だが、女の情念が怪しい雲行きを呼んでいることに、気づく由も無かった――――。
間違っていた、なんて思いたくない。心の中で湧き出ては渦巻き、私を揺らす想い全てにケリは即けたつもりだった。
けれど眠りについたあの人は、変わり果てて帰ってきた。最後の抵抗なのか、あの人に何があったのか――――――そしてあの人の仇を討つのには十分な情報をあの妖精に託して。でもあの人自身は、帰らないのだ。祈っても、祈っても。
奇跡は、ある意味で起きた。でも、こんなの。
私は彼女を憎む。“だから”、私は『私』が嫌い。
この『アバター』は、あるいは復讐の印。故にここにその始まりを宣言しよう。
「 リ ン ク ス タ ー ト 。」
アルヴヘイム・『オフライン<回線断殺>』
帰ってきた、という感覚は、他の誰よりも薄かっただろう。
茅場晶彦――――――ヒースクリフと刺し違え、ゲームそのものはクリアされても俺、桐ケ谷和人ことキリトのアバターはポリゴンになって消え失せた。ソードアート・オンライン、ゲームの仮想空間の中での死が現実に跳ね返るデスゲームの仕様上その時点で俺は死んでいて当たり前なんだから、あの後茅場晶彦といくらか言葉を交わし、そして『世界の終わり』をアスナと見届けたとはいえ、現実世界に帰れる見込みはむしろ少なかった。だから、二年ぶりとなる現実世界の光景、見知らぬ病室の天井を眺めながらも思考は回ってなくて、けれど。
(――――――アスナっっ!!!)
彼女のことを思うと、今思えば二年も寝たきりだった体も無理を押して動かせた。ナーヴギアをやっとのことで脱ぎ、医療機器に繋がれたコードも引き剥がし(そのせいで俺の心電図が止まり自動的に死亡の報が一旦家族に届いてしまって騒がせたのは申し訳なかったけど)、点滴のスタンドを杖代わりにして病室をでた。SAO被害者をまとめて収容していた病院の中でも俺とアスナの病室が近かったのは行幸だったろう。
自重を支えることもできなくなった足に鞭打ち、あてもなくふらふら病院の廊下をさ迷っていた俺が奇跡的に『結城明日菜』と表札のついた病室を発見できて、ドアを開けたところでへたりこんでしまったけれど。彼女は確かにそこにいてくれた。
デスゲームに囚われていた二年間、絆を育み、ともに歩むことを誓った恋人はゆっくりとその命を脅かす枷だったナーヴギアを外し、振り返る。
「――――――、――――。」
そして、弱った喉で声にならない声と、驚きと歓喜を潤んだ瞳に湛え、アスナは俺を出迎えてくれたんだ――――――――。
……………。
「はふぅ…………おつかれさま、キリトくん。」
「アスナもな。」
二年もベッドに寝たきりになっていた代償にすっかり衰えた筋肉がどんなに頼りないかは、か細い見た目以上に起きてすぐしっかり実感してしまった。俺やアスナに限らずSAO帰還者達は今リハビリ地獄にさらされている。立つのにすら全力を振り絞らなければならない有り様だから、起きてすぐにアスナの病室に行けたのは限界を突破してたんだろう。たったあれだけ歩いたくらいで筋肉痛がヤバかったし、その状態でナースの人に散々叱られる羽目になった。
それでもここのところ持ち直してる手ごたえはある。数時間のメニューで全身が鉛みたいになってても、体力が戻ってきつつあるのは実感できるから。それだけ目覚めた直後が酷かったというのもあるし、リハビリの全行程からすればまだまだ先は長いんだけども。
それに―――――、
「この状況も、まだ良い方なのかな………。」
「キリトくん………。」
ゲームはクリアされたはずなのに、一月経ってもいまだに百人を超える目を覚まさないプレイヤーがいる。全プレイヤーのログアウトを確認したと言っていた茅場の言葉に嘘はないと思うのだが、…………俺達のSAOはまだ終わってない。どうしてもそんな感じがしてしまう。
