あの後、ウォーミングアップをするため一旦解散となり俺は今、フェスタと共にコースの端で軽い作戦会議をしながらフェスタのウォーミングアップを見守っている。どうやら走る相手は現役最強ステイヤーとも言われるメジロマックイーンに決まったようだ。メジロマックイーンの最大の武器は高水準で纏まった総合力だろう。一方、フェスタの最大の武器はやはり圧倒的な勝負勘だ。一見、フェスタが格下に見えるが目に見える能力だけが全てではない。そのことを改めて確認するいい機会だろう。
「今回のレース、俺はフェスタとの間に深い関係はない。だから俺たちの武器はフェスタの勝負勘だけだ。だが、それは向こうも同じはずだ。向こうもトレーナーは不在だし、なによりも能力でゴリ押しするタイプだ。自分のペースで走り、自分のタイミングで仕掛ける、聞こえはいいがそれ以外は出来ない縛られた走り方だ。だが、フェスタには今まで勝負の世界で培ってきた勝負勘がある。相手の走りを崩すことが出来れば勝てると俺は思う」
フェスタは少し考えて満足そうにこちらを向く。
「どうしたフェスタ?お気に召さなかったか?」
「いや、やっぱ辰巳は完璧だ。これでG1勝てなきゃ後悔もするよ。先輩の気持ちが今ならよく分かる」
「そんなことはないと否定したいが、それはフェスタが勝ったら言わせてもらうぞ」
「そうだ辰巳、頼んでいた例のモノ分かるか?」
「それならさっきギャラリーから聞いておいた」
レース前にフェスタから少しギャラリーに軽く自分がフェスタのトレーナーである事を伏せて軽い予想調査を頼まれていた。
「それで辰巳、結果はどうだった?」
「向こうの勝利を予想するギャラリーが大半だったよ。一人だけマスクをつけた大人しそうなウマ娘はフェスタが勝つって予想してたが……」
「マスクをつけたウマ娘か……しかし、90%以上が私が負けると思ってるのか。ハハッ!面白いじゃないか!」
フェスタが高笑いしていると対戦相手のマックイーンがこちらにやってくる。
「こちらの準備は終わりましたわ、ナカヤマフェスタさんそろそろよろしいでしょうか?」
「あぁ、構わない。それじゃ行ってくる辰巳」
「頼むぞ、フェスタ!」
そう言ってフェスタを送り出す。距離は芝の2000m、ステイヤーの向こうには少し厳しいかもしれないがこちらにも勝算は十分あるのは理解しているはず。一般的にウマ娘内での俺の評判は、秘伝のタレのような扱いだ。だが、生徒会のメンツを始め実力のあるウマ娘からは隠れた天才トレーナーや今最も伸びしろがあるトレーナーと評価されているらしい。まして相手は現役最強ステイヤーだ。俺とフェスタを見下すことは無いだろう。しかし、それだけで自分の走りが出来る訳では無い。もし、仮に向こうの走りが崩れると柔軟性のある走りをするフェスタには十分勝ち目はある。そんなことを思慮しているとゲートが開き、二人のウマ娘がスタートをする。先行策を取るマックイーンに対し、ピッタリと後ろについてマークするフェスタ、レースはスローペースで進む。一般的にスローペースのレースでは逃げ先行策が強く後ろのウマ娘には厳しい展開が多い。レースは向こう正面に入り、手元のストップウォッチで1000mの通過タイムは64秒程、逃げウマ娘がいない状況でこのタイムはやはり若干スローペースだ。
「ナカヤマフェスタのトレーナー!このままだとマックイーンに負けちゃうけど、何か言いたいことは無い?」
すると横のトウカイテイオーが勝ち誇った顔で話しかけてくる。
「このタイムで主導権を握られているのは痛いな。しかもマックイーンは自分の走りをしている。でもな、知ってるかトウカイテイオー?気性難のウマ娘ってのはな……」
そのままの展開で二人は最終コーナーを回って最後の直線に入る。マックイーンはスパートをかけフェスタを突き放しにかかる。しかし、ピッタリと背後から離れる気配はない。痺れを切らしたマックイーンは更に加速してしまう。これが決定打となってしまった。そしてフェスタはゴール板を通る前にスピードが落ちるのを理解しているかのごとく、背後から外に移動し一気に加速する。そして途中で余裕の無くなったマックイーンを並ばずに躱して、そのままゴール板を駆け抜ける。そして俺はトウカイテイオーが驚きを隠せない様子で唖然としているのに対して、ドヤ顔で決めゼリフを言ってやった。
「俺たちの想像以上に頭も切れるし、暴れだしたら誰にも止められないんだよ」
個人的に好きなウマ娘(未発表含む)
ナカヤマフェスタ
ステイゴ……キンイロリョテイ
オルフェーヴル
原案ゴルシ
実装して欲しいウマ娘
ルーラーシップ
キセキ
エイシンヒカリ
ディープスカイ
ローエングリン
以上作者の好きなウマ娘(馬)でした。