【悲報】転生したらしいんだけど秒でオークと鬼ごっこしてる【どこここ?】   作:火壁

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対魔忍RPGしてたらムラムラするンゴ!東お姉ちゃん出てきたし更新しましょうね~(ピックアップ終了目前)



魔界の入り口より

 朝日岳

 

 山というにはなだらかな傾斜と頂上に上った時の景色に、昼間はハイキング目的で訪れる家族が目に映るこの朝日岳だが、夜の帳が下りたこの場所には、女性を待つ一人と一匹の影しかない。

 

 麓でソワソワとしながら立っていると、岳とは反対側から一人の女性が姿を現す。シスター服を改造したような対魔装束はその豊満な肉体をありありと主張し、ボディラインがハッキリと表れているその衣装は、間違いなく公務員の服装ではないし、子供たちの憧れとしてはあまりに情操教育に中指立てたものである。感謝しかない。

 

「核原さん。待ってましたよ」

 

「賢斗くん……えい!」

 

「ほごぉ!?」

 

 ズビシッ!と鋭く、しかし痛くない程度に賢斗にチョップを入れる。唐突の出来事に対応できず賢斗も変な声をあげる。

 

「賢斗くん、何他の子たちにも黙って魔界なんて行こうとしてるんですか!ここの魔界はガッシュみたいに平穏ではないんですよ!」

 

「が、ガッシュの魔界も中々ヤバい気がしますけど」

 

「言い訳しない!」

 

 核原も今回のことについては厳しく言い詰めている。それだけ賢斗のしでかしたことは大きく、危険なのだと表している。

 

「魔界は人界と確かに環境は似ています。でもそれだけです。自生している植物も人体に影響を及ぼすようなものがあれば、人より魔族の方が多いような場所です。そして、魔族は人よりも強力。今の賢斗くんだと一撃でも食らってしまうと、ほぼ戦闘不能になると考えてください」

 

 核原のそれは忠告として言っているのだろうが、シュナイダーはそれを余所にソワソワとしている。一刻も早く助けに行きたいのだろう。

 

「シュナイダーくん。逸る気持ちは分かるけど、これは大切な事なの。君のお母さんを助けたとしても、向こうで私たちが死んでしまったら、なんの意味もなくなってしまう。寧ろ死者を増やすだけ。君のお母さんももっと酷い目にあわされちゃうかもしれない。それを分かった上で、君はお母さんを助ける。それでいい?」

 

「メル……」

 

 シュナイダーは核原の言葉に躊躇を見せる。そもそもの話、シュナイダーは賢斗に戦わなくてもいいと止めていた。その上で戦いに身を投じる賢斗に任せた形でここにいる。母親を助けたいが、齢3~5歳程度の子供に人の死を背負う覚悟など、決めさせる方がどうかしている。

 

「シュナイダーくん。人も魔族も、生きている間に一度や二度、重大な選択を迫られるの。でも、それを今の君に決めろとは言わない。第一、子供にそんな選択させるわけにもいかないからね。だからこれは私たちの選択。

 私たちは必ず、君のお母さんを助け出してみせる。そして、君の暮らしていた土地に侵略してきた奴等をやっつけるから」

 

「核原さん……」

 

 その言葉は対魔忍としてだろうか、ただ子供を守りたいという大人としての役目か、シュナイダーに責任を背負わせないように自ら助けると言い切ったのだ。

 

「俺たちが…助ける……」

 

 賢斗は夕方のゆきかぜが言った言葉を思い出した。対魔忍だから助ける。そんな存在に自分がなれるのか、今こそ答えが決まる時なのだと奮起する。

 

「シュナイダー、さっき言った通りだ。俺がお前のお母さんを助け出す。お前に託された信頼を、俺は絶対に裏切らない」

 

「メルゥ……メル!」

 

 シュナイダーは一度俯きながらも、自分のために戦ってくれる二人を信じ、強く頷いた。

 

「それじゃ、行きますか!」

 

「はい!」

 

「メル!」

 

 三人は意を決して、朝日岳の中を入っていく。程なくして一般には目にしないような洞穴があった。

 

