自分のことを工藤新一だと信じて疑わなかったヤツ(黒歴史) 作:はごろも282
誤字活動報告とてもありがたいです。それで教えてもらったんですが、一話でカッコつけて入れたベルモットの英語が、普通に間違ってました。教えてくれてありがとう。
そこ間違えんの!?ってなったけど今日もぼくは元気です。
誠に遺憾ではあるが、スタジオ大黒天の奴らとチビどもの世話をすることを余儀なくされた俺は、今後の動きについて真剣に考えていた。
別にチビどもの世話をするのは構わない。もともと遊んでやったりしてたしな。問題は、協力することになった連中だ。
柊さんの方は別にいい。優しそうだし。問題はあのヒゲ野郎だ。奴をどうにかしなければ俺に平穏は訪れないだろう。
黒山墨字
カンヌ・ベルリン・ヴェネツィアの世界3大映画祭全てに入賞している稀有な日本人映画監督。コレだけならただの凄い人だし、俺が警戒する必要もなかった。
一番の問題は奴が俺が映画を作ったときの協力者だったってことだ。つまり俺のことを知っているってこと。
今でこそエドガー・コナンの名はそれほど知られておらず、知る人ぞ知るといった様子だが、当時は結構な盛り上がりをみせていた。当然だ。情報では14歳で大ヒット作を作った天才だからな。
14歳という情報を抜きにして客観的にみても彼の作品は素晴らしかった。まさに天才としか表現しようがない原石だった。
一体何者なんだ、エドガー・コナンッ!
そんなエドガー・コナンだが、当時は話題沸騰中だったにもかかわらず顔出しはしていなかった。
あのときの俺は簡単に言えばビビっていた。世界中に顔知られるのって恥ずかしいわ。リスクでかすぎるって。
そのおかげもあり、俺はエドガー・コナンなんてふざけた名前と自身の顔を結び付けられることがなかった。あのときの俺、本当によくやった。どうせならちゃんと映画出す前に自分の名前とか確認してほしかったよ。
そんなこともあり、エドガー・コナンは世間では顔のない正体不明の天才少年だった。
正体不明だとより有名になりやすい、あると思います!
だから、俺とエドガー・コナンを結び付けられるのは極少数、当時俺と関わっていた連中のみなんだ。そのほとんどが界隈の人間だし、業界からバックレた俺は二度と会うこともないだろうと思っていたんだけど。
黒山め、今更なんだっていうんだ。そもそもお前と俺そんなに接点なかっただろ。ぶち殺すぞバーロー!
結局何一つ打開策も思いつかないまま、遂に夜凪が撮影に出かける日となった。
「じゃあ行ってくるわ。二人のこと、よろしくお願いします。ルイもレイもいい子にしてるのよ? 先輩も、しっかり協力してあげてね」
「おー、行ってこい。しっかり盗めるもん盗んでこいよ」
「景ちゃん、無理しちゃだめだよ? 気をつけてね!」
「「いってらっしゃ~い!」」
「ハイハイ、お前はその泣き顔なんとかしとけよ? ガキどもはしっかり相手しておくから楽しんでこい」
ルイの奴がグズったりして、夜凪も泣きだすなんていうハプニングもあったが、無事二人を預けた夜凪はそう言い残して現場に向かっていった。撮影って一ヶ月だよな? そんな今生の別れみたいなことなる? てかアイツ一ヶ月もなんの撮影行くんだよ。俺聞かされてないんだけど?
そして夜凪が撮影に行ったその日の夕方、俺は満を持してアイツがなんの作品に出るのか聞くことにした。
「で、アイツなんの撮影行ったんですか?」
「えっ!? 知らないでここまでついてきてたの!?」
柊さんにありえないものを見るような目で見られた。お前らが教えなかったんだろーが!! さっさと教えろや!
「あー、そういや言ってなかったな。それぐらい知ってると思ってたわ。今日からアイツは『デスアイランド』の撮影だ」
黒山サンが教えてくれた。アンタいちいち癇に障るなぁオイ! って、デスアイランド?
