東方八咫烏   作:水明

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前進?

 

「さて……これからどうするのかしら?」

 目覚めたものにそう質問する。

「どうする、と言われても……」

 問われた者が言い淀む。だがそれは予想していた反応だった。それから、新たに予定していた質問を言う。

「それなら、私と一緒に来ない?」

「それは……」

「今のあなたは弱い。それなら私といたほうが得策なんじゃないかしら?」

 そういうと渋々と頷いた。

「そう♪」

 ぺたっ

「これは……?」

「式札よ♪」

 何故かとても嬉しそうにそう言う。

「それが付いていると私の力の一部が使える。ただ、私の命令は絶対よ……と言っても、私は滅多に命令なんてしないから安心していいわよ」

「は、はぁ……?」

「名前は、前のがいいかしら?」

「お好きなように……」

「それなら今日から貴女は(あかね)。よろしくね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今周りにこちらを知る者はいない。歩気も重魅も悲無乃にも……誰にも知られず、ずっと此処にいる。

「そろそろここを動くとするかの」

 あれからは、ここの巫女をひっそりと見守ってきた。歩気以来はずっと巫女で、今の巫女はいままでとは段違いの力を持っている。普段は大人しいくて真面目な感じだが、人間にとって害であると認識した妖怪に対しては非常に非情だ。実際にその場面を見たことがあるがとても恐ろしく、どちらが妖怪か分からなくなるくらいだった。人間も妖怪も、皆見たら誰だって引くだろう……

「……まあ、大丈夫じゃろ、少なくとも村が危険にはならないはず……はず………」

 不安がまだ少し残る中、取り敢えずまだ寝ている今代の巫女に合掌してまだ日が顔を出していないうちに村を出た。

 

 

 

「久々の一人旅、か……」

 あの賑やかだったころが懐かしく、一人が一層寂しく感じられる。

「やっぱり、話し相手が欲しいの~」

 それにはまず、人がいる所に行かなければならない。最近村から一歩も出ていないのでどのあたりにどんな場所があるのかがもう分からない。なので、何となくで歩いていく。と言っても、道は一応あるのでそれにしたがって歩いていれば(いず)れは誰かに会うなりするだろう、と気長に歩くことにした。

 そうやって日が真上に昇ろうかというところで村を見つけた。そこから少し離れた所に少し古い家があった。家、というより小屋や物置と言ったほうがしっくりくる感じだ。少しその建物が気になり、その建物に向かって歩ていく。

 近くまで来ると、より一層この建物が傷んでいることがわかる。戸があることにはあるが、傷んでいるのか少し傾いたまま開いている。それから少し考え、辺りを見回してみてから中に入ってみる。

「誰かおるのか~……?」

 一応そう言ってはみたが特に返事もなく、人の気配も無いが、一応誰かの家のようだ。

「よう、何やってんだ」

「ッ!!??」

 いきなり声をかけられてかなり驚いた、心臓止まるかと思うくらい。何故なら、普段後ろに誰かいれば気付くものなのだが、今回は全く気が付かなかったからだ。それから落ち着いた後に振り向き、その目の前には大人びた若い男がいた。

「別に、何か盗んだりはしておらんからな」

 一応そう言い訳をしておく。だが、目の前の男はなにやらぼうっと突っ立っている。目の前で掌をひらひらとしてやると漸く戻ってきたようで、

「ん、ああ、何だって?」

 そう聞かれてもう一度同じことを言おうとしたが、少し気になったことを聞く。

「さっき、何でぼうっと突っ立っておったんじゃ?」

 すると、何だか気恥ずかしそうな感じで、

「ん、ああ、あんたが余りにも母さんにそっくりでね」

「そうなのか?ならその人もよく見間違えられたじゃろう」

 そう言ってやると、暫くしてからその言った意味が分かったようで、笑いながら「そうだったそうだった」と答えた。

「ということは、あんたもそう言う訳か」

「まあ、そうなるんじゃよ」

 と、お互い笑い合う。それから何かを思い出したように、

「で、ここに何も面白いものなんて無かっただろう?」

「いやあったぞ、目の前に、な」

「そりゃあ奇遇だな、俺も目の前に面白いものを見つけたところだ。立ち話もなんだし、取り敢えず中に入れよ」

 

