個性『ショック吸収』を得た私がすべきこと   作:万望

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 二次創作では斬撃やら氷結やらにやられっぱなしの『ショック吸収』さんのポテンシャルに怯えつつ初投稿です。


火守 橋華: 幼年期
火守 橋華: Origin


さて。

 

 漫画「僕のヒーローアカデミア」において、主人公たちと敵対する明確な(ヴィラン)が初めて出現したUSJ事件。そこで登場した(ヴィラン)の中で、最も絶望的な存在といえば何だっただろうか。

 

 

 

 

 脳無である。

 

 USJ事件において登場した脳無は、「ハイエンド」と呼ばれる12体の傑作のうちの一体である。殻木により与えられたと思われる圧倒的な身体能力により『個性』を抹消された状態でも相澤先生に重傷を負わせ、オールマイトと渡り合うことも可能にした。加えて『超再生』により半身を破壊されても容易に修復することから、生半可な攻撃は意味をなさない。

 

 そして何より。個性『ショック吸収』。瞬間的な衝撃を吸収することで高い防御力を有し、その性能にはオールマイトの打撃すらも通用せず最終的に彼の300発以上の全力の拳により吸収限界を迎えることで撃破された。

 

 十数人の雑魚敵を圧倒する相澤先生を凄まじい身体能力で撃破。また個性『抹消』でその身体能力が失われなかったことからそれが生身によることが判明。満を辞して登場したオールマイトの打撃すら無効化。そして轟により氷結、無効化されたかと思いきや体を砕くことで復活と、なかなかに絶望ポイントが多い脳無。しかし、誰もが一度はこう考えたことがあるのではないだろうか。

 

 『ショック吸収』、強くね?と。

 

 この『個性』は、AFOあるいは殻木によって与えられたものであるが、移植された『個性』は素の状態、言い換えると経験値が溜まっていないのだ。鍛えた『個性』を奪ったとしてもその伸び代は奪えないという事実は、ベストジーニストと相対した時のAFOの発言から判明したものである。

 ひょっとすると筋肉量によって吸収可能な威力が変化するなどの条件があるのかもしれないが、それにしたって強すぎる『個性』という他はない。

 

 ではこの強『個性』、どこで手に入れたものだろうか。ヒーローが活躍する時代においてこの『個性』は極めて戦闘向きという他ないことから、もし所有者が大人であった場合それはヒーローであった可能性が極めて高くその捕獲は容易ではなかったことだろう。つまり、この『個性』の持ち主は子供の時に奪われた可能性が高い。殻木が個性収集のために運営している病院や児童養護施設があることを考えると、これは容易いことだっただろう。

 

 そして『個性』を失った子供がどうなったかを考えると……およそ碌なことになっていないだろう。死体をでっち上げるなどして、実験材料に使われていたのかもしれない。

 

 

 と、なぜこのようなことをつらつらと述べているのかといえば。

 

 私、火守 橋華(ひもり きょうか)(3歳)は。「僕のヒーローアカデミア」という作品についての知識を持ち、そしておそらくその世界に存在する人間だからである。加えて、『ダメージ吸収』というべき個性を有した。

 

 

こうなった経緯はといえば。数日前、まだ何も恐れるものを知らない幼児であった私は母親の目を盗みジャングルジムをよじ登った。それはもう海兵隊の訓練の如き勢いで手をかけ足をかけ、あっという間に頂上にたどり着いた。そして開放感のあまり、「ばんざーい!」と叫んだのである。ジェスチャーつきで。そして当然の如く足を滑らせ、後頭部から真っ逆さまに落ちた。そして地面に衝突した瞬間、後頭部からエネルギーの奔流が脳髄全体に迸ったのだ。

 

 すると脳細胞が妙にシナプスした結果か、どこからか受信した「原作知識」とでも言うべき知識とそれを十全に扱うに足る知性がこの小さな頭脳に宿った。そして慌てて駆けつけてきた母親に病院に連れて行かれるも、当然のように無傷。「よほどうまい具合に着地できたんでしょうねぇ」と医師は言うが、そう言うしかないのだろう。いくら子供の肉体が柔らかいといっても衝撃を受け流すことなどできるわけがなかろうに。

 

 帰宅後、大分過保護になった母の目を盗みつつ実験することで、私の『個性』についてある程度把握することができた。

 

 まず、私の『個性』はあの事故からも分かったように瞬間的な衝撃を吸収するものであり、その限界はまだ見えていない。というか3歳児の手に届く範囲に私の吸収能力を超える衝撃を与えられるものなどあったらそれこそ問題なので、当然のことなのだが。

 

 次に物理的な衝撃だけでなく熱に対しても耐性を有する、あるいは有するであろうということ。これは元プロヒーローである私の母の『個性』から推察したものである。まだ実験できてはいないが、機会があれば試してみたいものだ。

 

 そして、力の流れが感覚的に理解できる。これは衝撃を無効化するのでなく吸収するという『個性』の別の側面というべきか。ジャングルジムから落ちた時、エネルギーが後頭部から頭部全体に広がるのが理解できたように、受けた力がどこから始まり、どのように流れ、どこに辿り着くかがわかるのだ。

 

 強い『個性』だ。間違い無くそう言えるはずだ。きっと手放しで喜べたことだろう。……転落した時に運ばれた病院が蛇腔総合病院でなければ。主人公、緑谷出久が個性診断を行い、「ドクター」がいた ()()蛇腔総合病院でなければ。早急に対策を行わなかった場合、おそらく4歳時に行われる個性診断で目をつけられてしまう。

 

 目をつけられたものの末路は、およそ前述した通りのものだろう。……まったく、冗談じゃない。いくら超越者から見れば取るに足りない人間とて、野菜でもあるまいに自我があり、未来があり、希望がある。それを収穫する様に奪われるのはごめんだ。とくに当事者の立場では。だが、希望はある。

 

 彼らにとって魅力的な『個性』とは、『超再生』のように鍛えずとも強い能力を発揮するものだ。ならば、私の『個性』を「強いかもしれないが、特定の条件を満たさなければ真価を発揮できない」ものと誤認させることができれば良い。そうだ、例えば『受け流し』とかはどうだろうか。ジャングルジムから落ちた時は無意識に最善の行動を取れただけで、通常は力を受けてから自分にダメージが来ないように流すための技量が必要な『個性』という設定だ。

 

 

 ならば、来たる日に向けて備えよう。武術なんかを習えば説得力が増すだろうし、その先(・・・)にもきっと役立つはずだ。

 

 最悪の敵に目をつけられることは避けたいけれども、知ってしまったのだ。彼ら(主人公達)の戦いを、その意志を。できることならその姿を間近で見たいと思ってしまうのはしょうがないことじゃないか。

 

 というわけで、中期目標として「ドクターに『個性』を誤解させ、かつ鍛えればヒーローになる可能性を秘めているとも思わせる」こと、長期目標として「雄英高校ヒーロー科への合格」を設定しよう。

 

 

 私がヒーローになるための道は、高潔な決意などほとんどなしに「襲われたくないから」「見てみたいから」という幼稚極まりない理由でこうして始まった。

 

 

 

 

 




火守'sヘア: 透明感のある赤色。母譲りの自慢の一品。
火守's顔: カワかっこいい(予定)。
火守's肌: 褐色卵肌。
火守's精神: 外宇宙の電波に接続した結果冷静になった。実はビビリ。

 この子には作者の癖が詰まっています。
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