ジャーニーside
全員での食事が終わってから、八幡さんは父に連れられて工房に行っています。母曰く、八幡さんとお話しするのを楽しみにされていたみたいなので、この時間が来るのを待っていたのでしょう。よく八幡さんからアドバイスをいただいていましたからね。
ジャーニー「……ふぅ、少々食べ過ぎてしまいました。」
アート「2人共手が伸びていたものね。トレーナーさんも美味しそうに食べていたから嬉しかったわ。」
オルフェ「兄上は顔に出やすい……口には出さずとも、表情で分かる。」
アート「ふふっ、そうね。」
ジャーニー「しかし、お母さんにしては今回の八幡さんの宿泊は少々強引に感じましたが?」
アート「そう?だって日頃から娘達がお世話になっている相手なのよ、こちら側からも何か恩返ししたいと思うのは当然じゃない?」
オルフェ「いいや、以前の母上であればそのような事は我々家族にしか言わなかった……」
ジャーニー「オルの言う通りですよ。相手がトレーナーとはいえ、他人にあのような誘いをするとは思いませんでした。」
アート「じゃあ私もトレーナーさんから知らない間に影響を受けていたという事ね。2人と一緒ね。」
ジャーニー「えぇ……まさか私達が家族以外でこのような対応をするとは思いませんでした。中でもオル、お前は特にだよ。」
オルフェ「敬意を払うべき相手には然るべき態度を取っているに過ぎぬ。」
それでも、だよ。八幡さんを兄呼びした時なんて本当に驚いたものだ……お母さんやお父さんも目を見開いていた程だからね。
アート「お父さんも初対面にも関わらず、トレーナーさんの前ではよく喋っているのも驚いたわね。」
ジャーニー「八幡さんが担当になってからは驚かされる事ばかりですよ。今日のお父さんの行動だってそうです、食事が終わったと思ったらすぐに八幡さんを連れて工房に行ってしまいましたから。」
オルフェ「父上の事だ、兄上に見てもらいたい金細工があったのであろう。我々に合う金細工を選抜しておるのではないか?」
ジャーニー「もしかしたら、八幡さんに贈る金細工を選ばせる為かもしれないよ。」
アート「その両方かもしれないわね。」
ジャーニー「もしかして、お母さんもスーツを?」
アート「私はもう描いてないわ。これ以上スーツのイラストを描いて作ってもらってもトレーナーさんの迷惑になると思ったから。あり過ぎても困ってしまうもの。」
ジャーニー「それが正解かと。」
オルフェ「だが、今年の年度代表ウマ娘と最優秀シニアキング賞と最優秀トレーナー賞は姉上と兄上が輝いた、その功績は讃えねばなるまい。」
アート「トレーナーさんも言っていたけれど、この前お渡しした食材があるでしょう?アレのもう少しランクを下げた物が良いみたいよ?」
オルフェ「兄上も言っておったわ……だが、それでは今回の功績と不釣り合いであろう。」
アート「そう?相手の気持ちを汲んで贈り物を選ぶのも大切な事よ、オル?」
確かに相手の意図を汲まずに何かを贈ってもありがた迷惑になる可能性がありますからね。先に聞いておいた方が良いでしょう。
ジャーニー「では、八幡さんに聞いてくる事にしましょう。工房に行ってきますね。」
ーーー工房ーーー
ジャーニー「失礼します。お父さん、八幡さん。」
父上「……ジャーニーか、どうした?」
ジャーニー「いえ、八幡さんにお聞きしたい事がありまして。八幡さん、今回の春秋グランプリ制覇に加えて最優秀トレーナー賞受賞、そして私の年度代表ウマ娘と最優秀シニアキング賞の表彰されましたので、是非八幡さんにお礼がしたいという話になったのですが、何かご希望の品はありませんか?」
八幡「いや、既に充分過ぎるくらいいただいてるから断るってのは………」
父上「………」
八幡「……出来ませんよね。お菓子詰め合わせとかでいい、コンビニとかで売ってる箱に入ったのがあるだろ?あのくらいで大丈夫だ。」
ジャーニー「ふむ……では今一度聞きますが、その品で私を含め家族が納得するとお思いですか?」
八幡「してくれないかなぁ?ダメか?」
父上「……トレーナー、俺はお前に金細工を贈るぞ。」
八幡「あの、それはもう充分過ぎるくらいにいただいてるので……」
父上「……ならば金塊を贈ろう。」
八幡「1番どうしようも無い物を贈ろうとしないでください。仮に貰ったとして俺にどうしろと?使い道が無いですって。」
ジャーニー「貴方も欲の無い人だ……」
八幡「その言葉、そっくりそのままお前に返してやるよ。そもそもの話、俺は当然の事をしているのであって、俺が表彰されたのも全てはジャーニーのおかげなんだからな?お前が成績を出せてなけりゃ、俺だって表彰されてないんだから。」
ジャーニー「その成績をだせたのも、私を鍛えてくださった八幡さんの影ながらの尽力があったからこそです。私1人では出来なかった事ですよ。」
八幡「そりゃそうだろ、それがトレーナーの仕事なんだから。」
ジャーニー「それを言うのであれば私も当然の事をしただけですが?」
父上「……なら、2人のペアリングを作ろう。」
八幡「………はい?」
父上「……2人の功績という事なら文句は無いだろう。」
八幡「いや、それなら「ではそれでお願いします。」おいジャーニー……」
ジャーニー「いいではありませんか、2人で勝ち取った実績なのですから。」