パスワードの解析に長けている中原おさむという闇のコンピューター関係の技師が最近闇から足抜けして命を狙われている。
そんな中原おさむを守る為に宝蔵院流槍術の達人5人とSP2人が本郷晶に立ち塞がったが、戦意がある者のみ本郷晶に殺害されて、宝蔵院流槍術の達人5人と拳銃の引き金に指をかけていた方のSP1人が死亡した。
残った中原おさむとSP1人には手を出すことはない人越拳神、本郷晶は武人以外は手にかけない。
それをよく知っている闇の無手組の人間が慌てて逃げていった中原おさむとSP1人を追っていく。
逃げた闇の技師の居場所がわかるデータを持って帰ってきた白浜兼一に逆鬼至緒が、今回は1人で行くと言い出して誰にも着いてくることを許さなかった。
しかし師匠である逆鬼至緒の言い付けを守らずに勝手に着いていくことに決めた白浜兼一が風林寺美羽に頼んで梁山泊を抜け出していくが、それに気付いた風林寺砕牙が隠れて2人を見守ることにしたようだ。
活人拳の空手最強、ケンカ100段、逆鬼至緒と、殺人拳の空手最強、人越拳神、本郷晶の戦いが近付き、互いの出会いを予感していた逆鬼至緒と本郷晶。
闇の技師であった中原おさむを確保した白浜兼一と風林寺美羽は、自分を庇って怪我をしたSPの為に薬と包帯を買ってきていた中原おさむを悪い人ではないと判断したようである。
中原おさむとSPを始末しに来ていた闇の無手組を倒して担いでいたSPを白浜兼一に放り投げた逆鬼至緒は、しっかり守るんだぞと弟子に言い付けて闇の無手組達との戦いに戻った。
白浜兼一達の前にも現れた闇の無手組は、達人として弟子クラスを手にかけるようなことはせずに風林寺美羽と白浜兼一をすり抜けてターゲットである中原おさむだけを狙ったが、隠れて見守っていた風林寺砕牙が姿を現して闇の無手組を一撃で活人拳として殺さずに倒す。
お父様と驚く風林寺美羽と砕牙さん、いつの間にと驚愕を隠せない白浜兼一。
砕牙が来てるなら安心だなと思った逆鬼至緒は闇の無手組を全員倒していき、出てこいと本郷晶を呼び出した。
逆鬼至緒の前に立った本郷晶が天地上下の構えをとると逆鬼至緒も前羽構えをとり、1歩1歩近付いていく。
空手の達人2人の近くの町並みがもはや歪んで見えるほどに、相容れない凝縮された静と、とてつもない動の気のぶつかり合い。
逆鬼至緒と本郷晶の剥き出しの気迫は凄まじいものになり、2人の気当たりで中原おさむとSPは完全に気を失っていた。
白浜兼一と風林寺美羽を実は最初から見守っていた坂田金時という男に任せて中原おさむとSPを担いで移動していく風林寺砕牙。
去っていった風林寺砕牙の代わりに現れた坂田金時が白浜兼一と風林寺美羽を守っていくようだ。
ビルの屋上にまで移動しながら戦いを続けていた逆鬼至緒と本郷晶を追うことにした坂田金時は、白浜兼一と風林寺美羽を担いでビルの壁面を駆け上がって屋上にまで移動していく。
移動する最中白浜兼一がとんでもない体験をしたかのような悲鳴をあげていたが、急がないと戦いを見逃してしまうだろうからという坂田金時の気遣いには白浜兼一は気付いていない。
活人拳と殺人拳の空手の頂点の戦いを見ていると、飛んでくる大小様々である鋭利な破片。
それらを瞬く間に弾いていく坂田金時は、白浜兼一と風林寺美羽が傷つかないように守っていた。
屋上に流れ出した水に電線が入り込んで感電しながら戦いを続けていく逆鬼至緒と本郷晶。
白浜兼一と風林寺美羽が感電しないように担いで跳躍して少し高いところに移動した坂田金時。
本郷晶の貫手を腹部に喰らった逆鬼至緒だが、空手秘伝の内臓上げで重要内臓器官を押し上げて隠していた逆鬼至緒には致命傷になっていない。
一瞬の隙を見逃さずに諸手正拳挟み蹴りを放った逆鬼至緒に対して、脱気崩がわしを使った本郷晶は身体から一気に気を抜いて諸手正拳によって腕を挟まれることと高威力の蹴りをギリギリで回避する。
しかしそれは逆鬼至緒の想定内であり、本郷晶が気を抜いた瞬間を狙って諸手猿臂飛び膝蹴りを繰り出した逆鬼至緒。
