櫛灘美雲の幼なじみになった転生者   作:色々残念

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第3話、天地無真流を受け継ぐ者

天地無真流を御堂戒から受け継いだ田中勤は御堂戒の娘である御堂真結と結婚していた。

 

今では田中真結となった女性は田中勤の子供を妊娠をしていて、愛しい我が子が産まれた田中勤は会社員として働きながら幸せに過ごす。

 

産まれた赤子を連れて風林寺隼人の元に挨拶にきた田中夫妻は偶然梁山泊に来ていた男と出会うことになる。

 

達人級に到達している田中真結は男の実力が計り知れないことに気付く。

 

まだ妙手である田中勤は明らかに男が自分よりも強いことだけはわかったようだ。

 

貴方は梁山泊の方でしょうかと聞いてきた田中勤に、いや私は梁山泊に土産を持って来ただけの客だよと答えた男は土産を入れた紙袋を見せる。

 

 

ちょうど入ってきたばかりできみ達と鉢合わせになったみたいだね、きみ達は挨拶にでも来たのかなと笑いかけてきた男が悪い人には見えなかった田中夫妻は、そうです挨拶に来ましたと正直に教えた。

 

こうして出会ったのも何かの縁かもしれないし一緒に挨拶に向かおうかと提案する男。

 

提案を受け入れた田中夫妻と共に向かった先で梁山泊の面々に挨拶をしていく3人。

 

土産を手渡す田中勤と男から受け取った美羽が、どちらも良いところのお菓子ですわねと喜ぶ。

 

梁山泊で修行をしている白浜兼一を見て、自身の過去の修行を思い出した田中勤は遠い目をする。

 

田中真結が抱える赤子を見た美羽が、可愛い赤ちゃんですわねと笑顔で言う。

 

田中勤が嬉しそうな顔で可愛くて仕方ありませんよ、妻には感謝しています、今日は師匠の知人である風林寺隼人さんに無事に産まれたことを伝えようと思って此処に来たんですと言って頷く。

 

風林寺隼人が田中夫妻に優しげな笑みを浮かべながら、うむ、それはめでたいことじゃのう、幸せそうで何よりじゃわいと言った。

 

それで、挨拶だけが用件かのうと問いかける風林寺隼人に、それだけではなく梁山泊の達人の方々と手合わせしたいと思っています、まだまだ未熟な自分ですがもっと強くなりたいのですと言って頭を下げた田中勤。

 

梁山泊の面々は乗り気のようであり、田中勤の願いは直ぐに叶いそうである。

 

アパチャイもやるよ!とやる気に満ち溢れているアパチャイ・ホパチャイに、きみはやる、なと冷静に言う香坂しぐれ。

 

確かに手加減できないアパチャイくんは止めた方がいいだろうなと言った岬越寺秋雨。

 

一気に落ち込んで体育座りで畳を指でつっつき始めたアパチャイ・ホパチャイ。

 

まずはおいちゃんが相手をするねと言い出した馬剣星が道場で中国拳法の構えをとる。

 

始まった田中勤の戦いを見ていた男は、まだ妙手だがこれから実力が伸びそうだなと思ったらしい。

 

馬剣星に敗北しても折れることなく立ち続ける田中勤は、次の方お願いしますと言って天地無真流の構えをとり、まだまだ続けるつもりのようだ。

 

馬剣星と入れ替わって次は俺が相手してやるよと言った逆鬼至緒が手加減した空手で田中勤を攻撃していく。

 

何度倒れようと立ち上がる田中勤に、いい根性してるじゃねぇかと逆鬼至緒が褒める。

 

最後はわたしが行こうと言って逆鬼至緒と交代した岬越寺秋雨が田中勤の前に立つ。

 

岬越寺流柔術で何度も投げられた田中勤が、それでも受け身をとって立ち上がり立ち向かっていく。

 

家族を守れるように強くなりたいと思う田中勤の気持ちは強く、両の足を支える力となっていた。素晴らしい若者だと思った岬越寺秋雨は田中勤を投げる。

 

立ち上がって挑み続ける田中勤は限界を超えていき、妙手の中でも実力が上がっていた。

 

今日はそこまでにしておいた方がいいじゃろうと田中勤を止めに入った風林寺隼人。

 

