櫛灘美雲の幼なじみになった転生者   作:色々残念

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第23話、アパチャイ・ホパチャイ

久しぶりに梁山泊を訪れた男は長崎のカステラを手土産として風林寺美羽に渡しておく。

 

母である風林寺静羽と共に梁山泊の家事を行っている風林寺美羽が用意してくれた茶を飲みながら風林寺隼人と会話を始めていく男。

 

兼一くんが達人級に斬られたらしいが生きていてくれて良かったね隼人と言った男に、うむ、そうじゃのうと頷いた風林寺隼人。

 

しぐれのかたびらと内功が鍛えられておったから兼一くんは生きておられたようじゃ、それがなければ今頃兼一くんは生きてはおらんかったと風林寺隼人は真剣な顔をした。

 

そろそろ斬られた兼一くんの身体も治る頃合いじゃからのう、師としては兼一くんを叱らねばならぬと言う風林寺隼人に、でも本当は褒めてあげたいんじゃないかな、自分の命を賭してまで人を守った弟子の兼一くんをと言って男は笑う。

 

確かに梁山泊にふさわしい行動じゃと褒めてやりたい気持ちはあるが、褒めては弟子の死期を早めかねないのでのう、師としては口が裂けても褒め言葉を言ってはならんと風林寺隼人は言った。

 

まあ、弟子の成長を祝って飲み会を行うつもりではあるんじゃがなと風林寺隼人は一言付け足す。

 

やっぱり嬉しいんじゃないかと言った男は、梁山泊の誰もがかつては通った道なんだろうなと思ったようだ。

 

風林寺隼人との会話が終わったところで暇そうにしていたアパチャイ・ホパチャイを発見した男は、アパチャイ・ホパチャイに少し私と手合わせしてみませんかと提案する。

 

アパチャイと戦いたいって人は珍しいよ、でもとっても嬉しいからアパチャイすっごく頑張るよと言ってやる気に満ち溢れたアパチャイ・ホパチャイがムエタイの構えをとった。

 

そんなアパチャイ・ホパチャイを相手にして、同じくムエタイの構えをとる男に、アパ、金時もムエタイ使えるのかよと言うアパチャイ・ホパチャイ。

 

最近ムエタイを使えるようになりました、アパチャイ・ホパチャイ殿に通用するなら問題ないと判断できるので、今日は技を試させてもらいますよと言いながら男はムエタイの技を繰り出していく。

 

戦いを続けていく内にこのムエタイはアーガードのと気付いたアパチャイ・ホパチャイは、アーガードと戦ったのかよ金時と言った。

 

ええ、戦いましたよ、私が勝ちましたけどねと言う男に、アーガードに勝った金時ならきっともっと強いはずなのに動きをアパチャイより少し上くらいに抑えてるのはどうしてよと疑問を口にしたアパチャイ・ホパチャイ。

 

いずれアパチャイ・ホパチャイ殿はアーガード・ジャム・サイと戦うことになると思いましてね、今のアーガード・ジャム・サイのムエタイを先に体験しておけば本番ではもっと良い動きが貴方ならできるでしょうと男は言う。

 

闇の九拳は並の達人ではない、たとえ梁山泊であろうと無傷での勝利は難しいはずです、命を落とすかもしれない戦いに望む貴方の助けになればと今回の戦いを提案しましたと言った男。

 

お気遣いありがとよ金時、アパチャイはアーガードに負けないよ、きっと倒してみせるよと言ったアパチャイ・ホパチャイとムエタイで戦っていく男は、絶え間なくアーガード・ジャム・サイから学んだ技を繰り出す。

 

クリョー・ルーシー・ハーンという相手の攻撃に片手だけで乗って、もう片方の手で螺旋回転を加えた拳を打ち込む技を男が放つ。

 

それを避けたアパチャイ・ホパチャイに追撃の肘打ちが繰り出されていき、直撃したそれでアパチャイ・ホパチャイが吹き飛んだ。

 

素早く間合いを詰めた男と首相撲の激しい取り合いになったアパチャイ・ホパチャイ。

 

常人なら死んでいたであろう凄まじい首相撲に打ち勝った男が放っていく膝蹴りがアパチャイ・ホパチャイに連続で叩き込まれていく。

 

戦いの中で確実に進歩していったアパチャイ・ホパチャイは徐々に速くなっていく男の動きに対応し始めていた。

 

