個性『ショック吸収』を得た私がすべきこと   作:万望

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 誤字報告ってすごい。そう思いました。わざわざしてくださる方々には感謝してもしきれません。

 火守が火森になっているミス、修正しました。これも全部予測変換ってやつのせいなんだ。


出会い

 早いもので、私は中学一年生になった。日課のランニングを終え、朝食をとり、真新しい制服に身を包む。まだ硬さの残る制服になんとも言い難い緊張を覚えるが、しばらくすれば慣れてくるだろう。

 

 これから出会うのは3年間の付き合いになるクラスメイトなのだ、どうせだったら何人か友人ができたらいいなあ……

 

 などと呑気に考えていた私に言ってやりたい。数十分後に転校できないか真剣に考えることになるぞ、と。

 

 なぜって?

 

 

「デぇクぅぅ……『無個性』のテメェがなんでこの・・俺と同じ中学とこに来てんだ?あぁ?」

 

 

「か、かっちゃん⁈いや、別に学区がたまたま同じなだけで……」

 

 教室の扉を開けた瞬間、こんな会話……というより一方的な絡みが展開されていたからだ。自分の机で縮こまっている緑谷に、爆豪が難癖をつけている。

 

 ……お察しの通りではあるが、9年後と思っていたらそれより3年早く出会うことになった。

 

 よく考えたら当たり前のことだ。そもそも私が彼と同学年であることを知ったのは個性検査の日に出くわしたからなのだ。つまり同じ地域に住んでいるのだから、中学が被ることは想定しておくべきだった。

 

 そう。この2人と一緒ということは、あの(・・)下手したら自殺しててもおかしくないような爆豪による絡みをほぼ毎日見なければならない。シンプルに精神にくる。

 

 というかそんな環境でよく緑谷は折れなかったものだ。だいぶ卑屈というか内気ではあるが。それだけヒーロー、オールマイトへの憧れは強いということだろう。

 

 

 ……まあ、自分の前でいじめまがいの事をされるのは気分が良くないので流石に割って入るが。

 

 「すまない、少しいいか?」

 

「あぁ?」

「ひゃっ、はい!」

 

 2人ほぼ同時に返答が来た。これが幼馴染の力だろうか。仲良くなれそうなものなのに、双方拗らせているせいでどうにもならない。

 

「そこの、えー……トゲ頭の君、入学初日にクラスメイトを恫喝するのは人としてどうかと思うが。」

 

 つい名前を言ってしまいそうになったが、それは不自然なのでなんとか避けた。というか本当に当たりがきつすぎる。3年ずっとこの調子なら逆にすごいぞ?

 

「これは俺とクソデクの問題だ。テメェは引っ込んでろ。……つかトゲ頭ってなんなんだコラ!」

 

 「いや、これからクラスメイトになる人が変なやつに絡まれてたら声をかけるだろう?」

 

 正直すごく声をかけづらいが。

すると、

 

「チッ、……もういい。」

 

 と言ってこちらを一瞬睨み、音を立てて扉を開け出ていった。……違うクラスだったのか。わざわざ来て絡むなんて、捻くれ方が尋常じゃない。

 

 そう思っていると、緑谷から礼を言われた。当たり前のことをしただけだし、ああいうのが続くようなら先生に言ったほうがいいぞというとなぜか怒涛の爆豪トークが始まった。

 

 「かっちゃん……あ、さっきの子の渾名みたいなものなんだ。本当は爆豪 勝己っていうんだけど、幼馴染なんだ。昔からすごくて、僕なんかとは違ってみんなを引っ張っていく存在で。頭も良くて、小学校では1番から落ちたことないんだ。ヒーローに憧れてて、『個性』も強い。『爆破』って言うんだけど、こう……手のひらで自由に爆発を起こせて、しかも本人が爆発に強いから攻撃、防御、移動にも役立つんだ。きっとすごいヒーローになれると思う。それにああ見えて冷静で、どんな時もうまく立ち回ることができる。いや……強いて言えば僕にはものすごく突っかかってくるんだけど、その原因は僕にはわからなくて。でも憧れちゃうよ、かっちゃんには。僕にもあんな風に『個性』があったらななんて……」

 

