櫛灘美雲の幼なじみになった転生者   作:色々残念

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第14話、人斬り包丁

男を襲いにきた闇の武器組の達人が持った刀が普通の日本刀ではなく、人斬り包丁であることに気付いた男。

 

美術的な日本刀と呼ぶにはあまりに攻撃的な直刃であり、造形に遊びがないが先人の技術を模倣して人を斬りやすくする為に独自の創意工夫までもがされていた人斬り包丁。

 

銘は刻まれてはおらず武器に徹していて飾りは一切ない。

 

しかしかなりの業物であることが男にはわかっていて、この刀は最も鋼の真実に近付いた刀匠が作りあげた人斬り包丁であると確信していた。

 

闇によってあらゆる技法を提供されて門外不出な技術製法や失われたとされる多くの技法まで、それら全てを混ぜて分解し再構築した刀匠の腕は闇で最も優れていたようだ。

 

刀以外も作っていた刀匠は八煌断罪刃の武器も闇から依頼されて作成していたらしい。

 

死神と踊る武王、ミハイ・シュティルベイが持つ大鎌も香坂しぐれの父である刀匠の作品である。

 

しかし刀匠が1番多くの数を作っていたのは人斬り包丁であることは間違いないだろう。

 

だからこそ香坂しぐれは父が作った刀を刀狩りを行って回収してへし折り続けていた。

 

今回男が手に入れた人斬り包丁は香坂しぐれの父が作ったものであり、香坂しぐれに渡した方がいいと判断した男は人斬り包丁を鞘に納めて包みに入れると梁山泊を目指して歩き出す。

 

既に亡くなっている香坂しぐれの父より優れた刀匠は闇に現れることはなく、かなり貴重な一品である人斬り包丁を取り返そうと動く闇の武器組。

 

複数人の手練れを用意して人斬り包丁を回収しようとする闇の武器組だったが男には全く敵わない。

 

返り討ちにされた闇の武器組の達人達が全員気を失って地面に横たわっていた。

 

その中には件派一刀流八段目指南免状の達人までもがいたようだ。

 

斧使いやククリ刀の使い手までもが倒れていて、送り出された闇の武器組の達人は全滅となる。

 

梁山泊に到着した男は重い門を指先で軽く突いて開けると香坂しぐれ殿に用があって参りましたと言って梁山泊の面々を呼び出す。

 

しぐれに何の用ですかなと聞いてきた岬越寺秋雨に、おそらく香坂しぐれ殿が探している刀を持ってきましたと答えた男。

 

拝見させてもらっても構わないでしょうかと言ってきた岬越寺秋雨へ、人斬り包丁の包みを男は差し出した。

 

包みを開けて鞘から抜いた人斬り包丁を見た岬越寺秋雨は、間違いなくしぐれの父が作成したものですねと断言する。

 

いったい何処でこれを見つけたのですかと聞いてきた岬越寺秋雨に、私を襲ってきた闇の武器組が持っていた物ですと正直に答えた男は続けて、刀狩りを続けている香坂しぐれ殿に渡した方がいいかと思いましてねと言う。

 

岬越寺殿は寝ていないようだが何かあったのかなと聞いた男に、弟子が無事に帰ってくるか心配だったのでと答える岬越寺秋雨。

 

殴打された形跡が残り、頭に包帯を巻かれている白浜兼一を見て、無事ではないようだがと言った男。

 

いやこれは帰ってきてからアパチャイくんに殴られたのが原因ですねと言ってきた岬越寺秋雨に、何故兼一くんは殴られたのかなと男は聞く。

 

兼一くんの心の傷が癒えたかどうか、わたし達の気当たりに耐えられるか試すだけだったんですが、思わずアパチャイくんは手が出てしまったようですと岬越寺秋雨は答える。

 

なるほど、加減が苦手なのかもしれないなアパチャイ殿はと言って男は苦笑した。

 

これでも前よりかは進歩しています、兼一くんが死んでいないのでと言った岬越寺秋雨。

 

弟子を殺すような修行をさせるのはどうかと思うがと言いながら岬越寺秋雨を見た男に、ちゃんと蘇生はしていますと岬越寺秋雨は言う。

 

