【悲報】転生したらしいんだけど秒でオークと鬼ごっこしてる【どこここ?】   作:火壁

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気付いたら4ヵ月過ぎてた男です。書き方忘れてます。


ボス攻略

 ギアス城の玉座で、ベルザロは部下を罵り時間を潰していた。

 

「何故だ何故だ何故だ何故だアアアアアアア!!女には逃げられガキとウマも未だに捕らえられていないなぞぉ……貴様等に脳は無いのかアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「も、申し訳ありません!あのガキも対魔忍で、雷を操って我々の攻撃を潜り抜け、部隊の三分の一を壊滅させましギャッ!!」

 

「そんな事は聞いていない。貴様等もこうなりたくなければ、はやくあのガキの首を持ってこい!あの女もな!!」

 

 ベルザロは既に堪忍袋の緒が切れていた。しかし、自分が動くのはプライドが許さず、部下をひき肉に変えた後は、再び玉座にドカリと座り込んだ。

 

「あのメスウマもそうだ。折角俺の穴として使ってやろうというのに、何を断る必要があるというのか」

 

 ベルザロがフラムを物にできない事へ嘆息していると

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 唐突に聞こえたコッセロの絶叫。瞬間、玉座の間の扉が破壊されコッセロが吹き飛ばされてくる。ベルザロと激突する前に、ベルザロによって叩き潰された。

 

「……雷の男ってのはお前か」

 

「どーも、地上げ屋でーす」

 

 賢斗はベルザロを前にふざけてみせる。しかし、賢斗の内心は逆に穏やかではなかった。

 

(恐らくこいつがボス……)

 

 先程までの雑兵との戦闘がゲームのように経験値が貯まっていくのであるならば、まだ分からなかったかもしれない。しかしここは現実。レベルアップの概念などなく、むしろ先程までの戦闘で疲労が蓄積していた。

 

「お宅の土地がねー、元々自分のだっていう人がいるんだよ。そうなるとここって不法占拠じゃん?そういうのよくないよねって思うわけ」

 

「話にならん。お前等のせいで俺の領地が爆破されているのだ!貴様等に心は無いのか!!」

 

「武力で支配してるやつが言うと説得力が違うな。勿論皮肉だぜ?」

 

「殺す」

 

 ベルザロは玉座の横に置いている自身の武器、賢斗の身長はある金棒を手に取った。そして足に力を籠めると、一息に賢斗と開いていた距離を飛び、自身の射程距離に賢斗を縮めてきた。

 

「死ねエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」

 

「っ!ラシルド!!」

 

 第二の術を発動し、迎撃を図るが、賢斗は魔族の力量を甘く見ていた。

 

「なっ!?ぐおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 魔族の持つ人外の膂力。それから振るわれる金棒の威力は、鉄の塊を粉砕する。賢斗の出現させた雷の壁はまるで意味をなさず、正面から粉砕され地面を転がっていった。

 

「マダマダァ!!」

 

「ちぃ!ラウザルク!!」

 

 ベルザロに対抗するために第六の術で自己強化をかける。ベルザロの横薙ぎを回避すると金棒を足場にベルザロの顔に飛び込む。左拳を固め、ベルザロの顎を目掛けて振るう。

 

「ゴッ!だが効かん!!」

 

「なら連続攻撃(ラッシュ)だ!!」

 

 ベルザロに反撃の隙を与えないように、賢斗は身体の全てを使い、ベルザロの動きを妨害しながら連撃を叩きこむ。

 

「オラオラオラァ!!ジャッ!!」

 

「貴様ッ逃げんな!!」

 

「ザグルゼム!!」

 

 ラウザルクが切れる寸前にベルザロを蹴り飛びのく。去り際に第七の術を唱え、次の布石を創る。ベルザロは弾き飛ばそうとしたが、ザグルゼムはベルザロと接触した瞬間、弱弱しく散っていった。

 

「ハッ!この程度じゃあ俺の外殻は破壊出来ねえんだよ!」

 

「ならもう一発貰っとけ。ラウザルク!」

 

 賢斗は構わず同じ術を放つ。ベルザロは歯肉を見せつけるように笑い、ザグルゼムを弾く。こちらも同じように容易く掻き消えた。

 

「しゃらくせえ!こんな小細工で勝てる訳がないだろうが!!」

 

