憑依したらクレイマンだった件 (微量の転スラネタバレ注意)   作:謎のコーラX

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(´・ω・`)今回最後に名前ネタバレあります。

追記 一部加筆しました。アニスの戦いに挑む理由付け


14話 魔王達の品定め

「ヴェルドラですか?」

 

満月が夜を照らす魔王達の宴(ワルプルギス)当日、アニスは門が現れる予定の魔王たちが来ていた円卓の部屋で、ウルティマとアイリーンと共に待っていると、アニスがアイリーンにヴェルドラについて聞いた。

 

「あぁ。今暴風竜ヴェルドラって今どれくらい封印されているのかなって」

 

「そうですね。かれこれ()()()らしいですね。それが何か?」

 

「ふむ……」

 

アニスは思考を始める。

 

(二百年。つまりだいたい百年くらいでヴェルドラが開放、もといリムルさんがこちらに来ると見て良いんだろうな。あの人とはいい関係を築きたいけど、そのせいで自分の人生を不意にしたくないわけで。

 

……魔王か。魔王の身分はやはり思っていたけど足枷だな。いろいろとしなくてはいけないし、他の魔王との関係とか考えんといけないしで。なら、()()()()()()()()()()という選択肢があるな)

 

「……よし、カリュブディスを倒すなり支配するなりした後を行動は決まったな」

 

アニスが考えをまとめ終えると、それを見計ったかのように荘厳な扉が何もない場所から現れた。

 

扉が開き、中から現れたのは二人の美女、一人は緑、一人は青の髪で、見た目こそ人間だが、やはり普通ではない。

 

〘お伝えします。共に高位の悪魔ではありますが、ウルティマには劣るものの、同じ原初の悪魔と断定〙

 

(知ってはいたさ、転生したらスライムだった件読んだわけだし)

 

「やっほー、二人とも元気ー?どうせ何時も通りルージュにこき使われているんでしょうけど」

 

ウルティマの挨拶を意に介さず、いや、青筋が薄っすら見えて、手が震えているところから聴かないようにしてるのか、二人はお辞儀をし、門をへとアニスを誘う。

 

「クレイマン様、どうぞ門をお通りください」

 

淡々とそう告げる青と緑の髪の悪魔。ウルティマはつまらなさそうにしてるが、もし何かが起きてもアイリーンが止めていだろう。いや、それがウルティマの狙いなのかもしれない。

 

「ん、じゃあ行こうか、アイリーン、ウルティマ」

 

アニスは紳士服を整え、アイリーンとウルティマを追従させて門へと通っていく。

 

 

既に、その円卓の席の十ある内の九人分埋まっている。

 

「少し早いが、俺の魔王達の宴(ワルプルギス)、もといクレイマンの品定めのためだけに来てくれて感謝しよう」

 

一番奥に座り、既に実力を偽装済みの最強の魔王、ギィ・

クリムゾンが感謝を伝える。

 

「別にいいわよ。あたしはあのクレイマンがどうなったのか見たいだけだし、そしたら帰るわね」

 

小さい、いや小さすぎる少女は妖精の魔王、最古の魔王であり妖精女王であるラミリスだ。

 

本人には大きすぎる椅子の上でバタバタと足を揺らし、暇そうにクレイマンの到着を待っている。

 

「安心するのだ!ワタシが見た感じ気にいると思うぞ」

 

ミリムの発言に、ラミリスは疑い深い目を向ける。

 

「本当にぃ?違ったらピーマン食べさせるわよ」

 

ピーマンと聞き、ミリムに冷や汗が流れる。

 

「あ、あんしんするのだ」

 

 

「ふわぁ、とりあえず来たけど、まぁギィの見立てで判断するかなぁ」

 

眠り眼の魔王、ディーノはそう言ってすぐに円卓に突っ伏して寝息を立て始めた。

 

「ふむ、ミリムのお眼鏡にかなったのかあの男、少し興味が上がったな」

 

魔王の中で一番の巨体、当然ではある、巨人の魔王なのだから。巨人族(ジャイアント)の魔王ダグリュールは静かに両手を組んでクレイマンを待つ。

 

「ふん、どのように変わろうとも、所詮小物よ」

 

曰く、金髪のハリウッドスターのような外見の吸血鬼(ヴァンパイア)の魔王、ロイ・ヴァレンタインは偉そうに腕を組んで待つ。

 

「……」

 

その背後には侍従なのだが、普通ではない雰囲気をだしているオッドアイで銀髪の少女が立ち、静かに門が現れる場所を見ている。

 

「……俺としてはただ勝てるか勝てないか知れればいい」

 

プラチナブロンドの美青年、ギィも一目置く新参の魔王の一人、レオン・クロムウェルは目を閉じて待っている。

 

