自分のことを工藤新一だと信じて疑わなかったヤツ(黒歴史) 作:はごろも282
あと、今回初の他者視点です。主人公がさらっと流した裏では、こんなことがあったよって話。
昔から昆虫と、他人の横顔が好きな変な子供だった。だれかに見られてるなんて思いもしていない、そういう無意識の表情を見るのが大好きだった。
小学生のとき流行っていたプロフィール帳の〘好きなもの〙にそんなことを書いたら普通なら気味悪がられる。そりゃあそうだ。誰だって自分を自分の知らないところでジロジロ見られるのはイヤに決まっていた。
でも、そうはならなかった。
江藤新。幼稚園から一緒の私の幼なじみ。彼は昔から賢い子だった。幼稚園の先生たちからは遺伝かしら?なんて言われていたけど、そんな彼の横顔は、いつみても無気力だったのを憶えている。周りの男子よりも大人びていた彼は、女子から人気だったのもあって、私も何度か一緒に遊んだりした。
それだけの関係だった私達の仲が大きく変わったのは間違いなくプロフィール帳でのあの一件のおかげだろう。
プロフィール帳の内容で周りの男子にからかわれてるのをみた彼は、顔をキラキラさせながら走ってきてこう言った。
「どうした!?事件か!?」
なんだ事件って。先に私の心配してよ。幼稚園からの仲でしょ。
思わず困惑してしまった私をおいて、男子たちは説明をはじめた。
最初はウキウキで話を聞いていた彼だが、どんどん不機嫌になっていき、最後には完全に興味を無くしたようで、
「んだよ、そんなことで騒ぐなよな。だいたい○○、オメーだってその年でプリキュアみてんじゃねーか。人のこと言えないだろ。オメーらも、そんなダサいことやってねーで、やるならもっと大きな事件にしろ」
いうだけ言って彼は走って出ていった。プリキュアを見てることをバラされた子は、顔を赤くして走ってソレを追いかけていき、周りの子もそれを見て謝ってくれた。
何が起きてるか分からなかったけれど、彼が助けてくれたのは確かだった。
その日の帰りのことはよく覚えている。偶然彼を見つけた私は、助けてくれたお礼をした。彼は助けたわけじゃないと言っていたが、私は聞く耳を持たなかった。
それから彼と仲良くなった私は、彼を見るたびになんとなくつきまとうようになった。彼は私の趣味も否定しなかったし、一緒にいると楽しかった。
そんなある日、彼は私を見て何かが噛み合ったような顔をしてこういった。
「オメーが、俺の毛利蘭なのか」
何を言ってるのか分からなかった。なんだ俺の毛利蘭って。一家に一台あるわけじゃないんだぞ毛利蘭。
戸惑う私を脇に、彼はとてもいい笑顔でこう言った。
「やっぱ俺は工藤新一だったんだ!じゃなきゃこんな癖のある趣味持った幼なじみいるわけねぇ!!!改めてこれからよろしくな!ラン!!!」
引っ叩いてやった。
それから彼は私を色んなところに連れ回すようになった。事件捜索をしたり、昆虫さがしをしたりした。彼の家で彼のお母さん主演の映画をみたりもした。映画が好きになった。そうして私は作り物の世界に没頭していった。毎日が楽しかった。
私を毛利蘭だと認識してからの彼は、行き過ぎたコナンファンから、主人公の工藤新一になった。
今まで見られた彼本来の横顔も、いつ見ても工藤新一になっていたので私はそれを残念に思ったが、楽しそうな彼をみてそんな気持ちも薄れていった。
しかし、そこで私は自分の横顔が周りからどう見えているのか気になった。一度気になり始めたら不安になる。思いきって彼に私がどう見えているか聞いてみると、呆れた顔でこう答えてくれた。
「何いってんだ?オメーはオメーにしか見えないだろ。これからもお前は俺の幼なじみの毛利蘭だ。試しに空手を始めてみろ。頭から角が生えてくるはずだ」
彼は決め顔だった。
良いこと言ったつもりかもしれないが私はランじゃない。そこだけは分かるようになるまで体に叩き込んであげた。
それから中学に入る頃、彼は工藤新一から江藤新に戻った。顔を真っ赤にして「俺、工藤新一じゃないかも」とかいう彼は死ぬほど面白かった。