「デスアイランドって、あれ実写化するんですか? 俺漫画読んでたんですよねー。見に行こっかな」
「それも知らなかったの!? もしかしてあんまり映画とか見ない人?」
「いや、映画は見ますよ。定期的に催促が来るんです。でも公開されるまで情報とか調べたりしないですから」
催促はホントにくる。幼なじみが主演の映画とかはだいたい見させられた。お前の演技が凄いことはよく分かったからもうチケット送らなくていいです(辛辣)
俺の発言に疑問があったのか、柊さんは首を傾げ
「催促……? いやそれよりも、わざわざ調べなくてもテレビとかで散々やってたでしょ!?」
そうなのか、それは知らなかった。だって、
「俺、テレビ捨てちゃったんで」
「捨てた!?」
「はい。N○Kの集金がウザくて」
「N○K!?」
この人反応いいな。見てて面白いわ。叩けば響くって言葉の具現だろコレ。
柊さんは一人頭を抱え、この子おかしいって……とか言っている。
オイ、誰がおかしいだ女でもボールぶつけるぞ。
そんな俺たちのやり取りを見て面倒になったのか、黒山サンが色々説明してくれた。
「この作品は、芸能事務所『スターズ』の主催映画で、登場人物24名の内の12名をスターズ俳優が、残り12名をオーディションの合格者が演じる。夜凪はオーディションで見事12人の中のひとりに選ばれたってことだ」
「へー、スターズのオーディションかーって、スターズ?」
スターズって、あの?
「そうだ。今回のアイツらは相当マジだ。主演に天使の百城千世子を据え、ウルトラ仮面の星アキラをはじめとする人気俳優をふんだんに使って絶対に成功させるつもりらしい。夜凪はソイツらと混ざって映画を撮影してくるってことだ」
だから色々盗んでこいって言ったんだよ、なんて言ってる黒山サンを脇に、俺はある言葉に気をとられていた。
主演、百城千世子?
そういえばアイツもこの前、一ヶ月近く撮影でいないとか言ってたような……。
アイツら、共演すんのかよ。
あれ? 待てよ? 千世子のヤツ、あのときなんか頼んでなかった?
俺は昔の記憶を探り出す。
『来月から映画の撮影でさ、一ヶ月くらい家に帰れないんだよね。それで虫に餌とかあげたりしてほしいんだけど』
そうだ、昆虫のエサやり頼まれてたんだったわ。アイツいつからいなくなるんだろ。夜凪は今日からだったし……ん? 今日から?
夜凪が今日から撮影で、千世子は夜凪の出る映画の主演、つまり……
今日から??
そのとき、スマホに着信があった。嫌な予感がしつつも、内容を確認する。相手は、百城千世子。この時点で既に泣きそうだ。
だがまだ内容を見なきゃわからない。俺は恐る恐る文面を読み始めた。
←
今日から撮影はじまります 受信トレイ ☆
⭕百城千世子10秒前
To:自分 ↰︙
ヤッホー! 前言ったから知ってると思うけど、今日から一ヶ月帰れないので餌やりよろしくっ! って言われなくてもわかってるよね? 一日一回あげれば大丈夫だと思うけど、ちゃんとお世話お願いしますっ! あと…………
文の途中で読むのをやめ、画面を消した。
サーッと血の気が引いていくのがわかる。よほどひどい顔なのか、黒山サンも柊さんもギョッとした様子でこちらを見ている。
心配した柊さんが声をかけてくる寸前に、俺の体は動き出した!
「ヤッベェェェェエ!!!! かっっぜんに忘れてたッ!!! すいません二人とも!! 一旦退席しますッ!!!」
虫になにかあろうもんなら、俺の命は消し飛ぶッッ!!!
幸いなことに、虫たちの中に死傷者はいなかった。生きててくれて、本当にありがとうッ!!
うーん、しかしいつ見てもキモいなコイツら。慣れたけど。
やっぱ千世子のヤツ感性バグってるよ。アイツ天使からベルゼブブとかに改名した方がいいんじゃねえの?
今回に限らず前から撮影で長期間家を出なきゃならないときは俺が代わりに餌を与えたりしてきた。その度に報酬として食事を作らせていたからウィンウィンだ。実は夜凪の手料理より千世子の手料理歴の方が長いのだ。どっちか飯作るだけのバイトとかやらねーかな。
そんなくだらないことを考えながら餌やりというノルマを達成した俺は今、絶賛黒山サンたちのもとまで戻る途中だった。
そういえば、夜凪いないけど誰が夕飯を作るんだろうか。黒山サンとか料理出来そうな顔じゃないし、俺は作るより食べたい人だし。あ、でも柊さんがいるか。あの人料理できんのかな?
「すいませーん。ただ今戻りましたー! ルイとレイもう来てますかー?」
奴らがまだ来ていないなら迎えに行かなければならない。俺の声が聞こえたようで、柊さんが返事をしてくれた。
「あ、おかえりなさい。ルイくんもレイちゃんももう来てるよ。でも、ちょうどよかったよ。これからご飯にするから、君は何がいい?」
「あ! 兄ちゃんおかえりー! 兄ちゃんはなに食べたいー?」
どうやらこれからちょうど夕飯にするようだ。この聞き方的に、出前か? まぁ、たまには悪くないかもしれないな。
待てよ? 本当に出前は今日だけか? 柊さんも料理できないなんてオチじゃあないだろうな? これは確認しなければ。
「俺は何でもいいよ。ルイが食べたいものを頼みな。トコロで柊さんっていつも夜は自炊とかするんですか?」
「いやー、出来ないわけじゃないんだよ? 自炊とかしたいんだけどね? いっつもコンビニとかで済ませってとんでもなく蔑んだ目!? この一瞬で一体君になにが!?」
予想的中だ柊バーロー!! 自炊できるようになって出直してきやがれッ!!
