古来より日本独自に発達した徒手格闘術の総称である古流柔術。
元々は白兵戦を想定しており、脇差しなどの小型武器を用いた型も多く存在しているらしい。
戦国の世に発達したが時代とともに失われつつある古流柔術を伝承している人物の元に向かう男は、険しい山道と崖を登っていく。
古流柔術の山本流柔術伝承者山本大樹の家まで近付いた男に向かって飛んできた鋭い棒手裏剣を止めた男。
続けて飛びかかってきた山本大樹が放つ蹴りを捌いた男へと連続で拳を振るう山本大樹。
容易く6発捌いた男に向かって勢いよく突き出された山本大樹の手を掴んだ男は握手をする。
少々手荒い挨拶を終えて、お久しぶりですと言った山本大樹に久しぶりだね大樹くんと言って男は笑う。
金時さんは相変わらずお変わりのないようですねと言う山本大樹に、大樹くんは立派になったなと言いながら先ほど受け止めた棒手裏剣を手渡す男。
男は山本大樹が山本流柔術の先代伝承者の元で修行していた頃からの付き合いであるようだ。
自分が幼い頃から全く容姿が老いていない男を疑問に思って聞いたこともあったらしいが櫛灘流柔術の秘法で若いままなんだと答えた男に、そういうものなんだろうと納得した山本大樹は深く悩んだりはしなかった。
山道を並んで歩きながら、息子も大きくなりましたよ、金時さんのことも覚えているようですと言った山本大樹。
大きくなった直樹くんが私を覚えていてくれたのは嬉しいことだなと言って男は微笑む。
到着した家に向かって直樹、金時さんがいらしたぞと山本大樹は大きな声で言う。
家から飛び出してきた山本直樹が金時さん!と言いながら飛びついてきたのを受け止めた男は、大きくなったね直樹くんと言いながら優しい顔で頭を撫でる。
嬉しそうな顔で頭を撫でられている山本直樹は完全に男になついていた。
とりあえず家に上がらせてもらっていいかなと言った男に、どうぞ金時さんと親子揃って言う山本親子。
今日は和菓子を持ってきたから2人で食べてくれと言って男が背負っていた荷物から和菓子が詰まった箱を2つ取り出して山本親子に手渡す。
ありがとうございます金時さんと礼を言った山本親子に、あとこれもと言いながら緑茶の茶葉が詰められた密閉容器も男は渡した。
買いに行くには遠いので助かりましたと言って山本大樹は茶の用意を始める。
父親が茶の用意をしている間に都会の話をまた聞かせてくださいと言う山本直樹。
期待に目を輝かせる山本直樹に都会に関する話を面白可笑しくしていく男に、いい反応をする山本直樹は都会に憧れを持っているらしい。
湯を沸かして茶をいれていた山本大樹にも聞こえていた男の話は面白かったようで続きが気になっていた山本大樹は男に茶を差し出して話を続けてください金時さんと頼む。
それからしばらくは男の話が続いていき、あまり表情が変わらない山本大樹の顔にも思わず笑みが浮かぶ。
男が熱い茶をゆっくりと飲み終える頃にはちょうど終わった話に、山本親子は面白かったと喜んだ。
それから家の外に出た3人は軽く身体を動かして調子を確かめると男に対して山本親子2人で挑んでいく。
男に投げられた山本直樹は立ち上がって山本流柔術の技を使っていくが当たることはない。
山本大樹が繰り出す全力の攻撃も捌いていく男は、全く実力の違う2人を相手に手加減の度合いを調節して戦う。
絶妙な手加減で2人を投げていく男の動きは2人と同じく山本流柔術である。
先代伝承者から山本流柔術を見て学んだ男が使う山本流柔術は明らかに山本大樹よりも練磨されていて、正統な伝承者より実力が上の男に負けてられないと奮起する山本親子。
何度投げられても立ち上がり続ける2人は決して諦めることはなく、いい根性をしているなと感心した男が笑う。
激しい組手を終えて腕を上げた山本親子は完全に疲れきっていたので今日の夕食は男が作るようである。
ご飯を炊いて味噌汁も作り、山菜と川魚を山で素早くとってきた男は持ってきていた油を使って天ぷらを作っていく。
出来上がった夕食を全員で美味しく食べていきながら、組手の反省点を言っていった山本親子。
あそこはあの技を使った方が良かったと言う山本大樹に、そうでしたね父上と頷く山本直樹。
山本流柔術後継者である山本直樹を育てていく山本大樹は、互いに親子の情を封じて全力で技を教える為に面を被り天狗の姿となって息子と戦うことがあった。
天狗から一本とることができれば憧れの町に行くことが許される山本直樹の気合いは普段の修行とは違うようだ。
