憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意) 作:謎のコーラX
白氷宮
最古の魔王の一人が住まう、何人も立ち寄れぬ極寒の世界に建てられた城であり、そこには悪魔達の他にはいないが、今日は客人が訪れていた。
猛吹雪が外で吹き荒れる中、二人はテーブルを挟んで座り、酒を嗜んでいる。
客人はプラチナブロンドの女のような長い髪を持った端正な顔立ちを持った男、切れ長な目は魔王を睨むように見ており、敵意はないのはわかっていても、下手な者では萎縮してしまう威圧感を放っている。
反対に座る主、魔王はこちらも長い髪だが客人に比べ荒々しい髪型であり、赤い髪は鮮血のようだ。
寒々しい場所には似つかないはだけた格好をし、黒いバンダナを巻いている。
客人よりも鋭い目つきは客人を楽しげに見つめ、魔王は話をしだした。
「お前も気づいているとは思うが、新たな覚醒魔王は誕生したようだ」
「あぁ、かなりの強者の気配を感じた。場所まではわからないがな」
「それはわかってる。場所は……傀儡国ジスターヴ。つまりあのクレイマンのところだ」
それを聞き、客人は驚いたのか眉が動いた。
「あのクレイマンだと言いたいのか?小物だとばかり思っていたが」
「いんや。クレイマンに似ているが、違う気配だったと思うぞ?お前も最近変化があったことだろ?」
「……あぁ。あれだけ送られてきた刺客が一年ほど前からめっきり来なくなったな。代替わりでもしたか、魔王の座を取られたか」
「さぁな。だがもし代替わりしたのなら公表してくれないと困るなぁ」
魔王は酒を飲み干し、野性的な笑みを浮かべた。
「……やるつもりか?」
「あぁ、きっと他の魔王も賛同してくれることだろうよ。
魔王はまるで新しい玩具を見るのが楽しみな子供のような表情をし、笑い声が白氷宮に響き渡った。
○
そしてもう一人の最古の魔王も動いている。
天翼国フルブロジア。その一室の円卓を囲んで、三人の魔王が集まっていた。
野性味溢れる獅子の風格を持った男。美しき天使、傾国の美女の雰囲気を醸し出す女、そして最後にツインテールの幼子のような姿だが、他二人の何倍もの力を感じさせる。
そのような三人の魔王が、今一つの話題を話していた。
「だからな!あのクレイマンの国から覚醒魔王の気配が感じたのだ!」
ツインテールの魔王の話を、二人の魔王は驚いた顔で聞いていた。
「でもよ、あのクレイマンが覚醒魔王になれるのかね?大量虐殺の話も聞かねぇしよ」
「あら、でも最近東の平原で東の帝国の軍が動いていたって聞いたわよ?そして忽然と消えたことも」
二人の魔王はどうやら覚醒魔王の気配は感じられていないようだった。
「だからな!ワタシはそのクレイマンのところに行こうと考えておるのだ!で、誰から先に行く?」
「んなもん早いものがちだろ、へへ、クレイマンなのか別人なのか知らねぇが、その実力見極めてやるぜ」
獅子のような魔王はやる気で満ちているが、この国の主である女性は乗る気がないように見える。
「あのクレイマンのところね……私としては行きたいとは思えない。けど、気になるのは貴方達と同じよ」
「んーむ……なら三人一緒なんてどうだ!それなら後腐れないだろ!」
ツインテールの魔王の提案に、二人の魔王は頷いた。
「ま、それが良いんだろうな。別にただ見に行くだけならな」
「私もそのほうがいいわね。あのクレイマンと一人で会いたくないし」
「よーし!では一週間後!ジスターヴに出発なのだ!」
三人の魔王も、クレイマンの真偽を確かめるために行動を
始めたのであった
あのクレイマンと何回言ってんねんっていう。