いやそういう問題ではないだろうと思わず男は言っていた。

 

男と岬越寺秋雨がそんなやりとりをしている間に、ボクに客がきていると聞いたと言って香坂しぐれが現れる。

 

香坂しぐれ殿、渡す物があって参りましたと言って鞘に納めた人斬り包丁を男が手渡すと鞘から抜いて刃を見た香坂しぐれは、父の作った刀で間違いないと頷く。

 

これで今日は2本目になる、なと言った香坂しぐれに、どうやら1本目を手に入れるには苦労したようですねと香坂しぐれの身体の傷を見て男は言う。

 

今回は結構相手が強かったと言ってきた香坂しぐれには身体中に傷があった。

 

まあ、無事に帰ってくることができて良かったのではないでしょうかと言った男は、渡す物は渡したのでこれで失礼させてもらいますと言いながら香坂しぐれに背を向ける。

 

美羽が茶の用意をしているから茶の1杯ぐらいは飲んでい、けと男に言う香坂しぐれ。

 

じゃあ1杯だけ飲んでいきましょうと言って振り返った男は、風林寺美羽から茶を受け取るとゆっくりと飲んでいく。

 

男の背負う荷物の中にあるバイオリンのケースを見つけた岬越寺秋雨が、それはバイオリンですね、演奏を是非とも聴いてみたいですなと言った。

 

茶を飲み終えた男は、じゃあ1曲だけ演奏しましょうかと言うとケースからバイオリンを取り出す。

 

長年の経験で手慣れたバイオリンの演奏を男は丁寧に始めていく。

 

ジークフリートが男と初めて出会った時に感じた素晴らしいメロディーで作り上げた曲を奏でていく男。

 

見事な男の演奏を聴いた梁山泊の面々は思わず拍手をする。

 

バイオリンは長年やってらっしゃるようですね、実に素晴らしい演奏でしたよと満足気な顔で言った岬越寺秋雨。

 

満足してもらえたようで良かったですよと言って笑った男はバイオリンをケースにしまって背負う。

 

それから梁山泊を後にした男が向かった先は山であり、今日は野宿をするつもりのようだ。

 

山で1人空を眺める男は迫り来る気配に気付くと背負っていた荷物をその場に降ろす。

 

月明かりが照らす夜の山で刀を構えた闇の武器組が複数人ほど現れる。

 

闇の武器組が持っている刀は現在の闇の刀匠が作った人斬り包丁であった。

 

しかし香坂しぐれの父ほどの力量はないようであり、業物ではあるのだろうが、まだまだ改良の余地が幾らか残っていると感じた男。

 

今の闇の武器組が持つ刀は、人斬り包丁としては香坂しぐれの父が作ったものには遠く及ばない。

 

やはり香坂しぐれ殿の父君は優れた刀匠であったのだなと思いながら闇の武器組によって振るわれた人斬り包丁を男は避けていく。

 

男の動きを捉えることができない闇の武器組は1人残らず男に倒された。

 

気絶した闇の武器組達を置いて荷物を背負うと山の奥まで男は進む。

 

自然が残る山奥で野宿の準備を始めた男に近寄ってきた好奇心旺盛な子狐を軽い気当たりで男は追い払う。

 

就寝した男が朝になって目覚めた頃に、闇の武器組達が再びやってきていたようだ。人斬り包丁を片手に草木を斬って山奥にまで進んできた闇の武器組は男を探している。

 

随分と今回はしつこいなと思った男は、木々の上から闇の武器組に強襲をしかけていく。

 

1人だけ残した闇の武器組に、私はもう闇の刀匠が作った刀は持っていないとだけ伝えて気絶させた男。

 

闇の武器組達を置き去りにして山を出ていった男が、倒れていた老人を助けたところでお礼としてとある一軒家に世話になることになった。

 

老人だけが住む家に飾られていた刀が間違いなく香坂しぐれの父が作った人斬り包丁であることに気付いた男は、何処でこれを見つけたのかを聞いたところで十数年前に山奥の川から流れてきたと答えた老人。

 

もしかすると香坂しぐれの父が持っていた刀ではないかと思った男は、譲ってもらえないか交渉してみることにしたらしい。

 