夕食を終えて和菓子をおやつに食べた山本親子は、とても美味しい和菓子を買ってきてくれた男に感謝したらしい。
茶を飲んで一息ついた3人は歯を磨いてから布団を敷いて就寝の支度を始めていく。
組手で疲れきっていて布団に横になると直ぐに寝ついてしまった山本直樹に掛け布団をかけてやった男は、まだ起きている山本大樹に大樹くんも疲れているだろうし今日はもう寝た方がいいぞと言う。
今日はありがとうございましたと言って頭を下げる山本大樹は、情を挟まないで山本流柔術を山本直樹に教えてくれた男に心から感謝をしていた。
そして自分の実力も上げてくれたことにも1人の武術家としてありがたく思っていた山本大樹。
2つの感謝を伝えた山本大樹に、きみ達が頑張ってくれたから私も手伝いができたような気がするよと言った男。
久しぶりに山本流柔術の伝承者として負けてられないという気持ちになりましたよと山本大樹は言う。
その負けん気が身体を動かす原動力になったのかもしれないね、それはともかく明日も朝から直樹くんの修行を見るんだろうし、もう寝た方がいいんじゃないかな大樹くんと言いながら男は川の字に並んで敷いてある布団の1つに横になる。
そうします、おやすみなさい金時さんと言った山本大樹も布団に入ると直ぐに寝てしまった。
しばらく滞在するから家事と修行は手伝わせてもらおうと考えた男は、天井を見つめながら明日のことを想像して笑う。
さて、明日も頑張らせてもらおうかなと思った男が深い眠りについたのは、それから数分後だったようだ。
朝1番に起きた男が山にある川に行き川魚をとって帰ってきたところで起きてきた山本親子に、川魚の塩焼きと昨日余ったご飯を焼きおにぎりにして味噌汁も一緒に朝食として出した男へ感謝した山本親子。
朝食をしっかり食べて朝から充分なエネルギーを補給したら山本直樹の修行が始まっていく。
人間ぞり崖登りをしていく山本直樹が遅いと細い竹で打っていく山本大樹。
崖の頂上から丸太を幾つも落としていく男は修行の手伝いをしていた。
落ちてきた丸太を必死に避けていく山本直樹は、いつもより激しいぞと思わず泣きながら言う。
続けて足に地蔵を紐でくくりつけた状態で両腕だけを使って竹林の竹を登る修行が始まる。
それが終わったら今度は入ったら最後、無傷では出られない死の洞窟に入ることになった山本直樹は中にいる天狗の格好をした男と戦っていく。
いつもは山本大樹が天狗の格好になって山本直樹と戦っているが今日は特別に男が代わってみたらしい。
昨日より強めでお願いしますと山本大樹に言われていた男は、ちょっと強めで相手をするようだ。
何かいつもより強いぞ天狗がと思いながらも立ち向かっていく山本直樹。
ロウソクが燃え尽きるまでの間に天狗から一本とれれば町に下りていいと言われている山本直樹は、夢にまでみた町を目指して天狗の格好をしている男に山本流柔術の技を使っていった。
声色まで変えて天狗になりきる男が坂田金時だと山本直樹が気付くことはない。
山本流柔術の技のみを使う男から一本とることができなかった山本直樹は、それでも次こそ天狗から一本とってやると決意する。
山本直樹が死の洞窟から出てきたところで夕食を用意していた男と山本大樹。
先回りして洞窟から抜け出していた男と山本大樹が作った猪の肉を使った鍋を食べていく山本直樹は、おかわりを何杯もしたらしい。
食後に木いちごをデザートとして食べていく3人は、仲良く色々な会話をしていく。
先代山本流柔術伝承者の話をしていった男に興味深く聞いていく山本直樹。
前に聞いたことのある話かと思っていた山本大樹は、全く知らない話をする男に興味を引かれて真剣に話を聞くことになる。
そんなことがあったのかと思いながら話の続きを聞く山本親子。
今では男しか知らない話を詳細にいたるまで聞くことができた山本親子は男に礼を言う。
話をしていたら外も随分と暗くなってしまったなと言った男は、そろそろ寝る時間だなと言って歯ブラシを用意すると歯磨きを始めた。
山本親子も歯磨きをしてから布団を敷いていく。山本直樹を真ん中にして並んだ布団に入る3人。
しばらく山本親子が住む家に滞在していった男は、山本親子の実力を引き上げていたようだ。
実力が上がったことを実感した山本親子は、男に深く感謝をする。
きみ達2人と過ごした日々は楽しかったよと言って去っていった男が山道を抜けて険しい崖を軽々と凄まじい速度で下りていったところを見ていた山本大樹。
男の凄まじい速度を見て、まだまだ金時さんには敵いそうもないなと山本大樹は思ったらしい。