江藤新に戻ってから、彼は大人しくなった。大勢を巻き込んでなにかやることもなくなったし、授業中に抜け出して事件探しに行くこともなくなった。剣道のときに「風の傷ゥっ!」とか言わなくなったし、頭からお湯被ってみたりもしなくなった。
街ではもはやある種の名物だったのもあって、彼の変化をさびしく思う人は多かったが、からかわれる様子をみて面白がる人もまた多かった。
そりゃ平和な街で数年間も事件探ししてたら有名にもなるよ。
テレビの中の憧れに役者に向いてると言われ、役者になるのを決意したのもこの頃だった。単純に嬉しかったのもあったけど、理由は他にもあった。
工藤新一じゃなくなった彼が昔のように戻っていくのが怖かったからだ。シン君は日を追うごとに気力を失っていった。まるで生きる目的を失ったかのように。
私は勇気を出して彼に役者を目指すことを打ち明けた。
「へー、役者なるんだ。いつから?チケットとか融通できるの?いや、別に深い理由があるとかじゃないけどね。一応ね?」
私の勇気を返せ。思考が完全に転売ヤーだった。映画出るたびに送り付けてやるからな。いらないって言われても続けるから。
てかなんで役者はじめんの?とかのんきに言っている彼にムカついた私は、彼の好きなコナンから言葉を借りてからかってやった。
「私、役者として頑張るから。できること全部やって、努力して、有名になってみせるから」
私は頑張るから君も頑張れ。そういうことを伝えたかったんだが、伝わったんだろうか。彼は呆けていて動いてくれない。
「ねぇ」
「お、おう。どうした?俺は何でも似合うと思うけど、どちらかといえば寒色のほうが好みだな」
「うん、聞いてないね」
とりあえず、二度と服について聞かないことが今決まった。
「まあ、気楽にやれよ?失敗しても笑わないからさ。不安だったりしたらいつでも相談してこい。例え探偵じゃなくたって、友達一人の悩みくらい解決してみせるさ」
彼は最後に一言そういってくれて、心が暖かくなった。
結果として、シン君を焚きつけることには成功した。彼は新人シナリオコンクールで入賞したのだ。私を主役にした内容にするとは思ってもいなかったけど。一体いつからあんなに汚れてしまったのか。私はシン君を川で洗濯してあげた。
役者デビューして私が忙しくなってきた頃、シン君も同じように忙しくなっていた。演出家に弟子入りしたらしい。
両親に半ば強引にさせられたらしい。それでお互いに忙しくなって、会話したりする機会も少なくなり、メールでのやり取りが増えた。
それから時が経ち、私の名前が有名になり始めてきたころ、同じ事務所で年齢が近いアキラ君と話していると、シン君から久しぶりに連絡があった。
『ハロー、俺さ、天才監督目指すことにしたわ』
「待って待って待って何言ってるのかわかんないから」
ほんとに何言ってるんだろうこのバカ。
『いや、裏方ってブラックじゃん。仕事量のわりに名声が足りてないと思うんだよね。だから名声が手っ取り早く手に入る監督になろうと思って』
「うん、詳しく聞いてもよくわかんないや」
理解が及ばなかった。言っていることはわかるが、結論の飛躍が異次元だった。
バカなこと言ってないで、頑張って地道に働け。そう伝えて通話を切ろうと思ったとき、
『そういや、お前大丈夫か?』
珍しく言葉の足りない彼の言葉に、動きが止まった。
「大丈夫って、なにが?」
『最近さ、テレビでお前のこと視たんだけど、なんかアレだったから』
要領の得ない彼の言葉に苛立ちが募る。はっきり言えばいいのに。
「アレってなにさ。はっきり言いなよ」
『じゃあ言うけど。お前さ、何のために役者やってて、何目指してんの?』
なんのためにってそんなの決まってる。答えようとして、言葉が出なかった。
『お前が役者として努力してるのは知ってるけどさ、自分を捨てるのは違うだろ。今のお前は、自分が消えかけてる』
分かったような口で言ってくるのが癇に障る。最近会ってないくせに、何がわかるっていうんだ。
「わかったように言うんだね。さすが探偵志望ってとこかな?」
茶化すように言う。これ以上踏み込んできてほしくなかった。だけど今日の彼は引いてはくれなかった。
『探偵と口にしてごまかそうとしてるな。図星だからか?そうだな、お望み通り順序だてて説明してやる』