「ここか?」

 

「メル」

 

 シュナイダーが首肯する。恐る恐る入っていくと、黒々とした穴が開いている。非現実的な存在は、賢斗の現実観を崩壊させる。

 

「魔界のゲートはどこに現れるか不明な点が多いんです。でもこんなところにあるなんて……」

 

「でも、ここからなら確実にシュナイダーのいた領地に行けるんだよな?」

 

「メル」

 

 ゆっくりと賢斗は魔界の門に手を伸ばす。すんなりとは入らず、ズズズ…と沼に嵌るように肌を襲う不快感が鳥肌となって現れる。

 

「き、気持ち悪い……」

 

「我慢してください。これが終わればそこは魔界です。着いたら一瞬も油断はできませんよ」

 

 そう、向かう先は敵の領域。どこに自分たちを襲う敵がいるかも分からない状況は、賢斗のように戦いに慣れていない者には過度はストレスをかけ続ける。ストレスは体力を奪い続け、戦況の判断を鈍らせる。一手のミスが命取りとなる戦場では、それがどれだけ重大は要素か、核原は十分に理解していた。

 

 そして、賢斗たちの視界が徐々に白んでいく。視界が真っ白になった矢先、目に色が戻り見えた景色は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが……魔界……?」

 

 そこは緑の溢れる森林だった。傍目に見れば人界のそれと大差ない植物。ぐるりと見回した中に、建造物は存在しない。魔界特有の動物だろうか、聞きなれない鳴き声がはるか遠くに聞こえる。

 

「ようこそ、魔界へ」

 

「メルメル!」

 

 時間の流れや昼夜逆転はしていないためか、魔界でも夜の帳が下りている。風が木々を揺らし、その音以外は賢斗たちの声意外聞こえない。と思った矢先、どこからか勢いの乗った音が聞こえてくる。

 

「核原さん。実は考えていたことがあるんです」

 

「なんでしょう」

 

「ここってなんだかんだ言って敵の領域ですよね」

 

「はい、僻地とは言え見回りの兵がいてもおかしくありませんね」

 

「魔族とか魔物って大なり小なり人間よりスペック高いですよね」

 

「ですね。嗅覚とか最たるものですね」

 

「てことはですよ」

 

 賢斗は一息ついて口を開く。

 

「実は今敵に見つかってますよねぇ!!!!」

 

「正解ッです!!」

 

 言うが早いか、魔物が突撃してくるが速いか、賢斗たちは瞬時に飛びのいた。賢斗たちのいた場所には3本の曲刀が振り下ろされ、あの場にいたらどうなっていたか、賢斗に想起させる。

 

「あれは…犬?」

 

「コボルトです。半獣の犬魔族で、知能はオークとゴブリンの間くらいです。恐らくは先兵ですね。魔力も多くはない上、搦め手もありませんから、複数戦として戦ってみましょう」

 

 

「複数なんて初戦でやったんですけどね。まあやってやりましょう!ザケル!!」

 

 先制攻撃は許したが、賢斗が重ねてきた五車学園の鍛錬、そして核原が課してきた修行はそれをカバーして余りある結果を齎した。術の威力は倍とまではならずとも大きく跳ね上がり、コボルトを消し飛ばす。

 

「初任務の時とか修行の時も思っていましたけど、ザケルの威力高いですよね。ガッシュ覚醒後はディオガ級にも匹敵していましたし、そっちが特典?でも覚醒後の術は使えないし」

 

「なんていうか、しっくりこないって感じなんですよね。今の出力も違和感あるし…きっかけがあればなんかできそうだなってのがあるっぽいですね」

 

「なんですかその主人公補正は。絶対この戦いで新しい術使えるようになるじゃないですか」

 

「メタいですよ核原さん」

 

 ガッシュ(特典のネタ)の力に驚愕しつつ、シュナイダーの案内を頼りに、2人は森を抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり、ここは『ヴァルボーグ』と呼ばれる魔族によって統治される魔界領である。小さいながらも豊富な自然や鉱山資源によって貧困にあえぐことなく、外敵から身を守る武具もその地に住む『ドワーフ』が鍛えていた。力によってすべてを奪われる魔界において、命豊かな環境を謳歌できるヴァルボーグ領はまさに、楽園と言えた。

