【悲報】転生したらしいんだけど秒でオークと鬼ごっこしてる【どこここ?】 作:火壁
校長室での一幕が終わった後、賢斗はゆきかぜにぶちのめされていた。舞華と同じく自分に声をかけずに出て行ったのが気に食わなかったと話し、これからはそうしない事を約束した。
「それで、あんたふうま小太郎の部隊に編入されたって聞いたけど、大丈夫なの?あいつ、良い噂聞かないけど」
「話してみたらいい奴だったよ?今度ゲームしに行く」
「そういう話じゃないわよ。もっと信用できるのかって話!」
「んーそれは付き合ってみないと何とも言えん。任務もまだだし、人間関係ってそういうもんだろ?」
「あんた……そういうの気にするタイプだったんだ」
「俺を何だと思ってんだ?」
「陰キャ」
「よしいいんだな?俺はここで泣ける男だぞ?校内生徒全員に聞こえるレベルのギャン泣きでお前の風評被害を生み出す事だって出来るんだぞ?」
「なんでそう変な所に思い切りがいいのよあんたは!!」
日にちは跨ぎ、賢斗は核原と彼女が有する山荘に集まっていた。
「核原さん、今日集まったってのは」
「賢斗君、先の魔界戦の反省です」
核原として、賢斗の反省点に組織的な要素は勘定に入れていない。既にアサギと賢斗で済ませているからである。故に、核原が語るのは賢斗の戦力としての短所、弱点である。
「まずは小さい所から行きましょうか。賢斗君の戦い方、さくらさんから聞いた範囲ですが、やはり行動が遅いです。第六の術のバフに頼るのを悪いとは言いませんが、相手の行動見てから回避余裕なんて転生特典でも上位レベルです。まだ鍛錬も他者より積めていないとはいえ、無茶を積もらせればそこが隙となります。だからこれからは相手の攻撃を回避するための『予測』の力を付けてもらいます」
「予測……ですか」
賢斗も心当たりがある。ベルザロの並はずれ、それ以上の人間離れした筋力。賢斗がほとんど一撃で重症を負ったのもそれが原因であり、それに対抗する腕力は一朝一夕では実らない。鍛錬と同時並行で術も磨かなければならない。
「そして、これが何より重大なんですが……賢斗くん、貴方の能力のエネルギーです」
「能力の……エネルギー……?」
賢斗は小首を傾げて思い当たる部分を探し浮かべる。回答を浮かべる前に核原が語り始めた。
「おかしいとは思わなかったんですか?対魔忍の忍法で必要不可欠である対魔粒子、その適正が余り高くないと言う事は、それだけ忍法の出力が低いと言う事です。例えば、今の賢斗君の適正値ならザケルの出力は精々木に付いた木の葉を焼けるかな?程度です」
「そんな低い!?」
「だからこそ、あの威力はおかしいんです。その原因、というより術のエネルギーにせめて
核原の言葉を賢斗は自身の中で咀嚼する。
「核原さんの能力って、対魔粒子に関係あるんですか」
「はい。まず対魔忍の使う忍法はこの世界の大気にある対魔粒子を用いて放たれます。私の場合は、対魔粒子を影から指へ通し、糸として操って色々な事をします。賢斗君は遊戯王って知ってますか?」
「遊戯王?エクシーズの後半あたりで辞めちゃったんですよね」
「丁度アニメでエクシーズが終わって、すぐの新弾にこのモチーフがあるんですよ。『シャドール』というテーマがこれの元ネタらしいです。前に教えてもらいました」
核原の言葉で改めて自身の身を振り返る。自分の転生者としての能力。それを理解していたようで、まるで理解できていなかった。賢斗は再び核原に問う。
「ガッシュ原作となると、発動は心の力ですか?」
「そうとも考えられるんですけど、ガッシュの外伝『友』だと魔力でザケルを放っているのでそっちの可能性もあります。魔界で術を打った時、出力に違和感があるって」
「言いました……ね。そういえば」
「それの原因が魔力なのか心の力不足なのか、はたまた対魔粒子を扱いきれていないからか。魔力計測が出来ればいいんですが……」
「え?ないんですか?」
賢斗の問いに核原はは目を逸らし、明後日の方向を見て動かない。その様子には諦めの様子が見られており、深く溜息を吐く。
「魔族の研究って、実はすごい難しいんです。種族の多さもさることながら、対魔忍のスタンスが『能力と物理で殴る』というのもあって、相手の研究するより自分の能力磨く方が多数派なんですよね。それで魔族研究も全くやっていない訳ではないですけど魔力計測とかは無くって」
「自身の能力をってのは分かるんですけど、相手の強みをガン無視ってのはどうなんですか?」
「悲しい事に、それで何とかなるケースもあるのがそれを増長させてるんですよね。カバーしきれない部分をどうやって補うのかを考えて欲しいんですけど、そこで行きつくのが……味方に丸投げなんですよ……!」
「んんー」
核原は更に語る。味方を頼るのは良い。しかし彼らの解釈は核原やアサギと違い、背中を任せるのではなく自身以外の人間は手足か、自身を満足させる道具と思っているのが多い。女性にいないとは言えないが、割合で言えば男性対魔忍の方がその傾向が強いらしい。
「それで言えばふうま小太郎君や上原鹿之助君は当たりですよ。スレで聞いたんですが流石主人公組ですよね」
「俺も負けてらんないですよ。話はズレましたけど、俺の課題って」
「術の出力底上げ、筋力増強、相手の攻撃への予測。ひとまずはこの3つをトレーニングメニューで引き上げていきます。メニューは考えておくので一週間後にお会いしましょう」
「なんか……ありがとうございます。ここまでしてもらえるなんて」
「いいんですよ。たくさん強くなって賢斗君の部隊でも戦ってみたいですし、それに」
核原は柔らかな笑みを浮かべ、賢斗の右手を取り、自身の胸に近づける。
「核原さん?」
「賢斗君には期待していますし、スレでの言葉だって、私は本気ですよ?……えいっ」
「ちょっ!!!!!???」
核原は
「か、核原さん!?いきなり何やって」
「賢斗君、対魔忍は知っての通り命を懸ける存在です。今日遊んだ対魔忍の友人が、明日には死体になっているかもしれない。だからここで我慢する必要は無いんです。それとも、会って一月の女はまだ信用できませんか?」
「そ、そういうんじゃ……」
賢斗は顔を赤くしながら二の句を告げようと口を開く。しかし、実際に口から出て来たのは空気のみであり、その隙を見逃す
「ここなら……誰もいないですよ?」
賢斗は息を吞み、核源の顔を覗き込む。見れば彼女もリンゴのように赤くさせ、それでも賢斗を見つめていた。
「……他の子にも、手……出しちゃうかもですよ?」
「この世界は事実上一夫多妻が存在します。私も見ててくれれば、他の子も囲っちゃってください」
核源は賢斗の左手も取り、自身の腰に回す。対魔忍スーツ特有のピッチリ感が彼女の肉感をハッキリと意識させ、賢斗の理性が再び削られる。
「俺……ここで良いんでしょうか?」
「寧ろ……こういうの好きでしょう?」
先ほどまで高く昇っていた太陽が緩やかに沈んでいく。
夕日も落ち、月が照らす山荘には、艶やかに響く音が日の出まで続いたのだった。
RPGで現代舞華がようやくガチャ実装されたというのにお前ときたら……!(初めては舞華に捧げたかった男)
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