本郷晶の顔面を挟み込む両肘打ちと腹部に叩き込まれた飛び膝蹴りは凄まじい威力を持っていたが、逆鬼至緒の顔面にもカウンターで本郷晶の肘打ちが入っていた。
互いの攻撃で完全に意識が飛んだ逆鬼至緒と本郷晶は、それでも戦いを止めることなく続けていく。
白浜兼一と風林寺美羽を背に庇いながら時折向かってくる逆鬼至緒や本郷晶の拳や蹴りを容易く捌いていった坂田金時。
純粋な武術の塊2つのぶつかり合いとなっている逆鬼至緒と本郷晶の戦いは、まさに空手という生物同士の死闘であった。
そんな激しい戦いの中でも師匠である逆鬼至緒の攻撃からは、相手を殺す意志を全く感じなかった白浜兼一。
それがどれだけ凄いことなのか理解できている白浜兼一は、この人の弟子でよかったと思っていたようだ。
戦いの最中に凄まじい速度で飛んできた瓦礫を弾いていく坂田金時は、そろそろ戦いも終わりが近そうだと思っていたらしい。
本郷晶の腹部に叩き込まれた逆鬼至緒の拳と、逆鬼至緒に突き込まれた本郷晶の貫手、相討ちとなったかのように見えた勝負。
逆鬼師匠と言いながら思わず駆け寄ろうとした白浜兼一を止めた坂田金時は、まだ勝負は終わっていないと言う。
その言葉通り、膝をついていた逆鬼至緒が立ち上がると、同じく膝をついている本郷晶を殴り飛ばす。
決着はそれで着いたようで、逆鬼至緒の勝利で終わった凄まじい戦い。
殴り飛ばされて吹き飛んだ本郷晶を回収した坂田金時は、今回はきみの負けのようだなと言った。
活人拳と殺人拳の空手最強による戦いは、活人拳の勝利で終わりとなる。
どちらが勝ってもおかしくはない戦いであったが、白浜兼一という弟子を持てた逆鬼至緒に今回は軍配が上がったようだ。
しばらくして意識が戻った本郷晶は敗北を悟ったようで、政府によってビッグロックに移送される時も武人として堂々とはしていたが抵抗することはない。
敗者として勝者に従う闇の武人の誇りを持っている人越拳神、本郷晶。
無手組の頂点である闇の九拳は、これで3人がビッグロックに収監されて数が6人にまで減っていて、日本国内における闇の無手組の力も少し弱まっていく。
闇の技師であった中原おさむは無事に国外に避難できたようで、手助けをしてくれた梁山泊にお礼を言ったそうだ。
暗鶚の隠れ里に向かった坂田金時は、逆鬼至緒と本郷晶の空手勝負を叶翔に語り、その凄まじい戦いの話を聞いた叶翔は思わず、俺に空手を教えてください金時さんと言っていたらしい。
弟子であるジークフリートが立派な達人となって修行が一段落していたところで叶翔に空手を教える時間があった坂田金時は、空手を教えることにしたようである。
活人拳と殺人拳という両方の空手を知っている坂田金時だが、叶翔に教える空手は両方の良いところを混ぜたものにしていた。
殺傷力が確実に高いねじり貫手は教えずに、基本の技から教えていく坂田金時。以前坂田金時から教わった正拳突きは完璧に覚えていた叶翔は空手の技を覚えるのが早く、余りある武術の才能を坂田金時に感じさせたようだ。
上段中段下段の蹴りに加えて脇腹を狙う三日月蹴りも覚えた叶翔は覚えた技を繰り返して放ち身体に覚えさせていく。
空手における部位鍛練の方法も知っている坂田金時だが叶翔の身体の部位は、幼い頃から続けていた暗鶚の鍛練で非常に鍛えられていて、叶翔の手は特に問題なく普通に空手の貫手が使える手になっていたので部位鍛練は省いたらしい。
逆鬼至緒と本郷晶の全く別の空手を覚えている坂田金時による空手の鍛練は、決して楽なものではなかったが叶翔は空手を使えるようになりたい一心で坂田金時から空手を学んでいった。
教わった空手の技を使って坂田金時と組手をしていく叶翔は、数週間という短期間であるが今まで学んできた空手の全てを出し切る勢いで坂田金時と戦っていく。