「小細工しなきゃ勝てないんだよ察しろって」

 

「なら死ぬしかねえなあ!!」

 

 ベルザロが再び距離を詰める。賢斗はザケルガを唱えようとするが、一瞬手が止まる。

 

「……なんだ?」

 

「よそ見してんじゃねえぞ!!」

 

「やべっ!グフッ!!」

 

 戦闘時、一瞬の油断が命取りとなる。個人の感じた何かがあれど、それで死ねば無意味と化す。賢斗は一瞬の思考をベルザロに突かれ、金棒が賢斗の腹に直撃する。金棒は容赦なく振りぬかれ、賢斗は壁に叩きつけられる。

 

「グギャ!うげぇ……」

 

「無様なもんだな。ここで俺を倒しても誰に感謝されるわけでもない。いや、仮にあったとしても次は貴様が追いやられる事になる。強者ってのは辛いなあ。守ってやった味方に裏切られるんだからよおおおおおおおお!!」

 

 ベルザロは賢斗を嘲笑う。玉座の間には魔族の下卑た嗤いが響く。しかし、賢斗は冷静にベルザロを見つめた。

 

「それはお前の被害妄想だ」

 

「あ?」

 

「聞いた事がある。人のイメージできる事は、その人が経験した事のみだと。力が全ての魔族に裏切りはあれど、守られた者が守った者を追いやるなんて発想は普通しないはずだ」

 

「黙れ」

 

「お前は……

 

 

 

 

 誰かに裏切られたのか?」

 

「黙れ!!」

 

 賢斗の言葉をかき消すようにベルザロは叫び、金棒を振り上げる。賢斗は当たらないように飛び避けた。

 

「貴様に何を言われる筋合いはねえ!力で屈服させる!逆らう奴は殺す!裏切る奴は見せしめにしてから殺す!そこに何の問題もねえだろうが!!」

 

 ベルザロは叫ぶ。子供が駄々を捏ねるように金棒を振り回し、賢斗を否定しようと言葉を並べ立てる。

 

「異常なのは貴様だ!何の意味もない人助けを、自身が傷つき、それでも見知らぬ誰かのためにと戦おうが、そんな事は助けられる者には知った問題ではない!!結局は助けられた相手を認められるかに依存する!力、能力、ルッキズム!それで気に入らんものがあればそこを攻撃し、その者がたとえ命の恩人だとしても蹴落とす魔物よ!!」

 

「成程、あんたはその悪意に殺されかけたってわけか」

 

「ふざけるな!!俺様がその程度で遅れなどとるか!!貴様も裏切りに殺される前にここで始末してくれる!!」

 

 ベルザロは三度賢斗に距離を詰める。しかし先程と違い、賢斗はベルザロの動きを完全に読み切っていた。

 

「あんた……本当は優しかったのかもな」

 

「!?何を世迷言を」

 

「あんたの台詞に、端々から教養がにじみ出てるからな。さしずめ、以前は名のある一族とかか?裏切られたのはその時か」

 

「黙れ!貴様の説教を受ける義理などどこにも無い!」

 

「そうだな。でもあんたは俺の言葉を聞いてくれている。それはどこかに自分に対し思う所があるからだろ?」

 

 だけど、と賢斗は続ける。

 

「残りは終わらせた後だ。先ずは決着をつけないとな」

 

「貴様……いいだろう。貴様を殺し、その口を永遠に黙らせる」

 

 賢斗は腰を落とし、ベルザロは金棒を振り下ろす。今度は無暗矢鱈でない、一種の武術として練り上げられた鋭さを孕んでいた。

 

「ラウザルク!!」

 

「今更その程度の強化で防がれるものではないわ!」

 

 ベルザロの言葉通り、ラウザルクで強化された肉体を以てしても、気を抜けば圧し潰される力が賢斗にはかかっていた。

 

「グギギ……アガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 鼻の奥から滲む痛みが、賢斗の意識を引っ張り出す。右腕を構え、ベルザロの金棒に向かって振りぬいた。

 

「ォオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ぐっ何ィ!?」

 

 ベルザロの金棒が賢斗の一撃で粉砕される。いち人間が魔界の金属で鍛えられた金棒を破壊した事に驚愕を隠せずにいた。そして、それは先程の賢斗と同じ隙を晒す事になる。

 

