ゲームのエネミーキャラにガチ恋したのでイチャイチャするためにがんばります   作:どくはら

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原点回帰

 途中乗り換えを挟みつつ、揺られること十数分。

 俺は、目的地である雑司が谷駅のホームで降りた。

 

 都内でも下位に位置する乗降者数のためか、帰宅ラッシュにはまだ早い今の時間帯、乗る人間も降りる人間はまばらだ。降りた駅のホームは、やけに広く感じた。

 数少ない降りる側と一緒になって、俺も改札口を出て、階段を上がっていく。

 他校の制服やラフないでたちがそのまま帰路に向かう中、俺は出入口の脇に足を向ける。そこには、廃線になった都電のホームが撤去もされずに残っていた。

 

 土地が足りないと嘆く一方、撤去の手間や費用を惜しんで使われない施設を放置する。

 矛盾だなあと思いつつ、ポケットから端末を取り出した。

 

「……」

 

 そのままの体勢で動きを止める。

 数分。これからやろうとしている行動の是非を考えたのち、俺は溜息を零す。

 

「……散々甘えといて、今さら強がってもな」

 

 そんな呟きとともに思考を区切ると、改めて端末を操作した。

 着信履歴からアーサーの名前を探し、そこから電話をかける。今の時間に配信(しごと)をしていないことは、移動中に確かめている。三回鳴った後、コール音が途切れた。

 

『どしたよヨシツネちゃん。電話なんかかけてきて』

「電話でもしてくれって言ったのはお前だろ」

 

 からかうような声音に言い返しながら、石の上に敷かれた線路を歩き出す。

 歩きながらの通話はマナーが悪いとわかっているが、今はどうしてもアーサーと話をしたままこの道を歩きたかった。

 

『へえ、頼ってくれんだ?』

「変に気ぃ遣うよりは、いいかなって」

『違いないな』

 

 呆れ混じりの笑い声を聞くと、電話口の向こうで肩をすくめている姿を幻視する。それと一緒に、相談されたことを安堵するような表情も見えた気がした。

 

 心配かけてるなあと。

 改めて反省しつつ、アーサーの声に耳を傾ける。

 

『今家? チャット繋ぐ?』

「あー、外からかけてるんだわ」

『外か。何してんの?』

「聖地巡礼」

『あー、都電沿線跡地?』

 

 さすがコミュ強者(アーサー)と言うべきか。一言のヒントだけであっさりと俺の居場所を言い当てた奴は、ふぅんと小さく呟いた後。

 

『予想はしてたけど、やっぱりさっちゃん絡みなんだな』

 

 これまたあっさりと、俺の悩みの核心を突いてきた。

 

『ふられでもしたのか?』

「……刺されてふられた」

『あー、そりゃあうなされたくもなるわな……って刺された? は!?』

 

 もちろん、そんなアーサーでも全てを見透かせるわけじゃない。簡潔に状況を説明すれば、少し遅れて素っ頓狂な声が返ってきた。

 耳元で叫ばれたようなものなので、耳が軽くキーンとする。

 思わず端末を遠ざけた後、耳から少し離すように伸ばした腕を戻した。

 

「音量」

『悪い悪い。しかしまた、随分と突飛な行動をとられたもんだな。没入型(フルダイブ)のMobだとそう珍しいことでもないけど、さっちゃんは会話が流暢だったから意外だわ』

「俺もめちゃくちゃびっくりしたわ……」

 

 相槌を打ちながら、歩きづらい石道からコンクリートに変わった線路を進む。

 車道として再利用もされていない都電のわだちは、今は俺の歩道という地味な役割に甘んじている。正式な歩道じゃないから、いつお役御免になってもおかしくない。

 

 つまり、堂々と歩いていい道じゃない。

 おまわりさんに怒られたらどうしようと、内心ちょっとビビっていた。

 

『とはいえ、Mobは基本的に意味のない行動はしないわけで』

「うっ」

『心当たりはあるんじゃないの~? ヨシツネちゃーん?』

「はい……」

 

