【悲報】転生したらしいんだけど秒でオークと鬼ごっこしてる【どこここ?】   作:火壁

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ホグワーツレガシーしたりお絵描きしたりした結果がこれです。

お絵描きのモチーフ閃乱カグラにしたせいでシノマスやってたのちぃなってる。


正義の見方

 ヴァルボーグ領のギアス城内、玉座の間に怒号が広がっていた。

 

「なぜだ!なぜ人間二匹とウマ一匹始末できない!!」

 

 ディアフェール領の領主、モナークの右腕であるベルザロ。その種族特有か、脂汗を浮かべ丸い顔を大きく歪ませている。彼の前に跪く配下はその身体を震わせながらその表情を蒼くしている。

 

「そ、それが奴等…高台にいたのは確認できたのですが、その後、観測部隊も爆撃にあい……」

 

「そんな事を聞いているんじゃあない!なぜ奴等を始末できてないのかを聞いてるんだ!それどころか各所の爆撃まで許し、民衆を開放されおってからに……!」

 

 他人の玉座に我が物顔で腰掛け、激しく唾を飛ばす。民衆の開放は本来核原の仕業だが、そんな事はベルザロには関係ない。

 

「役立たず共が!モナークめ…こんな僻地に飛ばしたばかりか、こんな使えないゴミをよこしやがって……」

 

「ベルザロ様…また荒れてんなぁ……」

 

「こんなド田舎に左遷させられた上、すぐにこれだもんな……流石にかわいsギョブッ!!」

 

「ヒッ!?」

 

 玉座の間の外、門前で世間話に興じている兵士の一人が突如、脳天から真っ二つに勝ち割られる。残った兵士が後ろを見上げると、そこにはベルザロが自身の獲物である戦斧を振り下ろした姿で立っていた。後ろをよく見ると、玉座の間にいた配下が、今は物言わぬ肉塊へとその身を変えていた。

 

「お前……今何話してたぁ?」

 

「ひゅえ? え……ええと……」

 

「何を話してたって聞いてるんだろうがあああああ!!貴様の耳にはピクシーでも入っているのかあ~~~?」

 

 兵士は恐怖で言葉が詰まっているが、ベルザロにはそれに対する配慮などない。まず魔族が弱者に対して配慮などしようはずもないのだ。それを示すようにベルザロは兵士に詰め寄る。

 

「あのウマガキの追跡も失敗。メスウマの尋問も未だ出来ていない。そして今度はこれだとお?貴様等どれだけ無能だあ~?この程度の事に、こんなにてこずるなんてよお~普通ありえないよなあ~~~!!!」

 

「そ、それは…現地の情報ですと男の方は広範囲攻撃を得意とし、女の方は情報が不足していますが、隠密に優れているあたり…影に関するものではないかと」

 

「そんな事は分かっている!そんな事が聞きたいんじゃあなく、なぜそいつ等を始末出来ないんだという事だ!!」

 

「そ、それは……奴等が上手だったと……ギニャ!!」

 

 言葉を紡ごうとしていた兵士をベルザロが横薙ぎに両断する。その表情に笑みは無く、歯を噛み潰さんばかりに軋り、額には青筋が走る。

 

「こうなったら!全軍を奴等の始末に向かわせろ!!この俺に、歯向かった責任を負わせてやる!!貴様等死んでも奴等を始末しろおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 ベルザロが咆哮にも似た号令をかける。しかし、その前に一人の兵士が駆ける。

 

「ベルザロ様!た、大変です!!」

 

「貴様!!今のが聞こえなかったのか!?今すぐ「ほ、報告です!報告!!」…なんだ?」

 

「お、男が…!

 

 

 

 

 

 

 雷の男が、この城内に攻めてきました!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いけえええええええええ!!!奴を殺せええええええええええ!!!」

 

「おおおおおおおおおおおお!!!ザケル!!!!」

 

 正面に立ちはだかる兵士達を、賢斗の術が吹き飛ばす。円状に囲まれている賢斗は、その空間を走り抜ける。

 

「逃がすな!追え!!」

 

「逃げるかよ……ジケルド!!」

 

 兵士の鎧に第三の術を唱え、強力な磁気を発生させる。先程の電撃で倒れた兵士の鎧にも反応し、対象の鎧にガチガチと重ね、纏まっていく。やがてそれは一つの鉄塊と化した。

 

「でも……まだいるのか!!」

 

「メ……メルメ!」

 

「っ!ラシルド!!」

 