田中勤が自分の足で歩いて帰れるようには手加減をしていた梁山泊の面々。

 

ありがとうございましたと礼を言って頭を下げてから疲れきった田中勤が妻である田中真結と赤子を連れて梁山泊から去っていく。

 

片方は疲労困憊で片方は赤子を抱えている。そんな状態の2人を歩いて帰らせるのが不安だった男は、念の為に着いていくことにしたらしい。

 

御堂戒に敗北してから天地無真流を狙う闇の達人が1人いたようで、田中勤と田中真結の前に現れた闇の達人。

 

天地無真流死すべしと言いながら田中一家に襲いかかろうとした闇の達人に忘心波衝撃を打ち込んで気絶させた男に感謝した田中夫妻。

 

気絶している闇の達人を通行の邪魔にならない位置まで移動させてから放置して田中夫妻と共に歩いていく男。

 

周囲を警戒している男の感知できる範囲はとても広く、些細な違和感も見逃さない男が田中夫妻を守っていく。

 

家まで無事に到着した田中夫妻から礼を言われた男は、きみ達が無事で良かったと笑う。

 

田中勤と携帯電話の電話番号を交換した男は、闇の達人は完全に記憶を失っているからきみ達を襲うことはもうないだろうが何かあれば直ぐに連絡してくれと言うと立ち去る。

 

去っていく男の背に深く頭を下げた田中勤は、もっともっと強くなろうと決意した。娘が産まれてから田中勤は今よりも更に強くなりたいと考えていたらしい。

 

男に思わず娘のことで長々と電話した田中勤は、男に子育てに役立ちそうな知識を丁寧に教えられて物凄く感謝したようだ。

 

必要になるだろうと思った男がベビー用品を買い込んで田中家に持ってきて田中夫妻にプレゼントする。色々と男に世話になっているなと思った田中勤は、何かお返しができないかと考えた。

 

男が欲しがるような物が何かないかと思った田中勤は、男に電話して聞いてみたがきみ達が幸せになってくれればそれでいいさと男は言う。

 

男が喜ぶことが何も思いつかなかった田中勤は頭を悩ませたが、いずれ男が欲しい物がわかった時にまとめて返そうと考えたみたいだ。

 

田中勤は男と組手をよくするようになり、櫛灘流柔術の技を使わずとも勝てるほどに男と田中勤に実力差があっても櫛灘流柔術を使って田中勤に経験を積ませていく男。

 

実力を伸ばしていった田中勤はかなり達人寄りの妙手となっていて、妙手の殻を破ることができれば達人になれるだろう。

 

妻である田中真結と娘を守りたい一心で強くなろうとしている田中勤を応援する男は、今日も田中勤と物凄く激しい組手を行っていく。

 

それを見守る田中真結は夫である田中勤を信じていた。きっと貴方なら達人になれると思いながら激しい組手をする田中勤を見ていた田中真結。

 

そして遂にその時が来る。

 

妙手の殻を破り、達人となった田中勤。

 

気の掌握にまで至り、手加減した男の攻撃を避けることに成功した田中勤は、今までとはまるで違う自分に気付く。

 

達人級になったことで少しは自信がついた様子の田中勤は、妻である田中真結に向かって笑顔を見せた。

 

よくやったなと田中勤くんと喜ぶ男に、今まで組手に付き合ってくれてありがとうございます、おかげで達人級になれましたと田中勤は頭を下げて感謝をしたようだ。

 

これで妻と娘を守れるようになった気がしますと田中勤は言う。まだまだ達人になったばかりだから、これからも精進する必要はあると思うよと言った男に、それはもちろんわかっていますと言って田中勤は頷く。

 

これからも組手を頼んでいいですかと聞く田中勤へ、構わないよ、特に用事があるわけではないからねと答えた男。

 

それから何度も男と組手をした田中勤は、立派な達人と言えるまでに腕を上げる。田中勤が今まで使った天地無真流の技も見ただけで覚えた男は使えそうな技が増えたことに喜んだ。

 

とりあえず田中勤と田中真結に覚えた天地無真流の技を見せて使ってもいいかを聞いてみた男。

 

それを見て技の完成度に驚いた田中夫妻だったが、男には色々と世話になっているので天地無真流の技を使うことを認める。

 

