憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意)   作:謎のコーラX

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13話 いらない人間部分が残ってた

こうして、ウルティマとアイリーンが魔王達のいる部屋に入室し、アニスは二人を座らせて一人、台所に向かおうとしていた。

 

カリオンとフレイは挟まれる席位置で、ウルティマとアイリーンの圧に耐えている。

 

「これでゆっくりできますね。皆さん、飲み物は何にしましょうか」

 

「甘いやつなら何でもいいぞ!」

 

アイリーンの隣に座るミリムが一番に声を上げた。

 

「何でも良いんですね?ではオレンジジュースにでもしましょうか」

 

「アニス様、ここはワタクシがやるべき雑用では無いでしょうか」

 

立ち上がろうとするアイリーンを、アニスは手で静止する。

 

「いいんですよ。お疲れの様子なんですし、ここは私に任せてください。飲み物は何時もの紅茶ですか?」

 

「……すみません。あ、甘いやつでお願いします」

 

「じゃあボクはワイン!」

 

「はは。昼から飲むなバカ。グレープジュースな」

 

ウルティマは頬を膨らませてはいるが、文句は言わずにいる。

 

「カリオンさんとフレイさんはどうしますか?」

 

「あ、あぁ、俺はそうだな……任せる」

 

「私もまぁ……」

 

アイリーンとウルティマに萎縮してるのか歯切りが悪い返答がかえってくる。

 

アニスはため息を吐くと、アニスの両手のところと、アイリーンとウルティマの頭上の空間に穴が現れ、アニスはそこに思いっきり拳を入れるとアイリーンとウルティマに拳が落ち、ゴツンといういい音が響き、二人は少し涙目になる。

 

「お前ら、客人に妖気(オーラ)をぶち撒けるんじゃない。警戒してくれているのはありがたいが別に今は必要ではないぞ」

 

「はーい」

 

「すみません。アニス様」

 

「まった……く?」

 

アニスはウルティマに魔眼之王(バロール)が発動させる。

 

〘お伝えします。ウルティマはデーモンロードから、煉獄悪魔(プルガトリウムデーモン)に進化しました〙

 

(え?何で最近進化したばっかりなのにもう進化してるんだ!そしてプルガトリウムデーモン?なんだそれ)

 

〘お伝えします。プルガトリウムデーモンとは、究極能力(アルティメットスキル)不死炎之王(フェネクス)の権能、不死炎(イモータルフレイム)という物質体(マテリアルボティー)の性質を持った特殊な炎を依り代に受肉した特異個体となっております〙

 

(はー、なるほどね、というか究極能力獲得できたのか。それは嬉しいな)

 

「ねー、何ジロジロ見てるの?変態なのぉ?」

 

ウルティマは自分がどうなっているのか見てるのだということをわかった上で言ってるのだと悪戯っぽく笑ってるところからアニスは理解している。

 

「やかましい。お前だけジュース抜くぞ」

 

「つれないなー」

 

 

全員分の飲み物が配られ、飲み物を片手に座りながらアニスは何のようで来たのかをミリムに聞く。

 

「んで、どういう理由でうちに来たんですか?」

 

「おぉ!まず一つ目にお前の国の視察だな。で、お前自身の変化を見に来たわけだが、それよりも面白そうなやつがいたわけだ!」

 

ミリムはアイリーンの肩に手を回し、満面の笑みを浮かべる。

 

「何故かこの人、ワタクシを気に入ったようで、どうしましょうかアニス様」

 

「ふはは!そりゃあそうだろう?何せワタシと()()の究極能力を会得してるんだ。気になって当然というものなのだ!」

 

「ふむ、確か信仰之王(ジャンヌダルク)って信仰心で魔素を増殖させるんだったか。ミリムさ」

 

「ミリムと呼んでいいぞ」

 

「……ミリムも同じような効果のやつを持っているんですか?」

 

「あぁ、ワタシは怒りなわけで、アイリーンよりは扱いづらいが、一瞬だが見た感じ増える速度ならワタシのが上だな!」

 

アイリーンは甘い紅茶を飲みきると、アニスの隣に避難するように一瞬で移動する。

 

「アニス様、ワタクシあの人苦手です」

 

「我慢してくれ。あれを怒らせて城が崩壊とか洒落にならん」

 

「聴こえておるぞー」

 

「そうでしょうね。それで他に来た理由は?」

 

「あぁ、それで最後の理由、というか最近追加されたのだが、七日後に魔王たちの宴(ワルプルギス)が行われることとなった」

 

「ほー、魔王たちの宴(ワルプルギス)が、主催は?」

 

「ギィだぞ」

 

ギィ・クリムゾン。最古の魔王、ウルティマと同じ悪魔である原初の赤、そして最強の魔王であるその名を聞き、アニスは口内の飲み物を少し吹き出してしまう。

 

「ゲホッ、ま、マジですか。何故そんな人がワルプルギスを?」

 

「お前が覚醒魔王、というより別人、もとい別魔人になったから品定めをしたいとそうだぞ。ちなみにお前以外の全員分の賛成もらっている」

 

「うっわ。めっちゃ私期待されているみたいだね。その期待に見合うのか我がことだけど知らないけど」

 

「ワタシの感想だけど見た感じ、お前の実力は予想以上だったぞ。国も食べ物も美味いし、街並みも綺麗だし、何より部下に強いやつがいる!」

 

ミリムはそう言いながらアイリーンをまじまじと見つめていた。それをアイリーンは引き気味で、アニスの後ろに隠れている。

 

「むっ、もしかしてワタシ嫌われているのか?」

 

「あまりにもグイグイ行き過ぎなんだよ」

 

