【悲報】転生したらしいんだけど秒でオークと鬼ごっこしてる【どこここ?】   作:火壁

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アクション対魔忍面白いゾ。キャラのおっぱいがもう揺れる揺れる……





前が見えねえ……

 元老衆お抱えの尋問官にタコ殴りにされた賢斗は、五車の地下牢で顔を腫らしながらボロ雑巾のように倒れていた。

 

「前が……見えねえ……」

 

 ギャグマンガの如く膨れ上がった顔は、彼が賢斗本人であるかを疑わせるレベルでボコボコにされていた。スレ民からすれば『ギャグ顔wwwww』と笑っていただろうが、本人からすればたまったものではない。

 

 そう、彼は冤罪でこの場所に入れられたのだ。聞く人によっては『耄碌したかジジイ!!』と憤慨する内容だがそこは元老衆。権力を活用するまでも無く賢斗を犯人と関係があるとでっち上げ、それに頭を対魔粒子に犯された元老衆派閥の対魔忍がそそくさと賢斗を吊るしあげ、袋叩きにあったのである。アサギや賢斗と一緒にいたさくらが抗議したが、ふらふらと流して黙殺していった。

 

「くそぅ……いつ出れるってんだ……お?」

 

 賢斗が独り言ちていると、地下牢の入口から歩く音が聞こえる。賢斗が顔を音のする方向へ向けると、そこにいたのはさくらと同じ五車学園の教師にして対魔忍、八津紫であった。

 

「紫先生か。俺の死刑日でも決まりました?」

 

「確かに貴様のやった事は五車を危険に晒す行為ではあるが、死罪にはならん」

 

 賢斗のやった事とは、シュナイダーのために魔界で暴れた事である。

 

「では何を?俺を捕まえた奴等って五車のトップ層の派閥ですよね?アサギ校長の意見ガン無視が罷り通る程だってぶん殴ってきた奴が自信満々に言ってきましたよ」

 

「そいつらの言い分もある意味で間違いではないが、遅ればせながらアサギ様の意見が通った。奴等もお前を甚振っても情報が無いと理解したのだろう」

 

「それで止めれるんですね。INT(知能)ゼロかと思ってました」

 

「……思うところもあるのは分かるが、兎に角お前は釈放だ。傷の手当を終えた後に、校長室へ行ってもらう。アサギ様から今後の指令を受けてもらうぞ」

 

「了解です」

 

 のそりと立ち上がり、紫の後に続いて歩く。その顔には多少の不満が伺えるが、少しだけ安堵の表情が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たわね賢斗君。先ずは元老衆の横暴を止められなかった事、ここに謝罪するわ」

 

「校長が謝る事じゃないですよ。それに元老衆にはこれから謝罪させます」

 

「……まさか今から行かないわよね?」

 

「流石に今は無理ですって。戦力差も図れていないウチから飛び込みに行くのは自殺行為ですから」

 

「それは、先の自分への皮肉かしら?」

 

「……それはすんませんて」

 

 傷の手当を終え校長室、アサギと賢斗は面と向かい本題に入る前の会話をしている。実はアサギ、賢斗がシュナイダーの故郷を助けるために魔界へ行った事自体あまり良い感情をしていない。自分に一言も無かった件についてもそうだが、妹のさくらもこの件に関わっている。無傷で帰ってきたとはいえ、自身の身内が危険な場所へ自分が知らぬ内に行ってしまっていた事、そしてそれを扇動したわけでなくとも、与り知らぬところで妹を危険に晒した賢斗へ少しの失望、そして賢斗が本来この世界とは関係の無い世界から来ていたという事を自身に改めて認識させる事となった。

 

「……あなたの心意気や正義感は買うわ。でも、それで起こる事象や、それに巻き込まれる者も少なからずいる事を忘れないでちょうだい。……私も、家族を失いたくはないの」

 

「そうですね……軽率でした」

 

 愛する男を失い、自身の尊厳を失い、それでも尚自分を貫き、国のために戦い続けた女の言葉は、賢斗の重くのしかかった。しかし、これ以上賢斗を咎めるつもりが無いのか、手をパンと鳴らして空気を切り替えた。

 

「この話はこれでおしまい。本題はこっちよ」

 

 扉の向こう側にいるのであろう人物に入ってくるように促すアサギ。彼女の声に応えるように扉が開き、()()の学生対魔忍が校長室に入ってきた。

 

「舞華!?」

 

「よっ賢斗。なんか散々だったみたいだな」

 

「紹介するわ。昨日結成された新鋭部隊『独立遊撃部隊』よ。貴方にはこの部隊に入り、多くの任務を熟してもらうわ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください校長!結論の前に順を追って説明してください!」

 

 唐突に告げられた宣言に賢斗が焦る。アサギの指令は特に異論はないのだが、せめて説明してから言って欲しかったところがある。

 

「まず、今回の騒動はふうま分家である二車家。その当主であり、五車学園の生徒である二車骸佐がノマド幹部であるフュルストの甘言に乗り反乱を起こしました」

 

「はい」

 

「今回の件はふうま宗家当主であるふうま小太郎にあり、その責を果たすとして、二車骸佐を捕らえ、此度の騒動を鎮静化せよ。っこれが元老衆含めた当主会議での決定よ。ふうま君との関わりとは弾正の反乱以来極力接触は禁止されていたし今更とは思うのだけど、今回の件はどこにも責任を求める事が出来ないの。ふうま君以外はね」

 

 そう言って、アサギは賢斗から視線を外し、部屋に入ってきた者の内にいる一人、片目を閉じている男『ふうま小太郎』に全員が視線を送った。

 

「ま、そういう事さ。改めて自己紹介といこう。俺が件のふうま当主であるふうま小太郎。部下のメンタルケアやかじ取りも出来ない()()()の当主さ」

 