天地無真流の後継者である田中夫妻に認められたので堂々と技が使える男は、嬉しそうな顔で田中夫妻に感謝した。

 

田中夫妻の元から離れて旅に出て、1人で人通りの少ない道を歩く男に真正面から近付いてきた櫛灘美雲が、お主も闇に来い金時と言い出す。

 

金時が自由に力を振るえるのは闇じゃろう、闇の無手組としてわしと共に生きるのじゃと言ってきた櫛灘美雲に、私は闇には入らないよ美雲と優しく言い聞かせる男。

 

定住することなく日々流れて生きているけど、これはこれで身軽で気に入ってるんだ、それに自由に力を振るえなくても私は生きていけるから、闇に所属する気にはなれないよと男は言う。

 

人は戦の中でだけ人でいられるのじゃ、力を自由に振るえぬ世の中を変える必要がある、金時、わしはお主と共にありたい、この手をとってくれぬかと言って手を差し出す櫛灘美雲。

 

その手はとれないよ美雲、闇は私の居場所ではないんだ、戦がなくても私は人として生きられる、世の中を変えて戦を引き起こすつもりなら私はそれを止めなくてはいけないと男は言った。

 

どうしてもわかってくれぬのならば力付くで、お主を連れていくぞ金時と言って櫛灘美雲は戦闘体勢に入る。

 

気当たりによる分身を用いて攻撃に移った櫛灘美雲が蹴りを連続で放つが、全てを余裕で回避した男は櫛灘美雲の櫛灘流柔術を知り尽くしているようだ。

 

同じ師匠から櫛灘流柔術を学んで、組手も数え切れないほどやった2人は互いの櫛灘流柔術を全て知っているが、櫛灘美雲は男に勝ったことが一度もない。

 

櫛灘美雲を単純な身体能力だけで圧倒する男は、特A級の達人を超えている櫛灘美雲よりも遥かに強いのだろう。

 

気当たりによる数多の分身から本体を容易く見抜いた男は櫛灘美雲を傷つけることなく優しく倒す。

 

気を失った櫛灘美雲を膝枕する男は、櫛灘美雲が自然に起きるまで待つ。

 

目を覚ました櫛灘美雲が男に膝枕をされた状態で、手を伸ばせば届く距離にお主がいるんじゃが、とても遠く感じるのうと寂しそうに言う。

 

ゆっくりと伸ばした手で男の頬を優しく撫でる櫛灘美雲が、金時は、わしのことが嫌いではないじゃろうと確認するかのように聞いてくる。

 

美雲のことは嫌いではないよと答えた男は櫛灘美雲に笑いかけた。それなら良いんじゃがのうと言って櫛灘美雲は微笑んだ。

 

金時、もう少しこのままでいさせてくれぬかと頼んできた櫛灘美雲に、構わないよ、美雲が満足するまでこのままでいようと了承する男。

 

2人で穏やかな時間を過ごした男と櫛灘美雲。

 

戦を求めていても坂田金時という男も大切に思っている櫛灘美雲は、男と一緒にいられるなら穏やかな時間も嫌いではなかった。

 

自分には坂田金時が必要だと考える櫛灘美雲は、闇への勧誘を諦めることはない。

 

櫛灘流柔術の秘法によって老いることのない男と櫛灘美雲の2人には時間がいくらでもあるからだろう。

 

闇の九拳であり妖拳の女宿という異名を持つ櫛灘美雲が、穏やかな顔を見せるのは坂田金時という男と一緒にいる間だけである。

 

弟子の前では決して見せることのない顔をする櫛灘美雲は、坂田金時にとてつもなく執着しているようだ。

 

長年の想いを途切れさせることなく抱いている櫛灘美雲を坂田金時も大切に思っているらしい。

 

活人拳と殺人拳という互いに違う道を選んだ2人は、相容れない道であるとしても完全に関係を断ち切ることはできていなかった。

 

櫛灘美雲の方から闇への勧誘という形で接触することもあれば、以前のように単純にデートを楽しむこともある2人。明らかに櫛灘美雲から男に接触していることは確かだ。

 

櫛灘美雲が帰っていく姿を見送った男は宿泊施設に向かっていく。

 