動きはアーガード・ジャム・サイの動きだが速度が完全に違う男の攻撃に反応するアパチャイ・ホパチャイは、ムエタイ使いとして更に強くなっていたようである。

 

特A級の達人のアパチャイ・ホパチャイは、かつて神童という存在であり才能に溢れた子どもであったらしい。

 

その才能は今も発揮されて男との戦いで活人拳として更なる高みへと到達したアパチャイ・ホパチャイが、バー・クワン・サバッド・ナーという回転しながら連続で肘打ちを振り下ろして打ち込んでいく技を繰り出す。

 

それを全て受け止めた男は、この短時間で更に強くなりましたなアパチャイ・ホパチャイ殿、流石は梁山泊に所属する達人だと感心していたようだ。

 

とてつもない気当たりを放ちながら戦う男とアパチャイ・ホパチャイを見ていた逆鬼至緒が、軽い手合わせにしてはやり過ぎだぜと言っていた。

 

白浜兼一を治療している岬越寺秋雨と馬剣星は今現在梁山泊にはおらず、風林寺砕牙は仕事に行っていて不在であり、梁山泊に居るのは風林寺隼人と風林寺静羽に風林寺美羽と逆鬼至緒にアパチャイ・ホパチャイと坂田金時という男だけである。

 

しかし坂田金時か、想像以上にやりやがるなと男の動きを見て思った逆鬼至緒は、まだまだ本気じゃねぇみたいだしな、強い奴だってのは間違いねぇと笑う。

 

俺だったらどう戦うかと考えていたようで、男とアパチャイ・ホパチャイの戦いを集中して見ていく逆鬼至緒。

 

梁山泊の敷地内で行われている戦いは、まだ続いていたらしく、凄まじい速度で動いていく男とアパチャイ・ホパチャイ。

 

物理的に地獄におちるよ、あくまでも活人拳的にと言いながら男に向かってナロック・ギンナリー・レン・ナムという踵蹴りを連続で顔面に叩き込む古式ムエタイ、ムエボーランの技を放ったアパチャイ・ホパチャイ。

 

それに対して男は、連続で放たれ続けた踵による蹴りを片手だけで受け止めていき、お返しをさせてもらいましょうと言うと古式ムエタイの技を叩き込む。

 

サイ・リウ・ランからタビエン・ファン・トーという技に繋いだ男の攻撃が直撃したアパチャイ・ホパチャイは倒れることなく立ち続けていた。

 

アッパァ!と叫び声を上げながらアーガードから伝授されたパンチの要訣を究極にまで突きつめたアパンチを放つアパチャイ・ホパチャイは続けて、アーガードから学んだ絶対なる基本技のもう1つを繰り出す。

 

繰り出されたアパチャイ・ホパチャイのチャイキックを避けた男がティー・ソーク・トロンをアパチャイ・ホパチャイに打ち込んだ。

 

受け止めたアパチャイ・ホパチャイが吹き飛んでしまうほどの威力だったティー・ソーク・トロン。

 

アパ、良いティー・ソーク・トロンよ、金時はムエタイ向いてるかもよと言ってきたアパチャイ・ホパチャイ。

 

そうですかね、それなら次はこれでどうですかと言いながら男は、肘を使った技であるティー・ソーク・ボーンからティー・ソーク・ラーンを繰り出していき、アパチャイ・ホパチャイに連続で肘を叩き込んでいく。

 

アパチャイ・ホパチャイも負けじと死んだほうが少しましかもパンチや、よいこには見せられないパンチという凄まじい連打を放つ。

 

アパチャイ・ホパチャイが連続で放ってきた凄まじいパンチを全て受け止めていった男は、アパチャイ・ホパチャイにムエタイのローキックであるテッ・ラーンを使って足を狙った蹴りを叩き込んでいった。

 

完成度が非常に高い男のテッ・ラーンを完全には避けきれなかったアパチャイ・ホパチャイは足にかなりのダメージを受けることになる。

 

足がそんな状態でも男に向かってムエタイの膝蹴りであるカウ・ロイを繰り出すアパチャイ・ホパチャイ。

 

カウ・ロイを回避した男は続けてアパチャイ・ホパチャイが放つ、ほとんど死んじゃうパンチという特A級の達人でも当たればただでは済まないパンチを避けてアパチャイ・ホパチャイにムエタイの廻し膝蹴りであるティー・カウ・コーンを打ち込んだ。

