自分のことを工藤新一だと信じて疑わなかったヤツ(黒歴史)   作:はごろも282

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ぴすぴす←かわいい


自分を工藤新一だと思い込んでいた人による3話

 数日前の話だ。いつもと変わらぬ生活をしていた俺のスマホに、千世子からの連絡があった。撮影のときの虫の世話のお礼をするから土曜に会おうというもの。俺は何も考えず了承。そういえばそうだった。まだ何も返してもらっていない。

 俺は既にウキウキだった。

 

 そして迎えた今日、約束の日になり、俺は待ちあわせに向かっていた。アイツはああ見えて料理がうまい。この一ヶ月間は黒山サンや柊さんと協力して作ったりしていたが、俺からすれば何もしなくても料理が出てくる環境が一番だった。こういう日の千世子は俺が座ってるだけで全部やってくれる。最高だった。

 

「お、きた。もー!遅いよー!」

 

 どうやら待たせてしまっていたらしい。こういうときのマニュアルはしっかり持っている。

 

「いや、俺も今来たとこだから大丈夫」

「いや知ってるけど?それ私の台詞だから。待たせた側の言っていい台詞じゃないから」

 

 しまった、コッチじゃなかった。機嫌を悪くさせたままだと面倒だし話題を変えよう。

 

「いやー、それにしてもお前と会うのも久しぶりだな。元気してた?」

「話のそらし方ド下手すぎない?それ一ヶ月撮影してきて疲れてる人に言っちゃダメだよ。ビックリしちゃった。まあいいや。今日は私に付き合ってもらうからね!」

 

 細かいとこにいつまでも粘着しないのがお前の美点だよな。まるでゆってぃだ。その粗雑さが人気の秘訣なのかもしれない。ほら、粗雑なヤツの周りってよく集まってくるじゃん、虫とか。

 お前虫好きだし、お似合いじゃないか?

 

「なんかムカつくし、そもそも君は私を待たせたから、今日は全部奢りでよろしくね!」

 

 少しでも隙があればソコに群がるように食いつくのがお前の欠点だよな。卑しい女だ。まるでカマドウマだ。この便所コオロギにも劣るバーローが!!

 

 

 

 

「それで、今日の予定は?あんまり金持ってきてないぞ」

 

「そうだねー、私ストレス溜まってるし、カラオケでも行く?……あっでもやっぱやめとこうか」

 

 便所コオロギはとても申し訳無さそうな顔で撤回してきた。何だオメー、バカにしやがって。俺がいつまでも下手だと思ったら大間違いだぞお前。

 

「カラオケだな?行くぞ」

「い、いや、ホントに大丈夫だよ?ゴメンねホント。やめとこうかカラオケはさ、もっと違うとこにしよう?」

「うるせー行くぞほらさっさとこいバーロー!」

「いやホントごめんってやめとこカラオケは!この際正直に言うけど私が聞きたくないんだッ!!」

 

 引きずってでも連れてってやるからなバーロー!!覚悟しろよって何だコイツ力つよっ!!どこからそんな力出してんだお前バッファローより強いんじゃねーの!?そんなに行きたくないのか!?

 

 

「あぁ、折角の休日なのに……、なんでこんなことに……」

 

 便所コオロギ兼バッファローはカラオケボックスにて絶望していた。人類の限界を突破した女を絶望させる偉業を成し遂げたのに、なぜか達成感はゼロだ。なんなら虚しい。

 

「お、おい。そんなに絶望しなくてもいいだろ?俺だって少しは上達してるかもしれないじゃん。ちょっと信じてみよ?ね?」

 

 なんで俺が励まさなきゃならないんだろう。自分で言ってて悲しくなってくる。

 

「ハハ、そうだよね。天動説が真実な可能性くらいはあるよね、ジンが詰めまでちゃんとするくらいには可能性あるよね」

 

 実質ゼロだった。どんだけ無理だと思ってるんだよ。てか沈んでると思ったらキレッキレじゃねーか。よくそんな思いつくなお前。そもそも失礼だと思わないのか目の前に本人いるぞ?

 

「ま、まあ一曲歌おう。千世子先歌えよ。今日はお前のストレス発散なんだし」

 

「そうだよね、ストレス発散だよね。そのまま鼓膜も爆散しちゃうんだよね」

 

 め、面倒くさい……。確かに俺の歌スキル上昇のために嫌がる千世子を連日付き合わせたことはあった。千世子は恥じらいもなくギャン泣きしてたし若干ノイローゼになりかけていたがそれだけだ。どこにあれほど錯乱する理由があるのか。

 若干投げやりになりつつも、千世子に曲を選ばせる。

 なにやら物寂しいイントロが流れる。……?

