったんだぜと自慢気に言ってきた辻新之助。
そうか、それは凄いな、ささやかなお祝いに私の奢りで飯でも食いにいくのはどうかな新之助くんと聞いた男に、マジかよ、奢ってくれんのか、ああ、それなら部下2人も連れていっていいか金時の兄ちゃんと辻新之助は言う。
構わないよ、友達も一緒に連れてくるといいさ新之助くんと言った男。
おお、流石は金時の兄ちゃんだぜと辻新之助は喜ぶ。
遅れて梁山泊から出てきた辻新之助の部下2人が、お知り合いですか辻隊長と男を見てから辻新之助に聞いた。
同じ師匠を持ってる兄弟子だぜ、坂田金時って名前だから金時の兄ちゃんって俺は呼んでるな、すっげぇ強いんだぜ金時の兄ちゃんはと自慢気に言う辻新之助の答えを聞き、金時の兄貴と呼ばせていただきますと迷わず言った辻新之助の部下2人。
うん、まあ別に構わないよ、きみ達も良ければ一緒に飯でもどうかな、私の奢りでと言って辻新之助の部下2人を見た男は、感動して涙を流している辻新之助の部下達の涙腺が緩いのかと少し心配になる。
もちろん行きます金時の兄貴といい返事をした辻新之助の部下2人とどこ連れてってくれんだ金時の兄ちゃんと楽しそうな辻新之助を連れて男は店に向かう。
学生には手が出せない程度に少し高めの店にきた男と3人は店に入っていく。
すげぇ店だぜとはしゃぐ辻新之助と比べて、ここ高いんじゃと萎縮している辻新之助の部下2人に大丈夫だから安心しなさいと言い聞かせる男。
テーブル席に座って好きなものを頼みなさいと言った男がメニューを3人に渡す。
遠慮なく連続で頼んでいった辻新之助を流石辻隊長だと思った辻新之助の部下達も覚悟を決めて料理を頼む。
テーブルを埋め尽くす料理を夢中で食べていった辻新之助は、うおお、うめえうめえと言いながら次々と料理を平らげていった。
辻新之助の部下2人も料理を食べて凄く美味いと驚きつつ食事を続ける。
皿が空になったところで追加注文する辻新之助はまだ満腹にはなっていない。
空の皿が下げられて頼んだ料理がテーブルに置かれると再びかきこんでいった辻新之助は自分なりに味わいながら食事していく。
俺達はもう満腹ですと料理を合計で6皿食べた辻新之助の部下2人は料理でいっぱいになった腹を擦っていた。
25皿も食べた辻新之助はようやく満腹になったようで食った食ったと満足気であり、すっげぇうまかったぜ、ありがとな金時の兄ちゃんと感謝の言葉を言う。
よく食べたな新之助くんと言って笑った男は既に食べ終えていて辻新之助を見ていたようだ。
会計をして問題なく男が払い終えたところで、ごちそうさまでした金時の兄貴と辻新之助の部下2人が言い出す。
じゃあ俺達はここで帰ります、辻隊長の今日の戦いは痺れました、きっと天下とれますよ辻隊長ならと力強く言った辻新之助の部下2人。
去っていく部下2人を見送った辻新之助は金時の兄ちゃんは帰らねえのかと聞いてくる。
きみを送っていこうかと思ってねと答えた男に、なら行こうぜ金時の兄ちゃん、こっから結構歩くけどなと言って歩き出した辻新之助。
並んで歩いていく2人の話題は、辻新之助が今日梁山泊で白浜兼一と行った私闘についてになっていた。
兼一の野郎は手加減していたようだったが油断した瞬間があったから徹しを叩き込んで一撃で倒してやったぜと嬉しそうに言ってきた辻新之助に、それは油断した兼一くんが悪いなと男は頷く。
絶妙なのが入った瞬間を金時の兄ちゃんにも見せたかったぜと笑顔で言う辻新之助。
きっと綺麗に徹しが兼一くんに入ったんだろうねと男も笑う。
まあ、兼一くんにもいい経験になったんじゃないかなと思った男。
これからどうすっかな、目的だった兼一は倒しちまったし、勝ち逃げするつもりだから兼一とはもう戦わねえしなと言って辻新之助は腕を組んで悩む。
そんな辻新之助に、とりあえず兼一くんに勝ったことはあまり言いふらさないほうがいいだろうねと男は忠告する。
どうしてだ金時の兄ちゃんと不思議そうに聞いてきた辻新之助。