 

 そう、あくまでも『言えた』のである。

 

 元々友好を築いていた『ディアフェール領』の領主『モナーク』。その実態は豊富な資源を食い荒らし、愉悦に浸るというものであった。その目論見は成功。ヴァルボーグ領は踏み荒らされ、モナークはヴァルボーグ領にある『ギアス城』に、自身の右腕である『ベルザロ』を残らせ、支配を任せている。

 

ここはヴァルボーグ領地下牢。本来攻めてきた敵を捕縛する牢獄に入れられているのは、この領地を守る騎士である『フラム』。自身の象徴である炎の鎧も、今はベルザロに奪われ、捕虜の麻布をまとうだけとなっている。

 

 今のヴァルボーグ領に光はない。それを示すように空は暗雲が覆い、原住魔族はベルザロの軍勢に襲われ、散り散りになっている。フラムの目からも光は失われ、拠り所となっているのは人界に送った息子の安否の身だった。

 

「いったいいつまでそうしているつもりだ?」

 

「……いつまでも。私の忠義は揺るがない」

 

 フラムに問いかけたのはベルザロお抱えの尋問官『コッセロ』。しかし、彼の表情には仕事の真剣さはなく、下卑た笑みを浮かべてフラムの豊満な肉体を舐めまわすように見る。フラムもそれに反抗するように睨みつける。

 

「おやおや、まあ分かっていた回答ですが。しかし、その威勢がいつまで持つか…空元気ほど、見苦しいものはありませんよ」

 

「貴様等に尻尾を振るよりマシだ。この身体をいくら弄ばれようとも、私の忠義は揺るがない」

 

 決意と誇りを胸に折れた心を奮起される。しかし、コッセロはそのか細いプライドを見通していた。

 

「なら、そんな貴女にニュースです。あなたのご子息、こちらに戻ってきていますよ」

 

「!!」

 

 フラムの表情が急変する。人界へ送ったはずの息子が何故魔界にいるのか、思考を巡らせる。

 

「まさか、貴様ァ!!」

 

「おっと、勘違いなされているようなので一つ訂正を。連れてきたのは我々ではなくご子息を拾った人間ですよ。あの装束は対魔忍でしょうな。いやはや、拾われた相手が悪かった」

 

 コッセロの嘲笑にフラムも歯噛みする。息子が無事ならば、自分がどのような辱めを受けても構わない。しかし、コッセロが言った事が事実ならば、息子は自ら死にに来たようなもの。何としても止めなければならない。

 

「くそっ出せ!ここから出せええええええええええ!!」

 

「ははははははははは!!なんて事でしょう!今までの鉄仮面が嘘のようだ!そうです、その顔が見たかったああああああああ!!!」

 

 フラムの顎を掴み、頬を舐めるコッセロ。彼にとって対魔忍含めた人間はものの数ではない。もとより魔族の身体能力は人間のそれを遥かに上回る。それよりもコッセロは、魔界に来た対魔忍の中にいた女をどのように調教しようか思案している。その表情は、成功する事が前提で、失敗する事を考えていない顔をしている。

 

「ふっふっふ…さてどのように調教してやろうか。やはり下は感じやすい方がいいな。乳もいい形をしている。そっちの方も楽しみだ……そういえばノマドの媚薬がまだストックがあったな。それも使って「コッセロ様ァ!」なんだ鬱陶しい。尋問の最中だぞ」

 

「申し訳ありません!しかし敵襲が!」

 

「あの対魔忍共だろう?その程度貴様等で何とかしろ。おっと、女は殺すな。何の目的で来たのか聞き出さなければいけないからな」

 

「そ、それが…」

 

「なんだ!」

 

「た、対魔忍ではあるのですが…奴等、領内のいたる所を爆撃しています!!」

 

「「……は?」」




活動報告をあげました(約2か月前)暇なときにお願いします。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=288177&uid=195719


お絵描きのモチベが死んでどうにかなりそう。
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