 

 

 

 曲 ドナドナドーナ

 

「千世子オメーコラァッッ!!!」

 

 俺は千世子に殴りかかった。返り討ちにされた。

 

 

 

 色々ハプニングもあったが、遂に俺の番がやってきた。先程の激闘を終え、曲選ぶヤツの強奪に成功した俺は意気揚々とある曲を選曲する。

 

「あぁ、折角夜凪さんと仲良くなれたのに。一緒に遊びたかったなぁ……。お母さんたちにも挨拶くらいしたかったし。親不孝な娘でごめんね……」

 

 千世子はもうコレから自殺する人みたいなテンションだ。目の焦点が既に合っていない。クスリやってんのか?芸能人らしいな。

 確かに俺は歌が苦手だ。それはもう周知の事実として認めよう。だが、この俺が苦手と分かっていてなんの対策もしていないと思うか?

 見ていろ千世子ッ!俺の歌声に惚れても知らないからな!!

 

 

 曲が終わる。千世子はもはや表現しようのない顔をしていた。まるで森羅万象の理を知ってしまったときのような、そんな顔だった。少なくとも理解が追いついてないことだけは間違いなかった。

 

「……え?なに、今の。……なに?歌ったの?キミが?今?……え?」

 

 失礼すぎるだろコイツどんだけ信用してないんだ。

 

「……フッ」

 

 俺は意味深に嗤う。コッチのほうがカッコイイから。するとやっと理解が追いついてきたのか、千世子が満面の笑みを浮かべた。

 

「すごいよシン君!!本当にうまくなってるなんて!!」

 

 すごい褒めるやん、悪い気はしないけど。もっと褒めて!

 

「天才!神!工藤新一の上位互換!今のキミをみて永久機関が発明できることを私は確信したよ!!」

 

「アッハッハ!!そうだろそうだろ!俺ってやっぱスゲーよなぁ!?……え?最後どういうこと?」

 

 絶対不可能だと思ってたの?

 

「いやー、シン君ったらいつの間に上達してたの?私ビックリしちゃたよ!あんなゴミ以下のジャイアンにも劣る歌声からどうやったの?もしかして夜凪さんと来てたりした?」

 

 コイツ急にすごい喋るじゃん。さっきの感じどうしたホント。それでめちゃくちゃ辛辣じゃん本人に言えるのおかしいよお前。

 

「フッ……てかお前夜凪と仲良くなれたんだな」

 

 夜凪から来てた連絡では途中まで仲良くなれそうにない雰囲気だったっぽいけど……

 

「……?私の質問は?まあいいや。それで、夜凪さんと仲良くなれたかだっけ?実は私達はもう親友といっても過言ではないよ!……いやそれは過言だな」

 

 どっちなんだ。でも仲良くなったのは間違いなさそうだ。あんまりいないけどな。10日ちょっとでそこまで仲良くなれる奴ら。何したんだろ?

 

「でも仲良くなったのはホントだよ?台風の中一緒に撮影したし。なんなら死にかけたトコ助けてもらったし」

 

 ホントになにがあった!?大丈夫だったの!?にしてもお前ら二人ともよくそれでそんな元気だなぁ……

 

「それよりさ!せっかく歌えるようになったんだし、デュエットとかしようよ!」

 

 カラオケに話が戻ってきた。へー、デュエットねぇ……

 

「……フッ」

 

 やるしかなければやるだけだ。

 

 曲が始まる。歌い出す。中断される。胸ぐらを掴まれる。顔に激痛。この間わずか5秒。

 

「オイコラ、説明しろ?歌えるようになったんじゃあなかったのか?」

 

 もはや天使の面影もない。どっちかっていうと大阪府警のヤーさんに似てる。

 

「……フッ」

「フッじゃないよバーロー死にたいの?さっきの歌声はなんだったんだって聞いてるんだけどわかんない?」

「……ほ、本当は今考えている事の逆が正解だ。でもそれは大きなミステ「え?」心の底からごめんなさい」

 

 怖すぎる。本格的にボコられるのを幻視した。あと謝るのが数秒遅ければカラオケボックスで素晴らしいザクロが見れただろう。

 

「それで、キミが最初ちゃんと歌えていた理由は説明してくれるんだよね?」

 

 尋問されている。歌がうまかっただけで。別に答えは単純なんだが、めちゃくちゃダサいから言いたくない。誤魔化したいです。

 

「……実は、さ」

「うん、実は?」

 

 どうする?考えろ俺。違和感なくダサくない理由を今ここで。

 

「実はお前を見たときから喉のビブラートがすごいことに「知ってる?人間の6割は水分なんだって。そういえば雑巾絞りってすごい水出るよね」やめて!!俺の腕をどうするつもり!?絞るの!?もしかして俺の腕を捩じ切ろうとしてる!?」

 

 なんてこと考えてるんだこの子は!?正気の沙汰とは思えない!