今はYOMIが兼一くんを狙っているが、その兼一くんに勝った奴がいるとなればYOMIはそいつも標的にすることは間違いないだろうねと説明した男は辻新之助を心配していた。
YOMIか、きっと強いんだよな と息を飲んだ辻新之助もYOMIを甘くみてはいないらしい。
普通の不良集団とはレベルが違う武術家の弟子だけが所属するチームだから、今の兼一くんよりも強い奴がYOMIにいることも確かだねと言った男の言葉を信用している辻新之助は、戦いたくはねえ連中だぜと言う。
ちなみにYOMIが掲げるのは殺人拳だから兼一くんみたいに手加減することなく殺しにくるだろうと言い切った男に、よーし俺は絶対にYOMIとは戦わねえぞと決意した辻新之助。
殺人拳とか不良の喧嘩の域を完全に超えてるじゃねえかと引いている辻新之助は、まだまともな感性を持っていたようだ。
YOMIを単なる不良集団だと思っていた辻新之助は驚愕の事実を知って、つーか兼一はそんな奴等に狙われて倒してるんだよな、それってかなり凄いことじゃねえか金時の兄ちゃんと今さら兼一の凄さを再確認していた。
兼一くんも梁山泊で修行を頑張っていたんだろうねと言った男に、兼一に悪いことしちまったかなと辻新之助は言う。
今回の敗北は兼一くんにいい薬になったはずだから新之助くんが気にする必要はないさと言って辻新之助の肩を軽く叩いた男。
金時の兄ちゃんがそう言うなら大丈夫ってことだよな、なら気にしないようにするぜと言った辻新之助。
明るく前向きな辻新之助の性格を気に入っている男は、うん、きみはそれでいい新之助くんと言って笑った。
兼一に勝ったことを誰にも自慢できねえのはちょっと悔しいけど仕方ねえなと諦める辻新之助に、私にならいくらでも自慢していいんだよと言う男は優しい顔で辻新之助を見る。
なんだ、金時の兄ちゃんに自慢できんなら別にいいぜと言って嬉しそうに笑った辻新之助は男に自慢できるだけで満足していたようだ。
男がさっきも聞いた話を何回もしていく辻新之助はよほど兼一に勝ったことが嬉しかったようで、何回でも話したいらしい。
嫌そうな顔をすることなく話を聞いている男は、辻新之助が楽しそうなので止めることなく話をさせていく。
自分が白浜兼一に勝った時の話をする辻新之助は特にテンションが高かった。
家まで歩いていく中で話を続けていった辻新之助が、ふと思い出したかのようにそういえば旅に出てた金時の兄ちゃんが、なんであの道場の近くにいたんだよと聞いてくる。
久しぶりに弟子と会おうかと思って弟子の家まで寄り道せずに向かってる途中で偶然新之助くんと出会ったんだよと正直に答えた男。
骨法教えてる弟子がいるのかよ金時の兄ちゃんと言ってきた辻新之助に、いや骨法は教えていないかな、彼本来の武術を伸ばす形で教えているよと男は言う。
強いのかそいつと言った辻新之助に、まあ以前よりもだいぶ強くなったね、今の時点の兼一くんよりも明らかに強いのは間違いないよと男は断言する。
家まで着いたぜ、今日は色々とありがとな金時の兄ちゃんと言って家に入ろうとする辻新之助。
じゃあ私も弟子の元に向かうとするよと言った男が走り去っていくのを見た辻新之助は、やっぱり金時の兄ちゃんは強いよなと思ったようだ。
家に入った辻新之助は家族に見つかった瞬間、今までどこ行ってやがったと山ごもりで家に長く帰っていなかったことを怒られたらしい。
ジークフリートに修行をさせていった男は、激しい組手を行って弟子であるジークフリートの技量を更に高めさせていく。
輪唱アタックというジークフリート独自の変則的なカウンターを男まで使っていて、弟子のジークフリートと同じ戦い方で弟子を圧倒する男。
戦いの中でジークフリートが目指すべき先の姿を男は見せていった。
わたしが進むべき道を教えてくださっているのですね我が師よと思ったジークフリートは、自分以上に輪唱アタックを使いこなしている男の動きを逃さず見ていき、男という道しるべを追って先へと進む。
確実に男との戦いで強くなっていったジークフリートは静の武術家として成長したようである。