 素直に白状すれば、やっぱりなと言わんばかりに溜息をつかれた後、沈黙で促される。

 俺はしばらく黙ってから、絞り出すように言った。

 

「酷いこと、言った。NPCなんだから言うこと聞けよ、って」

『……なるほど』

 

 有能なノイズキャンセラーを通した小声は、近くを走行する車の音に掻き消されることなく電話口の向こうに届けられる。俺の言葉を一字一句聞き取ったアーサーは、これまた納得したような声音で相槌を打った。

 

 まるで、予想していた答えと実際の回答が一致したとでも言いたげな雰囲気だ。

 思わず首を傾げる。そんな俺の疑問を察したのか、それとも予想していたのか、まるで答え合わせでもするかのようにアーサーの声が聞こえてきた。

 

『どっかでそういうこと言うんじゃないかって思ってたからな』

「……俺、好きな子に酷いこと言うような男に見える?」

『面倒くさい女みたいな質問すんなよ』

「言い方!」

「ははは」

 

 確かに自分で言ってて、面倒くさい聞き方したなとは思ったけど!

 俺の反応に笑った後、そうじゃなくてさ、とアーサーは自分の言葉に補足を入れる。

 

『ヨシツネ、今のさっちゃんのこと持て余してただろ』

「それは……」

『なんとかプレイヤーみたいに扱おうとしてたみたいだけど、ちょくちょくNPCだから仕方ないみたいなオーラ出てたし。俺がNPC扱いしてもノーリアクションだったろ』

「……」

 

 言葉に詰まる。

 そんな俺の二の句を待たず、アーサーはさらに続けた。

 

『まあ、持て余すのもしゃーないとは思うよ。傍から見たら、必死こいて倒したエネミーが実は死んでなかったっていう、消化不良なイベントなわけだし。第三者視点(たにんごと)で見てる分には面白いけど、当事者だったら萎えてるわ俺』

「……でも俺は、生きててよかったと思ってるよ」

『知ってる。だからこそ、余計に持て余しちゃってるんだろ? 萎えイベントにもへこたれないくらいのガチ恋なのに、肝心のアバターが変わってちゃなあ』

「それは、うん、マジな」

 

 それに関しては、心の底から同意せざるを得ない。

 

『とはいえ、さっちゃんのアバターが変わってなかったら、ヨシツネあの時折れなかっただろうからな。戦闘イベント不可避だとしゃーないのかもね』

「あの時?」

『さっちゃんが自分も戦うってごねた時』

「あー……」

 

 言われて、なるほどなと得心する。

 見た目朔・中身朔だったら、絶対に首を縦に振らなかった自信はある。そこらへんの機微を考慮して入れ替わりイベントを作ったのなら凄いな。

 

『まっ、何も考えてないかもしれないけどな』

「こらっ」

 

 禁句を言うな。

 あっけらかんとタブーに触れるアーサーに溜息をつきつつ、赤信号で足を止める。

 

『ちなみに、酷いことはどういう場面で言ったわけ?』

 

 信号待ちの最中、アーサーが質問を投げかけてくる。

 

「……残機ないから離脱させたかったのに、どうして逃げるんだって詰られたから、つい」

『言うこと聞けよって?』

「そうだよ。なんだってあんな、戦いたがるんだか……」

 

 思わず愚痴るように零したところで、信号が青に変わった。

 周りを見てから、足を進める。コンクリートから敷き詰められた石に変わった足場の上を進んでいると、アーサーの苦笑が聞こえてきた。

 

「なんだよ」

『いやあ。さっちゃんが怒る気持ちは、まあわかるなって』

「そりゃ、意味はわからなくても酷いことを言われたってのは理解してたっぽいし」

『そうじゃなくてさ』

 

 何を当たり前のことをと怪訝がる俺に。

 

