幻覚がゴジラがないので漫画を描けとか言ってくるので悩んでいる 作:袴紋太郎
えーはい、えっとまずお名前は?
「藍野伊月です、高知から来ました!」
はぁ、カツオ美味しいよね。
『やべーぞこのJC、圧がすげぇ』
勢いに乗せられて部屋に入れちゃったし…ねぇ。
と、とりあえず、緑茶でいいかな。
「お構いなく! というか私が淹れます!」
いやいや、お客さんだし…やばいよやばいよ、なにこれパパラッチの手先?
怖いよ怖いよ、なんなんこの状況。
頭が恐怖に呑まれるのを耐えて、緑茶を三人分淹れてしまう。
しまった、一つ多い。
『は?俺の分やろがい!』
幻覚にお茶出しとかアホじゃねぇの、最近やってるけど。
えっと、とりあえず大福でいいかな。
ソファの対面に座る藍野さんと向き合う、一息ついてから口を開く。
弟子入りって、お…私に?
「はい!」
ごめん無理。
「ええ?!」
意地悪で言ってるわけじゃないから、一応聞いて欲しいな。
まず君は中学生…だよね、何年生?
「三年ですから卒業すぐです!」
受験シーズン真っ只中じゃないか…
というかどうやって住所を…
「ネットやら聞き込みやらで調べました!」
『やべぇぞこいつ』
怖い、怖いよ…とにかく全力で断らなきゃ。
弟子入りの話だけど、まず前提を出させてもらう。
つまり最低限のラインだ、いいかい?
「…はい」
まず、義務教育をちゃんと修了させてから来なさい。
これは法律の問題だからね。
それと親御さんの許可を取ってから言いなさい。
未成年の女の子だ、きっと心配しているよ。
「分かりました」
分かってるのかなぁ(汗
『おい、大丈夫かおい』
今だけは黙らないでくれ幻覚、クモの巣張った脳味噌フル回転させてるから。
で、うん…弟子入り、そう弟子入りだ、何で私に?
「先生の作品を読んで、なんというかここ数年にないオーラのようなものを感じたんです」
「私、漫画描いてて…その、プロを目指してるんですけど…こ、これ、読んでもらえませんか!」
ほほう、どれどれ。
まぁ所詮JCのアレやしなぁーとタカを括っていたのだが、「ホワイトナイト(仮名)」と書かれた内容に
『なんやこのJC、バケモンか』
幻覚ともども圧倒された。
まだまだ荒いところはあるが、ストーリー構成から演出、設定、どれも完成度が高い。
えっと、これ本気で君が書いたの?
「はい!」
…道具渡すから試しに続き書いてくれない?
「お借りします!」
「出来ました!」
誰かから借りてきたとかそんなオチだろうという安い願いは、眼前の天才による速筆によって叩き潰された。
1ページだけのつもりが、まるまる1話分描かれてしまった…どうしよう。
なるほど、実に素晴らしい出来だ。
才能がある、今度何かのコンテストで出してみるといい。
おっほん、えーえーえーえーえー…………まず条件を言い渡します。
1、せめて高校くらいは入る事、中卒だと世の中大変だからね。
大卒でも結局は就職難のフリーターになるのさ…
2、君の書いた作品で何かしらの漫画コンテストに応募して入賞すること
結果次第で他のとこ行くやろ。
3、直接来るのは問題だから Skype通話などでのみ参加しなさい。
アニメ化したら色々整理しなきゃ…
以上の三つだ、それが出来なきゃこの話は無しだよ。
「卒業、入学、説得と入賞…分かりました、 Skypeはそれ以外全て終えてから連絡を入れさせてください」
ははは、期待しているよ未来の漫画家さん。
周囲を一瞥してからそっと帰らせ、急ぎ物件情報を探しに不動産屋へと向かう。
急いで住所変えなきゃ!
『また特定されそうだな』
ホラーじゃんよ!?
◆◆◆
見なくてもいいキャラ設定
「主人公/ゴジラ作家」
絵の技量云々は高いが、設定やシナリオが陳腐、面白い原作者と組めば強いタイプ。
突如として出現した幻覚から「ゴジラ」の設定を聞き、趣味のWEB漫画に投稿。
何故かそれがヒットして色々驚いている日々
「幻覚/幽霊?」
ゴジラ大好き野郎、ゴジラシリーズ完結からシン・ゴジラを見てアニメを見て自作の着ぐるみまで作った。
実物を着込んでいるとき、住んでいたアパートの隣部屋から出火して火事に巻き込まれて死亡。
その後、気づけばゴジラ作家の背後霊となり溜まっていた鬱憤を晴らすことに。
お供え物的なフィーリングでなら飲食可能
このJCやべーよやべーよ