と止まる様子を見せなかったので、一旦落ち着けと言って軽く頭を叩く。まったく、こちらはこちらで拗らせすぎだ。爆豪のことを異様に上に見ている。まあ、運動に勉強にと才能があって『個性』もすごい奴を何年も見ていたらそうなるのかもしれないが。

 

 「ご、ごめん、つい話しすぎちゃって……」

 

 ははは、と笑って頭を掻いている。

 

「で、名前は?えーと、デク、だったか?」と聞くと、一瞬止まって、身振り手振りでわたわたしながら

 

「あっ、いや、それはかっちゃんの悪口みたいなもので……え、ええと、緑谷 出久(みどりや いずく)って言います!」

 

 と言った。いや、分かってはいるがそのあがり症はどうにかしたほうがいいんじゃないか?

 

 「そうか、それはすまなかった。まさか悪口だとは思っていなかったんだ。私は火守 橋華だ。よろしく。」

 

 そう言って手を伸ばす。すると顔を真っ赤にして漫画調にカチカチになりながら

「よ、よろしく……」と握り返してきた。

 

 ……握手くらいでそう固まられるとこっちも困るんだが。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

緑谷視点

 

 

 火守 橋華さん。

 

 かっちゃんに絡まれ……襲われたときに止めてくれた人だ。かっちゃんにキレ(・・)られても全く引くことなく「正しいこと」を言っていた。

 

 僕にこの半分でも胆力があれば、なんて思ってしまう。いや、これは僕自身の問題だけど……。

 

 それにしてもいきなり握手を求められちゃって、本当に焦った。え、握手って普通なの?手汗かいてないかな⁈ってテンパってしまって、思いっきりガチガチになった。

 

 変な奴だと思われてないかなぁ、と1人でネガティブになっていると隣の席に人が……。見ると火守さんだった。

 

 嘘⁈

 

 

 

 

 口調は硬いけれど、全く悪い人じゃない。というよりすごくマイペースなだけの人なんだと思う。周りの反応を気にしないタイプだ。喋っているうちにそれを確信していると、火守さんに聞かれた。

 

「緑谷、それはオールマイトのキーホルダーか?」

 

「えっ⁈あ、うん、そうだよ!」

 

 オールマイト。僕が最初に憧れた、そして一番憧れているヒーロー。大災害からあっという間に大勢の人を救い出したデビュー動画は、小さな頃に観てからずっと僕のお気に入りだ。いつかは彼みたいに、と思ってたけど……。

 

 「ふん、すると将来はヒーローになりたいのか?」

 

 なれない。そう、なれないんだ。なぜって僕は『無個性』だから。どんなヒーローも、最低限の力つまり『個性』を持っている。でも僕にはそれが無い。

 

 「ま、まあ、はは……。でも、僕『無個性』だし。」

 

 諦めきれない。でもヒーローになれるとは思えない。だから曖昧に笑うしかない。だって僕は、

 

「『無個性』……?」

 

 しまった、言ってしまった。『無個性』は第五世代(僕ら)の中にはほぼいない。どうしよう、火守さんにかっちゃんと同じような眼で見られたら。

 

 

 そんな不安をよそに「……介入…未来……」となにかぶつぶつ呟いていたと思えば、僕の目をじっと見て言った。

 

「緑谷、君は無個性だからヒーローになれないと思っているのか?」

 

「えっ……うん……」

 

「なぜ?」

 

 なぜって、そんなの決まってるじゃないか。でもそれを認めるのが嫌で言えずにいると、

 

「"無個性が弱い"からか?」

 

 そうだ。その通りだと思い俯いてしまう。

 

 すると彼女は、ふぅ、と息を吐いて言った。

 

「緑谷、放課後時間はあるか?」

 

「えっ、う、うん⁉︎」

 

 えっ、何⁈急に言われたから頷いちゃったけど全く理由がわからない!

 

「放課後、ちょっと付き合ってほしい。……ああ、もちろん迷惑だったらいいんだけれど。というか、よく考えてみれば会って1日も経ってない奴に誘われるなんて嫌だったかな。」

 

 そ、そんなの……

 

 

 

 一も二もなく頷いた。




 友人ポジにしようと思っていたらいつのまにか師匠に。

 褐色赤髪男性語筋肉高身長(予定)クラスメイト師匠ちゃんとか緑谷くんの性癖歪んじゃう〜
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