俺は困惑していた。芦毛のウマ娘に拉致された挙句、多方面に波紋を呼ぶ発言を大声でしたからだ。しかしウマ娘のバ鹿力を舐めてはいけない。大の大人でもそう簡単に抵抗できる相手ではないのだ。そうして連行(拉致)された俺の視界が開けたのはどこかのチームの部室だった。首を回して辺りを見回すと、顔を真っ赤にして恥ずかしいのか怒ってるのかよく分からないリョテイと、頭を抱えため息をついているフェスタがいた。肝心の芦毛のウマ娘は見知らぬ、もう一人の芦毛のウマ娘に目を攻撃され悶えていた。
「どういうことだ?これは?」
「はぁ、すまない辰巳。ウチのゴルシがまた、気まぐれで行動してな。辰巳はそれの被害者になったんだ」
フェスタが説明であの芦毛のウマ娘がゴルシと呼ばれているのは分かった。だがそれ以外は未だに何一つ理解出来ない。するとまたもゴルシが復活し俺の前に立ち塞がる。
「おい、お前。名前知らないけど何の用だ?さっさと拘束を外して欲しいんだが」
「おいおい失礼過ぎるぜ、このゴールドシップ様が直々にスカウトしてやったんだからな、オヤジの婚約者さんよぉ!」
「なんの話だよ!というかオヤジって誰だよ!」
「お、知らないのか?チームスピカのトレーナーが今、不在だから知り合いのトレーナーからスカウトして来いってお達しだからな。後、オヤジはオヤジだろ?そこにいるし」
そのワードはどういう意味かようやく理解できた。オヤジとは恐らくリョテイのことだろう。リョテイの方を見ると更に顔を赤くし、目を逸らされる。そのままお互い硬直しているといつの間にかフェスタが拘束を解いていてくれた。そして部屋の扉が開くと拍子抜けする声で静寂が破られる。
「あれ?リョテイ先輩じゃないですか!」
「あ、ホントだー。気性難で有名だったリョテイ先輩じゃん。ていうかなんで辰巳トレーナーが一緒にいるのー?」
部屋に入ってきたのはスペシャルウィークとトウカイテイオーのようだった。と言うことはやはりここはチームスピカの部室のようだ。
「俺はゴールドシップに拉致されたらここだったから何も知らないに等しいが」
「おいおい、さっきも言ったじゃねーか!オヤジの婚約者になるって話をしてただろ!」
「そっちの話じゃねぇだろ!チームスピカのトレーナーが不在だからどうのこうのって話の方だよ!」
さっきの中々恥ずかしい事態の二の舞にならないように即座に話を戻す。しかしそれに反応してしまった者がいた。
「え!リョテイさんと辰巳さんって婚約されてるんですか?」
「そんな関係じゃない!」
グダグダし中々、本題にたどり着かないメンツに見かねて珍しくフェスタが口を開く。
「……お前ら、早く本題に入れよ。他人のトレーナー借りてんだから。先輩もいつまで恥ずかしがってるんですか?」
「……婚約……私の……婚約者……」
リョテイはかつての威勢はどこにいったのか、今はただの一人の乙女になっている。フェスタに関しては今日何回目か分からないため息を吐き続けていた。
「その件は私から説明致しますわ」
「すまないが君は誰だ?」
「私はメジロマックイーンですわ、以後お見知り置きを。では改めて、私達のチームスピカは今まで指導してきたトレーナーがつい先日、事故にあって大怪我でしばらく不在ですの。そこでトレーナーの知り合いにお願いしようとしたらしいのですが、端的に言えばゴールドシップの奇行のせいで全て断られたらしいんです。そうなると私たちで代理のトレーナーを探さなければならないのですの。そこで白羽の矢が立ったのが担当の居ない辰巳トレーナーあなたでしたの。少々、強引なのは謝罪しますわ。ですので私たちの指導を代理でお願いできますか?」
「……俺、担当いるけど」
「え?ホントですの?」
情報が間違って伝わっているのだろうか、メジロマックイーンは目をぱちくりとさせている。
「うんホント、ホント」
「ゴールドシップー!話が違うでは無いですの!」
「でもマックイーンどうするの?他にアテ無いし、このトレーナーで何とかするしかないんじゃないの?」
悩み始めてしまったスピカの面々を見て罪悪感を感じてしまう。しかし、ここで芯を通さないと凱旋門には届かないだろう。俺はフェスタ、一人に集中しなければならない。だが、目の前のスピカの面々を見るとやはり可哀想に感じてしまう。
「フェスタ、どうする?」
「……なぁ辰巳、私はあのメンツに勝てるか?」
「……分からないが、全員G1クラスの猛者だと思う。恐らく50パーセントぐらいか?」
「なら私は辰巳を信じる、その勝負に乗った!」
突然、フェスタが勝ち負けを気にし始めると、次の瞬間フェスタは驚愕の発言をしていた。
「なぁアンタら、私と勝負しないか?」
正直、こんな続くと思ってなかったから細かい展開考えてないから何とかせねば。
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