そんな俺の手を、アスナがそっと握った。
「キリトくん。こんな言い方はダメなのかもしれないけど―――――私たちは、帰って来れたよ。こうして現実で、二人会えてる。」
「…………そうだな。」
アスナの言うとおりだ。今こうしてアスナといられることは、手放しでなくとも喜ぶべきことでは確かにある。散々苦労と心配をかけただろうに、俺の帰還に泣いて喜んでくれた家族の存在だってあるから。
「アスナ、ありがとう。」
「え、どうしたの?」
「君と現実世界でいられることが嬉しい。あの世界から帰ってこられたのも君がいてくれたおかげで―――――、」
「……っ!」
急にアスナの体がピクっと震えて少し心配する。
「?………アスナ?」
「~~~~~、いたた……。攣りかけたぁ……。」
「………。」
ちょっと体勢を失敗してたみたいで、らしくもなくそそっかしいアスナだった。まあ、可愛らしくはあるんだけど。
「まったく。」
「あー、キリトくんひどい!ちょっとわらってるー!」
「あはは、ごめんごめん。」
このあとちょっと拗ねたアスナだけど、すぐに機嫌を直してくれたのだった。
「………………。」
―――――でも、だとしても―――――
……………。
今度の休み、キリトくんのお家に行きたいな。
リハビリもひと段落し、お互い退院してしばらくのことだ。遠距離というほど離れているわけでもないが今までほど頻繁には会えなくなり、その分電話やメールを使う時間が増えた。けれど今まで四六時中一緒にいられた分少し寂しく、そんな気持ちは向こうも同じようで、こんなことを言い出した。
何も考えずに即了承しちゃったんだけど、もうちょっと考えるべきだったかもしれない。
「彼女さん、もうすぐ来るんでしょ?あんたも可愛い彼女捕まえちゃって、果報者ねー。」
「からかうなよ、母さん。」
「…………。」
「直葉?なに和人より緊張してるのよ。」
「そ、そういうんじゃないけど………。」
病院でアスナと面識のある二人、特にアスナと俺の妹の直葉との相性がよかったらしく今日の訪問も連絡が行っていたようで、母さんのテンションが少しおかしいし直葉は直葉でせわしなさそうにキョドりながらたまにちらちらとこちらを見てくる。頬がちょっと赤いし、どうしたんだろう。
ふと、誰も見てないけど点いていたテレビのニュース番組の声に、俺に関わり深い単語を耳が拾って注意が行く。
『きのう正午過ぎ、株式会社レクト研究開発部主任研究員須郷雅之容疑者以下研究員5名が、拉致監禁の疑いで逮捕されました。バーチャルリアリティオンラインゲーム、ソードアート・オンライン事件の未帰還被害者のアバターを別サーバー内に閉じ込めていた事件で、法整備が曖昧な部分もある問題ですが警察はこれを厳しく追及していく方針です。なお、須郷容疑者はその三日前にSAO帰還者の知人女性を自宅に連れ込み性的暴行を働こうとしましたが抵抗に遭い負傷、警察病院に搬送されており、この関連も――――――――――――、』
あの後こんな事件が起こっているだなんて思ってもみなかった。しかもその目的を推察してみると怖気が走る。最悪のパターンだが、臨床実験のデータを基に脳の信号を制御し人を操るマシンでも造る気だったのだろうか。
SAOでもうほぼ決定的なダメージだったろうが、この事件でVRMMOは向こう何十年単位で衰退してしまうだろう。デスゲームで大変な目に遭った俺だが、こうなってみるとやはり残念な気持ちがあった。
まあ、この須郷という男、どこからか漏れた情報らしいが、負傷というのは女性の抵抗の時に股間を蹴り『潰』されたものらしくネット掲示板では『ざまあみろ』一色なのだが。