『さっちゃんのイベントって、要は一緒にボスを倒してほしいってことだろ? それなのに足手まといみたいな扱いされたら、そりゃキレられてもしゃーないっしょ』

 

 アーサーは、簡単なことじゃないかと言わんばかりに溜息をついた。

 

「……ぁ」

 

 反射的に足が止まる。

 情けないことに、アーサーにそう言われてようやく、俺は今進行しているイベントストーリーの主旨を理解した。

 

 イベントフラグを立たせるために朔を同行させる必要があるだけで、マーナガルムとの戦闘はプレイヤーが主体で行うものだと俺は認識していた。だが、それは間違っちゃいないが正しい認識でもない。

 

 このイベントの本質は、プレイヤーと【朔のルー・ガルー】の共闘なのだ。

 それなのに俺は、朔を戦闘から遠ざけようと振る舞った。危ない目にあってほしくなかっただけだが、その真意を知らない朔からすれば、俺の言動は役立たずの烙印を押すような行為に等しかったのだろう。

 

『……わかったわ』

『リョウ、それは』

『どうしてっ、なんでっ、そう決めつけるの!』

 

 不服そうな雰囲気を、物言いたげな沈黙を、怒った声を思い出す。

 NPCは、意味のない行動をとらない。

 半端に人間(プレイヤー)扱いしていただけで、俺は朔というキャラクターの真意に正しく向き合っていなかったのだと。そう思い知らされた。

 

「刺されても当然だよな……」

 

 小さく呟いた直後、体の側面が車のクラクションに叩かれた。

 慌ててそっちを見れば、青に変わった自動車用信号と、迷惑そうな顔で俺を見ている運転手が視界に入る。ぺこぺこと頭を下げながら、早足で移動した。

 

『あぶねーぞー、ヨシツネ』

「うっせ」

 

 クラクションと謝罪が聞こえたのか、端末を持ち直せばからかい混じりに言われた。

 気恥ずかしに任せて短い悪態をついてから、前に向き直る。そこからさらに歩いていけば、目的地が見えてきた。

 そこは、都電の駅すらないただの道路だ。

 目立った建物もない。道路沿いにある店に用事でもなければ、通り道の一つとしてさっさと通り過ぎてしまうような、平々凡々とした風景。

 だが、俺にとっては大きな意味を持つものだった。

 

 一年前。

 虚構世界(ゲーム)の中で再現された、少し昔のこの場所で、俺は彼女と出会った。

 

『……そういや、一度聞いてみたかったんだけど』

 

 目の前の風景を見続ける俺の耳に、アーサーの声が届く。

 

「なんだよ」

『ヨシツネさ、なんで朔のルー・ガルーを好きになったわけ?』

「――」

 

 それは先月、姉さんにもされた質問だ。

 その時は深く考えずに「可愛いから」と答えたが、今求められている回答はそうじゃないだろう。なぜなら、その可愛い見た目を今の彼女は持っていないのだから。

 

 いや、姉さんもおそらく、別の回答を期待していたのだろう。

 見た目なんて、虚構の存在を好きになる上では前提のようなものなのだから。

 

「…………」

 

 俺は、どうして朔のルー・ガルーを好きになったのか。

 投げかけられた疑問に即答することができず、目の前に広がる景色を見つめる。その景色を通して、初めて出会った日のことを思い出す。

 

 緋色が滲んだ夜の空。

 不気味な夜を煌々と照らす、青白い満月。

 それらを背景(バック)にして、俺を見下ろしていた女の子。

 あちこちがほつれていた制服は、まるでずっと独りで彷徨っていたようで。人形のような顔で立っている姿は、何かを堪えているように見えて。

 

 迷子みたいだなと。

 殺される寸前だったというのに、俺はそう思ったのだ。

 

「――――、ぁ」

 

 かちりと歯車がはまる。

 いつの間にか埋没していた原初の想いが、久しぶりに顔を覗かせる。

 

 そうだ、俺は。

 

「あの子が、寂しそうだったから。なんとかしてやりたいって、思ったんだ」

 