俺の中で少しずつ溜まっていた柊さん好感度メーターがものすごい速さで降下した。コンビニ弁当も美味しいことはよくわかるが、俺は既製品はそんなに好きじゃないんだ。
ぬかった。まさか柊さんがズボラ戦士だったなんて。いや芸能界ってマジ忙しいからホントに時間ないだけかもな。
どうすっかなーコレから一ヶ月コンビニとか出前なのは普通にイヤだ。かくなる上は俺が作るか? イヤだなー面倒だなー。
そうこうしていると、奥からエプロンをしたレイと黒山サンが顔をだした。ん? エプロン?
「おにーちゃんおかえりー! いまねー、クロちゃんと料理作ってるから待っててねー!」
「そういうことだ。さっさと着替えて待っとけ」
黒山ァッ!! テメーやるじゃねえか黒山ァッ!!
どうやら夜凪のヤツがレイとルイに外食ばかりを食べさせ過ぎないよう頼んでいたらしい。夜凪お前やるじゃねえかお前! 確かに子どもに外食ばかりは健康に悪いもんね。
そのおかげで今日は黒山サンが渋々作ってくれたらしい。明日は柊さんだそう。明後日は俺らしい。
交代制なら仕方がない。俺もやってやろうではないか。*1工藤新一と違って料理はできなくはない。……後で卵かけご飯は料理かどうかだけ聞いておこう。
ちなみに料理はマジでうまかった。黒山サンの好感度が8あがった。
それから半月近く経ったが、俺たちの方は特に変わりなく、やったことといえば時折ルイやレイに頼まれて夜凪に電話をかけるくらいだった。そして今日も学校終わりにいつものようにスタジオに行くと、いつもとは少し雰囲気が違っていた。とりあえず俺は柊さんに声をかけた。
「こんちわー、どうしたんすか? ピリついちゃって」
「あ、こんにちわ! 実はね? 今接近してる台風が、ちょうど景ちゃんが撮影してる場所に直撃するみたいで。撮影も難しくなるだろうし、景ちゃんたち大丈夫かな〜?」
「間違いなくピンチだろうな。撮影もままならなくなるだろうし、最悪展開の大幅カットもありえる」
心配を口にする柊さんに、黒山サンが付け加える。なんとなくヤバいってことだけは理解した。
しかし台風ねぇ。上層部の判断になるからなんとも言えないが、それくらいなら千世子あたりは強引にやりきろうとしそうだけどな。『全部一発撮りなら間に合うよ?』とかいって。
ほらアイツ頭おかしいし。
そんな話をしていると、話題の夜凪から連絡が来た。
「もしもーし? どうした?」
『あ、良かった。ちょっと先輩に聞きたいことがあ「おねーちゃんからでんわ!? レイもはなす!!」』
携帯ごと持ってかれた。取り返そうかとも思ったが、レイも夜凪と話すのは楽しみにしてるだろうし許してやろう。今日は俺が夕飯担当だし、今のうちに作りに行くか。
「じゃあ俺は夕飯作ってくるから、電話終わったらそこ置いとくんだぞ?」
スマホの取り合いをしてる黒山サン除く3人にそう言って、返事を待たずに俺は部屋から出ていった。
柊さん、心配なのは分かるけど何でチビに混ざってんだ……
夕飯のときに、どうして夜凪が連絡してきたのかという話になった。なんでも、千世子と友達にならないとうまく芝居が出来ないんだそう。なんだそりゃ。
「夜凪の芝居はメソッド演技ってやつでな。自身の過去の感情を追体験する事で役に没入するっていう演技法だ。ハマれば強いんだが、経験したことないこととかは表現できない。今回は天使と仲良くなれないから役に入りきれず、うまく演技ができないってことだ」
へー、わかりやすい。つまりそのメソッド演技のために千世子と仲良くしたいけど、方法が分からないってことね。ほーん……
「それで何で俺に聞いてきたんだアイツ」
*2一緒に殺人事件解決とかすればいいんじゃね? コナンと平次もそうだったし。
「お前に友達が多いからだと」
「にーちゃんはおねーちゃんとちがって、友達おおいもんねー?」
「ねー?」
やだ妹弟にまでそんなこと言われるのアイツ可哀想。
俺は涙が出た。
それにしても天使と仲良くなれない、ねぇ……
「千世子が仲良くなれないって相当だと思うんですけど。夜凪の奴なんかやったんすか?」
アイツ小中ではわりと誰とでも仲良くしてたイメージだけどな。芸能界で闇に染まったりでもしたんだろうか?