「なんにしろあまり愉快な話題でもないか…………。」
せっかくアスナが来るのに暗い気分になってもいいことはない。リモコンを操作しテレビを切ると同時に家のチャイムがなった。
アスナが来たようだ。
「なんだか申し訳ありません………夕食までいただいちゃって。」
「いいのいいの。そちらの都合さえよければ、いくらでもいらっしゃってね。」
「ありがとうございます。」
つい時間も忘れて盛りあがってしまった。というより母さんがいろいろとアスナに質問するのだ。特にアスナと二人きりの時の俺のことを。アスナもすぐに口が弛んで惚気るから俺が少し恥ずかしい。
…………二年も心配かけたのだし、自分の知らない息子のことを惚気話に混じって知ろうとしている、しかもSAO自体の話に触れないようアスナを気遣いながら、と考えるとあまり強く母さんを止められなかったが。
「キリトくん、ちょっといいかな?」
「ん、どうした?」
「ちょっと、キリトくんの部屋で、ね?」
………母さん、にやにやするな。
後ろで変なリアクションをとっている母さんに気づくはずもなく、邪気のない笑顔でアスナは席を立って俺の手を取る。そのまま迷いない足取りで俺を引っ張りながら廊下に出て、階段を上がり始めた。ふとなにか違和感を覚え、後ろを振り返ってみる。
「………………。」
今日何故か口数の少なかった直葉が、じっとこっちを見ていた。
「ちゅ………んふ、はぁ…………きひとくんっ、ちゅる…………!」
「アスナ……っ、~~~~、ちゅ、ちゅ、…………ぷは……、おい、んむぅ……っ!?」
俺の部屋に連れ込まれる―――立場逆なんじゃ―――と同時に、アスナは電気も点けずに暗い部屋のベッドに俺を押し倒してきた。そのまま覆い被さって唇を押し当てる。
柔らかな粘膜が情熱的に吸いついてくる。呼吸すら忘れ、求められる。突然の事態に唖然としながら、アスナのキスを白く靄がかった頭で受け止めていた。そしてすぐにアスナに内側まで犯され――――――――舌だ。ぬめった柔肉が口内で暴れ、溢れる唾液を絡め捕り蠢く。いやらしい水音が部屋に響いた。
「れろ、……ぴちゃ、ぴちゃ………む、……はぁはぁ、ふぅぅぅ~~~~~~~。…………キリトくん。」
「はぁはぁ、はぁ…………どうしたんだよアスナ。」
「ふ、ふふ………ごめんね。我慢できなくて。」
キスがうまいというわけでなく、ひたむきに俺を求める口づけはアスナが酸欠みたいになってやっと止まった。赤らんだ顔で息を整えながら、手慰みに人差し指の先っぽを俺の胸の上で踊らせつつ上目遣い気味に顔を覗き込んでくる。なんだろう、このあざとさは。
「あのね、お願いがあるんだけど……………ちょっとキリトくんの手、縛らせてもらっていいかな?」
「…………。」
なるほど。
「なにか変なモノでも観たか?」
「えへへ………。」
このお嬢様は。まあ箱入りらしいし、SAO内にそういうコンテンツは無いに等しかったから、この年にしてはありえないであろうほどにある意味性的には純粋培養でお互いあまり知識はない状態だ。それが現実に戻ってかぶれるとちょっと危ないのかもしれない。そんな手遅れな考えが浮かんだ。
「ま、いいけど………。」
「やった!」
いそいそと荷物からゴムチューブを取り出し、俺の両手を後ろに回して縛り始めるアスナ。練習までしたのかこの暗がりなのにきっちりと縛り上げられ、固定される。自分の自由をあえて信頼する相手に無防備に譲り渡す感覚。なるほど、なんかいけない気分を少し感じる。そのまま後ろからしなだれかかってくるアスナの吐息が首筋にくすぐったく、…………………………生暖かかった。
「――――――――――――いいよ、直葉ちゃん。」