教えられた古流空手の身体操法であるガマクをかけることもできるようになっていた叶翔は、脇腹の筋肉であるガマクを使って上半身と下半身は平行に何事もなく正位置に残しつつ、身体の重心のみを自在に操ると右で蹴ると見せかけて左で蹴りを出す。
簡単に避けられる叶翔の左上段廻し蹴りを避けずに受け止めて、空手の上達を確かめた坂田金時。
ガマクも使えるようになっているのは素晴らしいなと思った坂田金時は、翔くんならこれはどうするかと試しに手加減した手刀突きを放つ。
叶翔は内側に捻りきった拳を放たれた坂田金時の手刀の側面に入れ、一気に捻り上げると筋肉のパンプと螺旋の力で最小にして最速の払いと拳による突きを瞬時に行う白刃流しという技を繰り出していく。
一撃必殺の武士の剣術に素手で挑んだ、古式空手の神髄の技の1つである白刃流し。
刀を相手に払って、突いてでは間に合わない、だから腕1本で防御と攻撃を1度に行うという技だと説明して叶翔に教えていた坂田金時。
しっかりと技を身に付けている叶翔に嬉しくなった坂田金時は、攻撃の手を緩めることなく続けていき、鋭い正拳突きを繰り出す。
繰り出された坂田金時の正拳突きに対して、叶翔は落ち着いた様子で見事な廻し受けを披露すると正拳突きを受け流して捌いていく。
叶翔のレベルに合わせて手加減している坂田金時の技の威力は、とてつもなく抑えられているが叶翔にとっては凄まじい威力である。
淀みない綺麗な空手を見せていく坂田金時に対して、まだまだ荒削りな叶翔。
活人拳と殺人拳の両方の空手を使った坂田金時と叶翔の組手は、それからしばらくは続いていったようだ。
激しい空手の組手は叶翔に体力の限界が訪れるまで続けられていて、完全に疲れきって大の字で倒れ込んだ叶翔が荒い息をあげていた。
今日はこの程度にしておこうかと言った坂田金時が叶翔に手を差しのべると手を掴んで、どうにか叶翔は立ち上がっていく。
空手の道は、まだまだ険しそうですね金時さんと言う叶翔に、そうだね、翔くんは空手を始めたばかりだから、簡単には空手を極めることはできないと思うよ、確実に上達はしているけどねと言って笑った坂田金時。
暗鶚の血筋で武術の才能に溢れている叶翔は、空手の技を身に付けることができていたが、実戦で使うには経験が足りていない。
その経験を補う為に組手をした坂田金時という男は、もうしばらく組手を続ければ経験は補えそうだなと判断していた。
暗鶚の隠れ里に留まっていた坂田金時は、叶翔に空手を熱心に教え込んでいき、毎日激しい組手を続けていく。
叶翔という才能の塊を丹念に磨き上げた坂田金時は、立派な空手家と言えるまでに叶翔を鍛え上げていたようだ。
とりあえずこれで翔くんの空手の修行は、一応一段落したかなと思った坂田金時は暗鶚の隠れ里を後にする。
坂田金時が去ってからも1人で空手の鍛練を続けていた叶翔の正拳突きは、立派な空手家の正拳突きとなっていたらしい。
坂田金時に空手に関して色々と教わっていた叶翔は、いずれ達人に到達した時も教わった空手を使うつもりであった。
これまで隠れ里で暗鶚の武術を幼い頃から学んで妙手にまで至っていた叶翔が、空手の技を坂田金時という男に教えられて更に強くなっており、もはや同年代の暗鶚の人間には叶翔に勝てるものはいないようだ。
今では達人寄りの妙手にもなっている叶翔が、このまま何も問題なく成長していけば、やがて達人となることは間違いないだろう。
坂田金時から教わった空手を大事にしている叶翔は、学んだ空手の技を日々の鍛練に毎回組み込んでいた。
暗鶚の技だけではなく空手も毎日鍛えていく叶翔に、それが坂田金時から教えられた技だと知っている元暗鶚の者達は何も言うことはない。
実戦的な空手の技であると理解できている元暗鶚の者達は、叶翔が強くなることは別に悪いことではないと思っていたようである。
隠れ里に住まう者達は暗鶚の武術を残すことは必要だと思っていたが、それ以外の武術を学ぶことは特に禁止してはいなかった。
叶翔が空手家になろうと暗鶚の武術をしっかりと受け継いでいるなら問題はないらしい。