「へー。じゃあ説明してもらおうかな。君が百城千世子が消えかけてると考える理由を、根拠と一緒に」
私がそういうと、彼は説明を始めた。
『まず、お前は演技するうえで、自分というものを客観的に把握しつくした。そうして自身という存在の価値を最大限発揮させ、観客を魅了する。そのために最適化させた仮面を作って出来上がったのが、“天使”百城千世子だ。間違いは?』
「ない」
『よし、次だ。仮面を作るすべを手に入れたお前は、どんな時もみんなの理想の百城千世子になった。だがそれは言い換えるとどこまで行っても百城千世子でしかないってことになる』
体が震えた。
『おおかたネットで調べたんだろ。そこでお前は〈どこまで行っても百城千世子〉だの〈役の幅が少ない〉だのといった意見を目にした。大人びてるとはいえお前はまだ思春期の中学生だ。おとなしく酷評に耐えられるようにはできてない』
まるで見ていたかのような考察だ。全部当たっているトコロが余計にたちが悪い。
『どうにかその意見を克服しようとしたお前は、そこから慣れない役の掘り出しにまで手を付けようとした。それで役に合わせて仮面の修正をするようになった。はじめはうまくいってたんだろうな。だが無謀だ。お前の仮面は自分を魅せるものであって役を掘り下げるのには致命的にむいて「……もういいよ」』
驚いた。ここまで推理みたいなことをされるなんて。これでは本当に工藤新一みたいだ。
「うん、シン君の言ったことは全部あってるよ。それで、どうしろって?仮面なんかはずせって言いたいの?」
もしそうならシン君とはここまでの付き合いになるだろう。この仮面は私の努力の証でもある。
『そんなこと言ってないから。言っただろ。自分捨てるなって。俺が好きなのは必死こいて研究して、泥臭く努力して、花のような仮面かぶって画面で映るお前だからな。そこにお前が消えたら意味がない』
なんかとんでもないこと言いだした。思わず顔が赤くなる。今のは幻聴だ。聞かなかったことにしよう。
それよりも、彼は仮面ごと私を認めてくれていた。そのことがとてもうれしかった。が、同時に恥かしくなる。
「……ありがとう」
せっかく彼が真剣に話してくれたんだ。忘れないようにしよう。そう決意を新たにした次の瞬間耳に飛び込んできた言葉を私は忘れないだろう。
『ま、もしお前がこの先自分を見失ったとしても、俺が絶対見つけ出してやるよ。*1たった一つの真実を見抜くのが、探偵の役目だからな!』
ホント、彼はずるい。
『そういえばNA〇UTOの最終回みた?アレ結局ヒナタと結婚するんだぜ?』
私はスマホを地面に叩きつけた。せっかくのいい雰囲気が台無しだっ!!私は怒りに震えた。彼はバーローだ。やっていい事と悪い事の区別もつかなくなったらしい。絶対に報復してやる。
後日、江藤新はパラシュートのないスカイダイビングを経験した。
私はその時の話のせいで、最初に話していた内容をすっかり忘れていた。
一年後、突如現れた謎の天才少年エドガー・コナンがそれを思い出させることになる。
エドガー・コナンが作った作品は、シン君が書いたシナリオのものだった。私はすぐにシン君に電話をした。
『はい?どうしたー?』
「あ、シン君?あのさ、エドガー・コナンって『人違いです』……」
恐ろしい速さで通話を切られた。その態度で人違いは流石に無理があるよ……。エドガー・コナンは江藤新でまず間違いないだろう。
ていうか私が主役の作品なのに、なんで私を呼ばないんだろうか。まったく理解できない。あの時かっこいいこと言ってた人と同一人物とはとても思えなかった。
そして、世に大ヒット作を放出したエドガー・コナンがそのまま姿を隠して4年経った。シン君は高校入学と同時に弟子入りから逃げ出したらしい。監督になるのは理由は言わないけど辞めたと言っていた。
私にエドガー・コナンの正体隠してるつもりならもっとちゃんと理由を作るべきだと思う。新一歴が長過ぎた弊害で周囲の洞察力が毛利蘭レベルだと誤認しているようだ。
「酷い台本、また私頼みか」
今回の撮影の台本を確認する。いやホント酷いな。これ主演私じゃなかったら駄作になるところだよ?