「……………、………………え?」
「お兄ちゃん。」
暗がりの部屋に、廊下の光が差し込む。逆行で顔は窺えないが、そこに立っているのは確かに黒髪のショートヘアの妹で。
突然のことで俺が言葉を失っている間に、足音もなく歩み寄ってくる。反射的に何故か身構え―――――ようとして、手が縛られて碌な動きができないことに気が付いた。視線を戻しても直葉の顔は分からなくて、そうこうしてる間にも直葉は俺に近づいてくる。
そして、さっきのアスナと同じようにベッドに足を投げ出した俺に覆い被さってきて。
「スグ、んむ―――――――っ!?」
ちゅっ。
さっき味わったような、でもアスナのじゃない、違う『女』の唇の柔らかい感覚がした。わからない、訳がわからない、何が起きているのか。キスされた?直葉に?どうして。
「「…………。」」
「ふふっ。」
唇を押しつけるだけの、なのに何故か強い想いが伝わってくるキス。じきにそれも離れ、呆けた目で見つめあう俺と直葉。そんな俺達を、後ろのアスナが静かに笑った。
そうだ、アスナ。でも。この状況はアスナが仕組んだものなのか?しかも、手を縛った後ろ側から俺の肩に回した手は、さりげなく俺を逃さないようにと押さえつけている。何もかもが突然で混乱する俺の脳に直接囁くように、アスナの吐息が俺の耳をくすぐる。
「直葉ちゃんもね、キリトくんのこと好きなんだって。だから。」
「………っ!?」
驚く。告げられた内容―――――よりも先に、直葉がその身に纏う衣服を脱ぎ棄てはじめたことに。次第に露わになる、見届けられなかった成長によって二年でオンナを感じさせるまでになった少女の滑らかな肢体。妹の、例え血が繋がっていなくとも大切な家族だと割り切れるようになった筈なのに、その女性に反応してしまう。
愛しているのはアスナの筈なのに、でもそのアスナは俺を拘束して目の前の直葉と繋がることを応援すらしているようで。彼女に乱暴などできる筈もないから無理に振りほどく選択肢は無く、そして後ろから抱きついているアスナの躯の妖しい感触と匂いにも俺のオトコが刺激される。
もうぐちゃぐちゃだ。自分でも何が原因か判らないまま涙が一筋頬を伝うのを感じた。目の前の女も後ろの女も、暗い部屋でそれに気付かぬままに、俺を―――――――――――オカす。
「だいじょうぶ。キリトくん、むずかしいことは何もかんがえなくていいんだよ。ただ、一つだけ、」
「あたしもう、これ以上、自分に嘘はつけない。だから―――――、」
「「『私達』を愛して。幸せにして―――――――――。」」
「あ、あっ…………!?」
その日から、ずっと、取り返しのつかない過ちを犯し続ける日々が。
ドウシテ―――――――。
<リバース/再誕、そして反転>
「ベッドに三人は、やっぱり狭いな………。」
その分彼と密着できるから、まったく不満はないことに自分の壊れた倫理観を再確認しつつ。
壁際の自分と、隣に誰よりも愛しい人、桐ケ谷和人。さらに向こうからも彼に抱きついている、桐ケ谷直葉。三人ともが一糸まとわぬ姿で同衾し、しかも内訳には血が繋がっていないとはいえ兄妹というインモラル。この状況を恣意的に誘導したのだから、罪などという言葉ですむのかどうか。
「…………。」
達成感などまるでない。当然だ。これは実りなどありえぬ復讐。その相手が存在しているのかどうかも分からないのに。
(もし存在があるというなら――――――。)
会ったこともない、けれど毎朝鏡の中に顔を見ている女は何を思うだろう。
恋人の妹に体、立場を乗っ取られ、その体を使ってその恋人と妹の肉体関係を結びつけさせられ、三人という爛れた間柄に大切な絆を貶められる、およそ最低の部類に入るであろうほどに女として惨めなこの状況に。