あくまでも元暗鶚の隠れ里であり、過去の閉鎖的な暗鶚とは全く違うようで、新しい考えや価値観がある隠れ里の者達は基本的には穏やかだ。
ちなみに叶翔は達人になったら元暗鶚の隠れ里を出て旅に出ようと考えているらしく、長い付き合いがある坂田金時という旅人に叶翔が影響されていることは間違いなかった。
今まで様々な場所を旅してきた坂田金時から色々と話を聞いていた叶翔は旅に興味を持ち、自分もいずれ隠れ里の外に出て旅をしてみたいと思っていたようである。
櫛灘家の近くには鬼幽会という空手道場があり、かつては力こそ全て、やるからには確実に殺せという普通ではない方針であったが白浜兼一と逆鬼至緒によって道場の方針が180度変わって、力と愛を掲げることになった。
道場が方針を変えた理由は鬼幽会の本部長であるアラン須菱がケンカ100段、逆鬼至緒の大ファンであったことも影響していたようだ。
YOMIによる道場破りの標的にもされた鬼幽会は、ティーラウィット・コーキンによって本部長のアラン須菱と弟子達が倒されて入院することになったが、今ではアラン須菱も退院して道場に指導しにくることができるようになっているらしい。
それでもまだ松葉杖をついたままであるアラン須菱は完全に身体が回復したわけではなかった。
坂田金時が櫛灘家に向かおうとしている途中で松葉杖が折れて倒れそうになっていたアラン須菱を発見し、瞬時に移動してアラン須菱を助ける。
すまない、助かったよと言ったアラン須菱は、松葉杖が折れるなんてついてないなとため息をついた。
アラン須菱に肩を貸した坂田金時は、目的地があるならそこまで送ろうかと言ってアラン須菱を気遣っていく。
鬼幽会まで送ってくれないだろうか、代わりの松葉杖も鬼幽会には置いてあった筈だからねと言うアラン須菱。
鬼幽会というと確か空手道場だったような気がしたが、鬼幽会の関係者なのかな貴方はと聞いた坂田金時。
一応鬼幽会の本部長をやっているよ、ムエタイ使いにやられてこんな様だけどねと答えたアラン須菱は、ハッハッハと楽しげに笑う。
笑ったら傷に響いたらしく、痛がっていたアラン須菱に、そんな状態でよく道場に行く気になったねと坂田金時は呆れていた。
なに、わたしを待っている弟子達がいるからね、この程度なんてことはないさと言ったアラン須菱。まあ、あまり無理はしないようにしたほうがいい、ムエタイ使いは古式ムエタイ使いだったようだからねとアラン須菱の身体の状態を見て、確信していた坂田金時。
必殺の一撃を喰らった身体が悲鳴を上げていてもおかしくはないと言ってアラン須菱の身体を見ていた坂田金時に、見ただけでそこまでわかるのかと驚いていたアラン須菱は、貴方はもしや名のある達人なのではと坂田金時に聞いてきた。
私は単なる通りすがりだと思っておいてくれないか、名乗る程のものではないよと答えた坂田金時は、アラン須菱に名乗るつもりはないらしい。
空手道場である鬼幽会にまで到着した坂田金時とアラン須菱が鬼幽会の中にまで入るとアラン須菱の弟子達が出迎えてくる。
歩く時に補助をする為に肩を貸していたアラン須菱を弟子達に任せた坂田金時が立ち去っていく時、アラン須菱がありがとう、本当に助かったよと感謝の言葉を言った。
振り返らずに手を上げて返事をした坂田金時は、そのまま鬼幽会から出ていく。
当初の目的地だった櫛灘家に向かう坂田金時は、足取りも軽く歩いて進む。
鬼幽会に寄り道した後に到着した櫛灘家の呼び鈴を鳴らした坂田金時は、たまには遊びに来いと言っていたから来てみたけど入ってもいいかなと呼びかける。
櫛灘家から飛び出して坂田金時を出迎えた櫛灘美雲が、飛びつくように坂田金時に抱きついて久々の金時じゃと喜んだ。
叶翔の空手の修行を邪魔されないように、元暗鶚の隠れ里では本気で気を隠していた坂田金時を見つけることができなかった櫛灘美雲は、しばらく坂田金時に会えない日々を過ごしていたらしい。