 

 

 

「そういえば名前を言っておらんかったな。わしは目麗じゃ」

「俺は(てつ)、見ての通り妖怪退治屋だ」

 そう言われて改めて周りを見ると、部屋の壁とかに刀と剣(両付刃)が沢山置いてあった。全部よく見えないが、見えるところでは刀は全て長く(大体1~1.3メートルくらいだろうか)、剣は短い(刀の半分くらいの長さ)。どれも少し大きいような気がする。

「まあ、いきなりじゃが何故妖怪退治を?」

 最初に聞くとしたらそれなんじゃないかと言う質問をする。

「親の仇、と言ってもそれは済んだことで今やってる理由は特に無い、ただやっているくらいのもんだ」

「ただやってるくらいで報酬をとろうとしておったのか」

「別に、そんな大層な物貰ったりはしないからな!?」

 ちょっと怪しい気もするが、その言葉を忘れないくらいにしておこう。

「この辺にしておいて、何でこんな所に住んでおるんじゃ?村の中に住んでたほうが色々と楽だったじゃろうに」

「ここなら武器とか作れるし、それに、俺は嫌われてんだよ」

 嫌われている?こっちの巫女も妖怪退治屋みたいなような位置だが、特に悪い評判などは聞かない。やはり、本職だと少し違うのだろうか?

「妖怪退治をやってると嫌われるのか?」

「そりゃあ、報酬を沢山求めるの奴は嫌われるだろう」

「やっぱり求めておるんじゃないか」

 嫌われるくらい沢山要求したのか。一体どれだけの要求だったのだろう。

「ちょっと待て、俺はそんなに貰ってないと言っただろう、一般的に、だ。俺の場合は、まあ、あれだ、人間だと思われてないんだ、たぶん」

 そう言われて、よ~く目の前にいる者をみる。頭の先からつま先まで……

「……どこからどう見ても人間そのものじゃな。これを人間と言わんのならその村の者たちの目は節穴じゃな」

「ははは、見た目は人間そのものだろう………だが、俺の妖怪退治(しごと)を見たら見る目が変わるかもしれないぞ?」

 最後は挑戦的な感じで言って来た。

(今の言葉、何か引っかかるような………)

 ま、気のせいじゃろ、と思って考えるのはやめることにした。

「まあ、その見せる時は何時になるか分からないんだよなぁ………」

「じゃよなぁ………」

 物凄く気の抜けた声で気の抜けたことを言う二人、辺りはほんのりと紅い。

「なら、依頼が来るまで暫くここに居るか?」

「おお、なかなか気が利くのう。そっちが言わなかったら無理矢理でも居座ろうかと思っていたところなんじゃが、手間が省けたんじゃよ」

「だが、ただでここに泊まれると思うなよ。まずは、薪割りでもして貰おうか、家のすぐ近くに薪とかあるからよろしくな」

 薪割り、腰とか背中が痛くなりそうなあれか。

「それくらいお任せじゃ」

 それから外に出てその薪割りをする場所を探す。

「おお、これを割ればいいんじゃな……はて、斧は?」

 そうして周りを見渡すが斧が見当たらない。代わりに、木の株のところになにやら十字架のようなものがあるが……

「……のう、薪割りの道具はどこにあるんじゃ~?」

「木の株に刺さってるだろう、それだー」

 ……やっぱりこれか。そう思いながらその十字架のようなものを手にとってみる。一応柄はあるからいけそうな気がするのだが……この十字架の部分を中心に当てるのか?そうだ、きっとそうに違いないと心の中で言いながらその十字架のようなものを振り下ろす。

 ガッッ!