 

「やだなぁシン君ったら、そんなわけないじゃんか。バカだなーホントに」

 

 ホッ、よかった。そうだよな、さすがの千世子も大事な幼なじみの腕を再起不能になんてしないよな。

 

「まったく、腕じゃなくて胴体だよ」

 

 マズイ、確殺を狙っている。違ったのは絞ることじゃなくて絞る場所だったらしい。

 

「ハハハ!千世子ったら冗談が上手いな〜!でも、そんなトコもかわ「シン君?私は冗談は好きじゃないよ?」……」

 

「それもこれもシン君が悪いんだよ?私は真剣に聞いてるのに、ふざけてばっかりで……幼なじみに対して隠し事ばっかしてさ」

 

 何だコイツ、こんな可愛いこと言うような奴だったか?まるで好きな人に嫉妬する女じゃねーか。おいおい、もしかして脈あるんじゃないのこれ!?

 

「だからさ」

 

 カーッ!悪いねぇこんな美人に好かれちゃって!しかも天使なんて言われてるのよこの子!じゃ、おさきに失礼非モテども!!俺、幸せになりまーっす!

 

「千世「だから、一度悪いもの全部絞り出そう?」…………」

 

 違った。物理的に脈ナシにしにきてるわコイツ。

 俺は急いで説明した。どれだけ惨めでも、生きていたかった。

 

 

 

 

「それで?苦手なのは分かってたし、今度私を驚かせてやろうと一曲だけ死ぬ気で練習したってこと?3ヶ月も一人で毎日カラオケ行って同じ曲だけ歌ってたってこと?」

 

 目線が痛い。そんな蔑むように見ないでほしい。

 

「だって、音痴ってバカにされたくなかったし」

「まずその発想からバカでしょ。お金の使い方どうなってんの?なんで毎日行って同じ曲だけ歌ってんの?その曲嫌いになるでしょ普通に考えて」

 

 散々な言われようだ。だが本当に曲は嫌いになったから強く否定できない。

 

「ああ、3ヶ月で上達してよかった。2ヶ月くらいからカラオケボックスに入ると痙攣が止まらなくて。その歌を聞くだけで吐き気がすごかったんだ。既に治ってきてるんだが、実はさっき歌ってから耳鳴りがスゴイ」

「ああもうホントバカ!!なんでそうなるまでやったの!?時々キミがどこを目指してるのかわかんなくなるよ!!」

 

 ものすごくバカを見る目ですごいダメ出しされてる。仕方ないじゃないか、どうしても歌えるようになりたかったんだ。音痴は恥だ。歌下手が新一と被ってるのはもっと嫌だ。ネタにされるから。

 

「にしても良かったよ。素直に話してくれて」

 

 なにが良かったと言うのか、深手を負ったのはこっちだけだというのに。ちくしょーめ!

 

「私も、幼なじみを*1サンタナにするのは心が痛いからね」

 

 発想が猟奇的すぎる!?君の頭はどうなってるんだ!?

 まったく、昔はあんなに可愛らしかったのに誰が原因だっ!!星アキラか!?おのれ芸能界め……ッ!おのれイケメンめッ!!

 

 

 

 カラオケも終わり日も暮れてきたということで、俺たちは今千世子の家に向かっていた。そう、夕食の時間だ。もともと今日のメインはお礼だからね。作ってもらわないと。

 

「何食べたい?」

 

「あー、なんでもいいや。美味しいのでよろしく」

 

「もうっ!そういうのが一番大変なんだよ?」

 

 よく聞くよねそういう言葉、あれホントなんだろうか。いや確かにレイとルイに作ったりしてたときは食べたいって言ったの作るだけだったし簡単だったな。そういうものか。

 

「お前の作るものだいたい美味しいんだよな。だから任せるわ」

 

 実際ホントに美味しいし。忙しいのにどこで練習してるんだ?

 話しているうちに着いた。

 

「さっ、入って入って!」

 

 なぜか千世子が急かしてくる。スキャンダルとか気にしてるんだろうか?

 

 俺が中に入ると千世子は鍵を閉める。

 ……?なんで鍵閉めた?そんな防犯しっかりしてたっけ?