「そうね。そういうのが苦手の人だっているのよ?」

 

アイリーンとウルティマの圧で蛇に睨まれた蛙のように震えていたカリオンとフレイが冷静になり、会話に混ざってきた。

 

ミリムは少し不服そうだが、今の位置からアイリーンに話しかける。

 

「まぁよいか。アイリーンよ。ワタシはお前を気に入っているのは本当だぞ。もし困ったことがあったらワタシを呼ぶといい!どこからでも駆けつけてやるからな!」

 

「あ、はい。気が向いたらそうしますね」

 

アイリーンは素っ気なく返すと、ミリムはガーンという効果音がありそうな驚きの表情を見せた。

 

 

雑談のネタも、菓子も終わり、三人の魔王は帰ろうと席を立ち上がった。

 

「それじゃあなアニス。今度会うときはワルプルギスだ」

 

「アイリーン、またなー」

 

カリオンとミリムが帰り、最後にフレイも帰ろうとするが、アニスに止められる。

 

「待ってほしい」

 

「ん?何かしら」

 

フレイは振り返り、ゆっくりと歩いていき、アニスの近くに寄った。それをアイリーンは般若のような顔となり、ウルティマはそれを面白そうに口角をニヘらせ見ている。

 

「え、ちょ、近いんですけど」

 

アニスは大人の女性、それもかなり扇情的な格好の美女が近くにきたせいでリョウマという人間の童貞の部分が呼び起こされ、顔を赤らめフレイから目をそらす。

 

「あら、意外とカワイイ反応するわね。それで?何の話かしら?」

 

「あの、そんなに近いといろいろと……」

 

「んー?」

 

フレイはアニスの反応が面白くなってきて、ついつい自身の胸をアニスにくっつけようとするが、かつてないほどの

妖気(オーラ)を浴びて固まってしまう。

 

「おい。行動は慎重に選べよ?」

 

アイリーンから聞いたことのないドスの利いた声が発せられ、フレイはすぐに離れ、アニスとウルティマもアイリーンの初めて見る様子に若干引いている。

 

「ごめんなさいね。あまりにアニスの反応がかわいくて」

 

「次やったらその無駄に露出している肉の塊を引きちぎる」

 

「あらあら。怖いわね」

 

フレイは先程までの警戒心とは別のものだとわかっているため、軽く受け流している。

 

アニスは呼吸を整えて、咳払いをした後本題に入る。

 

「ふぅ……で、話なんだが、フレイ、何か困っていることはありませんか?」

 

「困ってること?特には……あるとしたらやっぱり暴風大妖渦(カリュブディス)かしらね」

 

その名はアニスは前世から聞いたことがある、いや、読んだことがある。

 

元よりワルプルギスまでの転生したらスライムだった件の内容は頭に入っており、知らないことが多い現状とは言え、カリュブディスは知っている。

 

端的に言うなら鱗ばら撒いてサメ出すドラゴンモドキ。

 

ついでに魔力妨害してくるフレイの種族の天敵である。

 

「なら、私がそれを制御してみせましょうか?」

 

「なんですって?」

 

フレイは冗談かと思ったが、アニスの表情にはそれは無いと判断できる自信があり、できるのかという驚きと、それをするだけの何を要求するのか、フレイは身構える。

 

「まぁタダでやるわけにはいきませんね。で、報酬としては――」

 

金?それとも私を手駒のようにする借り?どちらにせよこれは断るべきだと判断するが、

 

「翼触らせてほしい」

 

それは全くの杞憂だった。

 

フレイはぽかんと口を開け、要求が何かを理解し、笑い声をあげた。

 

「あははは!それ全然見合ってないわよ?それくらい何時でも構わないわ」

 

「本当?でも私が要求できるのってそれくらいなんだよね。金もあるし部下も優秀だから駒は必要ないしで」

 

「羨ましいことね。まぁいいわ。ほら、幾らでも触るといいわ」

 

「おっ?では遠慮なく」

 

アニスはフレイの翼に触ろうと手を伸ばそうとすると、バサッという音と共に、アイリーンの悪魔の翼が生えた。

 

アイリーンを不満そうな、触ってほしそうな顔を見向きもせずにアニスはフレイの翼を存分に触りだしたのであった。

 

一時間ほど触りまくり、満足した様子でアニスは翼から手を離し、フレイは少し頬を赤くして息が上がっていた。

 

「ず、随分と念入りに触ったわね。そんなに翼が大好きかしら?」

 

「いや、ただ人形に翼付けようと思ってね。飛行できたら犯罪者を捕まえやすいですし」

 

「な、なるほどね。それじゃあ私は帰るわね。ワルプルギスで会いましょう」

 

フレイが帰り、アニスは大きく息を吐いてこれからのことを考える。

 

「さて、ギィ・クリムゾンかぁ。怒らせないようにしないとな。後はまぁ、臨機応変?」

 

「……アニス様」

 

アニスはアイリーンのほうへと顔を向けると、不満そうに頬を膨らませ、その声音は若干怒っているようだった。

 

「な、なにかな?」

 

「アニス様はお胸が大きい方が好みなんですか?」

 

「えっ!?そりゃあその……」

 

アニスは一分ほど考える素振りを見せたあと、そっぽを向いて「はい。男ですし……」と耳を赤くして返答した。

 

「やっぱ変態じゃん」

 

ウルティマは小さくそう口元の笑みを隠して呟き、イジるネタゲットという様子でスキップして部屋から出ていった。

 

その後、度々アイリーンが自室で胸をマッサージしてる姿をウルティマは見るようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実はこの辺りの話、筆があまり乗らなくて困ってました。

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