 だけど、彼女はエネミーだ。ただ一緒にいることはできない。

 だから俺は強くなった。レベルを上げた、プレイヤースキルを磨いた、装備を揃えた。

 夜の世界でカーストの頂点にいた少女が寂しくないようにと、簡単にキルされないだけの強さを、少しでも長く隣にいられるだけの強さを求めた。

 そして、それを続けていくうちに彼女は俺に〝対応〟するようになった。

 感情を錯覚するほどには、本能(AI)に動かされるだけの人形(エネミー)に人間味を感じるようになった。

 

 差し出した手を取ってもらえたようで。

 それがどうしようもなく嬉しくて。

 寂しそうに見えたからなんとかしてやりたいという自己満足(どうじょう)はいつの間にか、俺が少しでも長く彼女と一緒にいたいという自己満足(れんじょう)に変わっていた。

 

『ははっ』

 

 端末のスピーカーから、笑い声が聞こえる。

 

『一年前にも聞いたな、それ』

「……記憶力よすぎかよ、気持ち悪いな」

『親友が意味深に零したことだからな。そう簡単に忘れないさ』

 

 そう言って、アーサーはもう一度笑う。

 電話口の向こうで、にやりとチェシャ猫みたいな顔をしたのが見えるようだった。

 

『寂しい思いをさせた元凶を、ぶん殴りにいかないとな』

「……寂しい思いをさせた俺が、ヒーローぶってもいいと思うか?」

 

 俺を刺した時の、朔の顔を思い出す。

 一度孤独から解放された後に独りきりの夜に戻るというのは、朔のルー・ガルーというキャラクターにとっては大きな苦痛の一つなんだろう。例えその苦しみがプログラムから算出されたものだとしても、彼女を傷つけたという事実は変わらない。

 

 そんな俺が、怒ってもいいのか。

 彼女を傷つけた俺が、彼女を理由に戦ってもいいのか。

 

『いいに決まってんだろ』

 

 だが、そんな俺の言葉をアーサーはばっさりと一刀両断し。

 

『自己満足上等、棚上げ上等、ご都合主義上等。プレイマナーに反しない限りは、どこまでも自分勝手に、わがままに、主役(ヒーロー)を張っても許されるのがゲームの醍醐味だ。過程がどうあれ、プレイヤーがハッピーエンドならそれでいいんだよ』

 

 ゲーマーの傲慢(あたりまえ)を、俺に説いた。

 

「……」

『姉上の説得、がんばれよ』

「……おう。サンキューな、アーサー」

『親友のためだからな。これくらい、お安い御用さ』

 

 さっきと似たような言葉を口にしてから、アーサーが通話を切る。

 声の代わりに、ツーツーという電子音をスピーカーが発する。通話終了ボタンを押してその音を切ると、俺は踵を返した。

 

 

     ■■■

 

 

 帰宅した俺は、洗面所よりも先に階段を上り、姉さんの部屋の扉を叩いた。

 どうやら起きているらしい。コンコンと二回鳴らしただけで中から「はぁい」という声が返り、続いて「入っていいですよ」と聞こえてきた。

 

 起きるまでノックを続けるつもりだったので、若干拍子抜けする。

 だが、起きているなら話は早い。俺はノブに手を伸ばし、扉を開けた。

 

 いつもカーテンが閉め切られている部屋は、デスクの上に乗ったスタンドライトとパソコンの明かりで一部だけが照らされている。二つの光源に背を向ける形で、ゲーミングチェアに腰かけた姉さんが俺の方に体を向けた。

 

「おかえりなさい、弟くん」

「ただいま、姉さん」

 

 テンプレのやりとりをしてから、俺はちらりと椅子の背に隠れたパソコンを見た。

 

「執筆中?」

「ええ」

「区切りついたら、話があるんだけど」

「構いませんよ。八時を目途にしているので、おいしい晩ご飯を準備しておいてください」

「わかった。今度はうまいカレー、作るよ」

 