助けてもらったから欲しいなら差し上げようと言った老人に感謝をして刀を受け取った男は刀を包むと梁山泊に向かって移動していく。

 

到着した梁山泊で香坂しぐれに刀を渡すと、父が持っていたものだなと懐かしそうな顔をした香坂しぐれ。

 

お茶菓子も買ってきていた男が風林寺美羽にそれを渡してから梁山泊を立ち去ろうとすると、父の形見を持ってきてくれて感謝す、ると香坂しぐれが言った。

 

見つけたのは偶然ですが、香坂しぐれ殿に渡せて良かったと思いますと言って微笑んだ男。

 

その刀をどうするかは貴女の自由ですよ、香坂しぐれ殿と男は言うと梁山泊から出ていき、町の外へと歩き出す。

 

再び旅を続けていく男が日本を巡っていったところで穿彗と鍛冶摩里巳に出会ったようだ。

 

更に腕を上げている鍛冶摩里巳に以前言った通りに様々な武術の技を男は見せていく。

 

特に鍛冶摩里巳が興味を示したのが男が風林寺隼人と風林寺砕牙が繰り出した技を見て覚えた風林寺の技であり、使ってみたいとも鍛冶摩里巳は言い出す。

 

技を見ただけで覚えられる才能は鍛冶摩里巳には無いので風林寺の技を1つだけ覚えさせることに決めた男と穿彗。

 

覚えさせる技は風林寺千木車にした男は、鍛冶摩里巳に技を見せてから細かい解説をしていった。

 

全身で回転しながら跳躍して両腕を頭上に突き出した状態で突撃して両拳を相手に叩き込む技が風林寺千木車であると説明した男。

 

鍛冶摩里巳に風林寺千木車を修得させる為の修行を積ませていく男と穿彗は、過酷な修行で鍛冶摩里巳が身体を壊さないように調節する。

 

1つの技を修得する為に時間をかけていく鍛冶摩里巳には武術の才能は無いが、無い才能を修行の量と戦いの数で捩じ伏せていく鍛冶摩里巳。

 

日々修行を行っていった鍛冶摩里巳は見事に風林寺千木車を修得することができたようだ。

 

風林寺の技を1つ身につけた鍛冶摩里巳は、また少し強くなっていた。

 

弟子クラスで今の鍛冶摩里巳に勝てる可能性があるのは男と修行したジークフリートくらいだろう。

 

それだけ他の弟子クラスと実力に差があるとしても戦いの中で鍛冶摩里巳が油断することは決してない。

 

だからこそ鍛冶摩里巳は積み重ねてきた数多の戦いに敗北することはなかったようである。

 

以前行った新白連合との戦いで他の者達は倒したが、唯一残ったジークフリートと相討ちになったことは鍛冶摩里巳にも初めての経験だったようだ。

 

才能が無い身だとしても才能が有る者達に必ず勝利してきた鍛冶摩里巳。

 

相討ちになって勝負は着いていないと思っている鍛冶摩里巳は、次こそジークフリートを倒してみせると決意していた。

 

穿彗の弟子である鍛冶摩里巳にとって、ライバルのような存在になった男の弟子のジークフリート。

 

競う相手がいると弟子の伸びが違うと思った穿彗は、鍛冶摩里巳にジークフリートというライバルが1人できたことを歓迎しているらしい。

 

強くなったことを実感していても修行を止めることはない鍛冶摩里巳は穿彗にとっていい弟子であった。

 

風林寺の技を授けてくださってありがとうございましたと頭を下げる鍛冶摩里巳から礼を受け取った男は、穿彗と鍛冶摩里巳と別れて日本を巡る旅を続けていく。

 

元暗鶚の者達が住まう隠れ里に入った男が土産を元暗鶚の者達に渡してから叶翔が住んでいる家まで向かっていき、叶翔が喜びそうな土産を取り出して翔くん、土産を持ってきたよと呼び出す。

 

家から飛び出してきた叶翔が、金時さんと笑顔で男の元に向かってくる。

 

凄い勢いで向かってきた叶翔に土産を手渡す男は、元気だな翔くんはと笑みを浮かべていた。

 

叶翔は男に渡された土産に大喜びしていたようで、土産を掲げてその場で大回転するほどに喜んでおり、男の土産には満足していたらしい。

 