あいにく全ての部屋が埋まっていて、宿泊施設に泊まることができなかった男は近場の山で野宿をすることにした。

 

森の中で眠った男が目を覚ましてから山を凄まじい速度で駆け回り山の幸をどっさりと回収して川で魚を捕まえると朝食にする。

 

焼き魚と山の幸を食べていく男は、食後のデザートとして山葡萄と木苺にあけびを食べていった。

 

山での野宿を終えた男が再び旅に出ようと考えたところで現れた達人。

 

身のこなしからして骨法の達人ではあるが、闇からの刺客ではないようだと判断した男が何の用かなと問いかける。

 

すると骨法を学んでみるつもりはないかと言ってきた達人に、何故私に骨法を教えようと思ったんだと聞く男。

 

達人は食料を調達する男の動きを観察していたらしく、恵まれた身体能力だけで素晴らしい動きを見せたお前が骨法を身につけた姿を見てみたいと思ったからだと正直に答えた。

 

技を身につけることは嫌いではない男は達人の申し出を了承して骨法を学んでいく。

 

短期間で技をあっさりと修得した男を凄まじい才能の持ち主だと思った達人。

 

骨法をある程度身につけた男は山を出ることにしたようだ。骨法の達人に気に入られたのか見送られて山を出ていく男が、達人に聞こえるように感謝の言葉を言ってから立ち去っていく。

 

櫛灘流柔術に加えて天地無真流と骨法まで身につけた男は更に強くなっていた。

 

これまで戦ってきた相手の技も見ただけで覚えていた男が使える技は、かなりの数となっている。

 

数多の技を完璧に使いこなす男は才能に満ち溢れていて、超人級を超えた性能の肉体も持っているという凄まじい状態だ。

 

もはや単純な身体能力だけで相手を倒せる男が武術を学ぶのは、ほとんど趣味のようなものらしい。

 

それでも今まで学んできた技術は大切にしている男。

 

櫛灘流柔術を教えてくれた師匠を敬っていた男が新たな師匠である骨法の達人も敬うことは当然である。

 

今度美味い酒でも買って骨法の達人に手土産として持って行こうと考える男は、笑みを浮かべていた。

 

旅を続けている男の情報を常にいち早く手に入れている櫛灘美雲。最近はシルクァッド・ジュナザードも男の情報を集めているようだ。

 

地下格闘場で金稼ぎをすることが多い男を目撃した者達が闇に伝えて、闇の情報網から櫛灘美雲やシルクァッド・ジュナザードに情報が回ってくる。

 

今日も地下格闘場で稼いでいた男を目撃した者達が闇に情報を伝達していく。

 

闇に情報が伝わった頃には地下格闘場で連勝を重ねていた男。戦いを終えて賭け金を受け取り去っていく男を追いかけようとした者達が追いつくことはない。

 

男の圧倒的な身体能力に敵う者達ではなかったからだ。

 

足の速さが違い過ぎて勝負にもならない男とその追跡者達。置いていかれた者達は闇に男を見失ったことを伝える。

 

向かった方向だけはわかっていた者達はそれも一応闇に伝えた。闇は闇で手が空いている達人を派遣して男の情報を更に入手しようとするが、移動する男が速すぎて達人でも追いつけない。

 

足の速さに自信があった闇の達人が普通に落ち込むこともあったらしいが、本人基準では普通の速度で移動する男がそれを知ることはなかったようだ。

 

移動した先でその土地の特色に触れたりする男は日本国内で旅を楽しむ。流れに流れて生きる男がしばらく一定の場所に留まる時は人と一緒にいることが多い。

 

留まる理由は様々であるが人と接する男は定めた目的を達成するまでは移動することはなかった。

 

闇の運が悪いのか男が一定の場所に留まる時は、男の居場所を掴むことができておらず、完全に見失っている。

 

寧ろここまでくると男の運が良いということになるのかもしれない。

 

それでも男の居場所を掴むことができている櫛灘美雲は、何となく男が行きそうな場所が理解できているようだ。

 

闇から情報を受け取っているとしても、ほとんど自分の勘に従って毎回男を見つけている櫛灘美雲。

 

男と櫛灘美雲が長い付き合いだからこそ理解できることもあるのだろう。

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