静の気の開放まで男との修行で到達しているジークフリートだが、まだまだ達人になるには修行が足りていないジークフリート。
弟子が達人に到達できるように男は修行を積ませていく。
過酷な修行を男と行って既に妙手にまでは辿り着いているジークフリートが、いずれ達人に至る時を待っている男は修行に手を抜くことはない。
修行中のジークフリートとそれを見ていく男に近付いてきた微かな気配が1つ。
知っている気配であることに気付いている男は警戒することなくジークフリートの修行を見ていきながら色々とジークフリートに教えていく。
音もなく現れた櫛灘美雲が、其奴が金時の弟子かのうと話しかけてきたところでようやく櫛灘美雲に気付けたジークフリート。
気配を消していた櫛灘美雲から瞬時に距離を取って何者ですかと警戒するジークフリートを見て、反応は悪くないようじゃの、金時の弟子であるならそうでなくてはならぬと頷く櫛灘美雲。
彼女からは凍てつくようなメロディーを感じますが我が師の名を呼ぶときだけは情熱が込められています、我が師は彼女にとって特別なのでしょうとジークフリートは判断した。
今日は何の用かな美雲、見ての通り弟子の育成で私は忙しいんだがと言った男に、そのようじゃのう金時、まあ今日は金時の弟子を一目見ておこうかと思ったところじゃから、此方は予定通りと言えるがのうと櫛灘美雲は言う。
我が師のお知り合いですかと聞いてきたジークフリートへ、昔からの知り合いというか幼なじみかなと男が答える。
つれないのう金時、あんなに何度も燃え上がった仲だというのにと櫛灘美雲が言い出したところで、否定はしないが子供の前で言うことではないので止めなさい美雲と言った男。
彼女が我が師に向ける情熱的なメロディーには確かな愛が込められていますねと内心で思いながらジークフリートはメロディーを感じ取る。
今日はこれで帰るとするかのと言ってから、また会った時は一緒に出かけるのはどうかのう金時と聞いてきた櫛灘美雲に、別に構わないよと男が答えると櫛灘美雲は嬉しそうに微笑みながら約束じゃぞ金時と言う。
彼女の凍てつくようなメロディーが穏やかな優しいメロディーに一瞬で変わりましたねとメロディーの変化に驚くジークフリート。
去っていく櫛灘美雲を見送った男にジークフリートが、彼女が幸せになるには我が師という存在が必要不可欠なようですと言い出す。
メロディーでも感じ取ったのかなと言った男に、我が師から感じた素晴らしいメロディーにも彼女と一緒にいる時には深く優しい愛が込められていましたとジークフリートは語る。
そして凍てついていた彼女のメロディーをあそこまで変えることができるのは我が師だけでしょうとジークフリートは断言していく。
確かに美雲は私と一緒にいるときはよく笑うかなと頷いた男は、ジークフリートが感じ取ったことは間違ってはいないと思う。
お2人のメロディーを感じて新しいメロディーを思いつきましたと言ったジークフリート。
取り出した大きな紙に素早くメロディーを書いていったジークフリートは、書き終えたメロディーを一緒に演奏してみませんかと男に言ってくる。
バイオリンを取り出した師弟が一緒に演奏を始めていくと、奏でられていく音を心地よく感じた男。
この曲は我が師と彼女のメロディーから思いついた曲ですから、心地よさがあるのでしょうとジークフリートは言う。
いい曲だったなと言った男に、是非彼女にも聴かせてあげてください我が師よと言ってジークフリートは優しい笑みを浮かべた。
ありがとう響くんと言って男はジークフリートに感謝して、バイオリンをケースにしまっていく。
さて、そろそろ修行を再開しようかと言った男に、後でもう1度演奏をしても構いませんかと聞くジークフリート。
修行が終わったら幾らでも演奏して構わないよ、その時は私も付き合おうと答えた男は楽しげな顔を見せる。
男も弟子であるジークフリートと一緒にする演奏は嫌いではないらしい。
素晴らしいメロディーを持つ我が師と出会えたことは幸運ですねと喜んでいるジークフリートに、私もきみと出会えて良かったと思っているよと言って男は心から笑った。