 

金時はびっくりするほど強いよ、だからアパチャイの出せる全てを金時にぶつけるよと言ったアパチャイ・ホパチャイは全力で男に立ち向かっていく。

 

通常のムエタイの技に加えて相手を殺傷する為に作られた古式ムエタイ、ムエボーランの技を手加減で活人ムエタイとして繰り出していったアパチャイ・ホパチャイは自分が今出せる全てを残らず出す。

 

全力で秘技を出すにはワイクルーを踊る必要があると考えていたアパチャイ・ホパチャイ。

 

男と距離をとる為に技を使って間合いを離していったところでアパチャイ・ホパチャイの狙いに完全に気付いていた男。

 

しかしそれでもアパチャイ・ホパチャイの動きを全く止めることはない男はアパチャイ・ホパチャイに全力を出させるつもりであった。

 

ワイクルー・ラーム・ムエを踊り始めたアパチャイに合わせて男もワイクルーを舞う。

 

ワイクルーが終わり互いに合掌をした男とアパチャイ・ホパチャイが学んだムエタイの流派に伝わる秘技であるボーリスッド・ルークマイを繰り出していく。

 

放たれた互いの秘技がぶつかり合って凄まじい衝撃が広がっていき、男の拳が一瞬速くアパチャイ・ホパチャイの腹部に叩き込まれる。

 

男が威力を抑えていなければアパチャイ・ホパチャイの腹部を貫通したであろう拳は、アパチャイ・ホパチャイを吹き飛ばすだけに留まり、喰らったアパチャイ・ホパチャイが痛いだけで済んでいたようだ。

 

こうしてようやく決着が着いた2人のムエタイによる激しい勝負は実力をかなり抑えていても坂田金時という男の勝利で終わったらしい。

 

アパパパ、やっぱり金時は凄い奴よ、アパチャイ更に強くなったけど金時は、もっと強かったよ、ありがとよ金時、いい経験になったよとお礼を言ったアパチャイ・ホパチャイ。

 

此方も活人拳の相手と戦えて色々と収穫はありましたよ、久しぶりに殺人拳以外の特A級の達人と戦えて良かったと思います、ありがとうございましたアパチャイ・ホパチャイ殿と男も礼を言う。

 

戦いが終わり和やかに会話をしている男とアパチャイ・ホパチャイに逆鬼至緒が、終わったみてぇだなと言いながら近付いてきた。

 

逆鬼至緒殿、渡す物がありますと言った男が荷物から取り出した酒のつまみに、お、気が利くじゃねぇかと喜んだ逆鬼至緒。

 

渡された酒のつまみをじっと見ているアパチャイ・ホパチャイに、やんねぇぞアパチャイと逆鬼至緒が言って酒のつまみを遠ざける。

 

アパチャイ・ホパチャイ殿にはこれを渡しておこうと言った男が荷物から取り出したクッキーの詰め合わせが入っている缶を渡す。

 

わーい、やったよと物凄く喜ぶアパチャイ・ホパチャイを見た逆鬼至緒が用意がいいじゃねぇかと感心していた。

 

喜んでもらえるかはわかりませんが一応梁山泊の全員分の土産は用意してありますからねと言う男。

 

とりあえず後で隼人にもこっそり鳥獣戯画を渡しておくとしようと考えた男は、風林寺静羽と風林寺美羽の親子にも土産を先に渡しておき、風林寺砕牙への土産も預けておく。

 

岬越寺接骨院で治療中の白浜兼一の元にも向かった男は、完治も近い白浜兼一と治療を施している岬越寺秋雨に馬剣星への種類が違う土産を置いて梁山泊へ戻ってくる。

 

白浜兼一には珍しいがとても面白い本で、岬越寺秋雨には職人が作製した良い筆であり、馬剣星には高価な漢方の材料を用意していた男。

 

そんな男は馬剣星への土産として如何わしい本を買おうかと一瞬思ったようだが、如何わしい本を買っている情報が闇に伝わったとして、それを知った櫛灘美雲の反応が恐ろしいものになりそうだと思って断念したらしい。

 

梁山泊にて風林寺隼人の元に向かった男は、こっそりと鳥獣戯画を手渡してから今度は香坂しぐれに良質な砥石を渡しに行く。

 

