無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~   作:Kkmn

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咲き誇る百合の花
End.無人島の猫百合姫


「ねぇ知ってる?孤島にある楽園の話?」

 

なにそれ、聞いたことない。

 

「絶海のとある孤島に、一年中美しい百合の花が小さな島があるらしいの」

 

「そこには一人もニンゲンがいなくて、半獣や動物、モンスター達が平和に暮らしているんだって。」

 

「そしてその島には、お姫様がいるらしいの」

 

お姫様?無人島に?

 

「そう、蒼く透き通った海のような美しい髪と瞳、花の冠を戴き、島のあまねく命を慈しむ、半獣の猫姫」

 

「彼女はこう呼ばれているらしいわ、たしかーーーーーー」

 

 

 

 

 

ざぷぅん・・・ざざ・・・・・・

 

 

「ぅ・・・ぁ・・・・」

 

波風の音、さんさんと照りつける太陽。そして焼けるように暑く、日光を照り返す砂浜。

ここはどこだ?私はたしか船に乗っていたはずだ。

そう、獣人狩りの、マトーヤ商団のニンゲン達から逃れるため、獣人の女王が治める西の帝国へ行くはずの船へ。

 

いや、違う。確かそのあと追っ手が現れて私たちの乗っていた船は拿捕されてしまったはずだ。

そして友人が、私だけでもと小さな筏に逃してくれて・・・。

 

「くぅっ・・・・かはっ・・・」

 

立ち上がって周囲を確認しようとするも、身体が鉛のように重くままならない。

喉はヒリヒリと痛むほど乾ききっており、頭痛と吐き気までしてくる始末。

 

ここはどこだ?元いた大陸に戻り流されついてしまったのか?だとすれば早くどこかに身を隠さないといけないのに。

 

ーーーーガサッ

 

「・・・!」

 

ピコリ、と自分の獣の耳が、茂みを掻き分ける音をとらえた。

長年自然の中で暮らしていたからわかる、明らかに自然になる音ではない。

 

しかしそれを聞こえたからと言って、今の自分になにかできるわけでもなかった。

ロクに動いてくれない身体を恨みながら、音のした方を睨むことしかできなかった。

 

ーーーーそして。

 

 

「・・・・まぁ。にゃんというコトでしょうか。いえ、いつかはこんにゃ日がくるとは思っていましたが。」

 

「ーーーーーッッ!!?・・・・・・ぅん?」

 

 

一瞬、私は激しく動揺した。

その茂みの中から現れたその人物ーーー、否、ニンゲンではないのだが。

その少女の、彼女の姿があまりにもとある獣人にとって因縁のある人物。

獣人を狩る商団の頭の、ある娘に似ていたからだ。

 

 

「大丈夫。どうカ安心して。ここにはアナタに害にゃそうとするニンゲンはいません。」

 

 

だがすぐにその考えは否定されることとなる。

なぜなら彼女はーーーその半獣のモンスターであるラミアの少女は、獣人である自分に対し聖母のような微笑みで水瓶を手渡したのだから。

 

震える手で貪りつくようにそれを一気に飲み干すと、酷い渇きはだんだんと落ち着いて行く。

 

「・・・」

 

「・・・あ、もしかして私のコトバ、変でした?ごめんにゃさい、まだ小さく勉強中にゃもので・・・」

 

「いっ、いえ!!そんなことは・・・ただ・・・『にゃ』?」

 

「???おかしいですか?私の友人はいつもこんにゃお話方をするのですが・・・この言葉はウルトラ難しいですね。」

 

クスリと微笑む彼女の優しい笑みを見ていると、何処か少し自分の気分も落ち着いてきた。

自分を助けてくれた蛇の少女の姿をまじまじと見てみると、それは美しいという言葉を通り越し、神々しさすら感じられた。

金色に輝く無数の鱗は恐らくそれ一枚でも一生遊んで暮らせる程の値が着くだろう。

そうでなくとも上半身の美しい少女の姿はまるで絵画の中から出てきたような純真さと美貌が、金色の鱗にも劣らない程輝いている。

 

「・・・獣人であるあにゃたは、きっと今日まで辛く大変にゃ日々をお過ごしだったのでしょう。どうかこちらへ。」

 

「へ・・・?ふわぁぁぁああっっ!?どこへ・・・?」

 

「私たちのお家です。大丈夫、この島にはニンゲンはいませんよ。・・・今はもう、ね。」

 

ニッコリと微笑んだ彼女が蛇の長身をしならせ、私をあっというまに背中に跨がらせた!!

そして拒否する間もなく、するすると海岸から森の中にわけいって行く!?

 

するすると進み行く彼女の背の上から、草が踏み慣らされ荒い道のような形状になっているのが見てとれた。

ここはどこだ?おうち?人がすんでいるのか?でも今、「島」って・・・。

 

 

「オイオイ!変なニオイしたと思ったら何担いでんのさ!それ獣人じゃねーのか?」

 

「・・・ッッ!?」

 

 

金色の蛇の少女の背に乗ること数分あまり、流れゆく風景に気をとられていた自分に頭上から声がかけられた。

 

 

「ポチ!うん、そうですよ。・・・あれ?あの子達のお世話、しにゃくても平気にゃのですか?」

 

「てめぇなぁいい加減ポチって・・・。あーガキのお守りはおっきなガキに任せてきたよ。しっかしどんどん色んなヤツが流れ着くねぇこの島は。しかも揃いもそろってみーんなメスか!!」

 

 