 まぁいいや、それよりも今は料理が楽しみだ。

 

「そこらへんでいつも通り寛いでてー。私これから準備するから」

 

「了解、ゆっくりで構わないよ」

 

 言われなくてもそうするつもりだ。なぜなら今日はお礼だから。残念だが手伝いなんて絶対にしない。

 

 テレビをつけソファーに座る。後方ではガチャガチャとなにかの作業の音が聞こえる。どこか安心感のある雰囲気に気が緩んでしまう。

 テレビを見ていると、ちょうど天使が写っていた。いつでもいるなお前は。こうして画面に写っているのをみると、やはり人気女優なんだと改めて実感する。

 

 背後ではガチャガチャと音がする。番組を切り替える。ちょうどコナンがやっていた。

 どうやら再放送っぽいな、*2小五郎の同窓会のやつだ。小五郎がカッコイイときのコナンはだいたい面白い。普段ちゃらんぽらんの癖にここぞって時はキメるのかっこよすぎるって。新一を人生経験で上回るトコとか痺れた。あんな人間になりたい。

 

 背後ではガチャガチャと音がする。コナンで思い出したけど、今年の映画見に行けてないな。今度千世子とか誘って行こうかな。アイツもたまにはアニメとか見るのもいい気分転換になるだろう。

 コナンの映画と言えば、ベイカー街の亡霊が一番面白かった。若干思い出補正が掛かっている気もするけど。後は水平線上のヤツ。最後の小五郎がカッコよかった。むしろ小五郎以外あんま覚えてない。やっぱ小五郎はスゲーや!

 

 背後ではガチャガチャと音がってうるさくない!?なにしてんのさっきから!?そろそろトントンとかジューッとか聞こえてこないかなぁ!?料理してるんだよね君!?

 

ガチャガチャ!ガンっ!キュィィイン!!ドパンッ!

 

 ドアが開いた。皿を持って千世子が出てくる。

 

「おまたせ~!じゃあ夕飯にしよっか!」

 

「……ち、千世子サン?今までなにを?」

 

「なにって料理に決まってるじゃん。他に何があるの?」

 

「い、いや!そうだよね!何言ってるんだ俺……!」

 

 本能で察した。コレは触れちゃ駄目なやつだ多分。だっていつもは普通にやってるんだもん。今日だって幻聴か何かに決まってるそうだよそうに違いない。

 

「シン君はレーズンとナスが嫌いだったよね?」

 

「ん?そうだね。覚えててくれたのか」

 

 確かにレーズンとナスは好きじゃない。色がやばいだろまず。よく紫のモノ口にしようと思ったな。見た目の観点からキノコも無理だ、食感もヤバいし。

 

「そりゃ覚えてるよー!だから今日は……」

 

 料理が持ってこられる。さ、今日はどんなもの作ったの……か……?

 

「今日はその二つを使った料理にしたから!」

 

 なにを言っているんだろうこの子は。

 

「千世子さん千世子さん。俺の嫌いな食べ物は?」

「ナスとレーズン、あとキノコとか」

 

 正しい。

 

「この料理は?」

「ナスとレーズンをたくさん使った料理です!」

 

 そこがわからない。嫌がらせじゃなかったらもうお前のこと直視できないよ俺。

 

「……なんで?」

「さ、召し上がれ?」

「できるわけねーだろ!?」

 

 上目遣いまでしやがってかわいいなぁオイ!状況がこうじゃなければ惚れてたよ多分!!

 

「食べてくれないの?」

 

 ここにきてそんなこと言う!?どんな精神してるの君は!?作ってもらって申し訳ないけど、これは無理だ!

 

「いや、作ってもらって言うのもなんだけどさ、嫌いなもの全種盛りはちょっとキツ「やっぱり夜凪さんの料理の方がいいの?」殺気!?」

 

 一目散に離脱する。逃走ルートを一瞬で確保し、荷物をもって走る!よし、このまま逃げ出せそうだってあぁ!!鍵閉まってる!