こうして久しぶりに坂田金時に会えたことが物凄く嬉しい櫛灘美雲は、全身を使うように坂田金時に抱きついて、ぴったりと密着した状態でしばらく離れなかった。
坂田金時から離れることのなかった櫛灘美雲は、抱きついたまま思いの丈を全て吐き出していたようで、とても闇の九拳であるとは思えないような姿を見せていたようだ。
櫛灘美雲が満足するまで抱きつかれていた坂田金時は、長い付き合いで櫛灘美雲のことを理解しており、抱きついただけじゃ満足はしないだろうなと次の行動に備えていく。
坂田金時の予想通りに坂田金時へと口付けをしてきた櫛灘美雲は、とても深い口付けを続けていき、かなりの長時間口付けをしたままでいたようである。
長く深かった口付けをようやく終えてから、わしの部屋に行くぞ金時と言い出した櫛灘美雲は、坂田金時の手をしっかり掴むと手を引きながら玄関から部屋まで、素早く移動していった。
櫛灘美雲の部屋に向かう前に玄関で急いで靴を脱いだ坂田金時は、それから到着した櫛灘美雲の部屋で櫛灘美雲に再び抱きつかれることになる。
こんな姿弟子には見せられないんじゃないかなと言った坂田金時に、千影は新白連合とやらの集まりに向かっておるからのう、菓子でも食べて帰ってくるじゃろうし、しばらくは2人きりじゃぞ金時と言ってきた櫛灘美雲。
じゃからのう、わしは金時と2人だけで楽しみたいんじゃがなと言いながら坂田金時の頬を艶やかに撫でた櫛灘美雲を、なら遠慮は必要ないかなと言って優しく押し倒した坂田金時。
とてもとても嬉しそうな顔をした櫛灘美雲は、どうやら金時もその気になってくれたようじゃのう、嬉しいぞ金時と言うと坂田金時という男に身を任せていく。
櫛灘千影が櫛灘家に帰ってくるまでの時間を2人だけで過ごした坂田金時と櫛灘美雲だったが、近付いてくる櫛灘千影の気配を感じ取ると素早く離れた2人。
櫛灘家に帰ってきた櫛灘千影が玄関にある靴に気付いて客でも来ているのかと判断する。
櫛灘千影を出迎えた櫛灘美雲と坂田金時を見て、何故か師匠の肌が朝見た時よりも艶やかになっているようなと感じて、不思議に思う櫛灘千影。
それじゃあ私はこれで失礼するよ美雲と言って立ち去ろうとした坂田金時に、うむ、また近いうちにのう金時と言った櫛灘美雲。
櫛灘家から素早く立ち去っていく坂田金時を見て、今日は坂田金時さんに何か用があったのですか師匠と櫛灘美雲に聞いた櫛灘千影に、知る必要はない、用事はもう終わったのでな、特に問題はないのうと答えた櫛灘美雲は頷く。
坂田金時さんには改良された延年益寿法を教わったことに対する感謝の言葉を言いたかったのですがと言う櫛灘千影は残念そうな顔をしていた。
また金時と会うことはできるじゃろう、伝えておきたい感謝の言葉は、その時に言えばよいと言った櫛灘美雲の顔は穏やかであり、坂田金時と2人で過ごしたことで色々と気持ちが落ち着いていたようだ。
今日の師匠は随分と機嫌が良さそうだと思った櫛灘千影は、たぶん坂田金時さんが来たからだろうなと考えていたらしい。
その櫛灘千影の考えは正解であり、坂田金時と久しぶりに出会えて一緒に過ごせた櫛灘美雲の機嫌は最高に良かったようである。
新白連合の集まりでケーキ食べ放題に寄ってきたことはバレないようにしておかないとと思った櫛灘千影。
しかし櫛灘千影がケーキを食べて帰ってきたことは櫛灘美雲に完全にバレていた。
櫛灘流柔術の延年益寿法には大量の砂糖は厳禁であり、言いつけを破っている櫛灘千影を叱るべきなのだろうが、櫛灘美雲は櫛灘千影を全く叱ることはない。
基本的に櫛灘美雲は弟子である櫛灘千影を叱ることがあまりないようだ。
それは坂田金時という男への執着を断ち切れない自分と菓子への執着を断ち切れない弟子を重ねて見ているからかもしれない。
幼なじみであり何よりも大切な存在である坂田金時と関係を切ることは絶対にできない櫛灘美雲。
金時がいない世界に価値などないと言い切れる程度には坂田金時という男を愛している櫛灘美雲は、坂田金時と共に過ごす時間に幸せを感じていた。