山から下りてきた男は達人の気配を察知して、隠れて観察をしてみると闇の達人であるようだったので話しかけてみた男。
突然現れた男に驚愕した闇の達人は臨戦体勢に入るが、男は構わず闇の達人に話しかけていく。
この先に何の用かなと聞いた男に黙ったまま答えない闇の達人。
当ててやろう、山本流柔術が目当てだなと言って闇の達人を見る男の目は厳しい。
古流柔術である山本流柔術伝承者の山本大樹を殺害しにきたんだろう、どんな手を使っても殺せればいいとも考えているな、息子を人質にとるつもりだったかと言い切る男。
考えていた内心を全て当てられた闇の達人は、こいつは心でも読めるのかと思って警戒を深めて男の殺害を決意するが、一目で妖拳怪皇坂田金時という男の実力を見抜けない闇の達人が敵うわけがなく一撃で勝負は着く。
男から忘心波衝撃を喰らった闇の達人は完全に記憶を失ったようである。
記憶を失った闇の達人を闇に引き渡した男は、山本流柔術を狙うなら私を完全に敵に回す覚悟をして来いと闇の人間に言い放つ。
闇に情報が伝わったことで山本流柔術を狙うものは坂田金時と敵対することになり記憶を失うことになるという宣伝もできたと男は頷く。
闇も流石に記憶を失うことを恐れたのか男の狙い通りとなる。
山本流柔術を狙う闇の達人は激減したらしく、強い抑止力となった男の存在。
妖拳怪皇坂田金時に勝てるわけがないとわかっているものは手を引いたが、それでも手を引かない者達は山本大樹に返り討ちにあったようだ。
山本大樹は達人級の武術家であるが活人拳であり、殺すようなことはなかったが 返り討ちにあった者達は2度と山本流柔術を狙うことはない。
息子まで狙うような相手に山本大樹が容赦をすることはなく、本当に死なない程度にギリギリまで痛めつけて相当な恐怖を植え付けたようである。
ちなみにこの痛めつけ方も、いずれ必要になるかもしれないと思った男が昔まだ山本流柔術の伝承者ではない山本大樹に教えていたものだった。
襲ってきた者達の心を完璧に折ることができたので教わったことが役立ったと思った山本大樹は男に感謝をしたらしい。
こうして山本流柔術を狙う者達が完全にいなくなったところで今日も山本大樹は息子であり山本流柔術後継者の山本直樹を鍛えていく。
日々山本流柔術の修行をしていった山本直樹は更に実力を上げていった。
白浜家に手土産を買う為に町を歩いていた男に勢いよく近付いてきたラグナレク第五拳豪ジークフリート。
貴方から素晴らしいメロディーを感じますよと言い出したジークフリートが襲いかかってきたので手加減して倒した男は歩き去る。
ジークフリートが一撃だと!と驚愕するラグナレク第四拳豪ロキは一部始終を双眼鏡で見ていたようだ。
あいつを神聖ラグナレクの新拳豪に引き込めたら戦力になりそうだと思ったロキは、男の正確な実力が理解できていない。
さっそく男の情報を集めようとしたロキだったが、それはあまり上手くいかなかった。
基本的に男が1つの場所に長く留まることがない為に、白浜家に手土産を渡したら旅に出た男の足取りを掴むことができなかったからだ。
てっきり男がこの町に住んでいるかと思っていたロキにとっては大誤算だったらしい。
それでも挫けないロキはネットを使って男を探す。
結局見つからなかった男に写真でも撮影しておくんだったと後悔するロキ。
そんな日々を過ごしていたロキが町を歩いているとバイオリンを演奏しているジークフリートと男を発見する。
何がどうしてそうなったと思いながらもチャンスだと考えたロキは接触を試みようとするが、この心高鳴る演奏の邪魔をするなら殺しますよとロキを睨むジークフリート。
あまりのジークフリートの迫力に本気だと思ったロキは、邪魔はしないが演奏が終わったらそっちの人に話があるからそれまで待つよと言う。
男とジークフリートによるバイオリンの演奏を聴いていたロキは良い曲だと思ったが、曲のことだけを考えるのではなくどうやって男を神聖ラグナレクに勧誘しようかと頭を悩ませていく。
2人の演奏に惹かれた人々が集まってくる中で演奏は続いていった。
とても大勢の人々が演奏を聴いていき、素晴らしい演奏だと思ったようだ。
演奏が終わったところで拍手をする人々の中から抜け出してきたロキが、2人で話がしたいと男に言ってきたので借りていたバイオリンをジークフリートに返そうとした男。
そんな男にその子は貴方に差し上げますと言い出すジークフリート。
貴方の腕前ならその子も満足するでしょうと言ったジークフリートは笑う。