って、みんなコッチみて固まってる。どうした?
「どうした?」
「どうしたって……え? 何で天使とそんな親しげなの?」
代表してか柊さんが答えてくれた。
何でってそりゃあ……ってそういえば、言ってなかった気もするわ。
「実は百城千世子って、俺の幼なじみなんすよ」
別に黙ってたわけじゃないけど、あんまり言いふらすことでもないよね。それ目的で迫られても困るし。てかムカつくし。俺がアイツに劣ってるっていいてーのかっ!!
こちとら天才少年エドガー・コナンだぞオラァッ!!
にしても、そんな驚くことか? コナンが工藤新一だと知ったときくらい驚くじゃん。アイツなんでバレないんだろうな。もはやコントだろあれ。
てか動きずっと止まってんな。おーい聞こえてるー?
「「「な、なにィィィィィィっっ!?!?」」」
うるっっっさっ!!! ぶち殺すぞバーローッ!!!
結局、奴らが静まるまで千世子のことについて根掘り葉掘り聞かれた。マジで疲れた……。
こういうのを見ると、やっぱアイツ人気なんだなーって肌で実感する。大きくなって、俺は嬉しいよ千世子……。
でも俺より人気なのは腹立つから罰を与える。(無慈悲)
俺は斉木○雄の最終話のネタバレをしてやった。
そんなこんなで一ヶ月は過ぎ去った。俺と柊さんはレイとルイを連れて夜凪の出迎えに来ていた。黒山サンはなんか知らんがいなかった。
「おっ! いたぞチビども、あそこだ」
「ほんとだー! おねーちゃんおかえりー!!」
「おかえり景ちゃん、お疲れ様!!」
上から俺、チビども、柊さんの順。俺たちを見て夜凪は顔をほころばせた。
「ただいま! 二人ともいい子にしてた? 先輩たちも、面倒見てくれてありがとう!」
夜凪と妹弟たちは抱き合って喜びを噛み締めていた。だから大げさだって。
「うわっ、てかなんだその服! お前それでここまで歩いてきたの!?」
なんか無地に落書きされまくってる。イジメでも受けて来たのかお前は。
「うん! みんながサイン書いてきてくれたのっ! オシャレでしょう?」
「「えぇ……」」
えぇ……。思わず柊さんと被っちゃったよ。お前ほんとセンスねぇな。しかもその服で帰るの止められなかったのかよ。なんか可哀想になってきたわ。
仕方ない、ここはコイツの為に心を鬼にして現実を教えてやろう。
「だいぶ前衛的なセンスだな。俺たちにはついていけないわ」
「それ、竜吾くんたちにも言われたわ。褒められてるのかしら?」
貶されてるんだよバーロー!!
こうして、夜凪の一ヶ月にわたる撮影は終わった。
東京、某所にて
場には男二人のみ。
「感情ってもんは臭うもんだからよ。俺が欲しいのは臭ぇ役者だけだ。確かにこの女は俺の舞台に出る資格があるのかもしねぇが、気に入らねぇのはお前だよ黒山ァ。俺のこと利用してイイトコだけ持ってこうってか? 潰すぞコラ」
「ウィンウィンでしょうが。夜凪はきっとアンタの最後の舞台に相応しい役者になる。だいたいアンタ俺に借りあるでしょ」
「チッまあいい。ソイツは引き受けてやるよ」
「それはありがたい。できればあんたのと「ただし、だ。条件がある」……なんだ?」
「タダで頼もうなんざ思っちゃいねぇよなァ? ちゃんとお前の役者は育ててやる。その代わり、お前はある奴をここに連れてきてもらう」
「あるやつぅ?」
「2年前勝手に消えやがった俺の馬鹿弟子、江藤新。
ソイツを引きずってでもここまで連れてこい」
彼らは、消えた天才をもう一度表舞台へ引きずり出そうとしていた。
主人公の名前は江藤新でいきます。やっぱ名前同じにするとちょっと違和感がね?
ということで主人公が本格参戦するのは『銀河鉄道の夜』からとなります。アンケートの結果的に他視点のデスアイランド編が入ると思うけど。
この李白の眼をもってしても主人公視点の一章が一話で終わるとは思わんかった(焦)
デスアイランド主人公蚊帳の外なんですけど、他者視点で書いたほうがいい?
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YES!YES!YES!
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NO!NO!NO!