「眼抜け?」

 

「俺たちふうまの一族に由来する蔑称さ。『邪眼』と呼ばれる固有能力を持った眼が個々人に現れるんだが、俺には発現しなくてな。お陰でこのザマさ。まあ元より人望もなかったから、ある種来るべくして来た結果ってやつだな」

 

「それ、笑いながら言って余裕あるやつ?」

 

「無いんだなこれが」

 

 小太郎はヘラヘラと笑う。しかしその表情は虚ろで、反乱から今日までの間にも色々と取り調べという名の拷問を受けていたのだろう。何ならそれ以外にも動いていたのかもしれない。

 

「次は私ね。相州蛇子、ふうまちゃんの家臣で、賢斗くんのクラスメイトだよ。覚えてる?」

 

「ああ、緑髪が珍しかったからな。他の生徒も何人かは把握してる」

 

 勿論、スレ民の入れ知恵である。

 

「そっか!私は獣遁って言って獣の力を宿して戦うの。これからよろしくね!」

 

 眩しい笑顔を賢斗に向け、賢斗も差し出された手に握手で応える。そして三人目は

 

「お、俺は上原鹿之助……えっと、高嶺さんって魔族と戦って勝ったって本当なんですか?」

 

「まあ、そうだな。それと敬語は使わなくていいぞ?確かに年上だが学年は一緒だし」

 

「うえ!?そ、それはそうだけど……」

 

 鹿之助はおずおずといった様子で賢斗に尋ねる。賢斗は何かしてしまったのかと考えるが、その前に鹿之助が口を開いた。

 

「あ、あああの!俺、高嶺さんと同じ雷遁……まあ俺は電気で電遁なんですけど、兎に角似たような忍法で!それでほぼ一人で魔族を倒したって聞いて、俺もいつかそんな対魔忍になりたくって!それで、それで……」

 

 鹿之助は何とか自身の語彙で賢斗への憧れを口にする。緊張からか、小児のようなしどろもどろさを伺わせるが、その想いは賢斗に伝わってくる。

 

「ありがとうな。でも、あの時だって魔族を倒した後にさくら先生に守られていたし、俺一人じゃ今頃魔界の土の下だった。皆と戦っていく以上、そんな事にならないように努力していくつもりだ。ふうまも蛇子もよろしく頼むな」

 

「おう」

 

「うん!」

 

 小太郎と蛇子へも改めて挨拶を送る。賢斗自身、スレ民やアサギら教師陣から見ても実力はまだ未熟であり、今回の部隊編入は賢斗からしても望むところであった。

 

 次は勝ち切る。その決意を胸に賢斗は新たな仲間を手に入れた。

 

 

 

 

 

「……ゲホッゲホッ!んん゛!」

 

 突然聞こえたせき込みに賢斗が聞こえた方向へ向く。他の三人は肩を竦めながら賢斗を見つめるが、せき込んだ本人は少し不満げであった。

 

「お前、俺をほっといて他の奴に真っ先に行くのかよ」

 

「え、いや……舞華は多少知ってるし、それに他三人に挨拶も必要だろ?別に蔑ろにしたわけじゃ」

 

「へっ!どうだか」

 

 すっかりへそを曲げた舞華に賢斗は焦る。それを面白がるように蛇子が話しかける。

 

「賢斗くんだめだよ?舞華ちゃん君が元老衆に捕まったって聞いてからずっと賢斗くん心配してて、独立遊撃部隊で賢斗くんが編成されるって聞くまでずっと私含めたクラスメイトの女子に大丈夫かな?ってハラハラしてて」

 

「だーーーーーー!!蛇子余計な事言うんじゃねえ!!!」

 

「舞華……そうだったのか」

 

「……んだよ。同じ対魔忍なんだから仲間の心配するのは当然だろ」

 

「舞華ちゃん他の子にそんな気回したこと無いんだよ」

 

「もおおーーーーーーー!!!なんなんだよーーーーーーー!!!」

 

 いよいよへそを曲げた表情を辞め、その綺麗な顔を赤く染めながら賢斗に詰め寄った。

 

「ああそうだよ心配だったよ!!裏切られたところから颯爽と助けてくれて!その後も一緒に訓練とか勉強見てくれたりとかしてくれる奴を心配しない奴の方がダメだろ!!てか賢斗、お前なんでアタシに内緒で魔界行ってんだよ!!核原さん連れてったとか、普通アタシだろ!!」

 

「ま、舞華……確かにお前を連れて行かなかったのは確かにそうだが、核原さんも最初は着いてきてもらうつもりはなかったんだよ。でも危険だからってさ……実際俺の実力じゃ壊滅まで漕ぎつけられなかったし、俺が帰ってこられたのもあの人のお陰だから、感謝してるんだ」

 

「そういうのを聞きたいんじゃなくて!!なんでアタシも連れてかなかったんだって聞いてんだよ!核原さん連れてったならアタシも誘えばいいだろ!!」

 

「そ、その時はもう魔界の扉に行く直前だったし……夜中に突然誘うのは「アタシじゃ」?」

 

「アタシじゃ……役に立たねえってのかよ……」

 

 舞華が俯き涙目で訴える。ここで賢斗も彼女の意図を理解した。

 

「……すまん。舞華も今回の俺みたいになるんじゃないかって思って、俺がやるって決めた事だから俺がけじめを付けたかった。結局、人だよりになっちまったけどな……」

 

「分かってる……てか、もうちょっと言い返してきても良いだろ。どう考えたってアタシの我儘なんだから」

 

「怒れるかよ。心配してくれてるんだから」

 

「バカかよ……フフッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか……トレンディだね!!」

 

「やかましいわ!!!」




せめて隔週くらいでやりたい。
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