…………頭では分かっている。これは復讐という感情以上に、嫉妬のためだ。
だって彼女だってアレの被害者でしかない。でも思ってしまうから。彼女さえいなければお兄ちゃんは何の無茶もしなくてよかった。あたしの大好きなお兄ちゃんで戻ってきてくれたんじゃないか、って。
だからアレには『デスゲームがやっと終わって精神的に参っていたところに優しげな態度で接されて騙された』ふりをしてベッドの上で股ぐら蹴り上げて去勢してやり、その後奴の犯罪をばらしてブタ箱に叩き込んだだけでとりあえず溜咽を下げてやったのに対し、彼女に復讐なんて言ってこんなことになってるのは、潔く想いに決着を即けたなんて言いつつ結局は腹の底にドロドロと溜まっていた黒い感情<しっと>からだ。
あの日、SAOをクリアしても現実に帰って来れない恋人を迎えに『アルヴヘイム・オンライン』の世界樹に入った兄はその後数日間ログアウトせず、目覚めたと思えば表っ面だけ似せた紛い物になり果ててしまっていた。最後の意思だったのかどうやってかあのユイとかいう妖精<ナビゲーションピクシー>とともにあたしに託されたデータによれば、大好きなお兄ちゃんは頭の中を直接いじられて人格を上書きされてしまった、って。
そんなアニメみたいな非現実的な話ってない。でも兄が兄じゃなくなったことを勘付かないほど薄情な妹ではなくて、でも気づいてしまって。悲しくて悲しくて、泣いた。ずっとずっと泣いていた。時間感覚を失い、日付もあやふやで、…………気づけばいつの間にか病院のベッドの上で。
ふと見ると『まるでSAOが終わった頃のように痩せた』、けれど以前の大好きなお兄ちゃんがこっちを見ている。驚きと喜びで声を上げようとしたけど何故か失敗して、抱きつきたいのに邪魔なものがいろいろ体についていて、弱っている体はそれを外すのに精一杯。
この時は気付かなかった、でも………………あたしの体は、信じがたいけれど、時を遡って、しかもこの時目覚めなかった筈のお兄ちゃんの恋人<結城明日菜>のものになっていたんだ。
この『アバター』の知識は不思議と頭に流れ込んだから、『キリトくん』といちゃついても彼女の家族に会ったりしても疑いは抱かせずに済んだ。多少の違和感はデスゲームから生き残り現実に戻ってこれたという環境とリハビリ中で体が不自由ということでごまかせたし。その頃から入院中の持て余すほどの暇の間に計画を練った。
とはいっても難しいことなんて何もなかった。『アスナ』になった自分が『キリトくん』を誘導するのは困難なことじゃないし、『桐ケ谷直葉』と仲良くなり悪いコトをそそのかすのはそれ以上にあっさりだった、だって過去の自分だし。母さんも息子の彼女が来て二人で部屋に入ったら、気をまわして二階には上がらないようにするだろうから邪魔も入らないし。アレを罠にはめた時の方がよっぽど気をつかったくらいだ。
…………計は成り、望む状況を作り出した。ただ、やっぱり達成感はないけれど。
ふと気になって少し顔をあげこの時間の『桐ケ谷直葉』の寝顔を見てみる。幸せそうだった。健全な関係ではなくともお兄ちゃんと結ばれたんだから、あたしの頬もついつい緩む。
(もう、何も問題はない、かな……………ずっと、このままでも………。)
行為の疲れはあたしもある。襲ってきた眠気にまあいいやと何か引っかかる気もしたけどそれを思考ごと放り投げて意識を落とす―――――その直前。
――――――別にいいよ、気持ちはわかるし、キリトくんが生きていてくれるなら。でも、彼を幸せにしないと許さないからね。
覚えのあるような何かの残滓の声が聴こえた…………気がした。
キリト何の非も無い被害者…………でも羨ましい。