貴方の一撃を喰らって思いついたメロディーを一緒に奏でてみませんかとジークフリートに誘われたことで、変な子だなと思いながらもメロディーに惹かれて演奏をしてみようかと了承した男。
描かれたメロディーを一目見て覚えた男とジークフリートによるバイオリンの演奏は見事なものだったらしい。
話は戻ってバイオリンをケースに入れてロキに着いていった男は喫茶店に入ることになる。
喫茶店で対面の席に座った男とロキ。メニューを差し出したロキが俺が奢るから何でも好きなの頼みなよと言い出す。
年下に奢ってもらうつもりはないさと言って断ろうとする男に、2年程度の歳の差なんてあってないようなもんさと言ったロキ。
実際は何十年も歳が離れているんだがねと男は内心で思いながらも言葉として出すことはない。
とにかく何も注文せずに喫茶店に居座るのは良くないので互いにコーヒーを男とロキは頼んだ。
砂糖は必要かなと聞いてきたロキに、まずはこのままブラックで店の味を楽しむさと男は答えた。
俺は頭をよく使うから沢山砂糖を入れるんだと言いながらロキは角砂糖をコーヒーに何個も入れていく。
かき混ぜたそれを一口飲んでからロキは話を切り出す。
俺はラグナレクという不良集団で第四拳豪という幹部と参謀もやってるんだが、新しくチームを作ろうとも思っていてね、新拳豪を秘密裏に用意してるんだとロキは言う。
神聖ラグナレクを結成する為には強い新拳豪が不可欠だと思っているんだが、それでラグナレク第五拳豪ジークフリートという強者を一撃で倒せる貴方に新拳豪になってもらいたいと考えてこうして話をしているんだ、興味はあるかいと言ったロキ。
コーヒーを飲んだ男は、悪いが全く興味がないなと言い切る。
そんな気がしたよ、だがこの話をした以上、ただで帰すわけにはいかないなと言ったロキがコーヒーを浴びせかけて先手を打とうとした瞬間。
眼前から消えた男に驚愕したロキの背後にいつの間にか立っていた男が、子供の不良集団の小競り合いには興味はないから勝手にやっていなさいとだけ言ってコーヒーの代金を払うと去っていく。
そして椅子に座っていたロキの身体は男によって瞬く間よりも速く四肢の関節が綺麗に外されていたようだ。
1人では動けない状態になっていたロキは喫茶店の店員に助けを求めたらしい。
ケースに入れていたバイオリンを取り出した男は、明らかに高いバイオリンだなこれはと理解していたようである。
高い物を貰ってしまったなと思った男は、とりあえず大事にしようと考えてバイオリンをケースにしまう。
再び旅に出た男が向かった先で櫛灘美雲と出会って目敏く男が背負うケースに気付いた櫛灘美雲は、それはどうしたのじゃ金時と聞く。
妙な男の子に貰ったんだと答えた男に、金時は昔から妙な者達に好かれておるのうと言った櫛灘美雲。
それはバイオリンかのう、久しぶりに金時の演奏が聴いてみたいんじゃがと言ってきた櫛灘美雲のリクエストに応えた男はバイオリンを取り出して演奏を始める。
初めて聴く曲じゃな、だが悪くはないのうと櫛灘美雲は喜ぶ。
妙な男の子が私の攻撃を受けて思いついた曲らしいよと言いながら演奏を続ける男。
ならばその子供に音楽の才能があるのは間違いないのうと言って櫛灘美雲は頷く。
武術家としても才能はありそうだったがねと言った男は、バイオリンでジークフリートが考えた曲を奏でる。
演奏を終えた男に拍手をした櫛灘美雲は、良い演奏じゃったのう、流石は金時じゃと満足そうな顔で笑う。
満足はしてくれたようだねと言うと男も笑顔でバイオリンをケースにしまっていく。
1曲だけで満足したのは久しぶりじゃのうと言いながら男に近付いた櫛灘美雲。
今日は戦いに来たんじゃないのかなと言った男に、もはや闘争の空気ではないじゃろうと言って櫛灘美雲は男へと寄り添う。
確かにそれもそうかなと言うと男は櫛灘美雲を抱きしめる。
今日は、これからどうしようかと聞いた男に、何もせずに一緒に過ごすのも悪くはないのうと答えた櫛灘美雲は、男の腕の中で満面の笑みを浮かべていたようだ。
本当に今日は何もしないのかなと言った男へ、言わなくてもわかるじゃろうと言って男の胸に頬を擦り寄せていく櫛灘美雲。
美雲が可愛らしくて私が我慢できそうにないかなと言う男。
我慢ができないのならば金時が我慢する必要はないのう、思うがままに動けば良いのじゃと櫛灘美雲は言い出す。
思わず櫛灘美雲をお姫様抱っこした男は、そのままの状態で櫛灘美雲と深い口付けを交わしていく。
顔を離した2人は互いに見つめあって幸せそうに笑った。