目を開けると、目の前には見知らぬ天井があった。これはあの続きなのだろうか?
「お、気が付いたか」
その声で、ここは今なのだと実感した。あの続きを見たかったが……仕方が無い。
「気分はどうだ?」
「……気分はあまりよく無いけど、体のほうは大丈夫そう」
まだ、意識がはっきりとしない。
「そう、か」
驚きの表情を浮かべた後に安堵の表情を浮かべた。心配してくれていたのかと思うと嬉しいが、申し訳ないとも
思った。
「その、色々と迷惑をかけたの」
「いいっていいって、ところで一体何があったんだ?」
そう聞かれてあの時あったことを話す。急に大羅に刺された事とそのとき大羅が言っていた事、その時に何故か
体が動かなかったこと。その時に見た何かの夢(?)のことは話さなかった。
「もしかして、大羅は誰かに操られていたんじゃないのか?体が動かなかったのはその操っていた奴のせいかもし
れないしな」
そう言われてなるほど、と納得する。
「ん?大羅はどうなったんじゃ?確か気絶していたはずじゃが」
確か鉄が助けに来てくれた時、大羅は気絶していたはずだ。
「それが、俺が縛る前に小刀で自分の喉を斬りやがった」
小刀で自分の喉を斬る、これも操っていた奴がそうさせたのだろう。
「……さっきから少し気になっていたんじゃが。ここは誰の家なんじゃ?」
目を覚ました時から少し気になっていたのだが、ここは鉄の家ではない。
「ああ、ここは誰の家だか分からない」
「え?ここの家主はおらんのか?」
「もう居ない」
何かを言う前に、そのまま続けられた。
「俺が天狗を退治に山に行っただろう?実はあの山の奥には沢山の妖怪と人間が死んでいたんだ……いや、死んで
いたというよりも"殺されていた"といったほうがいいな。しかも、まだ新しかったから今日の朝頃に殺られたんだ
ろう。最初はここの村の者が妖怪を退治しに言ったかとも考えたが女、子供までもいた。さすがに何も出来ない赤
ん坊まで連れて妖怪退治をするはずが無いからな………大羅が操られたようにこの村の者達も操られたかもしれな
いな」
その話は憶測に過ぎないが、それ以外に考えられない。そういえば、操っていた者は何故自分を操らなかったの
だろう?それに、鉄を操ってもよかったと思う。もしかすると、操るための条件とかがあるのだろうか……?
「……あ~、考えるだけ無駄じゃな。疲れもあることじゃしもう一寝入りするかの」
「ああ、分かった。次起きたら移動するか」
(あの続きは……)
結局あの続きを見ることはなかった。今は鉄が言った通りに移動している。村を出る前に改めて村を見たが、何
故最初に気付かなかったのかと思うくらい静かだった。誰も外に出ていなくても、妖怪退治屋が妖怪を退治するま
で家の中で大人しくしているのではないのかと思いこんでいたから特に気にしなかった。……もしかしたらその時
大羅もそう思っていたのかもしれない。
「それにしても、随分と便利な能力じゃな」
「そうでもないこともあるけどな……」
”重さを操る程度の能力”それが鉄の能力らしい。重さは零から好きなように変えられるらしいが、あるものの
軽くする時はその軽くした分だけの重さを別のところに移さなければならない。しかもその能力と重さの移動の範
囲は自分の周りにしか使えないらしい。何かを重くするときも同じで、簡単な足し算引き算で考えればいいらしい
。
「俺からすればお前の能力の方が便利だと思うけどな」
確かに便利なことは便利だ。おまけに色々な人や妖怪、もしくは神に会えばそれになることが出来て色々と楽し
める……。今は何時もの人間の姿になっているのだが、何だか少し違和感がある。
あの誰かが言っていた。この姿のことをワタシだと、確かにそう言っていた。そして、私が何故かあの誰かを知
っていた。名前とか何処の誰だとかというのは分からない。ただ、その存在を知っていたようなそんな感じだった
……
「お~い、大丈夫か?」
気が付くと、目の前に鉄が立っていてこちらの顔を覗き込むようにしてこちらを見ていた。
「あ、だ、大丈夫じゃよ」
どうやら考え込んでその場で立ち止まっていたようだ。
「………何か悩み事があれば聞くことくらいは出来るぞ?……まあ、何も無いならいいんだが」
そう言うと先に歩き始めたのでこちらも今は何も言わずにただ歩き始めた。
あの夢(?)のことを話そうかと少し考えたが、結局話さないことにした。かわりに、
「いきなりで何じゃが、剣を教えてくれんか?」
鉄の家に付くなり、歩いている途中で思いついたことを口に出した。
「……本当にいきなりだな。別にいいが俺なんかのでいいのか?」
「わしが言って何じゃが十分じゃ」
鉄は少し苦笑いしながら手を差し出した。
「まあ、これからもよろしくな」
こちらも手を差し出し互いに握手をする。
「その前にちょっと聞いてもいいか?」
急にそんなことを言われたのであの時の事でも聞かれるのかと思いながら頷く。
「違ったら悪いんだが……その口調、態とだろ?」
予想していたこととは随分と違ったが、その質問には驚かされた。なぜなら、
「……確かにそうじゃが、何故分かったんじゃ?」
「あー、覚えてないのか?さっき目を覚ました時だけだが、いつもと違ったからな」
そう言われてよく思い出してみる。………あー、なんかそうだったような気がする。
「まあ、別のそれが嫌いだとかじゃなくてな、何で態々そうしているのか気になってな」
そうしている理由は簡単なことなのだが、う~ん……
「まあ……この姿でこの口調は何か違和感が無い?」
「……あー、最初があっちだったから違和感はあるな。元からそれで話してれば特に無いと思うけどな」
周りからすると結構普通らしい。これは答えてよかったかなと少し思う。
「まあ、そうだとしてもまだ変えるつもりは無いんじゃけどなー。そういえば、鉄の手はいつも冷たいが何か病気
か?」
何度か鉄の手に触れたことはあるが、どの時も手は冷たく全く体温を感じられなかった。冷え性かとも考えたが
それはないと思った。
「これは、元々なんだ」
笑いながらなんともないようにそう答える。
「嘘じゃろ」
鉄の目をまっすぐ見ながらそう言う。鉄は笑うのを止め、観念したかのようにため息をつく。
「はぁ……まあ、色々とお前の事を聞いたりしたしな」
さっきのでも言わなかったらそのことで言わせようかとも考えていたが、その必要はなかったようだ。
だが、鉄の口から出た答えは予想していなかったほうへと行った。
「実は俺、死んでるんだよ」
「は?」
こんばんは~ 今回も更新することが出来ました(短めですが
来週は……兄が帰ってきたら更新できないです ^^;
それではまた(≧∀≦)ノシ