「ウラアアアア!!」

 

「小癪!!ジェエエエエエエエエエエエエエ!!」

 

 ベルザロもインファイトの構えを取り賢斗を殴る。人間と魔族の力量差はすぐに表れ、賢斗が与えたダメージを優に超える量を叩きこむ。最後に鳩尾に捻じ込むと回し蹴りで玉座まで蹴り飛ばした。

 

「人間にしては、まだマシと言ったところか。群れるだけで何の役にも立たない人間。他者の支配に甘んじ、自らは甘い汁を啜れたらそれで充分と惰性に生きる弱者。強者の存在を認められず、後ろから刺す事で世界の足を引っ張る卑怯者共。これらのゴミを見た後なら、貴様は十分に努力した」

 

 ベルザロが饒舌に語る。それは冥途の土産のつもりか、賢斗は消えかけの意識で必死に聞いていた。

 

「思えば、この地位に就いてから誰かと話すという事をしたのはこれが初めてだった。モナークは基本放任主義でな。役目を与えれば後は放置気味なのだ。故に役目を持たぬ者には興味を持たず、会話も最低限であった」

 

 最早ベルザロの最初の話し方は消え、佇まいも騎士のように凛とさせていた。そして二人の距離は腕を伸ばせば届くまでになっていた。

 

「長々と喋ってしまった。しかし、これで終いだ」

 

 ベルザロは拳を振り上げる。ギチギチと固めた拳は振り下ろされれば賢斗の顔面を胴体と泣き別れさせることもできると察するに余りある筋力量であった。

 

「さらばだ。人間!!」

 

 躊躇なく拳は振り下ろされる。最早これまでと言ったその瞬間

 

 

 

 

 

 

 

「ラシルド!!」

 

「何!?ふぅおっ!?」

 

 突如現れた雷の壁が、ベルザロの拳を防ぐ。本気で振り下ろされた拳も、マックスで力を伝えられない角度で現れた事に対応出来ず、ラシルドの能力(ちから)が発揮する。

 

「ゴハッ!ギャアアアアアアアア!!」

 

「雷を乗せて相手に返す第二の術。更にお前にかけておいたザグルゼムがラシルドのカウンターを増強させる。実際やってなかったしやれるか不安だったが、これ見るにビンゴだな」

 

 拳がベルザロの腹を撃ち抜き、拳に乗った雷がザグルゼムに反応し爆発する。ベルザロの肉体に付与された雷の種はベルザロの細胞を破壊し、内側から肉を弾き飛ばした。

 

「まだ原理は分かってねえんだけどよ。魔界(こっち)に来てから妙に身体が張るんだ。力が漲るっていうのか、兎に角動ける。それでも今のラシルドを出すのに何かが足りなかった。それを貯めるのに時間がかかったんだ」

 

 聞いているベルザロは先程までの様相とは打って変わり弾けた肉を触らぬよう、しかし庇いながら賢斗を睨みつける。その最中に賢斗が動いた。

 

「ザグルゼム」

 

「ぐっ!痛みは無いがこれはさっきの……」

 

「ザグルゼム」

 

「貴様ァ!どこまで俺を愚弄する!俺を弄ぶな!!」

 

「悪いんだけど、今の俺には一撃であんたを沈める術はないんだ。今のかなりギリギリでな。最後だザグルゼム」

 

「っ!……ならばせめて!」

 

 ベルザロが突如飛び上がる。残った拳を限界まで握りしめ、最後の一撃を放とうと狙いをすませる。賢斗も立ち上がり、ベルザロに向かって右腕を構える。

 

「俺の勝ちだ

 

 

 

 ザケルガ!!!

 

 第三の術がベルザロに直撃する。三度受けたザグルゼムは賢斗の期待を裏切ることなくザケルガの威力を跳ね上げ、ベルザロの肉体を破壊する。全身を黒焦げに破壊されたベルザロは力なく地に落ちた。

 

「はっ……人間にしては……強いなぁ……」

 

「……負ける訳にはいかなくてね」

 

 力を使い果たしたのか、立つ事もままならずすぐ後ろの玉座に腰をかける。背もたれに身を預け、一息つくと、眠るように意識を手放した。




コミケ行きたかった……対魔忍音頭を生で聞いてみたかった……舞華姐さんとアイナの抱き枕カバー買いたかった……
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