「……そろそろかしらね」

 

「あぁ、どんな登場で来るのかね、あいつ」

 

フレイとカリオンがそう言うと、扉が現れ、そこから三名の人影が歩いてくる。

 

「……は?」

 

全員が同じことを思ったり、口にした。

 

クレイマンの姿がまったく違うのもある、二人の従者が覚醒魔王に匹敵するのもある。しかしそれ以上に驚いたのは――クレイマンが両手で菓子の盛り合わせの皿を持って、笑顔で現れた珍妙な光景に対してだった。

 

クレイマンはその冷え切った空気の中、幼い外見に合った可愛らしい声を発した。

 

「皆さん!クレイマン改め、アニス・クレイマンです。別に代替わりしたわけではないですが、話す上で摘めるものがあったらと思い、お菓子を用意しました。どうぞ気軽に食べていってください」

 

アニスはその皿を円卓を置こうとするが、それをロイが行く手を阻んだ。それも怒りの形相で。

 

「貴様……なめているのか!」

 

「別に普通のことでしょう?いいからこれ置きたいので退いてくれます?」

 

「ほざけ!この小物が!」

 

ロイはアニスの手に持っている菓子を払い落とそうとするが、その手をいつの間にか移動していたアイリーンに掴まれ、そのまま軽く元いた席まで投げ飛ばされる。

 

「ぐっ、き、貴様!」

 

「小物が、アニス様の行いを邪魔するんじゃない」

 

ロイは再び立ち上がり、アイリーンを睨みつけ、まさに一触即発の空気だが、そこに今まで我慢していたのか、誰かの笑い声が響いた。

 

「ぷっ……あはははは!」

 

席を上で転げ回る小さな者、ラミリスだ、ひぃひぃと呼吸を整え、ミリムに笑顔を向けた。

 

「ミリム、あんたの言った通り面白いやつね!」

 

「そうだろうそうだろう!あ、おいアニス!その美味い菓子を寄越すのだ!」

 

「アタシもよ!」

 

「はいはい」

 

アニスは円卓に菓子皿を置き、菓子の中から、マカロンとクッキーをラミリスのためにその欠片を摘まむと、それをミリムとラミリスの口に投げた。

 

外すことなく菓子は二人の口の中に入り、ミリムは幸せそうな表情を浮かべ、ラミリスは投げられたクッキーを噛み締め、脳に電流に走った。

 

「うっっっま!なにこれめっちゃ美味いじゃない!」

 

ラミリスは席から飛翔し、菓子の山へと飛び込んだ。

 

「ご満足いただけたようですね。他の皆さんは食べますか?」

 

「ふむ、一つ貰おうか」

 

ダグリュールはのっそりと立ち上がり、ズンズンという重たい音が響きそうな足取りで菓子の山からブロックチョコを手に取り、口に入れる。

 

甘くとろける舌触りに、ダグリュールは微笑を浮かべる。

 

「なるほど、これは美味いな」

 

「気に入っていただけて何よりです」

 

アニスはパティシエのように映る優雅な礼をし、再び他の魔王にも菓子をすすめる

 

「ふわぁ……んー?なんか甘い匂い」

 

「じゃあ俺も」

 

「私も貰おうかしら」

 

他の魔王達も菓子を手に取り中、レオンとロイは食べようとはしない。レオンはそもそも興味がないが、ロイは敵対心をアニスにぶち撒けている。

 

「ふふふ。ここは何時から菓子を配る場所になったんだ?」

 

「……うわ」

 

アニスはここに来て初めてギィのほうへと視線を向ける。

 

〘お伝えします。ギィ・クリムゾンの実力はカリオ――〙

 

(あぁそういうのいいから。どうせ本来の実力なんてわかりこっないし)

 

それでもアニスは転スラを見ていたからか、見ていたおかげか、妖気(オーラ)魔素(エネルギー)量ではなく、()()から放たれる威圧感に苦い顔を一瞬するが、すぐに引っ込め、笑みを浮かべた。

 

(会社に培った作り笑顔、やはり役立つな)

 

「ほう、やはり全てがクレイマンとは別格だな。どれ、俺にもその菓子を寄越せ」

 

「へー、ルージュってお菓子食べるんだ」

 

ウルティマはいつの間にかギィの席の後ろに現れ、耳元で囁くが、それをギィは驚きもせずに目だけそちらに向ける。

 

「ギィと呼べ、ヴィオレ。どうやらお前にも仕えるべき主を得たようだな、正直性格的に無理だと思っていたぞ」

 

「ギィもウルティマって呼んでほしいな。まぁボクも仕えることになるなんて召喚されたときは思っていなかったな。それも全て……リーンのおかげかな」

 

ギィはウルティマの頬を染めるその純粋な笑みの表情が一番驚いた。

 