日程を確認する。一ヶ月間泊まり込みで撮影するようだった。
そのことを把握してすぐ、私はスマホを取り出しシン君に連絡を入れる。
私は今時代のトップ女優、彼はただの高校生。もはや簡単に会うことも難しくなった。かといって、縁が切れたわけでもなかった。今回みたいに長期間外出しなければならないときは、彼に昆虫の餌を頼んだりしている。
昔から一緒に世話をしてきたから、最も信頼しているといっても過言ではない。
『もしもしー?どしたー?』
いつもと同じ気の抜けた声が聞こえた。
「ゴメンね?いま大丈夫?」
『あー?なんかあったん?』
「あのさ、今度の撮影で一ヶ月くらい家に帰れなさそうなんだよね。それで昆虫の餌とか頼みたいんだけど」
こうして頼めば、彼なら絶対に引き受けてくれる。
『りょーかい、報酬はいつもと同じでいいな?』
ほらね?この報酬とは、私が作る手料理のことだ。高校生になってから、シン君は私がなにか頼むと料理を作るよう求めるようになった。シン君が弟子入りしたと同時に、彼の両親は海外へ行ったから、誰かの料理が食べたくなるらしい。
「うん、腕によりをかけて作るから楽しみにしてて。それじゃよ『そういえばさー』……どうしたの?」
話が遮られた。一体どうしたんだろう。
『お前さ、夜凪景って知ってる?高校の後輩なんだけどさー、最近役者デビューしたんだよね。なんかスターズオーディション受けたとかどうとかで』
どうやら知り合いが役者デビューしたらしい。夜凪景ね。聞いたことないけど、スターズオーディションを受けたのか。アキラくんなら知っているかも知れない。後で聞いてみよう。
「いや、知らないかな。その子がどうかしたの?」
『いや、知ってるかなってだけ。面白い奴だし、多分仲良くなれると思って』
「ふーん……。わかった。じゃあ今度調べてみようかな?」
日程とかの詳細を伝えて、時間も押しているし通話を切る。
今日はアリサさんに呼ばれてるから、いそがないとね。
早足で現場まで向かう。ついた時には、既にうちの社長である星アリサさんがいた。
「ゴメンねアリサさん、遅くなっちゃって」
「構わないわ。もともとこの仕事はアキラに頼むものだったのだから。ついてきなさい」
そういってアリサさんは歩き出した。私はそれについていく。
「──計24名の若手俳優で……少し固いな」
「アキラ」
扉の奥では、アキラくんが練習をしていた。アリサさんに声をかけられてアキラくんはコチラに気づいたようで、練習を中断する。
「母さん」
「予定が変わったわ。記者会見の挨拶、あなたの出番はなくなった。あの子がきたから」
あーあ、言い方が悪すぎるよアリサさん。アキラくんショック受けてるじゃん。これから出る私の気持ちも考えてよね。
「……彼女は映画の撮影中のハズじゃ──」
ここだ。どうせ気まずいなら、せめてカッコよく登場しよう。こんなこと考えるようになったのもシン君の影響に違いない。おのれシン君め。
「アキラくん。撮影なんてね、NG出すから時間かかるんだよ。私はリテイクさせたことないから、私のシーンはすぐ終わっちゃうんだ」
不敵な笑みを浮かべるのも忘れない。こういうひとつひとつ丁寧な気配りが、トップ女優への第一歩だ。今の私は最高にカッコイイ。
「しかしすでに僕が出ると告知していて」
ホントにね。でも、どうして変更するかなんてわかってるでしょ?
「より数字を取れる方を使う。当たり前でしょう?」
だから言い方やばすぎるって。アリサさん顔アキラくんの見えてる?わざとならバーローがすぎるよ。
でもこればっかりは仕方ない。だって、
「"俳優は大衆のためにあれ”それがスターズだもんね」
「……あぁ……そうだね」
……そんな顔しないでよ。ホントいやになるなぁ。私こういう空気好きじゃないんだよ。
「そういえばアキラくん。夜凪景って子、知ってる?」
だから場違いにもこんな質問をした私は、絶対に悪くない。
えっ?なんでふたりともそんな驚くの?ねぇ、ねぇったら!!