そこまで気に入ってもらえたならそれを土産に選んで良かったよと叶翔に言った男。

 

ありがとうございます金時さんと言って満面の笑みを見せた叶翔。

 

旅はまだ続けているみたいですね金時さんと叶翔は言うと、男に渡された土産を大事そうに抱えて持つ。

 

とりあえずそれを家に置いてきたらどうかなと土産を抱えている叶翔に男は言った。

 

土産を家に置いてきた叶翔が、金時さんと会うのは今年は初めてになりますねと言い出す。

 

そうなるねと頷いた男は、去年DオブDの後に梁山泊チームと引き合わせてからは翔くんと会っていなかったかなと言って笑う。

 

今日はどんな武術を見せてくれるんですかと言う叶翔に、そうだね今日はこれかなと本郷晶から見て学んだ空手を男が見せていく。

 

これは空手ですけど、普通の空手とはだいぶ違いますねと気付いた叶翔。

 

闇の九拳が使っていた空手だからね、並みの空手家とは色々違うのも当然のことだろうと男は言った。

 

金時さん、闇の九拳って闇の無手組の頂点ですよねと聞いてきた叶翔に、まあ、そうだね、闇の九拳は闇の無手組では1番上だろうなと答えた男。

 

そんなの相手にして普通に勝って技まで覚えてる金時さんは凄いですよと言ってきた叶翔。

 

ちなみに闇の九拳に所属する達人とは4人くらいと戦って勝ってるかなと言った男に、なんでそんなに闇の九拳と戦ってるんですか金時さんと叶翔は驚く。

 

縁があったんじゃないかなと言う男は物凄く落ち着いていて、闇の九拳との遭遇率が高いことに困っている様子はない。

 

今現在闇の九拳の1人である拳聖緒方一神斎とも、緒方一神斎が闇の九拳に所属する前に戦ったこともあるし、闇の九拳の1人の拳豪鬼神馬槍月と会ったこともあるかなと言った男。

 

今の闇の九拳である6人と出会ってるってことは、闇の九拳の大多数と出会ってるじゃないですか金時さんと言う叶翔は驚きを全く隠せていない様子だった。

 

DオブDで笑う鋼拳ディエゴ・カーロも見ることはできたから、後2人と出会ったら闇の九拳を全員見ることができるかもなと言って男は楽しそうに笑う。

 

なんか金時さんならコンプリートしそうな気がしますねと言った叶翔も笑っていたが内心では、闇の九拳とそれだけ遭遇するとか金時さんじゃなかったら普通は死んでそうだなと思っていたようだ。

 

それからも男が繰り出す様々な武術を見ていった叶翔は、数多の武術の技術を見ただけで少し覚えていく。

 

実用に足る技術ではないが武術が好きな叶翔の趣味のようなものであり、叶翔が実戦で使うことはないので特に男が止めることはない。

 

しかし叶翔が心惹かれた技が1つあり、それを覚えたいと珍しく叶翔が男に頼む。

 

叶翔が覚えたい技とは空手の正拳突きであり、男が見せた本郷晶の空手を見て覚えたいと思ったようである。

 

男が正拳突きを手本として見せてから叶翔に、正拳突きは引き手を意識して打つことが大事だよ、空手の突きというのは突き手と引き手が背中越しに滑車が繋がっているみたいに同時に打つんだと教えていく。

 

男に正拳突きをこと細かく丁寧に教えられた叶翔は、教えられてからたったの1日で見事な正拳突きを放つ。

 

翔くんにはやっぱり才能があるなと思った男が頷いていると実戦でも使えますかねと叶翔が聞いてきた。

 

実戦で使うにはまだまだかな、毎日正拳突きを使って身体に馴染ませておけば実戦でも使えるレベルにまでなるとは思うよと答えた男。

 

日々の積み重ねが大事だよ翔くんと締め括る男に、やっぱりそうなりますよねと言った叶翔は、これから毎日千回は正拳突きを打つようにしますと言って握った拳を掲げる。

 

うん、その意気だ翔くんと男は言うと降ろしていた荷物を背負い始めていく。

 

もう行くんですか金時さん、もう少し泊まっていってもと言いながら寂しそうな顔で男を見る叶翔。

 

