東方八咫烏   作:水明

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死体ではありません

 

「ということは、目の前にいるのは歩く屍ということじゃな」

 なるほどなるほど、それで手があんなに冷たかったのか。

「何勝手に納得してんだ、俺は体は無いんだぞ」

 体が無いのか……ん?体が無い?

「体が無いのに何故触れるんじゃ?」

「それが、霊体でもある程度力を使えば物に触れられるんだよ」

 要するにポルターガイストみたいなものなのだろうか?それでも、普通に生きているように見えるほどまでなる

 

ものなのだろうか?

「死んでこの世に残っているということは、何か悔いがあってのことなんじゃろ?」

「別に悔いがあってこの世に残ってるわけじゃないんだ、俺の能力でこの世に残っているらしい。まあそのお蔭で

 

世の中の色々なものを見れるからいいんだけどな」

 鉄は笑いながらそう言った。

「(らしい……か)」

「何か言ったか?」

 なんでもないんじゃよーと適当に答えて話を終わる。

 もし、自分が鉄と同じ立場だったら耐えられるだろうか……その日の最後にそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 カッ、カッ、と固いもの同士がぶつかる音がする。聞いていて嫌な気持ちにならないような澄んだ音だ。

「よっ、ほっ」

 一人がその音に合わせるように声を出す。

 もう一人がが少しバランスを崩す、それを逃さず叩きにいく。

 ごっ、と少し鈍い音が聞こえた。

「っ~ぁ~~」

「……はぁ、守りは上手いが攻めるのは下手だな」

 今一人が頭を抱えて一人がそれを見下ろす形になっている。これ、今日で何回目?

「あ~痛い。どうも接近戦が苦手でのー、上手く攻め込めんのじゃよ」

 それに、道具を使っての戦闘などもやったことがない。まあ、そうだからこそこれ(剣の稽古)を頼んだわけ

 

なのだが。

「苦手なら別に接近戦をしなくてもいいんじゃないのか?常に相手と距離をとっておけば接近戦をすることは、ま

 

あないだろう?」

 確かにそう思っていた。そう思っていた時期もありました。

「鉄は距離をとろうとしても取らせてくれないじゃろ……」

 踏み込む速度が速く、切り返しも早いのでなかなか距離をとることが出来なかった。鉄は少し苦笑いして、

「俺は能力を使ってたからな、普通の人間なら直ぐに距離を取れるだろ」

 普通の人間、ね。

「接近戦で攻め込めないのなら取り敢えず守りを鍛えるだけでいいかもな、攻めるのは距離をとってからでもいい

 

だろう?」

 そう言われて「それでもいいような……」と考える。

「それに、苦手なことよりも得意なほうを伸ばしたほうがいいってな」

 そう言ってはくれるが、

「苦手なことは克服するように言われんかったのか……?」

 ははは、と乾いた笑いしか返ってこなかった。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、行くか」

 そう言って始めて妖怪退治をするのを見たときと同じように刀や剣を腰に差す。昨日、とある人物からの手紙が

 

届けられた。

 手紙を直接見たわけではないのだがどうやら護衛の依頼らしい。

「実際に会えるかの~?」

「実際に会ってみたいもんだな、この世のものとは思えない程美しいらしいしな」

 鉄から護衛対象を聞いて結構驚いたが、なよ竹のかぐや姫だそうだ。あのかぐや姫のかぐや姫だそうだ。それは

 

誰だって顔を見てみたいと思う。出来れば会って話をしてみたいのだが、流石にそれは叶わないだろう。

「まあ……会えなくてもこっそり見には行くんじゃがな」

 俺もそうするだろうな、といいながらその依頼した主と護衛対象(なよ竹のかぐや姫)がいるところへ向かっ

 

た。

「あっ、報酬をかぐや姫との面談にしてもらうってのはどうだ!?」

「おお!それは……あ、その依頼した者はそこにいるんじゃろうか?」

「あ………」

 

 

 

 

 

「あー……もしかしてあれか?」

 何だかこの辺りには不自然なくらいの塀がある。そこにある門の前には二人の門番が立っていた。物凄くごっつ

 

いんですけど……

「すまないが、ここはなよ竹のかぐや姫様が居られる所か?」

「帰れ帰れ、ここはお前のようなのが来るところじゃない」

 質問にまともに答えていないがその言い方だとそうだ、という事だろう。

「護衛でここに来たんだが……これでいいだろう?」

 そう言ってあの依頼の手紙を門番に見せ付ける。

「……確かに」

 少し渋った顔をしていたが、目を瞑って先に行くように促した。

 門の外側と内側は戸では随分と印象が違った。目の前にあるのは、予想していた豪華な屋敷とかではなく、少し

 

広いくらいの屋敷だった。

「貴方方は?」

 その声がしたほうを向くと一人の老人がいた。おそらくこの屋敷の主だろう。

「ここの護衛にあがりました、鉄と申します」

「あ、目麗じゃ」

 急に鉄が何時もと違った挨拶をして驚いたがそれに合わせてやることは無く、何時ものように普通に名を名乗っ

 

た。何だか鉄が一瞬笑顔のままこちらを見たような気がするが気のせいだと思っておく。

「それはそれは、わざわざ遠いところからおいで頂いて。わたしは(みやつこ)と申します。さあさあ、どう

 

ぞ中へ」

 そう言って屋敷の中へと勧められる。案内されたのは客室で他に誰もいなかった。

 暫くして、お茶を持ってきてくれた。

「さて、あなた方はどなたからの依頼で?」

阿倍御主人(あべのみうし)様からの護衛の依頼です」

 そう言うと少し曇った表情を浮かべたが、直ぐに元に戻る。

「それでは、庭のほうをお願いできますかな?」

「そこでよろしければ」

「……それでは」

 そう言うと立ち上がってどこか別の部屋へと言ってしまった。

「………」

「何だか、諦めているような感じじゃったな」

「……だな」

 しばらく穏やかに揺れる湯気を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとした雑談

目「そういえば『鉄』と随分簡単な名前なんじゃな」
鉄「ん?ああ、もともとは鉄生(てつお)だったが、俺はもう死んだしな」
目「ああ、それで鉄か」



皆さんこんばんは~ (=_=)ノ
今回はかなり短いです、すみません ^^;


……今回はそれだけです それではー!  (≧∀≦)ノシ
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