ゲームのエネミーキャラにガチ恋したのでイチャイチャするためにがんばります   作:どくはら

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ゲームをしない日

《猗々冴々,April Fool,ヨシツネ》

Three days ago,0:12

 ヨシツネ:ごめん

 ヨシツネ:マジごめん

 ヨシツネ:姉さんにヘッドセットとられた

 ヨシツネ:しばらくログインできない

 ヨシツネ:ほんとごめん

 

Three days ago,0:48

 猗々冴々:あー、姉フラか

 猗々冴々:しゃーない。気にすんなよ

 April Fool:怒ってないけど怒ってるから

 April Fool:ログインしたら殴るからね

 April Fool:覚悟しといてよ

 猗々冴々:全滅で変なイベント起きたんじゃないかってめっちゃ心配してたからな

 April Fool:余計なこと言わない!!

 April Fool:あ、全滅って言っても、朔くんは大丈夫

 April Fool:たぶん

 April Fool:ぼくたちあの後リスポーンしたから、急いで元の場所に戻ったんだけど

 April Fool:もう誰もいなくて

 April Fool:朔くんがつけてたヨシツネちゃんの装備が置いてあったの

 April Fool:死亡のドロップじゃないと思う

 April Fool:ないのもあったからね

 April Fool:譲渡はできないけど破棄はできるんだね

 April Fool:だから朔くんは大丈夫だよ

 April Fool:こっちでも探しとくから

 猗々冴々:無反応ってことは寝てるなこれ

 April Fool:時間が時間だし仕方ないよ

 猗々冴々:まあな

 猗々冴々:新月までにログインできそうか?

 猗々冴々:見通したたなくても、一応準備しとくけど

 猗々冴々:起きたら返事くれよ

 

Three days ago,3:21

 ヨシツネ:おきた

 ヨシツネ:見通しわかんないけど、たのむ

 

Three days ago,6:09

 猗々冴々:起きた× 寝つけてない○

 ヨシツネ:そうだが……?

 猗々冴々:反応あって草。お前今日学校大丈夫か?

 ヨシツネ:午前は多分死んでる

 猗々冴々:無理すんなよ~~~

 猗々冴々:つーか強制ログアウトとか初じゃん、何があったんだよ

 

Three days ago,6:33

 ヨシツネ:うなされるくらいならゲームすんなって

 

Three days ago,6:40

 猗々冴々:親友

 猗々冴々:朔のルー・ガルーを倒す時は、自分で覚悟決めたみたいだけどさ

 猗々冴々:俺も頼れよ

 猗々冴々:四月一日だっているんだからさ

 猗々冴々:話聞いてほしくなったら、メールでもチャットでも電話でもしてくれ

 

 

     ■■■

 

 

「……はあ」

 

 グループ会議の過去ログを見ながら、小さく溜息を零す。

 

「甘えてんなあ、俺」

 

 次いで零れたのは、自分に対する呆れの言葉。それは放課後の喧騒に追いやられ、俺以外の耳に入ることもなく地に落ちた。

 もう一度溜息をついてから、端末を待機モードしてポケットに入れる。

 

「源ー、一緒にゲーセンよらねー?」

 

 立ち上がったところで、声をかけられた。そっちに視線を向ければ、仲が良いクラスメートが三人、俺の方を見ている。

 少し考えた後、俺は彼らに向かって手のひらを合わせた。

 

「わり。保護者怒らせちゃって、今ゲー禁命令食らってんだわ」

「あらら」

「どうせ徹夜でやってたんだろ」

「そんなとこ。ヘッドセット没収されたわ」

 

 からかうように笑うクラスメートに、肩をすくめてみせる。

 SNSで情けないところを晒した反動か、自然に振る舞えたように思う。現にクラスメートたちも怪訝そうな様子はなく、いつもどおりだった。

 そのことに、内心安堵の息を零す。

 

「ならカラオケでもいいけど」

「いや、寄り道して没収期間延びても嫌だし、今日はまっすぐ帰るわ」

 

 一番気遣いがうまい奴の提案にも、そう言って当たり障りなく断った。

 気晴らしをしたい気持ちはあったが、俺の都合で行き先を変更させるのも申し訳ない。特に今はゲームで散々人に迷惑をかけているので、なおさら忌避感があった。

 

「また今度誘ってくれよ」

「りょーかい。気を付けて帰れよー」

「またな、源」

「おう、そっちも羽目外しすぎんなよ~」

 

 片手を振りながら、もう片方の手でバッグを持つ。

 そして、三人より早く教室を後にした。

 

 同じ学生服を着た背中についていくように、駅に向かう道を歩いていく。

 まだ明るい空では、健全な色をした太陽が輝いている。その光に照らされた東京の街中は平和そのもので、崩れた建物もなければ、物陰で襲撃の隙を窺っている化け物もいない。そんな当たり前の光景が、かえって虚構の夜を意識させた。

 

「……」

 

 家の最寄り駅に向かうホームに向かおうとして、気が変わる。

 周りに知り合いがいないことを確かめてから、俺は反対側のホームに向かう。そして、ちょうどプラットホームに来たリニアに滑りこみ、席に座った。

 端末を開き、ナビアプリを開く。

 さっきの駅を出発駅に、目的地を到着駅に設定してから検索ボタンを押せば、記憶通りの経路が表示される。その経路を改めて記憶した後、俺は動画配信アプリを見始めた。

 

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