比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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トレーナーを目指したきっかけ

八幡side

 

 

八幡「それで?俺の話を聞きたいと?」

 

沖野「そうなんだよ。たづなさんからも聞いたけどよ、お前の恩人とやらが少し気になってな。だからこうして集まったってわけだ!」

 

八幡「何がだからなのかは知りませんけど、何でそんな事を?」

 

東条「だって気になるじゃない。」

 

葵「私も気になります!」

 

八幡「………」

 

黒沼「比企谷、こうなったらお前に逃げ場はないぞ。しのごの言わずに白状しろ。」

 

八幡「何で俺って取り調べさせられてるんですか?それよりも駿川さん………」

 

たづな「すみません、偶々比企谷トレーナーのお話になったのでつい………」

 

南坂「お話出来ない内容なんですか?」

 

八幡「いや、そうではないんですが………はぁ、分かりました。お話しますよ。」

 

沖野「いよっ、そうこなくっちゃな!!」

 

八幡「何から話したものか………」

 

 

ーーー回想ーーー

 

 

高校を卒業して地元の大学へと進学した俺は目指す事もないまま、大学生活を送っていた。何となくで就職するんだなぁと思っていたのだが、ある時俺は1人のウマ娘………といっても成人してるから娘ではないのだが、その人と出会った。その人との出会いが俺の運命を変えた。始まりはこんな感じだ。

 

 

「なぁ君、トレーナーに興味はないか?」

 

八幡「……え、俺、ですか?」

 

「あぁそうだ、君だ。君からは何処となく雰囲気を感じる。どうかな?」

 

八幡「トレーナーってウマ娘の、ですよね?」

 

「そうだ、それに君には才能があると思う。特に君の目は人やウマ娘、物事に関してずば抜けた観察力を持っていると見た。」

 

八幡「はぁ………」

 

 

これが俺の恩人……まぁそうなのだろう。俺に道を示してくれたウマ娘だからな。最初は断っていたが、会う度に勧誘されたから話だけでも聞こうと思った。それからいつの間にか、俺はトレーナーを目指そうとおもっていたのかもしれない。その人の指導の元、トレーニングや医学、栄養学なんかも学んでいった。教えるとなると手加減しないウマ娘だったが、その反面達成すると、静かにではあるが自分の事のように嬉しそうに褒めてくれる。

 

しかもだ、俺の恩人は俺の在籍していた大学の教授だったのだが、教えるという事は一切しておらず、気にかけた生徒にのみ教えをしているのだそうで、今までにも何人かいたようなのだが、途中で辞めているのだそうだ。恩人曰く『もうこんなのやってらるか!!こんな地獄なんてもう御免だ!!』と言いながら走り去って行くらしい。

 

だから俺が初めてだと言っていた、自分の教えてきた教え子の中で最後までやり通してきた自分の生徒がトレーナーになったのは。今でもあの人の言葉を思い出す時がある。

 

 

『ほう、面白い考え方をするな。だがこのトレーニングはこのメニューに必要か?わざわざこれを入れる理由はなんだ?』

 

『やり直しだ、これは話にならない。普通のメニューをこなして勝てる世界ではないぞ、重賞やGⅠの舞台は。』

 

『そう、そこだ。教えた通りにできているじゃないか。君はやはり観察する力が常人よりも遥かに優れている。長所は伸ばしても損はない、これからも伸ばすように。』

 

『………まぁ、ようやく様になってきたと言っておこう。だがまだまだだぞ、これでは私の舌どころか人様に向けられる料理でもない。』

 

 

そんなこんなで叱られ、褒められ、呆れられたりする事4年、俺はトレーナーの資格を得る事が出来たのだ。

 

 

「……見事だ、流石は私の教え子だ。トレーナー資格取得、おめでとう。」

 

八幡「先生のおかげですよ。4年前、先生と会ってなかったら俺は、ただ普通に大学を生活するだけのつまらない日々を送ってたと思います。なのでお礼を言うのは俺の方です、4年間ありがとうございました。」

 

「まだ卒業していないのに、その挨拶は早いと思うぞ。だが………うん、感慨深いものだ。自分の教えた生徒が、こうして立派にトレーナーの道を切り拓いたのだからな。」

 

 

それから何度か先生に教えを請う時間を貰いつつ、大学生活を楽しんでいた。因みに俺の通っていた大学からウマ娘のトレーナーに就職する生徒は俺が初めてだったらしく、かなり騒がれた。そんな事もあったが、卒業式には………

 

 

八幡「先生………」

 

「少しだけでいい、君が持っているトレーナーバッジをつけた姿を私に見せてはくれないか?」

 

八幡「………はい。」

 

 

俺はURAから貰ったトレーナーバッジをスーツに付けて恩人に見せた。

 

 

「………うむ、よく似合っている。今の君に相応しい姿と証だ。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

「君という生徒を持てて、私はとても幸せだ。君ならどんなに辛い苦難や厳しい試練だろうと、共にいるウマ娘と乗り越えられるだろう。これからの活躍を楽しみにしている。」

 

 

先生はそう言うと、今までに見せた事のない優しい表情を浮かべながら笑っていた。あの時、俺は先生の表情を見て本気でそう思っているのだと感じていた。

 

 

ーーー回想終了ーーー

 

 

八幡「まぁこんなところですね。」

 

たづな「あの、比企谷トレーナー?」

 

八幡「はい?」

 

たづな「気になる点があるのですが、その先生のお名前はなんというのですか?」

 

八幡「………それは教えられません。」

 

黒沼「なぜだ?」

 

八幡「先生はあまり自分の事を言いふらしたくないようなので。」

 

東条「とすれば、相当に名の知れたウマ娘なのでしょうね。」

 

八幡「だからといって探すのはやめてくださいよ?もしそうなったら怒られるのは俺なんですから。そしたら全部駿川さんのせいにしますからね?」

 

たづな「えぇっ!?私ですか!?」

 

八幡「だって皆に言ったの駿川さんじゃないですか。」

 

たづな「そ、それはそうですけど………」

 

沖野「心配すんなって!俺達はそんな悪い事なんてしねぇよ。」

 

八幡「1番やりそうな人に言われましても。」

 

黒沼「まったくだ。」

 

南坂「言えてますね。」

 

沖野「……お前ら酷くないか?」

 

東条「当然の評価じゃない?」

 

葵「あははは………」

 

沖野「誰も否定してくれねぇのかよ………」

 

 

先生、俺はまだ担当も決まってませんけど、先生にも自慢できるウマ娘を育てます。

 

 

沖野「おい比企谷、何1人で笑ってんだ?なんか気味悪いぞ?」

 

八幡「………後でゴルシに沖野さんが『宝探しがしたくなった。』って言ってたって言っておきますね。」

 

沖野「よし比企谷、俺が悪かったからそれだけはやめてくれ。お前の笑顔はイケメンだ。」

 

八幡「追加で6泊7日って事も言っておきます。」

 

沖野「おい、洒落になんねぇって!!」

 

東条「アンタ、見事に後輩に言い負かされてるわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




八幡がトレーナーを目指した理由は1人のウマ娘と出会ったからなんですね〜。しかしそのウマ娘とは一体………

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