良いものだな、ありがと、うと言ってきた香坂しぐれに、気に入ってもらえたようで良かったですよと笑った男。

 

とりあえずこれで梁山泊の全員に土産は渡せたかなと思った男は、梁山泊を後にして去っていったようだ。

 

男が去ってからそれぞれが喜ぶような土産を選んだ男の土産に喜んだ梁山泊の面々は、土産を持ってきてくれた男に感謝をしていた。

 

馬剣星だけはエロが足りないねと言いながら少し落ち込んでいたようだが高価な漢方の材料は、これからも使うことは確かで必要な物ではあるために嬉しいものではあったらしく、一応男からの土産に喜んではいた馬剣星。

 

また梁山泊に行く時は手土産に何か持っていこうと考える男は、次の土産はどうしようかと思考を巡らせる。

 

特に思い付かなかった男は、次に旅をした場所で良さそうだと思った物にしておこうと決めていた。

 

旅を続けていく男は向かった先で闇に所属してはいないが男を狙う達人と遭遇することになり、避けられなかった戦いを行っていく。

 

七星蟷螂拳の使い手である達人を相手に技を見ながら戦っていった男に向かって七星蟷螂拳の技である、七星蟷螂斬腰という投げ技を放とうとした七星蟷螂拳の達人。

 

しかし男にその攻撃が当たることはなく、動きを完全に見切られていた七星蟷螂拳の達人は、それでも蟷螂手という独特な手による攻撃を繰り出し続けていったが全て男に避けられてしまう。

 

そろそろいいかと思った男の攻撃が七星蟷螂拳の達人に叩き込まれて、一撃で倒された七星蟷螂拳の達人が地面に崩れ落ちていった。

 

気を失った七星蟷螂拳の達人を放置して移動していく男は宿泊施設を探していたが、なかなか見つからない宿泊施設。

 

困っていた男の前に今度は黒虎白龍門会から送られてきた刺客である中国武術の達人達が現れると問答無用で襲いかかってくる。

 

宿泊施設を探す為に急いでいたので、襲いかかってきた相手の技を見ることなく手加減した一撃で中国武術の達人達を手早く倒していく男。

 

外功内功共に優れていた中国武術の達人達だったが、坂田金時という男の相手をするには実力が不足していたらしい。

 

それからなんとか宿泊施設を見つけることができた男はようやく泊まることができて、男に倒された達人達は野外に放置されていた。

 

達人達は達人ではあるので一晩中野外に放置されたとしても風邪をひくような柔な鍛え方はしていなかったようだ。

 

一晩泊まっていた宿泊施設から出た男は、倒した達人達と再び遭遇しない内に素早く町を出ていく。

 

移動した先にある山に向かった男が山の中で巨大な熊に追われて転んだ少女を発見すると助けに入り、巨大な熊を投げ飛ばして追い返す。

 

昔もこんなことがあったなと思った男は少女に無事かどうかを聞くと足を挫いてしまっていて立てないようなので、男が背負って移動することになった。

 

少女は山菜を採りに山に来ていたようだが、まさかあんなに巨大な熊と遭遇するとは、思っていなかったようである。

 

とりあえず今は歩けない少女の家まで男が送ることになり、山を出て少女を家まで運んだ男。

 

無事に家まで少女を送り届けた男は、ありがとうお兄さんとお礼を言った少女に、山に入るのはしばらく止めておきなさいと忠告しておく。

 

少女の家から山に戻った男は追い返した巨大な熊が残した痕跡と気配を追って、巨大な熊の元に向かう。

 

かなり巨大な熊を一撃で苦しませずに殺した男は、血抜きをして巨大な熊の肉を手早く解体していった。

 

解体が終わってから大量の熊肉を調理して食べていった男は、腹一杯になるまで熊肉を食べていき、残った熊肉は燻製にしておくようだ。

 

山に存在する熊の気配はこの1頭だけであり、少女が熊に襲われることはもうないだろうと判断した男。

 

人を襲おうとした熊を放っておく訳にはいかないと思った男は熊を殺したが熊を殺したことについては何とも思っていない。

 

命を奪うことに全く躊躇いがない男は殺人拳に向いているのかもしれないが、男が選んだ道は活人拳である。

 

己の道は己で決めた男は誰に影響されることもなく、選んだ道をこれからも進んでいくだろう。

 