「ァ~~ッ!」

 痛い、手に結構な衝撃が来て、じ~ん、と手が痺れている。丸太はあたった部分にさっきの十字架のようなものが刺さったくらいだった。

「す、すまんが、斧とかあるかの~?」

「あー、無い。それで十分だろう?」

「というか、割れんのじゃが」

 仕様がないな、と言いながら中から出てきた。

「ほら、貸してみろ」

 そう言われて、手に持っていた十字架のようなものを渡す。すると、それを片手で振る上げ、それを下ろした。その一連の行動を気だるそうにやっていたのだが、物凄い音と共に丸太があっという間に四等分にされた。

「あー……よく考えたらこれは俺しかまともに使えなかったな。俺がこれをやっておくから火の番をしててくれ」

 そう言って、また丸太を出してそれをあっという間に四等分になっていく。

(今の音、かなり重い音じゃったがなにかの能力じゃろうか?)

 その辺は後に聞こうと思い、さっき言われたように火の番をしに家の中に戻る。

 

「……早すぎるじゃろ」

「いつもこれくらいだな」

 家の中に戻り、火の前に立って数分くらいで戻ってきた。結局こちらは何もしていないようなものだ。

「のう、鉄は能力持ちなのか?」

 さっき聞こうと思っていたことを聞くと、

「お、もう分かったのか。だが、今はどんな能力かは教えないけどな」

 今、ということは後で教えるつもりなのだろうから、それまで待つことにする。

「ならそれはいいとして、さっきのもなんじゃが、もしかしてここにある武器とかは全部作ったのか?」

 さっきの十字架みたいな武器といい家の中にある沢山の武器といい、特に薪割りに使ったものなんかは普通誰も作らないだろう。

「そう、あれは全部俺が作った。立派な、と言うとあれだが俺の商売道具だからな」

 それにしても、よくこれだけの数の武器を作ったものだ。どれも適当に作ったような感じはなく、一つ一つ丁寧に作られたのだろう。一つ一つにきちんと鞘があるところからもそう感じられる。

「そんなことよりも飯にするか」

 そういいながら持ってきたのは、粥と魚の干物だった。その二つを受け取って一口食べてみたが、粥は水の入れすぎなのか粒々とした食感さえなく、まるでちょっと味の付いた水のようだった。それから、魚の干物のようなものを食べてみるが何だか魚じゃないような気がする。

「のう、これは何という魚なんじゃ?」

「魚?それは蛇の干物だ」

「ああ、蛇じゃったか……」

 もう正直何も言う気にもならない。粥は水みたいだし、魚の干物と思っていたのは蛇の干物だったし、おまけに焼きが甘い。蛇の干物は別にいいのだが、焼きが甘いのだけはちょっと許せない。焼くならきちんと焼いてほしいものだ。なので、自分の火でちょっとだけ焼くと、その光景を興味深そうに見ている者がいた。

「へぇ、火を操るのか。便利だなぁ……」

「まあ、暑い日には使いたくはないの」

「寒さを凌ぐにはいいじゃないか。夏よりも冬のほうが過ごすのが大変だからな」

「それもそうじゃな……ところで、鉄のも焼くか?」

「おお、いいのか。俺はどうにも焼くのも煮るもの苦手でな」

 その言葉に心の中で頷きながら掌に小さめの火を出した。

 

 

 

 

 




こんばんは~ (≧∀≦)ノ
今回から前書きがなくなりました。
最近ネットを使える時間が減ってきたためです、はい。
上記の理由とその他の理由により先週は更新できませんでした。すみません…


いきなりですが、関連タグを募集します(ぇ
タグ:○○○○
見たいな感じで書いてくださるだけで結構ですので、出来ればよろしくお願いします m(_ _)m
特に何もなかった場合は、関連タグは「東方」と「八咫烏」だけになりますので……|―゜)

それでは、また~ (≧∀≦)ノシノシ
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