ポチ、と呼ばれたその狼の耳と尻尾と・・・禍々しい獣の手足を持った少女は木の上から飛び降りた。

そして自分を物珍しそうに、品定めするような目でまじまじと眺め始める。

モンスターだけでなく・・・魔獣までいるのか!?この島・・・。

 

魔力や怨念で生まれるモンスターと、それが獣に取り付いて生まれる魔獣。

本来は群れることはおろか、相容れることすらないと聞いていたのに・・・こんなにも仲良く・・・。

 

 

「ふーん。なるほどな。こうして嗅ぐとやっぱアイツは同じ獣人でもちょっとちげーな。アンタの方が普通の獣人だよ。」

 

「へ・・・?あ、ど、どうも・・・」

 

???いっている意味が少しわからなかったが、とりあえず会釈してお礼をいっておく。

 

「まーでもアンタは運がいいよ!この島には気狂い商団のニンゲンはいねーもんな、な?お嬢サマ?」

 

「クスッ・・・えぇ、そうですね。ニンゲンはもう、一人もこの島にはいませんね♪」

 

 

その微笑みを見て、私は背筋をゾクッと思わず震わせてしまった。

 

 

「んじゃアタシはメシ採りにいってくるから、また後でな!新入り!」

「あっ、今日のご飯、何の準備しておけばいいですかーっ!?」

「・・・サカナとってくるから焼く準備しとけーーっ!!」

 

 

一瞬であっという間に遠ざかった背に叫ぶ蛇の少女。

ご飯といっていたが、つまり彼女たちはここで・・・この島で、生活を営んでいるのだろうか?

再び歩みを進め始めた彼女が苦笑を浮かべながら振り替える。

 

「ゴメンネ、賑やかで少し無遠慮にゃコですけど・・・根は優しいコにゃんです。」

 

「い、いえ・・・けど、あなたたちってどういう・・・」

 

「それは・・・おや、着いてしまいましたね。続きは中でゆっくり話しましょう。」

 

 

彼女の視線に促され、その方向に自分も視線をやると。

そこには大きな大きな・・・ツリーハウスとでも言うのだろうか、あれは確かタケ?という植物だったはず。

それで組まれた立派な建造物が、大きな樹の上に造られていたのだ。

 

まるで・・・そう確か西の帝国に、神社という神を奉る建物があると聞くが、それにそっくりだ。

一目見ただけで分かる、その設計の複雑さと緻密さ。これを作るとなると並大抵の職人の仕事ではない。

 

 

「さぁ、入りましょう。彼女もきっと会いたがることでしょう。」

 

「えっ・・・?彼女?」

 

私が首をかしげると、それにクスリと蛇の少女は微笑み返しこう告げた。

 

「えぇ。私たちの・・・この島の、お姫様です。」

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。帰りました・・・・あらあら。」

 

「えるぅっ」「えるぅっ・・・!」

 

 

これまた竹で組まれた階段を登り、扉を開けた途端出迎えたのは、二人の小さな人影だった。

その人影・・・小さな子供たちが、蛇の少女の胸元に飛びかかるように抱きついた。

 

「まったくもう、私のことはちゃんと「お母様」と呼びなさいと言ってるでしょう?アン。ルーノ。」

 

「あっ、わすれてた」「ごめんなさい、おかーさま」

 

そしてその、アンとルーノと呼ばれた二人の子供達も不思議な出で立ちをしていた。

アンと呼ばれた猫耳の少女は、非常に蛇の少女の風貌に似ていた。

美しい金髪に、幼くもどこか凛とした美貌。しかしその鋭い猫の瞳だけは、蒼く透き通っていた。

 

もう一方のルーノと呼ばれた半蛇の少女は対照的に、彼女と同じく金色に輝く鱗は同じだが。

青く透き通った髪に、信じられないほど可愛らしい笑顔、そしてエメラルドのような大きな瞳。

 

ただひとつ異様に感じられたのが、その二人の幼い少女の足元には、紫色の水溜まりが滴っていたのだ。

 

 

「もー!!ふたりとも!わたしのほーがおねーちゃんなんだから!ちゃんということきいてー!!」

 

「あはは・・・大丈夫、あれくらいの子ってあんにゃのだから。レイシアちゃんのせいじゃにゃいよ・・・・うん?」

 

 

そしてそこに、「彼女」はいた。

 

私はそれを最初、幻覚かなにかと本気で思い込んでしまった。

 

だってそうだろう、建物の、部屋のなかに『百合の花』が咲き乱れているなんて。

そしてその中心に、美しい微笑みをたたえ、幼い子供を抱きながら一人座していたのだ。

 

 

 

「・・・あぁ、そっか。うん、一度話してみたいって思ってたんだ。」

 

 

 

「彼女」はこちらをその美しい、海よりも蒼い猫の眼で優しく見つめ、慈しむように微笑んだ。

 

 

 

「エルゥの話を聞いてから、こうにゃるかも知れないってことは考えてたの。」

 

 

 

扉から入ってきた風が蒼く美しい髪をたなびかせ、彼女の纏う純白の汚れ一つない透明なドレスを揺らす。

 

 

 

『そこには一人もニンゲンがいなくて、半獣や動物、モンスター達が平和に暮らしているんだって。』

『そしてその島には、お姫様がいるらしいの』

 

『そう、蒼く透き通った海のような美しい髪と瞳、花の冠を戴き、島のあまねく命を慈しむ、半獣の猫姫』

『彼女はこう呼ばれているらしいわ、たしかーーーーーー』

 

 

 

「・・・無人島の、猫百合姫」

 

 

私は彼女を見て、そう呟いた。

 

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