「ウルティマ、お前本当に良い奴らに恵まれたようだな。あの二人にも勝てそうだぞ?」

 

あの二人、それは原初の白、原初の黄のことだ。ウルティマはこの二人と精神世界で何時も拮抗した喧嘩が行われていたが、今のウルティマなら二人がかりでも圧倒しうる力を秘めている。

 

「うーん、正直リーンと一緒にいたほうがいいかなー。まぁあの頃も悪くなかったけど、ノワールに会いたくないし」

 

「まぁ、お前の好きにすればいいさ。さて、クレイマン、いやアニスだったか。困るなぁ、勝手に代替わりされたら」

 

ギィは一瞬でアニスの目の前に現れる。身長差があり、腰を大きく曲げてアニスの顔に自身の顔を近づける。

 

「近いですよ。それに最初に言いましたが、代替わりなんてしてませんよ?私はクレイマン、あっちもクレイマン、なんの変わりもありません」

 

アニスは内心引き気味だが、平静を装ってギィに返答する。

 

「ふ、ふははは!」

 

ギィのそれを大変喜ばしそうに笑い、菓子を一つ口を放る。クッキーを噛み締め、飲み込むと、唇に一周舐めし、再び席へと一瞬で移動して座り直す。

 

「まぁいい、だがお前の実力がわからないのでな。弱者は魔王に必要ない。どうだ?ここにいる魔王の誰かと戦わないか?」

 

「えぇ……なんでそうなるのかな?別にそんなことするルールどこにも無かったと思うんですが」

 

「俺が決めた。さぁ、誰にする?」

 

アニスは大きくため息を吐き、カリオンを指名しようとするが、それに割って入る者が現れた。

 

「なら、余が相手になってやろう」

 

ロイ立ち上がり、アニスの近くまでくる。ギィはそれを待っていたかのように指を鳴らすと、結界が現れ、それと同時に結界内の空間が拡張され、戦うのに十分な広さの場所が用意された。

 

「あはは。はめやがったなギィ」

 

アニスはギィを睨むも、それをギィは笑って流す。

 

「不運だな。今の余は満月ゆえ全力が出せる。命乞いの準備でもしてるといい」

 

「……ま、いいか。ウルティマ、アイリーン、邪魔は駄目だぞ」

 

この手合は一回心を折ったほうが話が進むと考えて戦いに挑むことにした。アニスはその前にウルティマとアイリーンのほうを向き、一応釘を刺しておいた。

 

「はい。頑張ってくださいませ」

 

「ま、がんばー」

 

ウルティマはギィの側で、アイリーンはアニスが座る席の側でアニスを見ている。

 

ロイはもう我慢が限界なのか、よそ見していたアニスに拳を振り下ろした。

 

魔法の鎧すら破壊する一撃、それはアニスの背中から生えた人形腕によって見もせずに防がれる。

 

何度も拳をぶつけても、人形腕で防がれ。数分後に、アニスはロイに視線を向けた。

 

「じゃあ、やろうか」

 

「ぐっ……貴様!」

 

ロイは飛び退き、自身の得意技を発動させる。

 

血が魔粒子へと変わり、それが光線のように放出される。

 

血刃閃光波(ブラッドレイ)

 

何本もの光線はアニスへと向かい、貫かれる――わけがなく、アニスの指から放たれた光弾によって全て相殺されてしまう。

 

「なっ!?」

 

ロイの驚愕を無視し、アニスは拳銃のように人差し指を向け、指先に龍脈と魔素を混ざった光が集まる。

 

「ふむ、成功したようだね。じゃあ今度はお前が受けてみるといい――龍脈破壊弾(デモンバレット)

 

小さな龍にも見えるその光弾を、ロイは血を魔粒子へと変えた壁で自分も防ごうとするが何の減速もなく光弾は壁を破壊し、ロイの肩を抉った。

 

「あ、ありえん!余の体がこうも!」

 

「ほらほら、頑張れ」

 

アニスは無慈悲に連続で撃ち出し、ロイはそれを受け、肉を、魔素を抉られながら後退していく。

 

「ま、待て、待つの――」

 

その光弾が急所の位置である心臓に向かうが、舌打ちと共に、一人の少女がその光弾を手で弾き飛ばした。

 

「……無様を晒すな。ロイ、貴様は仮にも魔王なのだぞ」

 

「邪魔が入った、ということは私の勝ちでいいかな……ルミナスさん」

 

二色の眼で睨み、漆黒のゴシックドレスに着替えたその侍従こそ、真なる吸血鬼の魔王、ルミナス・ヴァレンタインであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ロイが弱すぎる?いやだって実力が悪い意味でまったくわかんないし

追記 描写不足のところありましたらどしどし。小説それなりにやってますが素人同然ですので。
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