 鍵を開けるというロスタイムであえなく確保された俺は千世子の目の前で正座させられていた。

 

「違うんです。偶然なんです」

 

 もはや魔王にしかみえないよ。怖すぎるって。灰原がジンに追い詰められたときとかこんな気分なんだろうか。

 

「夜凪に料理作ってもらってるのは事実なんですけど、それは彼女の弟たちに懐かれたからついでってだけで……」

「言い訳は身長180超えてからにしてくれない?」

 

 ひどい暴論を聞いた。世の男性のほとんどに発言権が消えた瞬間である。

 

「食べたあと『掴まれたっ……!』とか言ってたらしいけど」

「誤解です」

 

 どうしよう、取り返しつかないとこまで知られてる。

 

「掴まれたって言ったんじゃないんです。チーカマ入れた?って言ったんです。ほら、響き似てるじゃないですか。聞き間違えたんじゃないかな?」

 

 千世子の目がどんどん細くなる。どうしようバーン様にみえてきた。

 バーン様はため息をつくとこう言った。

 

「言い訳?」

「い、言い訳ってことじゃなくて「え?」……言い訳でした」

 

 どうすればいいんだろう。

 

「いいよ別にキミがどうしようと。でもさ、昔から私も作ってあげてるわけじゃん?たまにだけど。それで負けたら悔しいわけ。わかる?」

 

 どうやら女として負けてることが悔しいらしい。でもそれは違うってコトをどうにか伝えないと。

 

「よ、夜凪と千世子は全然美味しいのベクトルが違うから!極論手料理が食べたいだけだから誰でもいいから!!」

「へー、そうなんだ」

 

 まずい、さらに機嫌を損ねたらしい。どこかで失敗したようだ。

 

 そもそもなんでこんな怒ってるんだ?料理の腕で負けてることだけでここまで怒るヤツはそういない。この怒り方はまるで大事なもの取られた子供みたいだ。なんだ?夜凪になにかとられたりしたのか?

 

「も、もしかして夜凪となんかあった?大事なものとられたりとか」

「は?そんなのないけど?勘違い甚だしいね笑いが止まらないよホントやめてくれるそういうこと言うのちょっと引いちゃったよ」

 

 うわビックリした。すごい早口じゃん。ちょっと顔赤くなってるし酸欠になるまで喋ってたのかよ。

 

「と、とにかく!私は怒っているわけです!!だから罰として、この料理を食べてもらいます!」

 

 どうやらこの料理は罰らしい。自分で作った料理罰ってどんな神経してたら言えるんだろうか。悲しくないのか?

 ……え?ホントに食べるの?マジで?嫌なんだけど。

 

「……い、いただきます!!」

 

 覚悟を決めて一気に食べる。嫌いといっても料理自体は成功してるんだ!それなら食べられる!!

 

「あ、今回は特別に辛子とかワサビ沢山使ってみたんだ!」

「キミはバカなのか!?」

 

 そこからはもう、覚えていない。

 

 

 

 目を覚ますと、頭上には千世子がいた。

 

「……なにしてんの?」

「あ、起きた。いやー食べ終わってすぐ倒れちゃったから、看病」

 

 まさか食べきるとは思わなかったよね。と言ってる千世子の言葉で思い出した。あのゲテモノを口にして意識飛んだんだ。食べきったのか俺。ていうかこの状況って、もしかして膝枕ってヤツ!?確かに後頭部には柔らかい感触が!ああっ!マジかヤバいなんだコレ急に恥ずかしい!!

 

「なに?急に赤くなったけど?……あ、もしかして照れてる?」

 

 なんだこのラブコメみたいな感じ。恥ずかしいってなんか。

 俺は無言で起き上がる。そして立ち上がり、壁に自分の頭を叩きつける。

 

「え?なにしてるの?いやホント何してるの!?血出てるって!!」

「いや、ラブコメの波動を感じたからちょっと……」

「ラブコメの波動感じたならそれを享受しなよ!!なんでちょっと抗ってみようとしたの!?」

 

 突然の事態に千世子は困惑している。やった俺も困惑している。なんでこうなったんだろう。

 

「じゃ、帰るわ。膝枕ありがと!今度は俺の好きな料理でよろしくー!」

「待ってこの状況で帰るの!?本気で言ってるのそれ!?……嘘でしょホントに帰ったんだけど」

 

 今日は大変だったけどなんだかんだ久しぶりに幼なじみと遊べて楽しい一日だった。コレからももっといい日になるよね、ハム太郎?

 

 

 

 

 

 

 

 そして数日後のことである。学校にて平穏な暮らしをしていた俺に災難が襲いかかっていた。

 

「せ、先輩!一緒に演劇を観に行かない?」

「…………は?」

 

 突如教室に入ってきた今や人気者である夜凪。飛んでくる爆弾。突き刺さるクラスメイトの視線。

 

 バーロー!!学校で話しかけてくんなって言ってただろ!!!

*1
ジョジョのキャラ。サンタナ 空気供給管で検索するとわかる。多分ねじりながらやってる。

*2
小五郎の同窓会殺人事件、結構な人気をもつ回。小五郎がかっこいい




この小説に書き貯めなんて存在しないので毎回話思いつくまで時間がかかります。

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