 シュナイダーの掛け声で何とか第二の術を発動させ、兵士の攻撃を反射させる。しかし、その後ろにはゾロゾロと兵士が続いている。

 

「ふざけやがって……城内だからってどれだけいるんだよ!」

 

「メルメル!」

 

 現在賢斗達は、城内の厨房裏口から入り、侵入したまでは良かった。その後、侵入した場所が間違っていた。運悪く兵士達の詰め所に入ってしまったのだ。当然、何事も無くやり過ごせるはずもなく、大勢の兵士に追いかけ回される事となり、現在一階ホールで三方向から迫る敵を倒し、その兵士を使って出入口をふさいでいる。

 

「チクショー…看板くらい用意しとけってんだ!」

 

「メルメル……」

 

 賢斗が愚痴をこぼすが、兵士はそのような事は関係ない。剣や槍を構え、物量戦で賢斗を圧殺しようとしている。

 

「これじゃあ……やってみるか」

 

 賢斗は上に向かってジケルドを放つ。明後日の方向に放たれた術に兵士達は嘲笑う。

 

「こいつ急に何やってんだあ?」

 

「構う事ぁねえ!早い事ぶっ殺せ!!」

 

 これ幸いと兵士達は賢斗に迫る。しかし、先ほどの戦闘に参加していた者を除いて、武器や鎧が上に引っ張られる。上を見上げると、吊り下げられた豪華なシャンデリアに磁気が纏われていた。

 

「まさか…この為にさっき上にあげたのか!」

 

「馬鹿野郎!はやく鎧を脱げ!武器も捨てろ!人間程度なら拳で殴り殺せる!」

 

 ジケルドを受けていた兵士が叫ぶ。それを聞いた兵士はいそいそと武器を放り、鎧を脱ぎだす。しかし、それを見逃す賢斗ではない。

 

「ザケル!!」

 

「ぐぎゃああああああああああああああああ!!!!」

 

 鎧を脱ぎ捨て、装甲の無くなった所を打ち抜く。そして、ジケルドはまだ解けていない。捨てられた武具(金属)がシャンデリアに磁石のようにくっつき、その自重を増やしていく。数多くの負荷がかかるそれは吊り下げているロープの耐久を越えた。

 

「!!おい、はやく逃げろ!!」

 

「はあ!?敵のお前が何言ってんだよ!!」

 

「逃げるのはお前だろうが!尤も」

 

「「「この状況から逃げられるなんて思わない事だなああああああああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっそう。折角教えてやったのに」

 

 賢斗は壁の角に追い詰められながらも、冷静に、無感情のままに言い放った。

 

 兵士達はその違和感に訝しむ。その答えは

 

「お、おい……」

 

「なんだ?ん?」

 

「こいつが言ってるのって……」

 

 ギリギリと、シャンデリアを吊るすロープが悲鳴を上げる。更に、槍の穂先が当たっていたのか所々が切れている。シャンデリアの真下にいる数十人の兵士はようやく危機に動く。

 

「おおおおおおおおおおおお!!!逃げろ……逃げろオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 我先にと兵士が逃げだす。しかし、ホールの広さに対して兵士がすし詰めのように賢斗に迫っていた。その状況から、一斉に同じ方向へ動けば

 

「いう押すな!転ぶ転ぶ!!」

 

「お前が急げ!はやくしないとアレが落ちるだろうが!!」

 

「あんなの受けれるわけねえ!誰だよあんなバカでかい灯り付けた奴!!」

 

 前方で転んだ者。後ろから激突してドミノ倒しのように崩れ、その上を走り抜ける者。他者など構う事なく、足元でグシャグシャと形を変える仲間を見ないふりをしてホールから逃げる。しかし、出入口に積み上げられた兵士に妨げられ、何より彼らは判断が遅かった。

 

 三分の一がホールから逃げ出した時、ロープが耐え切れず、シャンデリアが落下する。逃げ切れなかった者はシャンデリアに押しつぶされ、端に逃げた者も、飛んできた武器の破片によって負傷を抱える事となった。

 

「よし……かなり消耗したが、それに見合った戦果だろ。はやくシュナイダーの母親を探さねえと」

 

「メ…メル……」

 

 シュナイダーはホールで起きた惨状に表情を暗くする。きっとこの城での思い出もあったのだろう。その場所で血が流れ、死屍累々の光景が広がっている。嘔吐しないのがシュナイダーの精神性を物語っているが、賢斗はその表情に申し訳なさを抱く。

 