巨大な熊を探しだしてから殺し、解体して食べてと全ての用が済んだ山を移動した男は、とある町に到着すると宿泊施設を探して町を歩き回った。

 

歩いている最中に近付いてきたよく知っている気配を察知した男は振り向いて立ち止まると、更に近くに迫った気配の主につい最近会ったばかりだと思うんだが早くないか美雲と問いかける。

 

わしと金時の仲じゃからのう、何回会っても構わんじゃろうと言ってきた櫛灘美雲は以前男が買った服を着ていて、今回は闇への勧誘に来た訳ではないようだ。

 

この服はどうかのうと聞いてきた櫛灘美雲に似合ってるよと答えた男は、美雲はスタイルが良いから着込んでいる上着とスラッと穿けているジーンズが良い感じだねと言って笑う。

 

うむ、たまにはこの格好も悪くはないのう、金時と一緒に選んだ服じゃからな、大切に着ようと思っておると言った櫛灘美雲も着ている服を気に入っているらしい。

 

今日は闇への勧誘に来た訳じゃないみたいだね、私と一緒に過ごしたくて来たのかなと言った男に、金時はよくわかっておるのう、今日は明日の朝まで一緒に過ごそうと思っておるのじゃが、どうかのう金時と言ってきた櫛灘美雲。

 

別に構わないよ、今日は私と一緒に過ごそうか美雲と言う男に、頷いて笑った櫛灘美雲はとても嬉しそうだった。

 

男と一緒に楽しい時間を過ごした櫛灘美雲は、とても穏やかな顔をしていたようだ。

 

心を暗く沈めていた櫛灘美雲の冷徹ともいえる非情さが完全に薄れており、坂田金時という男が傍にいるだけでまるで別人のような顔を櫛灘美雲は見せる。

 

櫛灘美雲にとって坂田金時の存在だけが特別であり、不要だと切り捨てることができない唯一の存在であった。

 

だからこそ櫛灘美雲は坂田金時との交流を絶対に断つことはなく、これからも坂田金時を己が所属する闇へと勧誘し続けるだろう。

 

しかし最近は勧誘ばかりをしていては交流ができないと思っている櫛灘美雲が坂田金時との交流を優先することも増えているらしい。

 

闇への勧誘が減ったことは男も感じ取っていて、櫛灘美雲との交流だけなら嫌いではない男には喜ばしいことのようである。

 

朝まで一緒に過ごした男と櫛灘美雲は同じベッドで並んで横になっていて、櫛灘美雲の頭を優しく撫でる男は結局徹夜してしまったねと言いながら笑みを浮かべた。

 

わしは金時と一緒に過ごせて良かったがのうと言うと櫛灘美雲は微笑んで男の頬に手を伸ばす。

 

とても愛しげに男の頬へ手で触れてから顔を近付けて深い口付けをした櫛灘美雲。

 

口付けを終えてから顔を離した櫛灘美雲は男に抱きつくと胸板に耳を当てて男の心臓の鼓動を聴く。

 

金時の心臓は高鳴っておるのう、わしと同じじゃなと言うと櫛灘美雲は男の頭を自分の胸に誘導していった。

 

柔らかで豊かな胸に包まれながら櫛灘美雲の鼓動を聴いた男は、確かに美雲の心臓も高鳴っているねと言って頭を動かして離れようとしたが櫛灘美雲が男の頭を掴んで離そうとしない。

 

どうしたのかな美雲と聞いた男に櫛灘美雲は、しばらくこのままでいたいんじゃがのうと言いながら男を身体で包み込むように抱きしめる。

 

美雲がそうしたいならそうすれば良いよ、しばらくこのままでも私は構わないさと言った男は全身で抱きしめてくる櫛灘美雲に完全に身を任せており、櫛灘美雲が満足するまで抱きしめられ続けていた男。

 

3時間ほど櫛灘美雲に全身で抱きしめられていた男は、抱きしめから解放された後に櫛灘美雲に軽く口付けをすると部屋を出ていく。

 

何故か今回は随分と密着することが多かったなと男は思っていたようだ。

 

ホテルの代金を男が全て支払ってから先に立ち去っていき、1人ホテルの部屋に残された櫛灘美雲は男と共に過ごした時間を思い出して物凄く幸せそうな顔をしていたらしい。

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