記者会見もバッチリ決めてから二ヶ月後、私は顔合わせに向かっていた。あのカントク絶対顔合わせさせる気なかったよね。
今回の撮影では、シン君の言っていた夜凪さんが出演する。彼女はオーディションの12人に選ばれたんだ。
私もオーディションの時の映像見せてもらったけど……ってそれは後でいいや。今はとにかく急がないと。
「ごめんなさい遅れてしまって。これでもだいぶ撮影巻いてきたんだけど。って私以外誰も来てないじゃんスターズ。こんな日に顔合わせなんてしたらダメだよカントク」
掴みは悪くない。初対面から敵対心を持たれると面倒だからね。カントクは私の言葉を飄々とした態度で流す。
「ま、顔合わせなんてしなくても作品に影響ないからね」
「大ありだよ!酷い監督だなぁ、第一コレじゃみんなに失礼だよ」
ホント何言ってるのこのサングラス。見てよあの子とか。絶対オマエも遅れてるじゃねーかとか思ってるよ。
「改めまして遅れてしまってごめんなさい。百城千世子です、よろしくおねがいします」
笑顔で挨拶をして辺りを見渡す。うーん、やっぱりいい感情は向けられてないなぁ。特にあの男の子、反骨心が凄そうだ。
うん!向上心が高いのはいいことだね!だけど、
「あ、源真咲くん。ザ・ナイトの劇場版みたよ!ツカサ役ばっちりハマっててちょっとタイプだったかも!」
その感情は、今はいらないかな。
うんうん、驚いてるね。わかるよその気持ち。明らかに自分より上の人から認識されているって事実は、間違いなく相手を弛緩させる。認められるってコトはうれしいからね。
キミたちが今後どうなるかは好きにすればいい。でも、今回の作品は私が主役だから。目立とうとされたら困るんだよねー。
一番のこの景色は、絶対に譲れないから。
他の人にも順番に話しかけていく。リサーチは大変だけど、これが私が今の位置にいる理由の一つでもある。ほら、もうみんな私への悪感情なんて全然ない。
そして、まだ話しかけてないのは一人のみ。
「あ、夜凪景さん。オーディションの時の映像見させてもらったの。まさに迫真っ!ってやつだったけど、あれお芝居じゃあないよね」
夜凪景、シン君のお気に入りだ。
彼女のオーディションの映像は見た。本当にスゴかった。
「まるでお芝居がお芝居じゃあないみたいだった。アレどうやってるの?」
正直、この子に関してはシン君関係なく興味を持っていただろう。それくらいあの演技は衝撃的だったから。
夜凪さんが口を開いた。
「私も聞きたいことがあったの。お芝居中自分をフカンしてコントロールする技術。天使さんならできるって聞いたんだけど本当?幽体離脱」
…………へ?幽体離脱?何言ってるのかわかんないけど、私の技術のことなら、残念ながら企業秘密だ。適当に誤魔化させてもらおう。
「私、実は天使じゃないからぷかぷか浮いたりはできないよ?」
私がそういうと、夜凪さんは恥ずかしそうな素振りを見せた。
「ごめんなさい、あなたなら本当にできるかもって……」
どうやら本当にできると思っていたらしい。もしかして電波ちゃんなのかな?
「あはは、なんでそう思うの?」
「だって、テレビで見るあなたも今目の前にいるあなたもとても綺麗で、なのにどちらのあなたも顔が視えないから。人間じゃないみたいだなって」
仮面が、剥がれかけた。
夜凪さんは周りからなにか言われ慌てて弁明しているが、今は何も入ってこない。
人間じゃないみたいって、演技してるとき私はどうみえた?
知らなかった。才能のある人に積み上げてきたものを触れられるのがこんなに不愉快だったなんて。
私はこの仮面を、私の努力の結晶を気に入っていたようだ。
夜凪さんに近づいて話す。
「あなたの演技は、ちゃんと人間だったよ。私と違って」
羨ましいよその才能が。
私が求めてやまないソレを持つあなたが。
「幽体離脱がなんなのかよくわからないけど、一つだけこっそりアドバイス。私達俳優の使命は観客を虜にすること。素顔を晒してありのまま演じることを人間と言うなら、私は人間じゃなくていい」
うん、確信した。シン君には悪いけれど、
「これでいいかな?夜凪さん」
彼女のことは、好きになれそうにない。
今回真面目なシーンかいて主人公に存在感出したかったんだけど、コレジャナイ感が凄い。原因は千世子ちゃんのキャラをつかめてないことのあるとみた!
アンケートのその他は多分景になります。まさか茜さんとかでやれって人はいないでしょ。いないよね?
他者視点のデスアイランド欲しいっていう声が多かったんで書きます。視点誰がいい?
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百城
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千世子
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百城千世子
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その他