「すまないシュナイダー。今は敵地のど真ん中で、シュナイダーの気持ちに応じてやる事は出来ない。正義の味方なんて実際はそこで暴れまくってその後の復興だって他人任せなのが実態だ。後から来て俺が正しいなんて言いたくない。だからこの後、出来る限りの事をする。それで許してくれ」

 

 賢斗のそれは何をもって発したのか、シュナウザーには理解出来ない。しかし、その言葉の裏には何かを抱えていると感じる何かを感じていた。

 

 城内を走り回り、入ってきた厨房とは反対の位置に、地下へと続く階段を発見する。慎重に降りた先では、荒い息遣いと下卑た笑いが聞こえてくる。

 

「この声……」

 

「メル!メルメルメル!」

 

「もしかして、お母さんか!?」

 

「メル!!」

 

 シュナイダーは大きく首肯する。しかし、賢斗は中にいるもう一人を注視している。

 

「あれは間違いなく敵だな。…一撃でいければ

 

 

 

 

 ラウザルク!」

 

「!?っまさか…グギ!!」

 

 尋問官のコッセロは、賢斗の攻撃に対応出来ず殴り飛ばされる。その隣には麻布を着せられた女性、シュナイダーの母親であるフラムだった。

 

「……ってウマじゃないんか!!?」

 

「なんの事だ?」

 

「いや…だって……ええ!?」

 

 賢斗はシュナイダーとフラムを交互に見やる。完全にウマなシュナイダーと見た目女騎士のフラム。親子というにはあまりにも姿が異なり、そうだと言われても到底信じられなかった。

 

「ウマ……?っ!シュナイダー!!」

 

「メルメル!メルメルメ~~~~!!」

 

 シュナイダーに気づいたフラムに、入口で待っていたシュナイダーが駆け寄る。シュナイダーがフラムに抱き着くが、フラムはまだ鎖で繋がれているためにシュナイダーを抱きしめ返す事が出来ない。

 

「待ってろ……ふんっ!!!」

 

 第六の術の身体強化でフラムの鎖を引きちぎる。フラムはもう会えないと覚悟していた我が子をひしっと抱きしめた。

 

「本当にありがとう。どころで貴方は…」

 

「俺は高嶺賢斗です。シュナイダーの……拾い主?」

 

「どうしてそこで疑問形なんだ……?」

 

 今朝の出来事を何と言おうか悩む。拾い主でも間違ってはいないだろうが、魔界基準だとそれは差別的発言なのかと余計な事を考えてしまう。しかし、それは今どうでもいい。

 

「立てますか?外に俺の仲間がいるので、合流して逃げましょう」

 

「それは……ここを捨てろという事か?」

 

 フラムの言葉に、賢斗は唇を噛み締める。領内の各所を爆破して、多くの敵を倒してはいるが、今の戦力では撃退は不可能に近いだろう。加えて、ディアフェールから増援が来ない保証などなく、別の魔族の支配領で、安全が保証されている場所を探した方がいいというのが賢斗の実際の考えである。シュナイダーに大口を叩いておいて申し訳ないが、核原に頼んで対魔忍の一部隊を動かしてもらうのが現実的だろうと考えているのだ。

 

「……確かにそうするのが正しいのかもしれないな。しかし、私は騎士だ。武器を奪われようが、鎧を奪われようが、私は命ある限り、この地を守る。それが私の使命だ」

 

 フラムは決意を固めた眼で賢斗を見つめる。それだけこの地に対する思い、騎士としての誇りは賢斗の想像を上回るのだった。

 

「……すまなかった。助けてもらう立場でこんな事」

 

「いや、いいんだ。それだけここが大好きだって事だし、今は戦力が不足してるから撤退しないとって話だけど、準備ができれば「それは無理だ」?」

 

「奴等はここを本格的に占拠するつもりだ。そう長くない期間で、奴等の領地から様々な魔族がやってくるだろう。そうなれば奴等を追い払う事は不可能になる。よしんばできたとして、この地の美しい自然はどうなるか…」

 

 フラムは起こりうる惨状を思い歯噛みする。侵略者の動きがはやい事に賢斗は思案するが、解決策が浮かばない。

 

「やれやれ…この地が我らのものとなっても地位は約束するというのに」

 

「「!!」」

 

 声のした方向を向けば、先程賢斗が殴り飛ばした男が衣服に付いた埃を払い落としていた。

 

「それにしても中々キツイ一撃。人間風情がこの私に傷をつけるなど……ただで死ねると思わない事だこのゴミカスがああああああああ!!!」




一回一回がスローペースですまない。
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