私はまた来るから、そんな顔をしないでくれ翔くんと言って叶翔の肩に軽く手を乗せた男は安心させるように、大丈夫、また会えるよと笑顔で言った。

 

元暗鶚の隠れ里から去っていく男を見送った叶翔は、次に金時さんが来るまでに空手の正拳突きを完璧なものにして驚かせようと思いながら正拳突きを打つ。

 

正拳突きを千回打ってから家に戻った叶翔は男に渡された土産を見て笑顔になり、大事に保管しておこうと思ったらしい。

 

叶翔の好みを把握している男が持ってきた土産は叶翔にとっては物凄く嬉しいものだったようだ。

 

家宝にしようと思うほどに男からの土産を大切にしている叶翔は、大切なものを保管している場所に男に渡された土産をしまっておく。

 

旅をする男が観光地で楽しそうに観光をしていると近付いてきた見知った気配に、私は今、観光している最中なんだがね美雲と振り向いて言うと、では一緒に観光をしようではないか金時と現れた櫛灘美雲が言った。

 

観光地を男と巡っていく櫛灘美雲は素直に男との観光を楽しんでいて、どうやら今回は闇への勧誘に来たわけではないようである。

 

観光地の名物である料理を楽しんだり、土産物を見て回ったりしている櫛灘美雲は男に向かって笑顔をよく見せていく。

 

本当に楽しんでいるようだなと思った男も櫛灘美雲と一緒に笑うと、そんな男の頬を愛しいものに触れるように優しく撫でる櫛灘美雲。

 

触れてきた櫛灘美雲の手を握った男に櫛灘美雲は笑みを深めた。

 

観光地を2人で歩いていくと途中の旅館を見て、温泉があるようじゃなと言ってきた櫛灘美雲に、入りたいのかなと聞いた男。

 

高い美肌効果があるようじゃから、是非とも入っておきたいところじゃのうと答えた櫛灘美雲は頷く。

 

旅館で1部屋とった男と櫛灘美雲は、男湯と女湯に遮られて別れている温泉に入っていった。

 

男湯と女湯に入っていたのは男と櫛灘美雲だけであり貸切状態になっていたようだ。

 

竹製の壁で遮られた女湯から話しかけてくる櫛灘美雲に応えていた男は、視線を感じて思わず竹製の壁の上を見ると顔を出して此方を覗いている櫛灘美雲を発見する。

 

きみはいったい何をしているのかな美雲と聞いた男に、金時を覗いておると堂々と答えた櫛灘美雲。

 

他に人が来るかもしれないから止めておきなさい美雲と言い聞かせる男は、普通は男が覗こうとするものなんだがと内心では困惑していたらしい。

 

既に旅館には大金を支払って買収済みじゃから、今日は1日丸ごと貸切状態となっておると男に言ってきた櫛灘美雲に、そういう根回しは早いね本当にと呆れていた男。

 

わしがこうして金時を覗いていても止めるものは何処にもおらぬと言いながら笑った櫛灘美雲は自慢気だった。

 

温泉に入りにきたんじゃなかったのかなと言った男に、もちろん入るが、いつ入るかはわしの自由じゃろうと櫛灘美雲は言う。

 

完全に覗くつもりの櫛灘美雲は男湯と女湯を遮る壁の上から男を熱い視線で見続ける。

 

まあ、いいかと諦めた男は櫛灘美雲に見られながら温泉に浸かっていく。

 

暫く男を見ていた櫛灘美雲も、ある程度見て満足したのか温泉に入ることにしたようだ。

 

それからも話しかけてくる櫛灘美雲に返事を返していた男。

 

時間が経過して、そろそろ上がるとするかのうと言い出した櫛灘美雲に合わせて男も温泉を出る。

 

浴衣に着替えた男と櫛灘美雲は旅館で卓球台を見かけて2人で卓球をすることになり、白熱した勝負を見せていく。

 

偶然見かけた旅館の人が思わず見入ってしまうほど凄まじい卓球をしていった男と櫛灘美雲。

 

凄まじかった卓球は男の勝利に終わり、それを見ていた旅館に務める人々が盛大に拍手をしていたようだ。

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