 その言葉に、姉さんは目を何度か瞬かせる。

 しかし、さすがは小説家というべきか。言葉の真意をあっさり読み解いた姉さんは、背もたれに体を預けたまま楽しそうに笑った。

 

「そうですか、それは楽しみです」

「じゃあ、また後で――――あ、そうだ」

 

 扉を閉めようとしたところで、ふと、聞いてみたいことが浮かんだ。

 食事が終わった後に聞いてもよかったと、口に出してから思う。

 だが、声に出してしまったことで姉さんの興味を引いてしまったらしい。デスクに向き直りかけていた椅子が、再び俺の方に向き直った。

 

「おや、なんでしょう?」

「あー……、ちょっと姉さんに質問なんだけどさ」

 

 こうなっては、今聞いた方が手っ取り早い。俺は浮かんだ質問を口にした。

 

「体入れ替わりネタってあるじゃん?」

「ありますね」

「恋愛ものでそのネタを使う時って、創作者としては何が目的だったりするの?」

「ふむ?」

 

 姉さんの予想から外れた質問をした自覚はある。案の定、姉さんは意外そうな様子で小首を傾げた。

 それでも、きちんと考えてくれたらしい。短い沈黙の後、そうですねえと口を開いた。

 

「入れ替わった二人の関係性にもよりますが、大抵は非日常の演出、秘密の共有による連帯感の描写ないし親密度上昇イベント、あとは後天的TS表現狙いといったところでしょうか。体が女性であることに変わりはないのに、中身が男性というだけでセクハラめいた描写もコメディ路線になるのが不思議ですよね」

「姉さんが入れ替わり書くならどういう感じになるかはよくわかる解説だな」

「ふふふ、以心伝心ですね」

「ポジティブEXかよ」

 

 呆れて肩をすくめながら、部屋を出ようと背を向けた。

 

「あとは、そうですねえ」

 

 そんな俺の背中に、姉さんは言葉を続ける。

 

「キャラクターの内面を強調したい時でしょうかね」

「……」

「創作の都合上、魅力的なビジュアルにせざるを得ないキャラクターの中身もきちんと好きになってほしいという、まあ、いわば創作者のわがままというやつですよ」

「……姉さん、察してたな?」

「ふふふ、以心伝心ですから」

 

 振り返り、半眼になって抗議すれば、姉さんは今日イチ楽しそうな様子で笑みを零す。

 我が姉ながら、なんとも食えない。だが、さっきの言葉は間違いなく俺が今一番欲していたものだった。すとんと疑問が腑に落ちるのを感じながら、改めて姉さんの顔を見る。

 

「良くん」

 

 そんな俺を見返しながら、姉さんは先月投げかけた質問をもう一度を口にした。

 

「良くんは、るーがるーさんのどこが好きなんでしょう」

「……」

 

 その問いかけに、今度は即答じゃなく熟考による沈黙を返す。

 

 可愛い(アバター)が好きだ。

 俺に応えてくれた内面(AI)が好きだ。

 

 ――――朔のルー・ガルーじゃなく、朔と呼んだ彼女を思い出す。

 魔獣エネミーの頂点とは思えないほど、素朴で無垢な仕草が好ましいと思う。

 目標のためにぶれない姿勢と、ひたむきさに好感を抱いた。

 例え見た目が俺の(アバター)だろうと、彼女が辛そうにしているのは嫌だと感じた。

 

 ……ああ、どうやら。

 俺は、運営(かみさま)の思惑にまんまと乗せられているようだ。

 

「外見も内面も、可愛いところかな」

「そうですか。随分とぞっこんなんですね」

「そうだよ。ガチ恋」

 

俺の答えに満足したのか、姉さんは今日一番の笑顔を浮かべた。

 

「……姉さん」

「はい、なんでしょう」

「……さんきゅ」

「ふふっ。どういたしまして」

 

 そして、俺は今度こそ部屋を後にした。

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